
ゲーム史を伝えるYouTuberのNorman Caruso氏が活動終了を発表。視聴者への最後の手土産として、任天堂の運命を左右した1982年の『ドンキーコング』裁判に関する膨大な一次資料をネット上に公開しています。
燃え尽き症候群を経て引退へ、制作断念した「150点超の資料」を公開
「Gaming Historian」として知られるNorman Caruso氏は、自身のYouTubeチャンネルにて動画制作からの引退を表明しました。15年以上にわたり活動し、登録者数100万人を突破した同氏ですが、大作となった『オレゴン・トレイル』動画の制作後に「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に陥ったことを明かしています。今後はポッドキャストに注力し、15年の動画制作活動に幕を下ろすとのことです。
Caruso氏は引退にあたり、制作を計画していた「任天堂対ユニバーサル裁判」の動画のために収集・スキャンしていた膨大な裁判資料をすべて一般公開しました。
これらの資料は2020年に米国公文書館で数週間かけてスキャンしたもので、ファンへの「最後の手土産」として「Internet Archive」および「Video Game History Foundation」へ提供されています。
宮本茂氏のスケッチや証言録など、ビデオゲーム史の転換点を記録
公開された資料は、1982年にユニバーサル・シティ・スタジオが任天堂を相手取り、『ドンキーコング』が「キングコング」の知的財産権を侵害しているとして提訴した歴史的な訴訟に関するものです。
当時、米国の新興企業であった任天堂に対し、ユニバーサルは強硬な姿勢でライセンス料の支払いを求めましたが、任天堂側はユニバーサル自身が過去に「キングコングはパブリックドメインである」と主張していた矛盾を突き、完全勝利を収めました。

全151点の資料には、法廷での証言録や内部書簡に加え、当時のゲームデザイン文書、さらには宮本茂氏によるスケッチといった貴重なドキュメントが含まれています。
資料の中には、本作が当初『ポパイ』のライセンス作品として企画されていたものの、権利取得が叶わなかった結果として独自のキャラクターへと転換された経緯を立証する「開発初期メモ」などもあります。
これらの一次資料は、任天堂がいかにして独自性を法廷で証明し、米国市場での地位を確立したのかという、歴史的転換点の裏側の仔細が分かるものと言えるでしょう。









