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『ピクミン4』プレイ前に「ピクミン」シリーズをおさらい!ナンバリング3作の構造的な違いを考える

『ピクミン』シリーズの最も大きな違いは「タイムリミットの有無」にあるかもしれません。

ゲーム Nintendo Switch
『ピクミン4』プレイ前に「ピクミン」シリーズをおさらい!ナンバリング3作の構造的な違いを考える
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前作『ピクミン3』から丸々10年の時を経て、『ピクミン4』が7月21日に発売します。『ピクミン4』の発売に先駆けて、『ピクミン1』、『ピクミン2』のリマスターも発売され、『ピクミン1』、『ピクミン2』、『ピクミン3』、そして『ピクミン4』のナンバリング全作品がニンテンドースイッチ一台で遊べるようになります。

RTSをカジュアルに再解釈したような「ピクミン」シリーズ。ピクミンを投げて指示を出しつつ探索を進めていくという基本的なアクションはシリーズを通して同じですが、『1』、『2』、『3』は実は大枠の部分でかなり異なっています。

ゲーム全体のルール、世界観やキャラクターの描き方、用意されたコンテンツのコンセプトの違いなど、今回『ピクミン4』発売に向けてナンバリング3作を改めてプレイした筆者が、この3作の構造的な違いを紐解いていきます。

◆記念すべき初代『ピクミン1』には、どこかSFホラーのような雰囲気が残っていた

『ピクミン1』の主人公キャプテン・オリマーは、宇宙を旅する中で流星へと衝突し、未知の惑星へと墜落してしまいます。彼の宇宙船であるドルフィン号は多くのパーツを失い、動かすことすらかないません。

この星の大気には、彼らにとって猛毒の「酸素」が含まれており、生命維持装置のバッテリーはもって30日。オリマーは、ピクミンの力を借りて、失った宇宙船のパーツ30個を集めることになります。

というのが『ピクミン1』の冒頭のあらすじ。ストーリーは日記風に語られ、未知の惑星に恐れを抱きつつも、故郷へと帰るため冷静に物事を分析するオリマーのテキストにはサバイバルSF小説のような魅力があります。

実はパーツを30個全て集めなくても、宇宙船航行のために必要なパーツさえ集めればクリアはできるのですが、「ドルフィン号のパーツを全て集める」というメインストーリー上の目的以外にやりこみ要素といえるようなものもなく、後年の作品と比較して非常にシンプルな構成になっています。

毎晩探索が終わった後に見られる日記の中では、「実は私がピクミンをパーツ集めのために利用しているのではなく、ピクミンが私を利用しているのではないか?」とか、「ピクミン達が戦う姿をみていると、どうして私が襲われないと言えるのか?と不安になる」など、オリマーが、ピクミンという未知の生物に対して疑心暗鬼になっている様子も描かれています。

実際にオリマーが宇宙船航行のために必要なパーツを全て集めきれずに30日が経過してしまうと、気絶したオリマーがオニオン(ピクミン増殖のための母体)に運ばれ、ピクミンと同じような葉っぱを頭からはやした状態で地面に埋まるというバットエンドを迎えます。

近年の、ピクミンの可愛らしさを全面に押し出したIP展開などと比較して、初代の時点ではピクミンを含め、得体のしれないこの星の生態系に対する恐怖がSFとしてフォーカスされている印象です。

◆シリーズで唯一、“タイムリミット”から解放された『ピクミン2』

『ピクミン1』で無事母星へ帰還を果たしたキャプテン・オリマーでしたが、彼がいない間に勤務先である「ホコタテ運送」は借金まみれになっていました。借金返済のため、オリマーは新入社員のルーイと共に再びあの惑星へと戻り、「お宝」を探すことになります。

