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【OGC 2010】改めて知るMMORPGの特性と魅力~大手各社がパネルディスカッション

ゲームビジネス 開発

【OGC2010】改めて知るMMORPGの特性と魅力~大手各社がパネルディスカッション
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韓国のハンゲームが日本に上陸したのが2000年。今年は日本で本格的にオンラインゲームビジネスが生まれて10周年にあたります。そこでOGCでも改めてMMORPGの特性と魅力を考え直そうと、パネルディスカッション「コンテンツデザイン、収益、持続性。今改めて知る、MMORPGの魅力」が開催されました。

モデレータは日本オンラインゲーム協会(JOGA)事務局長の川口洋司氏。パネリストはスカッとゴルフ パンヤ」(2004年~)で知られるゲームポット社長の植田修平氏、「天上碑」(2002年~)を運営するゲームオン取締役の萩原和之氏、そして「大航海時代オンライン」(2005年~)運営プロデューサーの、コーエー・渥美貴史氏です。

日本オンラインゲーム協会・事務局長の川口洋司氏ゲームポット社長の植田修平氏
ゲームオン取締役の萩原和之氏コーエー ネットワーク事業部オンラインサービス部長 渥美貴史氏


―――MMORPGは一度サービスが定着すると長期間安定収益が続く。その理由をどのように分析するか?

植田 確かにオンラインゲームの魅力の一つとして、ゲームのライフサイクルが非常に長いことがあります。たとえば日本でオンラインゲームが流行ってきたのは2002年ごろで、その頃に出た「リネージュ」「ラグナロクオンライン」などは、今も多くのお客様がプレイされています。そのためには開発サイドではユーザーのモチベーションアップ、運営サイドではプレイを継続させるための「種」を継続的に蒔いています。

それらはゲームによって違っていて、うちでは初期はMOタイプのゲームが得意でした。たとえば「パンヤ」「ファンタジーアース ゼロ」では、ゴルフや集団戦闘など、ゲームの中に確固たる楽しさがあったので、その意識付けをマーケティングやプロモーションで明確にして、継続させる工夫をしています。そのためには開発サイドとの意識の共有が非常に大事なんですね。ユーザーがステップアップしていくうえで、どのあたりでレベルが滞留してしまうのか、それはなぜなのか、そこからどう継続して遊んでもらうのか。データの分析と、ユーザーのモチベーション、そして開発側の改編を、どう組み合わせるかです。
地味な作業なんですが、これをやり続けることで、長期にわたるライフサイクルができていくと思います。

萩原 当社の場合は海外で先行してサービスが始まっているタイトルを輸入してくるビジネスモデルなので、現地での成功・失敗事例をふまえて展開できるため、リスクが少ないというのはあります。だいたい3~6ヶ月くらい経過して、1~2回のアップデートが行われているタイトルが多いので、その状況を参考にします。

その上で、たとえば「天上碑」は2002年からサービスしていますが、年に4回のアップデートを「公約」にして、それを守り続けています。お客様がオンラインゲームに期待されるのは「変化」なので、単に遊び場を用意するだけでは難しいと思うんです。年に4回、何か変化が起きるという期待感を提示して、その約束を守る。それでお客様も継続して遊んでいただけている。特別なことは何もしていなくて、地味にこつこつやっていて、今があると思っています。ただ、これがなかなかできないのがオンラインゲームの世界なので、開発元との理解を深めて、いかに協業で進められるか。ここが長く続けられる肝だと思っています。

渥美 コンテンツに起因するところでは、MMOの持つコミュニティの強さだったり、コンテンツの息の長さがあると思います。その上で重要なのが、ゲームをいかに長く遊んでもらえるかという工夫ですね。「大航海時代オンライン」では冒険、商行為、戦闘と多彩な生き方が楽しめますが、常に気を配っていないと、アップデートの内容が偏ってしまいます。どういう項目を強化するかは、記録として残しつつ、開発、運営メンバーでシェアしながら進めています。

―――運営スタッフのスキルを継続・向上させるための取り組みは?

萩原 お客様の三大不満点として「不正ユーザーの放置」「バグに対する反応の悪さ」「アップデートが遅れるなど、約束を守れないことの不満」があると思います。そこで「レッドストーン」では、不具合の修正時期をウェブで事前告知したり、ユーザーからの問い合わせについても担当者個人のメールベースでのやりとりではなく、マイページ化して社内共有するなどの工夫を、運営を通して作り上げています。運営会社に求められるサービスクオリティとは何か常に研究しながら、改善していく工夫をしています。

渥美 複数のタイトルを運営しているので、運営チーム内でいかにやり方を定型して共有できるかが課題になっています。当社の場合ではアップデートの前に3~4ヶ月先までロードマップを提示し、その後に詳細なアップデート情報を出して、ユーザーの期待感を高めていく手法をとっています。ただ、これらについてもプロジェクト間で情報開示の時期や内容、出し方などがバラバラだったりしました。これらを、できるだけ定型化して情報を共有することが、運営スキルの底上げにつながると思います。

