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【PS Vitaゲームカンファレンス】『みんなといっしょ』フレンド100万人の道とは

SCE JAPANスタジオ所属でプロデューサーの伴哲氏は「Friend network『みんなといっしょ』~『Friend100万組』達成への道のり~」と題して開発を振り返りました。

ゲームビジネス 開発
PS Vitaならではのサービスとして話題を呼び、1月16日にフレンド100万組を達成。3月29日には大型アップデートでVer.2.00となった『みんなといっしょ』。おなじみ井上トロをはじめとした、『どこいつ』ファミリーによるコミュニケーションアプリです。SCE JAPANスタジオ所属でプロデューサーの伴哲氏は「Friend network『みんなといっしょ』~『Friend100万組』達成への道のり~」と題して開発を振り返りました。

JAPANスタジオ・プロデューサーの伴哲氏


■PSNフレンドを増やすためのアプリ開発
発端は2011年4月某日、「Vitaローンチに際して日本市場を活性化させるコンテンツを用意セヨ」というオーダーが社内で発せられました。当初はPS3向け配信コンテンツ『週刊トロステーション』のVita版も検討した伴氏。しかし、3G回線をはじめとした豊富なネットワークコミュニケーション機能を生かすには、新しいサービスが必要だと判断し、構想を練っていきます。

結果として見えてきたのが、「PlayStation NetworkFriendが、日本市場ではほとんど活用されていない」という問題点でした。なにしろ伴氏自身も2人しか登録していなかったほど。これを解決するために、PSNの上限である「フレンド100人できるかな?」というコンセプトを掲げられました。

フレンド登録のボトルネックとなっている点は何か? 伴氏は▽登録の仕方がわからない(友達のPSNアカウント名を知らないので検索できない)▽登録しなくても不都合がない(フレンドを活用するゲーム的な要素がない)▽敷居が高い(知らない人が怖い)−−の3点にあると分析。新規サービスでこれらを一つずつ解決することが、Vita国内市場活性化に直結すると判断します。

具体的には▽PSNアカウントを知らなくても問題ない、簡単なフレンド登録方法▽フレンド登録をしないと先に進まないゲーム内容▽知人からフレンドにしていける敷居の低さ−−を満たすようなゲームデザインが求められる、というわけです。

ロビーでフレンド候補をタッチフレンドと一緒に「おしごと」を行ショップでは多彩な名刺デザインがずらり


結果として「アカウントをアイコンではなくキャラ化することで親しみを持ってもらう」「フレンド申請ではなく名刺交換などの行為を追加」「一般的なオンラインゲームのようにゲーム内での行動で評価されるのではなく、フレンド数が評価されるゲームデザイン」「あえてリアルタイム性は排除して、ソーシャル的な、ゆるい遊びを提供」などの施策が行われました。

またTwitterとの連動機能も実装し、アバターにアイコン画像を使用。既存ソーシャルグラフの活用でフレンド関係の構築をショートカットすると共に、心理的障壁を下げる試みがとられました。

■量から質への転換~フレンドダンジョンの実装
続いて伴氏はこれまでのユーザー情報を紹介しました。性別は約8割が男性で、アクセスが集中するのは深夜0時前後。プレイ時間は約7割のユーザーが20分以内となっています。これには、ちょこちょこと遊べるコンテンツであること、名刺交換の上限が深夜0時にリセットされるので、二日にまたいで遊んでいる人が多いのだろうと分析されました。またユニークユーザー数は1ヶ月でほぼ横ばいとなり、継続率が高いコンテンツとなったと言います。

1月16日までのフレンド数推移フレンド成立数の推移


このほかLive Areaの活用例として、運営からのメッセージやPS Storeへのリンクを表示したり、特定のゲームシーンを直接起動したり、といった例が示されました。「Live Areaはゲームを起動するユーザーが必ず見る画面で、さまざまな使い方が考えられます」(伴氏)。また3G通信の活用例として、ゲーム内で行われるクエストの「ハッスル」を紹介。ほぼリアルタイムで行われるクエストなので、3G回線であれば文字通り「いつでもどこでも」楽しめるコンテンツにできたと語られました。

コンセプトとして掲げられたPSNのフレンド数増加についても、ローンチ時には7割以上のユーザーが「0人」だったのに対して、1ヶ月後には50%以上のユーザーが20人以上を達成。すでに100名を達成したユーザーも数パーセントに上っています。Twitterアカウントの登録数も、全アカウントに対して4割強にのぼりました。もっとも本作はPSNのフレンド数を増やして、国内Vita市場を活性化させるための手段という位置づけ。その先の導線も確保していく必要が求められます。

一方で「みんなといっしょ」でも、ユーザーから「やることがない」「アップデートして欲しい」という要望が増加してきました。これに対して「ただ量を増やすだけでは、すぐに遊び尽くされてしまう」と伴氏は判断し、「量より質の転換を図る」と決断します。「集めたフレンドと、どう遊ぶか」「どのフレンドと一緒に遊ぶか」「自分に足りないのは、どんなフレンドか」−−こうした遊びを可能にするものとして、新しく「フレンドダンジョン」が考えられました。

トロと一緒に4名のパーティで冒険フレンド候補と名刺バトルで戦う
バトルに勝てばアイテムゲット一緒に戦ったフレンドに経験値を贈呈


フレンドダンジョンは、その名の通り友達と一緒にダンジョン探索をする遊びです。トロとプレイヤー、そして任意のフレンド2名の4名パーティでダンジョンに潜っていきます。各フロアではフレンド候補が敵モンスターとして登場し、名刺バトルを展開。バトルを有利にするアイテムも随時購入して利用できます。キャラクターには冒険者や魔法使いといった職業があり、衣服を変えることでチェンジも可能。バトルに勝つとアイテムがもらえるほか、フレンド候補の敵と名刺交換もできるという仕組みです。

またTwitterに加えて、新たにFacebookとの連携も開始。Facebookでは実際の顔写真をアップしている人も多いので、より親しみやすくなると話されました。名刺素材にもラメ調のデコレーションが加わり、Vita本体を傾けるとキラキラと光るように。最後に「フレンドを増やすだけでなく、フレンドで遊ぶように繋げていきたい」と改めて抱負が語られました。
《小野憲史》
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