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"フリーミアムの総力戦"でスマートフォン市場を戦うバンダイナムコ

ゲームビジネス 開発

スマートフォンの初期から積極的にコンテンツを提供してきたバンダイナムコゲームス。同社のコンシューマ営業本部IP戦略ディビジョン ネットワーク営業部 NE営業課の山田大輔アシスタントマネージャーはスマートフォン2011春の講演で、バンダイナムコが目指す次の段階のスマートフォン戦略について語りました。

スマートフォンの今後のシェア予測3つのOSのイメージは?


バンダイナムコゲームスではこれまでにiOSで130タイトル程度、Androidで20タイトル程度、そしてWindows Phone 7(WP7)でも5タイトル程度をリリースしていて、多くの経験を蓄積しています。今後もスマートフォン市場は継続して伸びると予測されますが、中でもAndroidの比率が高まっていくことが確実視されています。そうしたことから同社でもAndroidに力を入れるそうですが、単純にiPhoneからAndroidへ、という流れだけではなさそうです。

コンテンツの流れは多様化する


山田氏が示した図が上記のものです。概念的なものですが、iOS、Android、WP7にどのようにコンテンツが流れ込んでいくかが示されています。現状ではiOSからAndroidやWP7に移植されるという流れですが、今後(既に?)は多様化が進むという見立てです。3つのOS間での行き来だけでなく、フィーチャーフォンからAndroidへ(既存携帯CPにとってはキャリアと組めるAndroidは魅力的)、や、Xbox360からWP7へ(Xbox Liveもサポートされる)という流れもあるのではないかということです。

家庭用ゲーム機メーカーとしてはXbox360との連携が考えられるWP7には魅力があるようです。また、ソニー・エリクソンのXpera Playなどのデバイスも既にサポート。ゲームに特化したスマートフォンというのも可能性がありそうです。

ちなみに、まだ事例の少ないWP7ですが、バンダイナムコでは『パックマン』『塊魂』『Flight Control』といったゲームを提供。今年1月にリリースして『パックマン』は有料アプリで1位も獲得したそうです。『パックマン』は売上面では実はAndroidよりもWP7の方が好調だそうですが「単体でビジネスになる規模ではない」というのも事実、といったところだそうです。ただ無料アプリが氾濫するAndroidと比較すると、ある程度マーケットも整備されているWP7という位置付になりそうです(ただし規模小)。

■成功体験を捨てなければAndroidでは勝てない

山田氏が強調したのは家庭用ゲーム機メーカーのこれまでのやり方は通用しないということです。「これまでの携帯ゲームでは、とか、家庭用で培った資産の活用、といったことを言っていては専業メーカーに負ける」と言います。実際に山田氏が勉強にしている他社(下図)が挙げられましたが、ほとんどはスマートフォンの専業メーカーになっています(赤字)。こうした専業メーカーがAndroidでもそのままノウハウを転用して攻勢をかけるのは間違いありません。

参考にしているメーカーは?


家庭用ゲーム機メーカーにとって辛いのはスピード感です。Androidでは過去2年半で7回のアップデートが行われて、主に利用されているバージョンも瞬く間に変化していきます。もしゲームの開発に1年かけるとすると、その間にOSは3回代替わりをするということです。この強烈なスピード感に対応するため、山田氏は「ロンチするのではなく、サービスをアクティブにするという意識」を常に社内で強調しているそうです。

大量のコンテンツがリリースされている著名タイトルの売上を推定すると


氾濫する無料アプリも悩みの種です。有料アプリになるとダウンロード数はぐっと下がります。Android Marketでは6割が無料アプリです。5万ダウンロードを超えるアプリは全体の3%(無料含む)にしかならず、50%は50ダウンロード以下です。各社の著名有料タイトルのダウンロード数(概算がAndroid Marketに表示される)と価格から売上を導いたところ、最大のEA『ニード・フォー・スピード』を多く見積もっても1億4000万円程度にしかなりません。バンダイナムコの『パックマン』は1400万円程度です。これは累計期間であり、月別にするともっと少なくなります。世界を代表するフランチャイズでさえこの程度ということです。

■フリーミアムの総力戦で戦う

有料販売が無理であれば、鍵はやはりフリーミアムということになりそうです。山田氏によれば有料アプリで1万本以上売れているアプリは全体の0.15%に過ぎませんが、無料アプリで1万本以上となると5%まで上がります。「全コンテンツの上位0.15%に入るのは至難だが、上位5%であればゲームメーカーとしてはやれる数字」ということです。

上位5%に入る戦略


3月からアプリ内課金でGoogle Checkoutが利用可能になり、Androidでもフリーミアムモデルが実現可能な環境になってきました。追加コンテンツやアイテム販売などの追加課金と広告によるハイブリッド(もしくは更に従量課金)で収益化を目指します。既にiOSでは同じような状況で、売上高のランキングに基本無料のタイトルが多く登場してきています。

この総力戦においてバンダイナムコの武器が2つあります。

PPSという概念PPSの具体例


まずは「PPS」というキーワード。これはPool(ユーザーをいかにプールするか)、Play(ユーザーにいかに遊んでもらうか)、Stay(ユーザーにいかに留まってもらうか)というのを事業全体、サービス単体、コンテンツ内の企画として全てのレイヤーで実現していくことが今後の指針となります。具体的な例は以下のスライドに掲載されています。

バナドロイドバナフェスタウンとの連携


また、昨日プレスリリースも出されている独自のAndroid Market「バナドロイド」も武器の一つです。違法コンテンツが氾濫し、使い辛い決済手段しかないAndroid Marketから「卒業」し、自社のユーザーに向けて、バンダイナムコのAndroidのコンテンツの全てが集う場所になり、安心して購入できる場所となります。オンラインゲームポータルの「バナフェスタウン」とIDが共通化され、他のグループ事業との連携も考えられるとのこと。

「バナドロイド」はアプリとして提供され、Android Marketなどで配信される模様。同社ではこれまで「Gゲー」(GMO)や「Amazon Appstore」(Amazon)などサードパーティのマーケットでもゲームを提供してきましたが、それは今後も継続されるとのこと。夏にβサービスが開始され、秋にも正式サービスの予定。

次なる段階に向かうバンダイナムコのスマートフォン戦略に期待がかかります。
《土本学》

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