
2026年9月17日~20日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催された「東京ゲームショウ2026(以下、TGS2026)」。初日となる9月17日に、ホール7、C03『アストラエ・オラティオ』ブースにて「『アストラエ・オラティオ』TGS 2026 Media Preview」が開催されました。
本作は1989年の東京を舞台にした、日常の裏側にある神秘を描く新伝奇魔法RPGです。現実と魔法が共存する世界で、プレイヤーは“特区庁”の公務員・主任となり、さまざまな人物や事件に出会う――そういった物語が展開されます。
「TGS 2026 Media Preview」では、ゲームディレクターのイム・ジョンギュ(Lim Jonggyu)氏、アートディレクターのキム・イン(Kim In)氏が登壇し、「本作が持つ世界観や“新伝奇”を作ろうと思った理由」や「なぜ東京が舞台なのか」などが語られました。本稿では、その様子を写真とともにお届けします。

◆プレイヤー自身がゲームの“かっこよさ”を生み出す。メディアセッションにて語られた本作の強み
ゲームディレクターのイム氏、アートディレクターのキム氏の両名が登壇し、簡単に自己紹介をした後、実際のプレイや戦闘の様子を収めたCBT募集のPVが流されました。
そこから改めて『アストラエ・オラティオ』自体の紹介へ。イム氏は、本作について「東京を舞台にしたスマートフォン向けの新伝奇RPG」だと語りました。新伝奇とは、“現実の都市の裏側に潜む神秘と超能力の世界”という空想を起点に出発したジャンルだとも説明が。これに関しては後ほど言及もありますが、90年代、2000年代のライトノベルやアニメなどでよく見られた世界観だと思っていただければ。
プレイヤーは、魔法使いたちが担当する機関・特区庁の末端公務員である“主任”として、さまざまな人物や事件に遭遇することになります。
イム氏は、開発においてストーリーとアート、プレイの楽しさをひとつの“スマートフォンゲーム”として凝縮すること、ライブサービスとして継続的に拡張していくことを重要視していると語ります。

世界観の核心でもある“決闘裁判”は戦闘として、魔法使いたちの“行政”はエリアコンテンツとして、自由時間にキャラクターたちとの関係を築けるように構成しているとのことです。
その後、プロローグダイジェストPVと、港区編0話MVが世界初公開されました。続いてのトークテーマも、このふたつの映像に関するものに。

このPVは、プレイヤーである主人公が『アストラエ・オラティオ』の世界に迷い込み、経験する一連のプロローグのストーリーを表現した映像となっているとのことです。 映像では季節感、舞台となる時代や作品の雰囲気など、プロローグで描かれるビジュアルを通じて世界の空気感を感じてほしいのだとキム氏は語りました。

また、今回のTGS2026で試遊できたデモビルドについての言及も。まず、真っ先に伝えたい要素として“ストーリーと戦闘のつながり”があったとイン氏は言います。このふたつは本作におけるコアとなるコンテンツであり、このふたつのつながりを上手く表現できる部分を導入部に配置したとのことです。

本作の戦闘は、ターン制バトルの判断力とリアルタイムバトルの緊張感を融合させることに重点を置いていると語りました。プレイヤーが行えることとしては3つ。スキルコンボや連携を通じて、アクションポイント(ターン内の行動用リソース)を最適に扱うこと。敵の行動を読み、適切な行動をすること。そして“領地宣言”やアーティファクト解放により、自身の得られるメリットを最大化すること。



イン氏は『アストラエ・オラティオ』が目指した面白さを「反射神経で決まるものではなく、予測しながら(行動を)設計する楽しさ」だと語りました。準備しておいたものが正確にはまる瞬間の快感。そしてその瞬間がもっともかっこよく見えるような演出。開発者が用意した映像を見てかっこよさを感じるのではなく、「プレイヤー自身が生み出したかっこよさを楽しんでほしい」ということなのだとか。

キム氏からは、シナリオへの没入感を高めるための音声や演出の方向性についても解説がありました。メインストーリーはすべてのセリフに日本語音声を搭載。TGS2026のデモ版にも、登場するすべてのキャラクターにセリフや独自ボーカル曲をそのまま聞けるように構成したとのことです。


