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インディーズレーベル「CALF」、CAMPFIREで資金調達を行いアニメーションを制作

ゲームビジネス その他

大山慶氏と廣瀬秋馬氏
  • 大山慶氏と廣瀬秋馬氏
  • CALF概要
  • 国際的な注目も集める
  • 名前の由来
  • 短編アニメーションは作り手が増加している
  • しかし作家として続けていくのは困難
  • メディアや批評が欠けている
  • CALFの活動(1) パッケージとして販売
トークイベント「クラウドファンディングはアニメーション業界をどう変えるのか」では、国内の優れた短編アニメーションを世界に向けて発信することを目的に設立されたインディーズレーベル「CALF」の大山慶氏と廣瀬秋馬氏が、国内のクラウドファンディング・サービス「CAMPFIRE」を利用した経験を報告しました。

大山慶氏は東京造形大学出身の映像作家。『診察室』(05)、『HAND SOAP』(08)などで世界的な評価を集めており、現在、CAMPFIREを通したクラウドファンディングにて『放課後』という作品を制作中です。その大山氏と共に、廣瀬秋馬氏は短編アニメーションのレーベル「CALF」のプロデューサーを務めています。

まず、大山氏がCALFの取り組みを説明しました。CALFは国際的に活躍する短編映画作家の作品を国内外に向けて紹介するために、2010年、若手アニメーション作家と評論家によって設立されました。DVDなどの制作・販売とともに、国内外で短編映像作品の劇場配給や上映イベントを行なっています。2011年に合同会社として法人化、「CALF STUDIO」を設立し、制作プロダクションとしての活動も開始しました。

次に「短編アニメーション」の現状について説明されました。近年、PCの普及、大学でのアニメーション学科の設立、動画共有サイトの発達などの影響を受けて、短編のアニメーション作品を制作する学生が増加しているといいます。しかしながら、劇場公開やパッケージ・ソフト化の道は困難であるため、実際にプロの作家として活動を続けていける人はほとんどいないそうです。また、テレビアニメと異なり、言葉で語られることが非常に少なく、日本語の雑誌や情報サイトも存在しません。

そのため、CALFでは評価を得ている作品のDVD化を行い、国内外への宣伝・販売を行なっています。同時に、短編アニメーションに対して助成を行なっているヨーロッパやカナダなどの映画祭に積極的に参加しています。そういった国際的な場で交流することによって、新たなビジネスチャンスや海外から上映依頼を獲得することを目指しています。さらに、劇場公開だけではなく、ワークショップなどを行なうことで積極的に短編アニメーションを普及し、テレビやPVといったよりメジャーな領域に浸透させることを目指しているといいます。

また2011年に設立したCALF STUDIOでは、オリジナル作品を製作しています。現在、大山氏の『放課後』の他、水江未来氏の『Wonder』を製作中。中でも大山氏の『放課後』は、制作費の一部を国内のクラウドファンディングのCAMPFIREから調達しました。

大山氏は自身の作品『放課後』のトレーラーを上映しながら、そのコンセプトを説明しました。『放課後』は複数の中学生が自身の自画像を描き、それをアニメーションによってつなげることにより、自分と他人のアイデンティティを問う実験的な作品です。制作資金は主に文化庁のメディア芸術クリエイター育成支援事業からの助成金によって捻出していますが、今回、CAMPFIREを利用することで58万円の資金を調達しました。

CAMPFIREでの資金調達については、広瀬氏が説明しました。短編アニメーションという表現は、ソフト化やキャラクターグッズの展開で資金回収するのが困難であるため、多くの場合、国や地方自治体からの助成金を得て制作されています。しかしながら、公的資金に頼っていると、助成の方針が変化すると制作が不可能になってしまいます。そのため、今回、クラウドファンディングによって事前に資金を調達することにしたそうです。

最初はKickstarterを利用することも考えましたが、海外に法人を持たないため、国内のクラウドファンディング・サービスであるCAMPFIREを利用することに決めました。文化庁から既に制作資金として150万円の助成金を受けているので、今回の『放課後』における目標金額は50万円という低く設定されました。さらに資金調達をするだけではなく、CAMPFIREを利用することでプロモーションにつながることも期待したといいます。

出資者への報酬としては、映像作品のDVDやBlu-rayなどのパッケージ、加えて話題性の高いものとして出資者の写真をアニメーション作品に登場させる権利などを設定しました。出資者を集めるために、FacebookやTwitterなどのSNSによって告知を行いましたが、自身たちで発信するだけであったため、出資者のほとんどは大山氏の過去作品を知っているファンであったそうです。

最終的に58万円の資金調達に成功しましたが、新たな顧客をつかむことができなかったため、CAMPFIREを利用した効果に対しては疑問が残ったといいます。アメリカのKickstarterには、クリエイティブなプロジェクトを常に探している「Kickstarterのファン」がいるのに対して、国内のクラウドファンディングやCAMPFIREといったサービスはまだ始まったばかりであるため、まだ新しいユーザー層の開拓にはつながらなかったといいます。

さらに資金調達に成功した58万円もCAMPFIREの手数料、出資者への報酬の費用を差し引くと、実際に使用できる制作費は総額の4割から5割り程度です。もちろん、今回は新しい資金調達を手探りで進めたため、目標金額を低く設定しすぎたという点もありますが、この程度の資金ではアニメーションの制作費としては微々たるものでした。

今後は今回のクラウドファンディングでの経験を活かして、Kickstarterなど海外のサービスを利用することも視野に入れてCALFの短編アニメーションを製作していきたいと展望が述べられました。
《今井晋》

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