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本気の切磋琢磨で生まれたイメージエポックとNHN Japanのコラボレーション『シュヴァリエ サーガ タクティクス』

これまでコンソール向けのデベロッパーとして活躍してきたイメージエポック。そのイメージエポックがオンラインゲームのNHN Japanと手を組み、新たなオンラインシミュレーションゲーム『シュヴァリエサーガタクティクス』を開発。

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シュヴァリエ サーガ タクティクス
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これまでコンソール向けのデベロッパーとして活躍してきたイメージエポック。そのイメージエポックがオンラインゲームのNHN Japanと手を組み、新たなオンラインシミュレーションゲーム『シュヴァリエサーガタクティクス』を開発。現在クロースドβテストが実施中です。そんな本作について開発チームに聞きました。

―――はじめに自己紹介をお願いします。

薬師寺: NHN Japanの薬師寺健治です。『シュヴァリエ サーガ タクティクス』(以下シュヴァリエ)ではNHN側のプロデューサーを担当しています。

御影: イメージエポック代表取締役の御影良衛です。本作の原案と、イメージエポック側のプロデューサーを担当しています。

東郷: イメージエポックの東郷真哉です。本作ではディレクターをつとめています。

―――ありがとうございます。では会社の自己紹介もお願いします。

御影: 2004年に開発会社として創業し、9タイトルを開発してきました。昨年パブリッシャー宣言をして、2タイトル販売しています。おかげさまで両方とも好調な売上げで、会社の認知も上がってきました。引き続きオンラインという新しい分野で、NHN Japanさんとチャレンジングなことができればいいなと思っています。

―――本プロジェクトのきっかけはなんでしたか?

薬師寺: もともとNHN Japanからイメージエポックさんに、オンラインゲームの共同開発を提案したのが発端です。

御影: もっとも、その時は失礼ながらも門前払いをしてしまったんです。でも1年たって「そろそろオンラインでしょ」と考えをあらためまして、こちらから頭をさげました。それが2009年の冬ですね。ただし手軽なブラウザゲームは今後、山のように出てくるはずなので、大作の開発をご一緒させていただきたいと、条件をつけたんです。そうしたら快諾いただけて、開発がスタートしました。

薬師寺: その頃タクティクス系のブラウザゲームは、世の中になかったんです。ただユーザーのアンケートをとると希望が高かったので、少しずつ企画が固まってきました。

御影: ワールドワイドを見ても、コンソールでタクティクス系のゲームは、北米で30万本くらい売れるタイトルがあると踏んでます。海外展開も十二分にできると見通しをたてました。

―――タクティクス系、いわゆるシミュレーションRPGを作るというのは、最初から決まっていたのですね。

御影: そうですね。アクションRPGやカードゲームなどはすでにありますし、タクティクス系のシミュレーションRPGで、本当の意味でのコンシューマとオンラインの融合を提供したかったんです。最近でこそモバイル・ソーシャルの分野で、家庭用ゲーム企業発のゲームが出始めていますが、僕らはそれより前から動いています。ぜひインパクトのあるものを提供したいですね。

―――二社の役割分担について教えてください。

御影: 我々がゲーム的な部分を作り、NHNさんがサーバ運営やコミュニティ運営などの部分を担当しています。コンシューマゲームの開発者はオンラインの知識が薄い場合が多く、「自分の作品を見てくれ」という意識が強い場合が多いんですが、オンラインは運営を通してユーザーさんに作ってもらうものなので、両者の良さだけを融合させるのは非常に難しいと思ってます。新しい試みということもあるので。そこでお互い、忌憚ない意見を言い合いながら、喧嘩もしながら、ここにいるという感じです。

薬師寺: お互いに文化も言葉も違ったりするので、ミーティングしていると「あれっ?」ということもあります。

東郷: 本当に、同じ言葉を使っていても、意味が違うことがあるんです。なので一つずつ、吟味していかないと、とんでもない思い違いをしたまま進む恐れがありますね。 

御影: 「ゲーム性」という言葉は、典型例ですね。オンラインゲーム業界で「ゲーム性」というと、収益の上がるゲームモデルのことなんです。一方でコンシューマゲーム業界では「一つのシステムに対して何時間ループして遊べるか」という概念が入ってきます。入り口が有料なビジネスと入り口が無料のビジネスのビジネスモデルの衝突だともいえますね。それぞれ良さがあるので、ビジネスとして成り立たせながら、ユーザーさんに満足頂くタイトルを目指すというのは、新しい試みだと思ってます。 

東郷 もっと現場よりの話で言えば、「組み込む」という言葉の意味も違います。コンシューマで「組み込む」とは、バランス調整も含めて、実装が完了するという意味なんです。ところがオンラインでは、サービス開始後もユーザーと一緒に作り上げていくため、全部実装するわけじゃない。そこで安易に「組み込みスケジュール」という言葉を使うと、現場が混乱する。その辺がおもしろかったり、難しかったりするところです。

―――毎週のようにミーティングをされていると聞いています。

御影: 実はNHN Japanさんのオフィスに、うちの開発チームが間借りして作っているんです。

東郷: 最初の1年はバラバラでやっていましたが、今年の4~5月から一緒にやらないと無理ということになりまして。ただでさえクライアント部分とサーバ部分は、同じ会社でも空気が違いますからね。試験的な形のはずが、もう離れられなくなりました。

