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【特集】国民的人気キャラ…ではないキノコ男の3Dアクション『Mushroom Men: Truffle Trouble』をプレイして、キノコとゲームの文化人類学的な関係に思いを馳せてみよう

『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』発売記念! 知られざる(?)キノコ男アクションゲームをご紹介します。

ゲーム 特集
【特集】国民的人気キャラ…ではないキノコ男3Dアクション『Mushroom Men: Truffle Trouble』をプレイして、キノコとゲームの文化人類学的な関係に思いを馳せてみよう
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菌類が集まって形成された大型の子実体――すなわちキノコ。古くは「くさびら」とも呼ばれ、食用品として、あるいは薬として、そして幻覚作用をもたらす毒物として、われわれの生活や歴史に密接に関わってきました。ビデオゲーム、特にアクションゲームの歴史においてもキノコは非常に重要な意味を持っています。

「キノコ」と「男」の逃走と追跡を巡る物語は、ビデオゲームの歴史の中で幾度も繰り返し語られてきました。ご存知のとおり、キノコを取り扱ったゲームはいまや国民的な人気を持つものにもなっています。よってキノコは、ビデオゲーム愛好者にとって非常に人気があり、特別な意味をもったモチーフであると言い切ってしまっていいでしょう。ゲームとキノコは切っても切り離せないものであり、キノコの持つ強烈なビジュアル的イメージはさながら菌糸のように我々のゲーム文化に深く根を張っています。

しかし、なぜ「キノコ」である必要があるのか……。今やもう誰にもわからないことですが、筆者が論考するに、キノコの持つフォルム的な美しさ、そしてミステリアスな存在感が重要な役割を果たしているのでしょう。キノコのもつ特殊な形状はグラフィカルに表現しやすく、初期のドット絵でのビデオゲーム開発において「わかりやすい」アイコンに選ばれたのだと思います。

来る2023年10月20日、そんなキノコと男を取り扱ったゲームの代表格であり、始祖である『スーパーマリオ』シリーズの最新作『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』が発売されます。ということで、今回の記事は『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』の発売記念企画として、「キノコ」と「男」を取り扱ったもう一つの人気ゲームシリーズの一作である『Mushroom Men: Truffle Trouble』を紹介していきたいと思います!

『Mushroom Men: Truffle Trouble』(直訳すると『キノコ男:トリュフ・トラブル』という感じでしょうか)は2015年にRed Fly Studioから発売された『Mushrooms Men』シリーズの最新作です。

本作は、Wiiと ニンテンドーDSで2008年に同時発売された『Mushroom Men: Rise of the Fungi(直訳: 菌類の勃興)』(DS版)および『Mushroom Men: The Spore Wars(直訳: 胞子戦争)』(Wii版)の続編という位置づけです。WiiとニンテンドーDSといえば先述した『マリオ』シリーズも数多くリリースされているハードですから、このあたりも興味深い共通点と言えるでしょう。

『Mushroom Men: Truffle Trouble』は現在Steamで購入が可能なので、DSやWiiやスイッチなどのコンソールを所有していないガッチガチのPCゲーマーにとっておそらく唯一のプレイ可能な「歴史あるキノコと男にまつわるアクションゲームシリーズ」である、と思われます。他にあった場合はコメント欄で教えてくれてもいいですし、教えてくれなくても別に大丈夫です。

先述したようにゲーマーは全員キノコが大好きですので、ストレートにキノコを取り扱った『Mushroom Men: Truffle Trouble』はさぞかし需要が高い作品なのでしょうね。プレイしたことがある、という方もきっと多いはずです。

プレイを開始するとチュートリアルののち、まずムービーシーンです。プレイヤーキャラクターであり主人公であるキノコ男の「PAX」のもとに、ある日なにやらキショいラブレターが届きます。あまりのキショさにラブレターを暖炉で焼いてしまうPAXでしたが、それをきっかけに、巨大でキモいお姫様姿の怪物に追い回される悪夢に苛まれることとなります。

よって、ゲーム内容は「悪夢の中でキモい姫から逃げる」というものになっています。いつも姫を追っかけてばかりいるもう片方のキノコ男ゲームシリーズと比べると、明確な対比となっている感がありますね。

ゲームは横スクロールアクションですが、よくあるものと違い、やや“奥行き”が存在します。そのため手前側にも奥側にもやたら落ちやすくなっており、やけに精密な操作が要求されるので、プラットフォーマーゲームが好きな方に向いた作品と言えるでしょう。

チュートリアルでは関係ありませんが、ノーマル以上の難易度だと常にキモい姫がステージを破壊しながら追いかけてきます。

本作の特徴として、ブロックを押したり引っ張ったり持ち上げたりして足場にするという若干のパズル的な要素が上げられます。このあたりはアトラスの『ペルソナ』チームが開発したことでおなじみ『キャサリン』を彷彿とさせる……というか「悪夢の中で、破壊されるステージを舞台に逃げる」というモチーフ自体『キャサリン』っぽいです。参考にしてるかどうかは定かではありません。

また、本作では単にステージをクリアするだけではなく、ステージ上に浮遊する謎の緑色のキモい物体……こと、SPORE(胞子)を集めることでクリアランクを上げることができます。これは『マリオ』でいうところのパワースターみたいな収集要素で、沢山集めるとボーナスステージをアンロックできるらしいです。

本作ではステージ中に落下したり敵に接触してもゲームオーバーになることはなく、キモい姫に捕まらない限りはその場から即リトライになります。よって、「生きるべきか、死ぬべきか」よりも「緑色のキモい物体を集められるか、集められないか」のほうが重要になっており、ハムレットもびっくりです。

見事追跡をふりきり、ベッドに入れたら面クリアとなります。夢の中のはずなので、なんでベッドに入るのがクリアなのかはよくわからないですが、「安らかな眠りに戻れた」ということなんでしょうか……?

また、SPOREを集めたら貯まる「SPORE METER」をフルにすることで、ゴーストやらスパイダーやらにフォームチェンジをすることができます。

こちらは救済要素という感じですが、イマイチ使うタイミングがわからなかったです。本作のRTA(行われているかどうか知りません)では、おそらくこのフォームチェンジの使い所がキモになってくるのでしょう。

総評として、本作は足場の狭さ、パズルの難しさに加え時間制限の存在によって(ノーマル以上の難易度の場合)かなり歯ごたえのある難易度となっています。パズルもゴリ押し的な解法によって突破できる場合がままあり、「本当にこれでいいのかな……?」と思いながらずっとプレイすることになりました。姫に捕まってしまった場合はステージ途中からのリトライもないため、SPOREを収集する場合はかなりのステージ理解が必要になるでしょう。このあたり、やり込み志向のハードコアゲーマー向けの作品であると言えます。

『Mushroom Men: Truffle Trouble』は、Steamで現在配信中。なんと定価298円なので、サクッと購入してプレイできるでしょう。すこし難しくてイライラさせられる場面もありますが、値段の割には楽しめました。あと、編集部から「新しい『マリオ』の発売記念としてこのゲームの記事を書いてくれ」と頼まれたときに感じたときの第一印象よりは全然ふつうにやれるゲームでした。『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』の発売前に「キノコとゲームの不思議な関係」について考えるいいきっかけになるとも思いますので、是非遊んでみてください。


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