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高華王国、緋龍城――　珍しい緋色の髪を持つ愛らしい王女・ヨナ姫は、この城で、戦を好まない優しい父・イル王や、幼なじみで彼女の護衛役を任されている若き将軍・ハクに大切に守られ、何不自由ない暮らしをしていました。

十六歳の誕生日を迎えるヨナのために祝いの宴が開かれることになり、従兄のスウォンも城を訪れます。

幼い頃から想いを寄せるスウォンの来訪に喜ぶヨナ。しかし、父イル王は、ヨナの結婚相手としてスウォンだけは認められないと頑なに拒みます。

困惑するヨナでしたが、当のスウォンから自分の髪を褒められ、美しいかんざしをもらい嬉しくなります。その喜びも束の間、思いもよらぬ出来事がヨナの身に降りかかります。

突如、城で起きた反乱に驚き、呆然とするヨナのもとにハクが駆けつけました。

「高華の雷獣」の異名を持つハクは、ヨナをかばい、稲妻のごとき大刀の一撃で、襲い掛かる賊軍を次々と倒してゆきます。

イル王の側近・ミンスの手助けもあり、辛くも城を脱出したヨナとハクでしたが、ヨナは、自分の身に起こったできごとが受け入れられません。

絶望するヨナの姿に心を痛めるハクは、ヨナをどこまでも守る決意を固めます。

城を追われた王女・ヨナを守りながら山道を進むハク。しかし、気力を失ったヨナは、ただハクのあとを歩くことしかできなくなっていました。

弱る一方のヨナを辛そうに見つめるハク。その脳裏に、幼い頃、ヨナ、スウォン、そして自分の３人で過ごした日々と、かつての親友と交わした言葉がよみがえります。

何とかヨナに気力を取り戻して欲しいと願うハクですが、そんな中、ヨナが初めて、自分自身の意志で歩き出すできごとが起きます。

つらい逃亡の旅の末、ヨナはハクとともに、ハクの故郷・風の部族、風牙の都にたどり着き、ヨナはそこで、人々に温かく迎え入れられます。

一方、緋龍城では、緊急の呼び出しを受け、火、水、地の各部族長と、失踪した風の部族長ハクの代理として長老ムンドクが集められていました。

イル王崩御に伴い、次期国王にスウォンを推すためだが、ただひとりムンドクだけはスウォンの即位を認めようとしません。

その後、風牙の都に帰還したムンドクはヨナとハクの無事を喜びますが、スウォンの国王即位を承認するように、風の部族は火の部族から圧力をかけられることになります。

イル王殺害の汚名を着せられたハクは、ヨナと風の部族を守るため、部族長の地位を譲ってひとり放浪の旅に出ることを決意します。

しかしヨナは、何があってもハクと一緒に行くと言って譲らず、ふたりはそろって風牙（フウガ）の都を出ます。

ムンドクの助言により、ヨナとハクは、風の地のどこかにいるという神官を探すことにしますが、ふたりを火の部族長の次男、カン・テジュン率いる兵たちが追いかけ、追い詰めます。

自分自身の出世のため、ハクを葬り去り、ヨナを緋龍城へと連れ帰ろうとするテジュン。そんなテジュンにヨナが放った言葉は!?