御影: ブラウザゲームは半年で1本というペースが普通ですが、本作は2年間のプロジェクトなんですよ。最近のトレンドとして、無料ゲームといいつつも、初回からある程度のボリュームを用意しておかないと、ユーザーさんが離れてしまいがちなんです。だから、今はクオリティと物量の両方を詰め込むための、まさに、最後の追い込みの時期ですね。

―――なるほど。

御影: また、一番のメリットとなったのが共同出資というスタイルです。開発会社としては、余計なことはせず受託したことだけやればいい、という風に見られがちです。でも共同出資ならチャレンジもできるし、その分手も抜けなくなりますから。会議などでも、良い意味で喧々諤々になっています。そもそも、喧嘩しないプロジェクトはたいてい失敗しますよ。

薬師寺: 逆に会社の壁に縛られて、よそいきのまま話をするよりは、腹をわって話す方が、最終的には幸せになりますよね。

―――何がぶつかるところですか?

御影: あまりにも細かいところが多すぎて。たとえばアイテム一つとっても、ビジュアル一つとっても「本当にいいのか?」と。何でもかんでも、もめます。

―――過去にシミュレーションRPGは何作も作られていますが、オンライン化で変わるところはありますか?

薬師寺: ゲームバランスとマネタイズのバランスが難しいですね。あとはゲームの方向性や、スケジュール設定を検討するのも難しい。難儀しながら作っています。 

東郷: シミュレーションRPGで大切なのは、作戦を立てて、ぎりぎり攻略できることです。この要素は担保しつつ、遊び方の幅を広げられるか。たとえば時間がないけど、ゲームを楽しみたいという社会人ユーザーには、アイテム課金でゲームを進みやすくしてあげる。そういった発想はアリだと思うんです。

―――なるほど。

東郷: 逆にじっくり遊ぼうと思えば、それでも楽しめる。そんな風に、有料でも無料でも楽しめるゲームにしたいねと言っています。また、オンラインなので近くに人がいるじゃないですか。ゲームを遊びながら周りで友達の声が聞こえてくれば、それだけで楽しいんですよ。そういった部分を大切にしつつ、いろんなアイディアを練っています。

御影: うちの会社はマーケティングを重視しますが、本作の立ち上げ時にはこんな議論をしました。今はPSPなら19-20歳を頂点、PS3だと21-22歳を頂点に、ユーザーが分布しているんです。これがPCゲームになると、一気に28-30歳くらいになるんですね。こんなふうにPCブラウザゲームとコンソールゲームでは、遊ぶ層が全然違います。それからスマートフォンでいえば、30歳以上のユーザーであったり、主婦層が多かったりします

―――そうですね。

御影: 逆にコアユーザーに向けたタクティクス系ゲームを作るなら、実はPCブラウザゲームの方がマッチしているんじゃないか。20代後半以上の男性で、かつてのコアユーザーに満足してもらえるゲームを提供したい。そんな議論を良くしていました。

―――スマートフォン版やPS3版も登場しますね。

御影: PS3版は目下クライアント部分を制作中で、最終的な運営体制についてはNHN Japanさんと協議中です。スマートフォン版は運営開始時期はまだ未定ですね。

―――基本的には同じゲーム内容ですか?

御影: PS3とPCは基本的に同じ内容のものをめざしています。スマートフォン版は簡単モードという扱いで、PCやPS3で遊んでいる内容のものが、外出先からでも簡単に操作できるというものになります。遠征やちょっとした経験値稼ぎが手軽にできるとか、ゲーム内の状況を知らせてくれるとか。

薬師寺: 多少ソーシャル的な要素が入ったもの、というイメージですね。

―――マルチプラットフォームの理由は何ですか?

御影: 理由の一つは、僕があんまりマウスとキーボードが好きじゃないことですかね。PS3版ではコントローラで遊べることを前提に、UIやゲーム設計を練り直して、コンシューマゲームとしてふさわしい内容にする予定です。

―――手応えはいかがですか?

御影: すごくいいです。グラフィックのクオリティは、ブラウザゲームとして、どこにもまけない自信がありますし、ゲーム設計も遊びごたえがあるものになっています。あとはサーバの負荷テストですね。初回テストではユーザーの皆さんに、ご迷惑をかける可能性があるかもしれませんが、サービスインまでには安定させようと思っています。むしろ、できるだけ多くの方にテストに協力してもらって、サーバをダウンさせる勢いで遊んで欲しいですね。

薬師寺: 逆に問題がないと恐いんですよ。

御影: めちゃくちゃなことをやって、バグを出してもらったり、サーバーをパンクさせて頂ければ、すごく嬉しいです。

―――最後にユーザー向けにコメントをお願いします。

薬師寺: イメージエポックさんが力を入れて作られていて、クオリティ面でもシステム面でも、十分に満足して遊べるものになっています。期待して遊んでください。

御影: うちにとっては非常にエキサイティングなチャレンジで、いろいろな実験も含めて、とりくんでいます。運営中にも試行錯誤を通じて、改善がなされていくと思います。一緒にプレイしながら、みんなで育てていけるゲームになればいいなと思っています。

東郷: 僕らはいま、ブラウザでのシミュレーションRPGとして新しい楽しみ方ができるゲームにするために知恵を絞っていますが、もちろんまだ机上の空論なんです。正式ゲームを開始してから、いろいろな新しい発見があるんだろうなと思っています。まずは正式サービスに向けて全力でがんばりますし、そこからはユーザーさんとともにさらにがんばっていきたいと考えています。

―――ありがとうございました。
《土本学》
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