『ピクミン2』の、シリーズで最も特徴的な部分は、「タイムリミットがない」ことです。『ピクミン1』は30日のタイムリミット、『ピクミン3』は残り食料によるタイムリミットがありましたが、『ピクミン2』にはありません。ゲームに焦らされず、ゆっくりと探索が楽しめる反面、ピクミンシリーズの醍醐味である、効率的なプレイを求める「ダンドリ」の楽しみは本作にはあまりありません。

しかし、『ピクミン1』と比べて様々な面で進化しており、その中でも特に“やりこみ要素”がとても豊富です。時間制限がなく、じっくりと原生生物やギミックを攻略していく作りの「洞窟」と呼ばれるダンジョンは本作の目玉であり、洞窟内には固有のボス、お宝が眠っています。

会社の借金を返済できる分のお宝を集めてエンディングを観た後も、引き続き惑星を探索することができ、お宝のコンプリートを目指すやりこみが用意されています。操作できるキャラクターを切り替えて探索できるシステムも本作から追加されました。

「赤ピクミン」、「青ピクミン」、「黄ピクミン」のみだった『ピクミン1』から更に二種類、「紫ピクミン」、「白ピクミン」も追加されました。

紫ピクミンは力持ちで体重が重く、敵との戦闘で相手を気絶させたりと非常に有用。白ピクミンは体に毒を持っていて、敵に食べさせると大ダメージを与えたり、毒の霧を噴出するギミックを破壊したり、一見何もない場所に埋まっているお宝を掘り出すなどの性能を持っています。

シンプルな性能だった前作の3匹と違い、この2匹はテクニカルな運用が求められます。ボスや洞窟内のギミック、原生生物のやってくることがいやらしく、全体的にかなり高難度になっているのも本作の特徴でしょう。

『ピクミン2』で追加された要素の中で筆者のイチオシは「生物図鑑」です。オリマーの生物学的な知見から、出会った原生生物の生態が詳しく解説されるものになっており、この星の生態系を想像させられる、とてもワクワクするものになっています。

◆3人の隊員を切り替えて操作!“決定版”として楽しめる『ピクミン3』

宇宙の果ての「コッパイ」という惑星で、深刻な食糧難が起きていました。惑星の食料資源を食べ尽くしてしまったコッパイ星人は、無人探査機「スパロウ」を宇宙へ放ち、食料資源を入手できそうな惑星を探すことに。

そんな中で見つかった食料資源がありそうな星、それが「PNF-404」。コッパイ星人の中から3人の専門家が招集され、PNF-404へと向かったのですが、宇宙船は着陸間近で操縦不能となり、脱出時に3人はバラバラになってしまう…というのが『ピクミン3』の冒頭です。

『ピクミン3』では、『ピクミン1』にあったようなタイムリミットが復活しています。ただし、30日という決まった日付ではなく、惑星内で手に入れた食料資源の量によってタイムリミットが変動する形です。

最初は数日分しかなく、緊張感のあるサバイバルになっていますが、ピクミン達と出会い、効率よく食料を集めていけば、タイムリミットにも余裕が生まれてきます。最終的には『ピクミン1』を遥かに上回る日数の猶予があるため、じっくりと探索する時間も作れます。

しかし、フレーバー的にもゲームシステム的にも「食料を効率よく集めなければいけない」とプレイヤーが感じられるものになっているため、シリーズのダンドリの遊びは自然に要求されます。

『ピクミン1』、『ピクミン2』との大きな違いは、「探索中にストーリー展開がある」ところでしょう。3人の隊員が徐々に集結し、コッパイ星に帰る方法を見つけ出そうとする中で、意外な人物と出会ったり、トラブルが起こったりと、リニアな展開が起こる本作は、過去作と比べてかなりアドベンチャーゲーム的です。

ギミックも3人の隊員を切り替えられるというシステムを活用したパズルゲーム的なものが多く、任天堂らしい考え抜かれたレベルデザインの中、ピクミンをダンドリよく指示していく必要があります。