そして演出の原則として、“ふだんは淡々と、決定的な瞬間には確実に”ということを意識しているのだとか。そのため、ほとんどのシーンは静かに展開し、目立つシーンや領地宣言などでは一気に盛り上がるよう構成をしているのだそう。「新伝奇というジャンル自体、日常が淡々としているほどに裏側があらわになった瞬間が際立つと思っている」と、こだわりを語りました。

ではこれまでに示された世界観やキャラクターの魅力は、実際のゲーム内ではどのように具体化されているのでしょうか。キム氏は、『アストラエ・オラティオ』のキャラクターは3つのレイヤーとして存在していると語ります。シナリオ内では、物語の登場人物として。戦闘では、自ら戦いをくり広げる存在として。そして自由時間では、恋愛対象として。
シナリオ内では立ち絵やカットインを通じて存在感を、戦闘では領地宣言やアーティファクト解放を通じて魅力を、自由時間では東京という舞台の中でキャラクターの日常を、それぞれの方法で見せていると。それぞれのこだわりを伝えました。
また補足として、これまでは落ち着いたビジュアルが中心でしたが、今後CBTへ向かうにつれてゲームプレイと連動したアクション感のあるビジュアルを表現していきたいとのこと。戦闘を中心としたキャラクターの動きや演技により、より深い面白さを見せていきたいと語りました。

ここからはCBTについての話に。イム氏からは作品を漫画やアニメなどの連載作品に例えつつ、「CBTでは短編のパイロット版として公開していく」という話がありました。
『アストラエ・オラティオ』の世界観、キャラクターの魅力はどういったところにあるのか。ストーリー、戦闘、日常のサイクルがどうつながっているのか。そしてすべての要素をスマートフォンで100%楽しめるようになっているのか。そういった点に注目してほしいと語りました。
また、ユーザーからの率直な意見を募りたいとイム氏は言います。リリースして終わりというゲームではなく、継続的にユーザーとともに発展していくことを目指しており、CBTでの意見もしっかりと今後へ反映させていきたいと意気込みを語りました。

質疑応答(後述)の後、最後の挨拶として、キム氏は今回初めてデモ版などを披露できたことをうれしく思うと語りました。“連載もの”のように成長していく物語を通じて成長していく『アストラエ・オラティオ』を見守っていてほしいと、笑顔で締めくくりました。
イム氏からも、運営型のライブサービスはつぎのストーリーを待つ期待感であったり、新しいコンテンツの供給があるたびに盛り上がれて、プレイヤーたちがその感情を共有できることが大きな利点であるとの言葉がありました。
そして最後は「これから長く愛されるタイトルを作れるように、開発陣一同頑張っていくのでどうか期待していてください」と、これからの意気込みを語り、本セッションは終了しました。

◆イム氏「東京は、新伝奇を描くうえで避けては通れない場所だった」質疑応答の様子をお届け。
CBTへのお話があった後、日韓メディア合同でイム氏、キム氏への質疑応答が行われました。その様子もお伝えしていきましょう。
──CBTに関しては、どれだけのボリュームがあるのでしょう。
イム氏戦闘やストーリー、行政での生活などのサイクルを楽しんでもらえるような内容になっており、3日から5日ぶんほどのプレイが楽しめるようになっています。
──なぜスマートフォンのみでの展開にしたのでしょうか。
イム氏私たちが作っている新伝奇は、過去を単純に再現するようなものではない形で提供したいと考えています。スマートフォンの画面にあわせたビジュアルの表現であれば、そういった再解釈をお見せできるのではないかと。
──今後、スマートフォン以外での展開はあるのでしょうか。
イム氏長期的にはありえるかもしれませんが、現在は未定です。