植田 タイトルが増えると運営の効率化をもとめがちで、我々も複数タイトルの同時管理などをしていました。しかしオンラインゲームは、それぞれ個性が際立っていて、同じようなMMOでもゲームの奥深いところは、かなり違っています。それによって企画や運営プラン、カスタマーサポートなどが違ってくるので、タイトルごとにスペシャリストを育てていかないと、質のいいサービスはできにくいなと、数々の経験から感じます。

そのためコンテンツごとにプロジェクトチームを作って、運営サイド、データベース開発、デザイン、サポートなどを切り分け、個々のサービスの質を上げています。全体の底上げを狙うのではなく、個々の質を高める戦略ですね。

―――運営が中長期にわたって継続する中で、ユーザーの入れ替わりはどうか?

萩原 当社のタイトルは「天上碑」も含めて、04~05年で月額課金から無料プレイに切り替えました。その時からのお客様が今でも多く残っています。オンラインゲームの本質は資産競争などと言われますが、ゲーム内で形成されたコミュニティや、キャラクターレベルへの愛着などがあって、長続きしているではないかと思います。継続的な変化をお約束しているので、「ここにいると何かしら刺激がもらえる」という期待感を抱きながら、遊び続けていただいているのではないでしょうか。

植田 「パンヤ」はMOゲームで、内容もカジュアルなので、会員が入りやすく、抜けやすい作りになっています。とはいっても、キャラクターやコミュニティに帰属する方が非常に多くて、MMOまでとはいきませんが、初期から残っているユーザーがゲームを支えてくださっています。ただしスキルを競うゲームで、初期に始めた人が必ず強いわけでもないので、初心者もなじみやすいんですね。上の層には昔からのユーザーさんがいて、ミドルとローでは日々ユーザーが入れ替わっているという、いい循環になっていると思います。

そのためには継続的なアップデートで飽きさせないことと、ユーザー同士のコミュニティ作りです。「パンヤ」はソロプレイが中心で、なかなかコミュニティを作りづらかったが、運営サービスやSNSを利用してユーザー間のつながりを持たせて、愛着を持ってもらっています。それが長いライフサイクルに結びついているのかなと思います。

渥美 「大航海時代オンライン」は05年3月にサービスインして、その段階から残っているお客様もそれなりにいます。その上で新規ユーザーも定量的に入ってくださっています。「スターターチケット」「アップグレードチケット」を発売していますが、一度新規ユーザーが落ちかけたときに、安価に始められるチケットの発売も行いました。

またゲーム内の取り組みとして、初心者がコミュニティを作りやすい仕掛けをしています。スクールチャットといって、最初にゲームにログインしたら、初心者だけが集まって強制的にチャットさせられる仕組みがあるんです。こうしてコミュニティを強化した結果、古参ユーザーに加えて、新規ユーザーがだらだらと入ってきていただいている。また一回辞めた後で帰ってくる「復帰ユーザー」も、常にいますね。

―――ソーシャルゲーム、モバイルゲームについてどう見ているか?

渥美 先日モバゲータウン向けに「100万人の信長の野望」の開発を発表しました。直接的に見ているわけではないので、何ともいえないのですが、会社としてそうした取り組みをしています。

植田 うちはまだソーシャルゲームのサービスはしていません。ただ、これだけ市場が広がってきているのは歓迎すべきことだと思います。うちの社員は社内でゲームをよく遊ぶんですが、ブラウザゲームやソーシャルゲームも同時に遊んでいる人間が多いんですね。そういった人も結構多いんじゃないでしょうか。ソーシャルゲームには長時間集中して遊ぶのではなく、ぽちぽちと設定して、結果を待って、というタイプも多いですし。なので、うまい形での共有の仕方ができているんじゃないでしょうか。遊び方は若干違っていますが、ビジネスモデルは似ている部分もあるので、そのへんをヒントにして新しい取り組みをしていかないとと思っています。

萩原 当社もソーシャルゲームは着手できていないんですが、今のオンラインゲームはすごくリッチなコンテンツで、初心者にはすごく高い壁があると見ています。ただ、ソーシャルゲームやモバイルゲームが、その壁を下げてくれる役割があると見ています。まずはモバイルゲームから遊んでもらって、そこからブラウザゲームにシフトして、その先にオンラインゲームがあるという。そんなふうにお客様を誘導をしていく必要があると思います。なかなかMMORPGまで最近来てくれないので、道を造るために有効活用したいなと思います。