新たなピクミンには「岩ピクミン」、「羽ピクミン」が追加されました。名前の通り硬い体を持つ岩ピクミンは、硬い水晶を破壊したり、土の上で敵に潰されないという特徴を持ちます。羽ピクミンは、空を飛んでものを運んだり、空を飛ぶ敵に効果的に攻撃をすることができます。

元は2013年にWiiU向けとしてリリースされた『ピクミン3』ですが、ニンテンドースイッチ向けのリマスター『ピクミン3 デラックス』にて「生物図鑑」が復活しました。本作の主人公である3人の隊員とその他の登場人物、計5人がそれぞれの視点で原生生物を解説してくれるという、かなりリッチな仕様になっています。

単純に、シリーズの中でも最も丁寧に磨かれた作品であり、シリーズのもつ「ダンドリ」の楽しさを分かりやすく楽しめる、『ピクミン』の決定版です。

◆そして最新作『ピクミン4』へ

未知の惑星にて遭難したキャプテン・オリマー。彼は船の通信装置を使って救難信号を発信。キャプテン・オリマー救助のため、レスキュー隊が同惑星へと向かいましたが、彼らもまた事故により消息を断ってしまいました。本部に残っていた新人隊員の「あなた」は、レスキュー隊とキャプテン・オリマーの救助のため、単身で惑星へと向かいます。あなたは、遭難者を救助しつつ、宇宙船のエネルギー源となる「お宝」を集めることになります。

これが『ピクミン4』のあらすじ。先日6月29日には、本作の体験版が配信されました。体験版で遊べる範囲は最初の1エリアのみですが、これだけでも本作のコンセプトは伝わってきます。

結論から言えば、本作は『ピクミン2』の路線を現代に蘇らせ、磨き上げたような構造になっています。本作は『ピクミン2』と同様にタイムリミットが設定されていません。探す対象が遭難者であるため、フレーバー的にはある程度焦らされるものになっていますが、おそらく何日かけて探索しても影響はないでしょう。あくまで探索の楽しさにフォーカスしたゲームになっていそうです。

そして、やはり大きいのは「洞窟」と「お宝」の存在です。洞窟の中にはさまざまな原生生物やギミックが用意されており、たくさんのお宝も眠っています。

『ピクミン2』との違いは、洞窟の地形が「ランダム生成ではなくなった」こと。オッチンと主人公を切り替えてパズルゲーム的に攻略していく洞窟であったり、ピクミンの能力をしっかり活かす必要があるギミックであったりと、丁寧にレベルデザインされた洞窟だからこそ質の高い体験に仕上がっていそうです。

上から見下ろす形のカメラが基本だった今までのシリーズと比較して、かなりカメラ位置が下に移動して、一般的な三人称視点のゲームと似た構図になったことも特徴的です。よりこの惑星の植物やオブジェクトの巨大さが伝わりやすく、ミクロな世界観のワクワクに貢献しているように思います。

本作でも、「生物図鑑」や「お宝図鑑」は健在。解説してくれるキャラクターはオリマーではなく、新たに登場するキャラクターですが、おそらくオリマー救出後にはオリマーによる解説も見れるのではないかと予想しています。

つまるところ、『ピクミン1』と『ピクミン3』は、ストーリー上で生き残りをかけた緊張感の中、効率のよいプレイが求められるゲームになっており、逆に『ピクミン2』と『ピクミン4』は時間に追われず、やりこみの多いステージをじっくりと探索できる体験を重視したタイトルになっているということです。もしかしたら、今後は偶数奇数のナンバリングで交互に2つの遊びを考えていくということなのかもしれません。

シリーズを重ねるごとに「ピクミン」の種類も増え、よりギミックが多彩になっているのも『ピクミン』シリーズの魅力。『ピクミン4』ではこれまで登場した全てのピクミンがストーリー上で使えるほか、新たに「氷ピクミン」と「光ピクミン」も登場します。『ピクミン4』は、『ピクミン2』の完全版といえる作品であるのと同時に、『ピクミン』シリーズの集大成ともいえる作品になっていそうです。


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