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【DEVELOPER'S TALK】ムービーの総尺は120分!Xbox360からリメイクで蘇ったWii『デッドライジング ゾンビのいけにえ』開発秘話

カプコンより2009年2月19日に発売されたWii『デッドライジング ゾンビのいけにえ』は、Xbox360 で発売された『デッドライジング』をWii 向けにアレンジしてリメイクした作品です。Wii で発売するにあたって、どのようなコンセプトを持って、いかにして技術的な課題を乗り越えてゲームが完成したのか、カプコンと開発を担当したトーセの開発陣にお話を伺いました。

任天堂 Wii
カプコンより2009年2月19日に発売されたWii『デッドライジング ゾンビのいけにえ』は、Xbox360 で発売された『デッドライジング』をWii 向けにアレンジしてリメイクした作品です。Wii で発売するにあたって、どのようなコンセプトを持って、いかにして技術的な課題を乗り越えてゲームが完成したのか、カプコンと開発を担当したトーセの開発陣にお話を伺いました。

■参加者

カプコン
中井実 本作のプロデューサーとディレクターを兼任する。過去作には『バイオハザード Deadly Silence』『バイオハザード4 Wii edition』『鬼武者3』など

トーセ
三宅 孝佳 メインプランナー。現場を仕切りながら、キャラクター周りも担当
谷口 岳史 現場のマネジメントを担当。カプコンとの橋渡しをしながら、さまざまな調
整を行う。
野北 祥生 シナリオやミッションを中心に現場のディレクションを担当
後藤 崇史 プログラムや作業のスケジュール管理をはじめ、ムービーのエンコード作業
なども行う。
西倉 智紀 メインプログラマとして主にシステム周りを担当
坂井 原太郎 デザイン面のディレクションを担当

インサイド
・土本

CRI・ミドルウェア
・幅、櫻井、小柳

■いかにして『デッドライジング』はWii に最適化されたか

―――最初にお聞きしたいのは、『デッドライジング』をWii でリメイクするというアイデアはどこから来たのかということです。発表を聞いて驚いた記憶があります

カプコン・中井氏
中井: 実は『デッドライジング ゾンビのいけにえ』の前に『バイオハザード4 Wii edition』を担当していました。ゲームキューブとPS2 からの移植+αだったのですが、Wiiリモコンとヌンチャクを使った操作がユーザーさんからとても好評で、このシステムを使ってもう一本作りたいと思ったんです。その題材として『デッドライジング』を使おうというのが出発点です。

Xbox360 からWii にプラットフォームを移すということで、多分それを聞いたトーセの皆さんも驚愕したと思いますが、社内で企画を通すのも一苦労でした(笑)。まさかそんな事は無理だろうと全員が考えたのではないかと思いますが、そのままの移植ではなくてリメイクで、これをこうすればちゃんと作れるというのはアイデアとして最初から自分の頭の中にありました。

2008年の1月か2月頃だったと思いますが、トーセさんに試作をしてもらって一応は動くものが出来たので、これを高めていけばゲームとしてきちんと成立すると確信しました。私は良い意味で楽観的なんです(笑)。

―――これならいけるというアイデアはどういう部分だったのですか?

中井: まずはガンシューティングをメインに置くということでした。Xbox360 版(以下: 前作)でもガンは使えますが、メインではありませんでした。それを『バイオハザード4 Wii edition』のシステムを使って、Wii の快適な操作スタイルで楽しめるようにする。落ちているさまざまなアイテムでゾンビを攻撃できるのは変わりませんが、Wiiリモコンの楽しい操作で遊べるようにアイデアを入れていきました。

―――アクション性が強くなったイメージですね

中井: よりアクションゲームの要素が高まったと思います。前作のゾンビの定義は害虫のような存在でした。沢山いるけど、気にしなければしなくてもいいし、気持ち悪いなら片づけて下さいという存在です。本気でやられるようなことはないけど、油断したら噛みつかれるかも、というくらいです。今回のゾンビはまさにゾンビで、楽しくショッピングモールをうろついていたら本気で襲い掛かってくる存在です。いつものカプコンらしいアクションゲームを念頭に組み立てました。『バイオハザード』もそうですが、私が以前担当した『鬼武者』のエッセンスも入っていると思います。

―――ゲームの進め方も前作とは大きく変わりましたね

中井: 前作は自由度が非常に高くて、その中で次々に指令を与えられるという形でした。もちろんそれが面白いのですが、結構難しいという印象があって、ライトなユーザーにも受け入れられるようにシステムを組み直したいという思いがありました。それでミッションを順に追うような形に変えました。展開も前作とは変えていて、序盤はステージがパラダイスプラザのみに限定されていたり、より遊びやすいゲームになったと思います。

―――Xbox360 からWii に移ることでターゲット層は意識されましたか?

中井: 本来『デッドライジング』が目指した層とWii のユーザー層はかぶらないと思いますが、一方でWii でも『バイオハザード4』や『バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ』は売れていて、Wii でちゃんとゲームをしたいという人も少なからずいると考えています。

もちろんライト層にも遊んでいただきたいという意識もありました。Z 指定(18 歳以上のみ対象)で血みどろの表現をバンバンやりたいわけではなくて、何とか表現を抑えながら…。とは言えそれでもCERO D(17 歳以上対象)がC(15 歳以上対象)になるわけもなくて(苦笑)。

カップルでホラー映画を観るような感覚でポップコーンでも食べながら楽しんで欲しいなあと思って作りました。

―――サブタイトルも「ゾンビのいけにえ」と、非常にキャッチーなものになりましたね

日本版北米版


中井: リメイクということを示すためにサブタイトルを付けたいというのがあって、「ゾンビのホラーゲーム」と分かる典型的なものを考えました。少し昔のゾンビ映画のテイストで「〜のいけにえ」や「〜のしたたり」というようなものにすれば一目瞭然で伝わるんじゃないかということで「ゾンビのいけにえ」というストレートなサブタイトルになりました。

中井: 海外版は「Chop Till You Drop」というサブタイトルで、これは前作の海外でのキャッチコピーでもありました。「切って切って切りまくれ」というようなノリの言葉で、海外の人が聞くと笑ってしまうみたいです(笑)。

■ゾンビが30体しか出なくて・・・


《土本学》
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