■「面白そう」だからこそ生まれる、フリュー作品への期待と落差
このように、フリューは「特定のゲームファンの心を狙い撃つ提案」に長けています。こうした提案を打ち出せることは、同社のオリジナル作品に共通する特徴と言ってもよさそうです。
ただし、絶妙な提案の数々が、常に報われるとは限りません。興味深い作品だからこそユーザーの期待は自然と高まり、それに伴って「ここは超えてほしい」というハードルも上がっていきます。その期待を毎回上回る作品を作り上げているのかと問われれば、安易に頷きにくいのが現状です。
提案そのものは魅力的でも、その魅力が十分な形になっていなければ、満足度は下がってしまいます。また、作品の核となる部分は面白いのに、ゲーム全体には粗が見られる場合もあれば、描写不足によって物足りなさを覚えることもありました。
例えば、先ほど挙げた『レジェンド オブ レガシー』はバトルに重点を置いた一方、物語を語りすぎないよう、かなりシンプルな形にまとめられています。それも本作の個性ではありますが、物語を求めるプレイヤーも少なからずいるため、意見が分かれやすい作品になりました。
また、『CRYSTAR -クライスタ-』は、世界観や設定、プレイヤーを没入させる雰囲気作り、そして物語面に魅力があります。反面、敵の種類が少なくパターン化しやすかったり、ダンジョンが長すぎてテンポが悪かったりと、ゲーム部分とのアンバランスさが目立ちました。
ダンジョン構成やバトルがさらにブラッシュアップされていれば、『CRYSTAR -クライスタ-』はもっと評価されてもいいポテンシャルを持っていただけに、もったいなさを感じる作品でもあります。
作品それぞれに光る魅力があるからこそ、その期待が思うように叶わなかったとき、大きな落差が浮き彫りとなります。そして、作り込みの甘さから「惜しい」と感じる機会も増えるでしょう。こうした作品に何度も触れていると、いつしか「でもフリューだしな……」といった印象が芽生えてしまうのかもしれません。
■魅力的な提案と完成度、その狭間で挑み続けるフリュー
そうした印象を抱くこと自体は、決して間違いではありません。大小はともあれ、作品としての甘さが見られるケースがあるのは、残念ながら事実です。
しかし、単に物足りない作品を作っているのではなく、提案そのものに魅力があるからこそ、その反動がより大きくなるという一面もあります。フリューのオリジナル作品は、まさにその傾向が強いと言えるでしょう。
魅力的な提案を理想的な形へ仕上げることは、どれだけ大きな会社であっても簡単ではありません。そしてユーザーは、当然ながら理想的な作品を望みます。どちらも事実であり、どちらも間違っていません。
その狭間を埋めることこそメーカーの手腕であり、フリューが挑み続けている難題でもあるのでしょう。
■『アライアンス・アライブ』が示した、フリューの“本気”
ここまでの話を聞くと、「フリューには期待をすべきではないのか」と感じる人もいるかもしれません。しかし、結論を急ぐのはまだ早いでしょう。あくまでそうした傾向が強いという話であり、フリューのオリジナル作品すべてに当てはまるわけではありません。
ここで注目したいのが、『アライアンス・アライブ』の成功です。『レジェンド オブ レガシー』でディレクターを務めた松浦正尭氏がプロデューサーも兼任したほか、小泉氏も引き続き起用され、王道的なRPGの制作へと取り組みました。
そして、発売を3か月後に控えたタイミングで、『アライアンス・アライブ』の体験版をリリースしています。一般的には、体験版をプレイしてもらうことで期待感を高め、そのまま発売日につなげる狙いがあるため、体験版の配信時期は発売日に近づけることが多めです。
しかし、『アライアンス・アライブ』の体験版には、そうした狙いは異なる意図がありました。体験版をプレイしたユーザーから意見を集め、製品版へ反映するというものです。
修正内容にもよりますが、発売1か月前に体験版を出した場合、寄せられた意見をもとにした修正作業が間に合わない可能性があります。しかし3か月前であれば、それだけ対応できる範囲も広がります。
実際、体験版のプレイを通じて寄せられたさまざまな意見を取り入れ、『アライアンス・アライブ』は発売日に向けてブラッシュアップされました。その調整による影響を正確に測る術はありませんが、結果として本作を好意的に語る人は多く、プレイ満足度も高い作品として知られています。
後にHDリマスター化されたことからも、一定の人気を得たことがうかがえます。さらに、HDリマスター版にはSteam版もあり、レビュー数は262件と控えめながら、「非常に好評」を獲得しています。
『アライアンス・アライブ』は、フリューらしい魅力的な提案と、それを支える作品の仕上がりが合致した、理想的な完成形と言ってもいいでしょう。










