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【CEDEC 2012】「Final Fantasy XIVで搭載されたサウンド新技術の紹介」ゲームの面白さにサウンドができること

ゲームビジネス その他

祖堅正慶氏(左)と西松優一氏(右)
  • 祖堅正慶氏(左)と西松優一氏(右)
  • FF XIVで搭載されたサウンド新技術
  • プロフィール
  • アジェンダ
  • Dynamixは動的に2曲をクロスフェードするシステム。これがベースとなった
  • 波形データを2ch × 2で構成する
  • マーカーを埋め込んで切り替わりのタイミングをデザイナー定義した
  • 下の2chに終止部を埋め込んでおく
オンラインゲームとして現在提供中で、全面的なリニューアルも施される予定の『Final Fantasy XIV』。CEDEC 2012の2日目、午後のセッションでは「Final Fantasy XIVで搭載されたサウンド新技術の紹介」と題した講演が行われました。

登壇したのはスクウェア・エニックスの開発部サウンドグループでサウンドデザイナーを務める祖堅正慶氏とサウンドプログラマーを務める西松優一氏の2人。随時アップデートしていくというオンラインゲームの特徴を活かしてサウンドでも随時新しい特徴が追加されているということで、セッションではここ1年間に導入された技術について説明されました。ちなみに全面リニューアルを控える本作ですが、基本的にはサウンド関係は引き継ぎが行われるとのこと。紹介されたのは6つの技術。追って紹介していきます。

■Dynamix End

「Dynamix End」は自然な曲の切り替えを目指したものです。例えば雑魚敵との戦闘からボス戦に遷移した場合、BGMが変わります。この場合、通常であれば雑魚敵のバトル曲を停止して、ボスの曲を鳴らすことになりますが、中途半端な場所で切り替えると美しく聴こえません(「"3拍目の裏"とかで切れると悲しい」)。この手法では、曲のキリの良い場所にマーカーを埋め込んでおきます。続いて、4chのデータであれば2ch × 2として扱い、上の2chに通常の楽曲、下の2chの方に終了部を入れるようにして、切り替えのタイミングになったら、次のマーカーの場所まで待機し、そこで下の2chに切り替え、さらに終了符まで行ったら次の曲の再生へと切り替えます。こうすることである程度自然な曲の切り替えが実現できます。

■Listener Configuration

これはウェブサイトのフォーラムに投稿されたあるユーザーからの要望を反映したもの。要望とは「自分が画面奥で戦っている時に、手前で他のパーティが戦っていると自分の音が聞こえない」というもの。これに対してゲームのコンフィグ画面に、マイクの位置を画面の手前ではなく、プレイヤーキャラクターの位置に変更できるような設定を追加したとのこと。ただ、既に行われていた音源の配置は固定されたマイクを前提としたものなので、かなりの調整が必要になったとのこと。

■Compressor

これはとあるセクションから寄せられた「サウンドチームに断りなく好き勝手にサウンドを入れたいんだ」というリクエストに対して実装されたもの。サウンドチームの立場からすれば処理負荷や音量の問題もあるので好き勝手にサウンドを入れられても困るのですが、祖堅氏は「スピード感もあるので、そういう場合もあるか」と理解を示し、特定のグループに対して最大音量を制限するコンプレッサーを実装することで、他のセクションでサウンドが大量にコールされた場合でも上限を超えないようにしたそうです。

■Volume Ducking

あるパッチのタイミングでジングルが大量に実装された事があるそうです。ゲームではジングルが鳴る際には背景のBGMは音量を下げて実装します。しかし、ジングルが大量に実装されたことから、その処理の実装の手間が爆発的に増加してしまったそうです。そこで、特定の音が鳴った際には、他の音を下げる(ダッキング)するような処理を実装したとのこと。

■Acceleraion Sound

これはチョコボに実装されている機能です。ヒントは祖堅氏の友人が乗っていたベンツから得られたそうです。実はベンツにはアクセルを踏むとオーディオの曲のボリュームが自動で上がるという機能が実装されていて、爽快感を増しています(ホンダのBeatなど他社製でも幾つかの車種には同様の仕組みがあるそうです)。さっそくチョコボにもそのスピードに合わせてサウンドのボリュームを上げる仕様を追加。「チョコボは実装が遅くなってしまいましたが、ユーザーさんが大好きなキャラクターです。それを少しでも盛り上げる方法をサウンドで考えた結果です」(祖堅氏)とのこと。

■Stringendo System

これはモーグリがボスとして登場するシーンで使われたもの。ちょっとコミカルなバトルがコンセプトとなっていて、モーグリを一匹倒すと二匹目が、二匹目を倒すと三匹目が、という風にどんどん増えていきます。この時にランダムで曲のテンポを変えていきたいというリクエストから誕生したものです。この実装にはグラニュラーシンセシスという手法を活用。波形データを小さな固まりに分解し、それを結合することでテンポを変化させるというものです。実装は少々難しく使える箇所が制限されますが、モーグリとのバトルだけで利用するものなので問題はなかったようです。これでゲーム中では5段階のテンポ変更をランダムで行なっています。

会場からは「5個の異なるテンポの波形データを用意して差し替えれば良いのではないか」という質問がありましたが、これについては「同時に10チャンネルをストリームするのはWindows環境では問題ないが、マルチプラットフォームを考慮して家庭用ゲーム機を考えると難しい」との答えでした。


最後に祖堅氏は自身のような社内コンポーザーの役割について、「サウンドからゲームを面白くするというアプローチをどんどんしなければならない」と述べました。サウンドを外注する企業も多い中、社内でチームの一員として参加するメリットは積極的な関与が可能ということです。単に発注を受けて制作するという受け身のアーティストではなく、ゲームの面白さの為にもっと前面に出ていく必要があるのではないかと強調され、セッションは締めくくられました。
《土本学》

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