追っ手の兵たちを相手に奮闘を続けるも、毒を受けたハクはいつものような戦いができなくなっていました。

スキをついた兵の一撃で谷底へと落ちそうになるハク。
そのハクを助けるため、ヨナは自分自身の髪を切り捨ててテジュンから奪った剣を手に、ハクを守ろうとします。

そのヨナの気迫、燃えるような瞳と紅い髪に気おされる兵たちですが……。

一方、緋龍城では、風の部族長老ムンドクを含めた五部族長すべての承認のもと、いよいよスウォンの新王即位式が執り行われようとしていました。

ヨナをかばい全身に大ケガを負ったハクは、谷底で暮らす神官イクスと彼の身の回りの世話をしている少年ユンに助けられます。

ヨナは、神官がなぜ不便な谷底で暮らしているのか気になりたずねますが、ユンに、城にいたのに何も知らないのか？と、厳しい言葉をぶつけられます。

自分の無知さと無力さを思い知らされたヨナは、その思いをイクスに伝えますが、イクスはそんなヨナに、彼女の「天命」について語り始めます。

イクスから突然、ヨナやハクと共に旅に出て、世界を見てくるよう言われたユンは困惑し、腹立たしさを抑えきれないでいました。

ヨナとハクはそんなユンの気持ちを思いやりますが、黙って見守ることしかできません。

ユンは、幼い頃、身寄りもなく、貧しい村で独り暮らしていました。

日々を生きるのが精一杯の生活の中で、偶然イクスと出会ったユンは、イクスの無欲で裏表のない優しさに救われました。

以来、ユンにとってイクスは誰よりも信じられる人間となり、その言葉は何よりも大切なものになっていました。

神官イクスから、神の言葉としてヨナに伝えられたのは、高華王国に伝えられる四龍伝説に登場する四龍の戦士を探せというものでした。

ヨナは、ハクやユンとともに四龍のひとり「白龍」がいるという幻の里へと向かいます。

しかし、国境近くにあるその里は、火の部族の土地や王都に近いこともあり、一行は、兵や追っ手に見つからないように先へと進まなければなりませんでした。

これまでハクに助けられるばかりだったヨナは、自分の身を守り、少しでもハクの役に立ちたいと、武器の使い方を教えて欲しいと言いますが、そんなヨナにハクやユンは……。

四龍のひとり、白龍がいる里へとたどり着いたヨナたち。

長きにわたり、白龍の力を守り、その力を次の代の白龍へとつなげてきた誇りを持つ里の人々は、初代白龍が仕えていた緋龍王（ひりゅうおう）を思わせる紅い髪を持つヨナこそがその末裔ではないかと考えます。

一方、行き違いで、不審な者が里に入り込んだと聞いた「白龍」ことキジャは、里の人々を守るため、自分自身の手で侵入者を排除しようとヨナたちの前に姿を現します。しかし、ヨナの姿をひとめ見たキジャは、全身の血が沸騰するような衝撃を受けます。

白龍キジャを旅の仲間に加えたヨナたち一行は、「四龍の戦士は互いにその存在を感じ取ることができる」というキジャの言葉に従い、次なる四龍の戦士「青龍」を探すことにします。

しかし、そのキジャの能力をもってしてもその居場所をはっきりと知ることができません。

そこで、ハクやユンがこれまでの経験や持っている知識を使って青龍の居場所を探しますが、キジャはふたりと自分を比べ、自分は何の役にも立てていないのではないかと悩みます。

