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旅行者を取り込んで赤字路線解消へ!ピクミン×JR九州のコラボ企画から見る「鉄道事業者の在り方」

JR九州とピクミンによるコラボの背景を考察します。

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旅行者を取り込んで赤字路線解消へ!ピクミン×JR九州のコラボ企画から見る「鉄道事業者の在り方」
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JR九州は12月7日から、コラボレーションプロジェクト『PIKMIN×JR九州~魅惑の惑星キュウシュウを探索せよ~』を開始しました。

これは世界各国にファンを抱えるピクミンとのタイアップイベント群で、九州各地で様々な催しが執り行われます。また、プロジェクト期間では臨時列車『特急ピクミン号』やラッピングバスの運行、デジタルスタンプラリー、スマホアプリ『Pikmin Bloom』と連携したスペシャルスポットも用意。JR九州全体がピクミンとコラボする大型プロジェクトです。

この企画の背景には、JR九州が鉄道事業者としての転換点を迎えている事情があるようです。

◆JR九州では「タッチ決済」の実証実験中

JR九州では現在、クレジットカードタッチ決済乗車の実証実験が行われています。

11月20日、JR九州は日豊本線・久大本線の別府駅~由布院駅の合計16駅をタッチ決済乗車の実証実験の対象駅に追加しました。これにより、JR九州でタッチ決済を利用できる駅は84駅に。Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯のいずれかのブランドを持ち、なおかつ非接触型決済に対応しているクレカで改札を通ることができます。

この実証実験はある意味で「JRグループの方向性」から逸脱するものではありますが、しかし2024年の中頃から大きな意味を帯びるようになりました。

JRグループが第一に掲げるキャッシュレス決済は、Suica等の交通系ICカード。これはFeliCaというNFC規格を利用した仕組みで、反応速度・通信速度は国際的に普及しているNFC Type A/Bよりも圧倒的に優れていると言われています。平日の通勤ラッシュ時のJR山手線でも、交通系ICカードに対応した自動改札機は流暢に乗客をさばくことができます。

ですが、外国人旅行者にして見れば交通系ICカードは「面倒なもの」。タッチ決済対応のクレカとの互換性は一切なく、キャッシュレスで日本の鉄道に乗車するにはわざわざ交通系ICカードを買わなければなりません。半導体が不足していた時期、これがインバウンド産業にとって大きな問題になりました。

さらに、それまで日本のキャッシュレス決済市場の頂点に君臨していた交通系ICカードは、「システム更新費用が高額」という欠点も露呈してしまいました。地方の交通事業者にとっては大変な負担で、熊本県内の鉄道・バス事業者が交通系ICカードの扱いを取りやめたことは全国的な話題となりました。

◆インバウンド産業事業者としてのJR九州

こうした背景と、三井住友カードが全国各地の交通事業者のタッチ決済導入を大きく後押ししたことで、我が国のキャッシュレス決済情勢は大きく変わろうとしています。

JR九州は三井住友カードの決済ソリューション『stera transit』を取り入れ、まだ一部の区間ではありますが鉄道利用者はクレカ乗車で移動できるようになりました。これは何を意味するのか。それまで赤字に苛まれていた路線に、外国人旅行者が押し寄せる可能性が出てきたということではないでしょうか。

その上で、旅行者が注目するようなきっかけも必要です。

ピクミンとJR九州のコラボ企画は、九州を目指す旅行者を取り込む意図が明確に見て取れます。これはJR九州が、今までよりも「観光事業者」としての方向性に舵を切ったということの表れではないでしょうか。

タッチ決済対応クレカ、そして世界的人気ゲームの力で路線全体が非日常的でエキサイティングな移動手段になっていくという効果を、JR九州は見込んでいるのかもしれません。

◆ゲームの力

冒頭に書いた通り、このコラボ企画ではスマホアプリ『Pikmin Bloom』を活用したイベントも開催されます。

これはJR九州の駅にスペシャルスポットが出現し、特別デザインのポストカードが配布されるというもの。それだけでなく、特定の場所で発生するスポットチャレンジをクリアすると「金の切符」デコピクミンの金の苗が手に入ります。

位置情報ゲームアプリの国際的影響力を活用し、沿線地域全体を活性化しようというこの企画。もしかしたらこれらの取り組みは、他の鉄道事業者が今後見習うことになる「雛型」になっていくのではないでしょうか。マリオやドラクエが示す通り、ゲームの力は今や地球全体に及んでいます。より多くの集客のため、そして鉄道事業者が抱える赤字路線の解消のため、人気ゲームとコラボして海外からの集客を狙う……というのは極めて自然な発想でもあります。

そうした事情を考慮すると、今回のピクミン×JR九州のコラボ企画自体が一種の「実証実験」と言えるのではないでしょうか。

◆運賃の大幅値上げを控えるJR九州

12月3日、JR九州は来年4月1日からの運賃改定が国土交通省に認可されたと発表しました。

これにより、初乗り料金は従来の170円から200円になり、通勤定期は何と平均30%超も値上げされます。29年ぶりの値上げは、沿線住民にとっては非常に重い負担を強いる内容です。

そうした意味でも、JR九州はまさに岐路に立たされているようです。この価格改定がきっかけで沿線住民が鉄道を利用しなくなり、赤字路線はますます窮地に追い込まれ、長い歴史を持つ路線が廃止に……という可能性すら考えられるのではないでしょうか。

ピクミンは、我々が後世に伝えるべき鉄道路線を救おうと奮闘しています。このコラボ企画が成功に終わった時、ゲームの影響力は時代の転換点で大きな作用を生み出すことが広く証明されるでしょう。

《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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