──キャラクターやビジュアルなどの情報はたくさん発信されていましたが、TGS2026まで具体的なゲームシステムを公表しなかったのは、どういう意図があったのでしょう。
イム氏まずはキャラクターなどのビジュアルを公開したうえで、戦闘のシーンやシステムなどについて公開することで、より魅力が伝わるのではないかと考えました。本作はただキャラクターについて楽しんでもらうというよりは、ストーリーや世界観なども楽しんでいただきたいので、今回のTGS2026ではそういった部分を公開しようと。
──リリース時のキャラクターは何人ほどを予定されているのでしょう。また、グループはどれぐらいの数になるのでしょうか。
イム氏キャラクター数は34人ほどになるのではないかと思います。キャラクターたちが所属する勢力やグループは10ほどではないかと考えていますが、より多くなる可能性もあります。
──先ほどのPVでは主人公の容姿も公開されました。いま公開した理由を教えてください。
キム氏今後も「この世界観がどういうものか」を伝えていくことを考えたときに、主人公のビジュアルが明確なほうが伝えるのが容易になるという判断です。


──本作の戦闘や新伝奇というテーマを作っていく上で、何かインスピレーションを受けたものはありますか?
イム氏まず戦闘に関してですが、古い対戦格闘ゲームにあった緊張感を分解して作っていくようなイメージです。『鉄拳』や『ストリートファイター』などからインスピレーションを得ました。ターン制やアクションポイントを使う要素に関しては、特定のゲームというよりさまざまなゲームからですね。戦略性を追求するためにも導入することになりました。
キム氏ビジュアル面に関しては、2000年代のライトノベルなどから着想を得ています。

──韓国のサブカルチャー自体が90年代、2000年代のノスタルジーに注目しているような流れがあると思います。『アストラエ・オラティオ』もそうだと思いますが、どういった理由で注目されているのでしょう。
イム氏異世界やポストアポカリプスものの流行などもありましたが、それらはある程度飽和状態に達したと思っています。もう少し新鮮なビジュアルや足りていない部分が何なのかを考えたときに、「もう少し過去を振り返ってみるのはどうだろうか」と思って。それが『アストラエ・オラティオ』やほかの作品にも表れているのかなと思います。
キム氏自分や開発者たちが幼かった時代に楽しんだものを私たちの作品にも組み込んで、ほかの人たちにも伝えたいと考えているので、そのうえで世代関係なく楽しめる要素を反映させていきました。
──キャラクターたちが持つ杖にはそれぞれ違いがありますが、これを通じてアイデンティティを見せていくような形なのでしょうか。モチーフとしては小さいので上手く見せるのも難しそうに思えますが、そのあたりについてはどうお考えなのでしょう。
キム氏魔法使いというテーマを採用する際、ビジュアル的な要素として杖を採用しました。『ハリー・ポッター』とか、90年代の魔法少女もの的なモチーフですね。領地宣言などの代表的なシーンでは、しっかりと杖を持っている姿を見せられればと思っています。

──開発は韓国ですが、その上で東京を舞台に選んだ理由などがあれば教えてください。
イム氏新伝奇というジャンルを採用するうえで、必須の要素だと思いました。西部劇であればアメリカの荒野など、ジャンルによっては欠かせない場所があると思います。それと同じで、避けては通れないものでした。
──最近は韓国のゲームがまず日本で展開して、それから韓国でもサービスを開始していく形が多いと思います。『アストラエ・オラティオ』もそうなるのでしょうか。
イム氏今後の発表を通して、そういった部分はまたお伝えできればと思います。
──開発にAIは使っているのか、また使っているのであればどういう方向性か、お聞きしてもいいでしょうか?
キム氏少なくともアートの面では、AIの使用はしておりません。
──今回のTGS2026ではさまざまな企業が出展していますが、おふたりはどこかへご挨拶に行ったりはしたのでしょうか。
イム氏回りたい気持ちはやまやまですが、スケジュール的にそれがかなわない状況です(笑)。
──開発陣のおふたりが、ひとりお気に入りのキャラを選ぶなら誰にするでしょう。
イム氏モア(花盛百杏)が一番好きです。

キム氏えりん(田中えりん)です。わたしがアートディレクターとして本作に携わって、最初に作ったキャラクターですので。

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