そんな中、夜更けにひとり弓を射る練習中のヨナを見たキジャは？

青龍を探し、岩山に築かれた隠れ里を訪れたヨナたち一行。

しかし、この場所にいるはずだというキジャの言葉とは裏腹に、里の人々は皆、口をそろえて、「青龍などいない」と言います。

よそ者を寄せ付けず、明らかに何かを隠している様子に疑いの目を向けるヨナたちは、里にとどまって密かに青龍を探すことに。

ところが、迷路のように入り組んだ岩穴を進む途中で、ヨナは仲間たちとはぐれてしまい…。

一行の前に現れたものの、そのまま立ち去ってしまった青龍。

ヨナはもう一度会って話がしたいと思い、青龍のいる洞窟の奥へ行こうとします。

ハクはヨナの身を案じ引き止めようとしますが、ヨナの決意は変わらりません。

ハクをその場に残し、キジャやユンとともに青龍のもとへと向かったヨナは、彼に、自分や仲間のために「龍の力」を貸して欲しいと頼みます。

しかし青龍は、龍の力は「呪いの力」だと言い放つと、ヨナの頼みを拒絶するのでした。

崩れた洞窟に閉じ込められてしまったヨナたちは、皆を助けるために現れた青龍とともに、外につながる洞窟の壁を掘ってゆきます。

だが壁はなかなか壊せず、慣れないヨナは酸素不足もあって気を失いそうになります。

そんなヨナを気遣う青龍。そのやさしさに触れたヨナは、孤独な青龍を助けたいと強く思うのでした。

一方、外に残されたハクもまたヨナたちを助けようと必死で岩を掘り続けていました。

そこに、やはり洞窟に閉じ込められた家族を心配する村人たちがやってきます。

ヨナから「シンア＝月の光」という名前をつけてもらった青龍が旅の仲間に加わりました。

一行は、キジャが感じ取った「緑龍」の気配を頼りにその行方を探しますが、旅の途中、王や将軍から見放された貧しい村を通りかかります。

ヨナはその惨状と、村人から聞いた父イル王への批判の声に心を痛めます。

その頃、新王となったスウォンは、側近のハン・ジュド将軍らとともに、イ・グンテ将軍が治める地の部族の都、地心（チシン）を視察に訪れていました。

スウォンの提案により、地心の都で、祭りの催しとして「戦ごっこ」が開催されることになりました。

その戦ごっこに、スウォンやジュド、そしてグンテも参加することに。

自分自身も高華国屈指の武人といわれるグンテは、優れた武人であったスウォンの父、ユホンに憧れていました。

そして、その父とは似ても似つかぬ、のんびりしているスウォンを「兎」と評しますが、この戦ごっこの中でグンテは…。

「緑龍」の気配を頼りにヨナたち一行がたどり着いたのは、地の部族、阿波（アワ）の港でした。

しかし、緑龍は移動を繰り返しているらしく、そ の居場所をつかむことができません。

そんな中、ユンに頼まれ街に買い出しに出かけたハクは、偶然、その場を通りかかった若い男、ジェハととも に、役人たちからしつこく言い寄られている娘を助けます。

阿波の悪徳領主ヤン・クムジや配下の役人と対立する海賊のひとりであるジェハは、ハク を気に入り、その後もつきまとうようになります。

シンアを残し街に出かけたヨナたちは、理不尽な役人の犠牲になった子供の姿を目にし怒りを抑えきれません。

そんなヨナたちの前にジェハが現れます。

ジェハは戦いで傷ついた仲間のかわりにハクを海賊仲間に引き入れようとしていたのですが、ヨナの姿を見た途端、自分自身が背負った「緑龍」の宿命を思い知ることになります。

ヨナは、自由を愛し、旅に同行することを拒むジェハを無理に説得することは諦め、彼に、阿波の領主クムジや役人と戦い続けている海賊の頭であるギガン船長に会いたいと言います。

ギガン船長や海賊たちと共に戦う条件としてギガンがヨナに課した試練は、断崖絶壁の途中に生えている希少な薬草「千樹草（せんじゅそう）」を 誰の力も借りずにひとりで採ってくるというものでした。

あまりに危険な試練に、ヨナを思いとどまらせようとする仲間たち。

しかしヨナの思いを知るハクは、止めたい気持ちを必死で抑えます。ジェハの案内で千樹草のある海岸の絶壁へとやってきたヨナは、勇気を振り絞り、せまい足場を進んでゆきます。

しかし、吹き荒れる風と打ちつける波 がヨナに容赦なく襲いかかり……。

クムジとの直接対決が間近に迫っていることを感じ、覚悟を決める海賊たち。

そんな中、ジェハとともに街に偵察に出かけたヨナは、偶然、領主クムジの姿を目にすることになります。

そしてジェハは、街の人々の話から、クムジが隣国である戒帝国（カイていこく）と人身売買取引を行う日どりの目星をつけます。

ジェハから報告を受けて、早速、ギガン船長を中心に作戦を立てはじめる海賊たちでしたが、そのとき、突然ヨナがとんでもないことを口にします。