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【ADC MEETUP Round 4】スクウェア・エニックスが取り組む、ブラウザでの家庭用ゲーム機クオリティの実現

ゲームビジネス 開発

スクウェア・エニックスの月岡伸博氏とsipo.jpの尾野政樹氏は本日開催された「Adobe Developer Connection presents ADC MEETUP ROUND 04 Social Gaming」にて「コンソールゲームクオリティのStage3D研究開発」と題する講演を行いました。

「Stage3D」とは、昨年秋にリリースされたFlash Player 11からサポートされた、Flashで3D表現を可能とする技術です。スクウェア・エニックスのオンライン事業部テクニカルプランナーというポジションにある月岡氏は、PCブラウザで家庭用ゲーム機並の表現を実現するための研究開発に取り組んできました。

日本のPCゲーム市場は大きいものではありませんが、mixiアプリやアメーバピグなどブラウザであればゲームを遊ぶというユーザーが確実に増加しています。ブラウザゲームは日本ではライト、カジュアルというイメージですが、海外ではUnityやNative Clientなど家庭用ゲーム機並のクオリティを実現するものが増えています。研究開発はブラウザでのゲーム人口の拡大を睨んだものとなります。また、スクウェア・エニックスの強みであるグラフィッククオリティをどこまで再現できるかに主眼が置かれています。

■圧倒的な普及があるFlashの強み

ブラウザでのゲーム開発は何もFlashに限定されるものではありません。しかし月岡氏はFlashを選択した理由について、圧倒的な普及という要因を挙げました。同氏によれば、過去のFlash Playerのアップデートでは公開から4ヶ月で約65%の国内ユーザーがそれに対応したということです。Stage3Dに対応したFlash Player 11も既に4ヶ月が経過しているため、これに当てはめれば約65%のブラウザが既に対応していることになります。

今回の講演ではプレイステーション2『ファイナルファンタジー12』、Wii『FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES THE CRYSTAL BEARERS』のデータを用いてStage3Dを使ってブラウザ上で動作させるというデモが行われました。

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ブラウザで動くデモの映像


デモでは『FF12』のリングドラゴン、モルボル、キングベヒーモス、『FFCC』のトンベリやバハムートといったキャラクターが滑らかに動く様子が確認できました。リングドラゴンのリング部分には環境マッピングによりステージの絵が映りこみ、ドロップシャドウにより単純な丸影ではないリッチな表現が実現しています。モーションも滑らかです。ステージは『FF12』の闘技場のマップのモデルをそのまま使用。5万ポリゴン以上が使用されています。

3DライブラリにはロシアのAlternative社のAlternative3Dを利用。同社と協力を進めながら研究したそうです。

具体的な実装手法については尾野氏から説明がありました。

■家庭用ゲーム機の手法とウェブの手法の融合

尾野氏は「Dot War」というFlashゲームで知られるフリーランスの開発者。月岡氏によれば、ブラウザでリッチなゲームを実現するためにはウェブの技術に精通している必要があるということで尾野氏に白羽の矢が立ったそう。尾野氏は池田泰延氏、酒井直一、小川穣氏の3人にも協力を求めて開発を行ったとのこと。

ブラウザでリッチなゲームを実現するためには実行速度と読み込み速度の2つが課題になります。

問題となったのはファイル形式です。多くの3Dライブラリで中間形式として利用されているColladaの問題点として、様々なライブラリで利用されていることから方言がある(解釈の違いが生まれる)点やXML形式なことから容量的に不利である点、テクスチャなど複数ファイルで扱うため煩雑になる点を指摘しました。容量が大きければダウンロードに時間を要し、複数ファイルになればそれだけロード時間も必要になってしまいます。

一般的に3Dモデルをブラウザで表示しようとすると、まず3DモデルソフトデータをColladaに変換、それをライブラリで解析してインスタンス化するという順序になります。この長い処理の流れを圧縮するため、今回は最後にインスタンスとなった状態で、ByteArrayなどでファイル化。それを独自フォーマットのデータとして利用しました。こうすることで無駄な前段階の処理を省いて軽量かつ処理負荷の軽いデータとすることができたとのこと。

通常のファイル読み込みの流れ独自ファイルを作成することに速度が格段に向上


尾野氏は「実行速度や速度にこだわるならコンテンツ独自の形式が必須ではないか」と述べていました。

しかしこうした工夫さえすれば「プレイステーション2レベルのグラフィッククオリティは実現可能」(尾野氏)だとのこと。ただし、家庭用ゲーム機と比べるとPCはCPUが弱く、GPU性能はユーザー毎の差異が大きく、ディスク(クラウド)は無限だが接続は不安定・・・といったブラウザならではの難しいポイントがあり、中でもCPUの処理性能には配慮する必要があるということでした。

Stage3Dはモバイル機器にも対応しています。今回のデモのレベルの内容はテクスチャのレベルを落とせばモバイルでも動作可能だとのこと。尾野氏は「見た目を損なわずポリゴンやテクスチャを落とすゲーム会社の職人の力量は凄い」とコメント。ゲーム会社の持つスキルが必要になってくると指摘しました。

再度登壇した月岡氏はPCのウェブ、ケータイ、コンソールの3つの業界の垣根が非常に低くなっていて、そのことによる可能性が広がっているとコメント。相互の協力も必要であり、制作者の心理的な距離を縮める努力はもっと求められると話していました。

実際のゲームにしたデモ。月岡氏が手元のパソコンでプレイしていた


最後に実際のゲームにしたデモが行われました。月岡氏によればプレイヤー1人とNPC4人くらいであれば30fpsを実現できるとのこと。ロード時間も当初は20秒くらいだったのが、現在では6~7秒まで短縮でき、実用レベルに近づいているとのこと。ブラウザでこのクラスのゲームが実現されるのはそう遠い将来ではなさそうです。
《土本学》

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