―――今年のオンラインゲーム業界の見通しは? ブラウザゲームがキーワードになると思うが。

渥美 ブラウザを使って、簡便にできて、敷居が低いという意味では、遊ぶ側にとっては良いことだと思っています。プレイしている開発・運営メンバーも多いし、自分もはまっているゲームが1本あるほどです。

ただし「大航海時代オンライン」でユーザーのSNSの利用動向などを調査したところ、ミクシィなどを「よく利用する」と答えたのは約2割だったんですね。なので、MMOとソーシャルゲームは、うまく棲み分けができて、共存共栄ができるのではと思っています。もっとも、だからやらないのではなくて、ビジネスを広げる意味では必要だと思っています。

荻原 先ほど述べたように、オンラインゲームに至る道筋としてのブラウザゲームという意味では、取り組みたいなと思っています。また日本市場を見ると、PCはほとんどノート型なんですね。当社のような3Dオンラインゲームは、ノートPCの多くで動かないので、遊んでみたいがスペックの壁があるという人もいます。そういう人向けにロースペックなPCでも遊べるゲームを作って、オンラインのおもしろさを教えたい。その意味ではブラウザゲームは最適なんじゃないかと見ています。鋭意取り組む課題だと認識していますので、今後に期待していただければ。

植田 これまでの現状を振り返ると、まずグローバルで昨年「トラビアン」が流行して、そこからFacebookが流行って、そして今という流れです。うちでもグループ企業を通して手がけています。非常に簡単にできますし、ネットブックの比率が増えているので、一つの市場を形成するのではと見ています。

ただしオンラインゲームを語るときは日本だけでは語れない部分が非常に大きくて。MMOで韓国産・台湾産が増えているように、特にブラウザゲームでは中国産が非常に多いんです。開発期間も投資コストも短いですからね。感覚値ですが、現在ブラウザゲームを作る会社が中国国内で数百社はあります。それこそ、ものすごい人数で作っているんですよ。そしてヒットするゲームが出たら、すぐに似たようなゲームが、2ヶ月くらいで作られる。そういうのが今後、日本にもどんどん出てきて、市場を形成していくと思います。

今後の動向は予想がつかないですが、あえてそこにいかない道もあると思います。ひとつ言えるのは、グローバルで日本市場を狙っている国が韓国、中国、台湾以外にも増えている。おそらく、この傾向は今年かなり顕著になってくると思います。

―――逆に国産ゲームの海外進出についての取り組みは? コーエーさんは早くから中国で取り組まれているし、ゲームポットさんも一昨年アメリカに子会社を設立されたが。

渥美 現在「信長の野望 Online」「大航海時代オンライン」「真・三国無双オンライン」を中国でサービスインしていて、この既存3タイトルについては、今後もビジネスを伸ばすことに注力していきたい。あとは何か新しく立ち上げる時には、外に打って出ない手はないはずなので、日本にも出しつつ、中国を含めた海外市場に出していく取り組みを、継続していくと思います。

植田 (09年4月にMMORPG「Mir2」の配信を開始して)今は立ち上げ時で、アメリカの市場を探っている状況。ただ少なくともARPU(課金ユーザーあたりの平均月間売上高)については日本も北米も変わらないという感じがします。プレイヤーの広がりと成長度では、北米・欧州とも非常に高いのは、現地でサービスしていて実感していますね。

オンラインゲームのいいところは、プラットフォームがWindowsとインターネットだけでいいところ。だから、これまでコンソールで海賊版問題などで進出できなかった地域でもビジネスができます。B2Cで事業運営できて、販売チャネル確立なども必要ないので、コンテンツさえきちんとできていれば、意外と少人数でもービスまでこぎつけられるんですよ。今後は国産タイトルもどんどん海外展開が進んで、グローバルな競争になっていくと思う。

―――(会場から)アカウントハックなどを始め、セキュリティに関する問題が過去にないほど大きくなっている印象だが、対策について取り組みを教えてほしい。

植田 去年はアカウントハックや不正アクセスが頻発して、ほとんどの企業、タイトルで被害に遭っているんですね。各社迅速に対応しているんですが、それを上回る数や、攻撃などがあって、非常に悩ましい問題です。我々としては、まずJOGAで情報共有を迅速にしています。一社がやられると、次々にやられますからね。それから、いろんなインフラやセキュリティシステムを各社が導入しやすい仕組みを作っています。企業によっては独自セキュリティを作られていますし、中小企業などには導入のサポートもしています。いたちごっこですが、常に努力しています。

萩原 警察とも連携して、対策を進めたい。ゲーム会社側の対応についても、できるかぎり事例を共有して、均一化したガイドラインを作っています。JOGAサイト上で啓蒙活動もしていきたいですね。

渥美 全体的な取り組みはそのとおりだが、弊社でも認証のために1回しか使えない「ワンタイムパスワード」を今春から始める予定です。このように個別の企業でも取り組んでいます。

―――ありがとうございました。
《小野憲史》

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