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リメイク制作のきっかけは“ファンの声”ー『スターオーシャン セカンドストーリーR』スタッフインタビュー

『スターオーシャン セカンドストーリーR』のスタッフへインタビュー。リメイク開発の裏側を聞きました。

ゲーム 特集
リメイク制作のきっかけは“ファンの声”ー『スターオーシャン セカンドストーリーR』スタッフインタビュー
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東京ゲームショウ2023への出展に先駆けてPS5 / PS4 / スイッチで体験版の配信が始まった『スターオーシャン セカンドストーリーR』。体験版の範囲だけでもファンから喜びの声が上がる丁寧なリメイクは、どのように成し遂げられたのでしょうか。スクウェア・エニックスのプロデューサー・小牧恵氏と、開発を担当するジェムドロップの開発プロデューサー兼ディレクターの北尾雄一郎氏に話をうかがいました。

◆ファンたちの声に背を押されてフルリメイクを決意!

――2022年には「SO」シリーズ25周年作品となる『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』がリリースされましたが、それに続く作品として本作を制作した経緯を教えてください。

小牧恵氏(以下、小牧)2023年は『スターオーシャン セカンドストーリー(以下セカンドストーリー)』の25周年にあたる年ですので、このタイミングで(『SO2』に関わる)何かをしたいよねとチーム内でずっと話し合ってきました。

それがフルリメイクという形になったのは、ユーザーの皆さまが「SO2のリメイクはしないのでしょうか?」とずっとお声を届けてくださったからです。2016年にスマートフォンタイトル『スターオーシャン:アナムネシス』のサービスを開始した時も、2022年に『SO6』をリリースした時も、途切れずにお声をいただいていました。

『SO2』に大きな価値を感じているのは、私たちも同じです。そんな折、お会いする機会に恵まれたジェムドロップの北尾さんにこのことを話したら興味を持っていただけて、やってみましょうという方向で話がまとまったのが制作のきっかけでした。

――北尾氏は初代PS版の『SO2』発売後に、その開発会社であるトライエースに所属されました。当時、『SO2』をどのように見ていましたか?

北尾雄一郎氏(以下、北尾)『セカンドストーリー』は1ユーザーとして遊ばせてもらいましたが、「これはすごい!」と圧倒されるインパクトに満ちた作品でした。その衝撃の大きさたるや、僕がトライエースの門を叩いたきっかけにもなったといえるほどです(笑)。

小牧当時のRPGはさまざまな要素・システムが用意されていることによるボリュームが美徳のひとつとされている面もありましたので、『セカンドストーリー』にも画期的なシステムがいくつも用意されました。

また、SF+ファンタジーという舞台設定も当時としては特殊な部類で、そうしたところもユーザーの皆さまの記憶に残る部分だったのかな、というのが私たちの認識です。

――自分も1ユーザーとして当時プレイしましたが、各キャラの素養・才能を示す「タレント」、知識・戦闘などさまざまなカテゴリのスキル、非戦闘時に複数キャラで協力して行う「スーパー特技」など、できることが多くて圧倒されました。フルコース料理を前に何から食べたらよいか分からず、楽しく迷っているような感覚でした。

小牧制作に携わった当時のスタッフも、まさにそれを狙っていたのだろうと思います。ただ、本作は『セカンドストーリー』だけではなく、2008年にリリースされた移植版『スターオーシャン2 Second Evolution(以下SE)』の要素も多分に入れ込んでいます。

――タイトルこそ『セカンドストーリーR』ですが、それだけではないと。

小牧『セカンドストーリー』と『SE』それぞれに「SO2初プレイ」だった方たちがおられるわけですから、その全員に「初めて遊んだ時の記憶」をきちんとお返ししたいと考えました。

◆ファンに懐かしさと初プレイ時に抱いた思いを両方感じてもらいたい!

――リメイク作品全般にいえますが、「ユーザー1人ひとりの思い出やイメージ」からズレないゲームを作るのはとても難しいことだと思います。本作の制作では、どのようなアプローチをされたのでしょうか。

北尾本作で初めて『SO2』に触れる方に楽しんでいただくことはもちろんですが、それと同じように重視しているのが『SO2』を遊んだことがある方たちの「思い出をうまく形にすること」です。「こんな要素があったなぁ!」と懐かしんでいただけることを重視しています。

小牧ファンの皆さまの記憶にある物語を崩すべきではないと判断し、ストーリーはオリジナルに忠実になっています。そのうえでビジュアルやバトル周りには大きく手を入れ、「SO2を初めて遊んだ時のような体験」をお届けしたいと思っています。

――原作そのままの要素と大きく変える要素を混在させることで、懐かしみつつ新たな体験もできるということですね。

北尾アイテムクリエイションシステムをより進化させた、ファクター(特殊効果)の付与も新たな体験の一つです。また、各種パラメーターを変更してゲームバランスも練り直していますので、『セカンドストーリー』と『SE』のどちらを遊んだ方も、同じように楽しめると思います。

――『セカンドストーリー』を遊んだユーザーと『SE』を遊んだユーザー、それぞれに向けてどういう点を意識されましたか?

