『ファミレスを享受せよ』-宮沢賢治「ツェねずみ」
永遠のファミレス「ムーンパレス」に迷い込む短編ADV『ファミレスを享受せよ』も、文学要素がちりばめられています。実は、ファミレスの名前「ムーンパレス」も、ポール・オースターの小説「ムーン・パレス」から来ているのです。
しかし「ムーン・パレス」は少々長めな作品です。そこで同作に登場する、もう少し気軽に読めそうな別の作品もご紹介。『ファミレスを享受せよ』の登場キャラクターの1人・ツェネズの名前は、宮沢賢治「ツェねずみ」という作品を元にしています。「ツェ」という名前のねずみの物語なのですが、これが……!すごく……!嫌な奴……!!でも、「いる……ッ!!こういう奴、いる……ッッッ!!」
そんな「ツェねずみ」が名前の元ネタなのですから、ツェネズも嫌な奴……と、いうわけでもないんです。むしろ筆者は『ファミレスを享受せよ』の登場キャラクターの中で、1番親しみを持っています。でも「ツェねずみ」っぽさも残っているという、なんとも絶妙なキャラクター……!
1つ前に紹介した「羅生門」よりも短い作品でサクッと読めます。著作権の切れた文学作品が公開されている青空文庫でも読めますので、インターネットの息抜きに読んでみてはいかがでしょうか?
ちなみに、「ツェねずみ」は、同じく宮沢賢治の「クンねずみ」という作品の中で、新聞記事として掲載されています。少し不思議な感じですが、「同じ作者さんが制作しているゲームの名前が、別のゲームで出ている」みたいな、そんな感覚に近いかも?
『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』-トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の夏祭り」
トーベ・ヤンソンによる「ムーミン・シリーズ」に登場するキャラクター・スナフキンを主人公とした、アドベンチャーゲーム『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』。これは原作シリーズのいろんな作品を元に作られているのですが、中でも「ムーミン谷の夏まつり」という作品がメインとなっています。

「ムーミン谷の夏まつり」では、ムーミン谷に火山の噴火と洪水という、ダブル災害が襲い掛かってきます。ムーミンたちが暮らしている家が水没してしまったため、流れてきた家に移り住むのですが……その家はなんと、「劇場」だったのです!舞台監督フィリフヨンカの妻・エンマの存在もあり、劇を知らないムーミンたちは、お芝居をしてみることに。
しかし途中でムーミントロールとスノークのおじょうさんがはぐれ、勘違いから逮捕されるという、とんでもない事態になります。果たして、ムーミンとスノークのおじょうさんは無事に家に帰ることができるのでしょうか?劇は公演されるのでしょうか?そして、ムーミン谷が水没してしまっても、旅に出ていたスナフキンとムーミンは、再び会えるのでしょうか?
2026年発売予定の『ムーミン:ムーミン谷の夏まつり』も、「ムーミン谷の夏まつり」を原作としています。トレーラーを見る限り、『ムーミン:ムーミン谷の夏まつり』の方がより原作に近い印象を受けます。
同じ作品を題材にしつつも、トレーラーから既に両作品の違いが見られます。どういったゲームになるか、今から楽しみです!
『かまいたちの夜』-アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」
ミステリーの女王、アガサ・クリスティ。彼女は数々の名作を残しましたが、中でも「そして誰もいなくなった」は名作中の名作と言っても良いでしょう。孤島を舞台に、マザー・グースの「十人の小さな兵隊さん」になぞらえて10人の登場人物たちが殺されていき、そして誰もいなくなる……。アガサ・クリスティの代表作としてだけではなく、クローズド・サークルと見立て殺人の代表作としてもその名をはせている作品です。
「クローズド・サークル」というのは、ミステリーにおけるジャンル名で、何らかの事情で外界から孤立した状況のことを言います。また、見立て殺人というのは、歌などに沿って起こる殺人のことです。
クローズド・サークルと一口に言いましてもいろいろあります。「孤島に旅行に来た人たちが嵐で帰れない」「スキーをしに来たは良いものの天候により外に出ることがかなわない」などなど……そう。チュンソフトの名作『かまいたちの夜』も、クローズド・サークルな状態なのです。

『かまいたちの夜』は、スキー旅行に出かけた主人公・透くん(名前変更可能)と、そのガールフレンドである真理ちゃん(こちらも名前変更可能)が、滞在先のペンション「シュプール」で起こる殺人事件に巻き込まれるサウンドノベルです。
1人また1人と犠牲になっていく、恐ろしい殺人事件……。シュプールは吹雪によって閉鎖空間になり、自衛のためにも自分たちで殺人事件を解決しなくてはなりません……。隣にいる愛しい人は、本当に信じられるのでしょうか……?
ちなみに続編にあたる『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』ですと、孤島でクローズド・サークル状態、そしてわらべ唄に沿った見立て殺人が起こるという、こちらも「そして誰もいなくなった」に近い設定になっています。
影響を受けたのは間違いありませんが、もちろん全く同じ展開ではありません。『かまいたちの夜』をプレイ済みでも「そして誰もいなくなった」を楽しめますし、その逆もまたしかりです。どちらか片方しか知らない、という方は、ぜひこの機会に触れてみてはいかがでしょうか。