小牧それぞれ別個のユーザーとして捉えることはしませんでしたよね。

北尾そうですね。本作で『SO2』に初めて触れてファンになってくれる方が増えたらうれしいですし、経験者の方には「SO2ってこうだよね」とも思ってほしい。特定の層を意識することなく、『SO2』というゲームの存在を再度皆さまに認識していただけたら…という思いで開発しました。

小牧『SO2』を長年愛してくださっている皆さまが「本当にいいゲームだから、ぜひ遊んでみてほしい」と周りの人たちにオススメできるゲームを目指しました。

◆バトルのテンポ改善やファストトラベルの採用など、遊びやすさもとことん重視!

――リメイクで大きく変化したところについてもお聞かせください。『セカンドストーリー』さながらのドットキャラと、今風の3DCGによる背景の組み合わせはやはり目を引きます。

北尾ドットキャラは、一部手を加えたりもしていますが『セカンドストーリー』のものをほぼそのまま使用しています。背景ビジュアルは「クロードやレナたちには、彼らのいる世界がどのように見えているか」をコンセプトに設定していきました。

――バトルでは、敵を一定時間スタンさせられる「ブレイク」や控えのパーティーメンバーが戦闘に参加してくれる「アサルトアクション」が追加されました。

北尾バトルに関しては「今遊んでも楽しめるようにテンポ感を上げよう」というコンセプトが最初にありましたが、ただゲームスピードを上げてもおもしろくはなりませんので、「ダメージを与えて敵のHPを減らす」過程に変化を加えるためにブレイクを追加しました。

アサルトアクションは操作キャラの攻撃に合わせて呼び出してコンボにしたり、補助や回復をしてもらったりとさまざまな使い方ができます。バトルメンバーは最大4人ですが、パーティーメンバーは最大8人なので、みんな一緒に戦っている共闘感を出したくて考案しました。

小牧最終的な仕様が固まるまで紆余曲折があり、3回か4回くらいは仕様をイチから考え直したシステムでした。

――アサルトゲージはクールタイムが短めで、確かに強い共闘感がありました。

小牧1バトルにつき1回呼び出して終わり…とはならず、気軽に呼べるようになっています。詳しい条件まではここではお話しませんが、プレイヤーがアグレッシブに戦うと、ゲージが貯まる速度がより短くなるようになっていますので、バトルに慣れるほど、より強い共闘感を得られると思いますよ。

――『セカンドストーリー』や『SE』ではキャラクター同士の関係性がマスクパラメーターで管理されており、互いに友情を深め合ったり、恋愛関係になったりしました。

北尾本作では「親密度」というパラメーターで統一されており、その数値も目に見えるようになっています。

小牧北尾さんは「今風に遊びやすくリメイクする」ことに強いこだわりをお持ちで、こうしたご提案をいくつもしてくださいました。『SO2R』にはファストトラベルが採用されているのも北尾さんの提案によるものです。

◆ユーザーの声がスタッフの力となり、新たな展開へとつながる!

――ファストトラベルがあれば、街でパーティーメンバーが思い思いに行動する「プライベートアクション」が遊びやすくなりそうですね。発売前から気が早いかもしれませんが、DLCなどは予定されておられますか?

小牧今はリリースに向けて注力していますので、現時点でお伝えできることはありません。ただ、発売後にプレイしてもし「DLCがあったらいいな」と思っていただけたなら、ぜひお声を届けていただけたらと思います。

弊社はユーザーの皆さんの声が私たち制作スタッフに届く体制がきちんと整っておりますし、何より本作の制作そのものが皆さんのお声に背中を押されて始まったものですので。

――分かりました。それでは最後に、ファンへのメッセージや今後の展望をお聞かせください。

北尾僕自身「SO」の1ファンですので、これからももっといろんな人に「SO」に触れてもらいたいですし、シリーズがずっと続いてくれればいいなと思います。

長いシリーズですからファンの世代の入れ替わりはあってしかるべきですが、本作のように新旧のファンが一緒に楽しめる機会が定期的にあってもいいと思います。もちろん、シリーズの完全新作も楽しみですけどね!

小牧本作をプレイしていただいて、楽しいと感じていただけたならぜひお声を聞かせてください。ただ「楽しかった」と言っていただけるだけでも、とても励みになります。

シリーズの今後に関してやりたいことはたくさんありますが、どう展開するにせよ「シリーズを愛してくださる皆さんに向けてどういうことができるか」、「作品をどれだけ大切にできるか」の2点は決して忘れないようにしたいと思っています。

――シリーズの今後にも思いを馳せつつ、まずは本作の発売を楽しみに待ちたいと思います。ありがとうございました。

(C) 1998, 2023 SQUARE ENIX Original version developed by tri-Ace Inc.

《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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