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僕に、もう1度その手を汚せというのか─原作発売から27年を経て再リメイク! なぜ『タクティクスオウガ』はこれほど愛されるのか

名作『タクティクスオウガ』の系譜に名を連ね、PSP版をベースにリメイクする『タクティクスオウガ リボーン』が発表されました。オリジナル版から数えて27年ぶりに新生する『タクティクスオウガ』。本作が、これだけ長く愛される理由の一端へと迫ります。

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スーパーファミコン向けソフトとして、1995年に発売された『タクティクスオウガ』。最近では、『ファイナルファンタジーXIV』内のコンテンツ「セイブ・ザ・クイーン」の脚本を担当したことでも話題になった松野泰己氏が、当時ディレクションやシナリオを担当し、名作シミュレーションRPGとして人気を博しました。

この『タクティクスオウガ』の新たな展開となる、『タクティクスオウガ リボーン』が先程発表されました。オリジナル版が登場したのは、今から数えて27年も前のこと。20世紀の時代に発売されたかなり古い作品なのに、この令和においても『タクティクスオウガ リボーン』の発表に喜び、沸き立つ声が早くもSNSに飛び交っています。

なぜ、これだけの時間が経っても忘れ去られず、新たな復活を喜ぶ声が上がるのか。その人気ぶりを示す証拠が、『タクティクスオウガ』の歩みから窺えます。

■何年経っても話題になる『タクティクスオウガ』

8年前の2014年6月に、スーパーファミコン版『タクティクスオウガ』が大きな注目を集めました。それは、発売から19年という気の遠くなる時間を経て、初めて発見された「裏コマンド」があったため。

19年越しに裏技を見つけた人がおり、その発見に驚いた方もいて、そしてこの話題に関心を寄せたファンがいたからこそ、この「裏コマンド」の存在が広く知られて注目を集めました。そんな「裏コマンド」の発見は、19年もの時が経ってもきっかけさえあれば盛り上がる、ファン層の厚さを改めて知ることができた一件でもありました。

ちなみに「裏コマンド」の存在自体は松野氏も知っていましたが、公開するタイミングがなく、書き留めたメモも行方不明になってしまい、当時再現できなくなったようです。失われる可能性の高かった「裏コマンド」がこうして世に出たことにも、感慨深さを覚えます。

■今回だけじゃない! 何度も蘇っている『タクティクスオウガ』

『タクティクスオウガ』の復活は、実は今回の『タクティクスオウガ リボーン』が初ではありません。1996年にはサターン版が、1997年には初代プレイステーション版がそれぞれ登場。

また、WiiやWii U、Newニンテンドー3DSのバーチャルコンソールソフトとしても配信されたほか、2010年には大幅なシナリオ加筆、多彩なキャラクター育成、新システムや豊富なやり込み要素を盛り込んで再構築したリメイク版『タクティクスオウガ 運命の輪』が、プレイステーションポータブル向けに発売されました。

パッケージ版だけでも、サターン版にプレステ版、そしてリメイクされたPSP版と、『タクティクスオウガ』はオリジナル版以外にも3度にわたって展開しています。つまり『タクティクスオウガ』は全くの沈黙から突然蘇ったわけではなく、今回の件も含めてその時代ごとに愛され、足跡を残してきた名作タイトルなのです。

■卓越したセンスで表現された“重み”が忘れられない『タクティクスオウガ』

装いも新たに登場する『タクティクスオウガ リボーン』は、かつてリメイクされたPSP版をベースにしながらも、映像表現力やサウンド表現力の向上に臨むほか、バトルデザインにも手を入れるこだわりぶり。UIも利便性を求め、操作性の向上を図っています。もちろんグラフィックの高解像度化は言及するまでもなく、公開された画像を見れば一目瞭然です。

かつてプレイした人には“思い出を超える”体験を、そして初めて遊ぶ人には“今までにない”体験を提供するといった力強いコメントと共に発表された『タクティクスオウガ リボーン』。かつての歩みでも見られたように、復活する『タクティクスオウガ』の新展開は今回も注目を集めることでしょう。

なぜユーザーは、時を越えてなお『タクティクスオウガ』に惹かれるのか。その理由は、とても一言では言い表せられません。各ユニットごとに行動するため、タイミングも重要になる戦略性。民族紛争という、ゲームでは珍しいテーマを扱い、しかもその重みを描ききった腰の座ったシナリオ。やり込み甲斐のある成長要素に魅力的なキャラクターなど、特徴を挙げれば枚挙に暇がないほどです。

また、魅力を語る上で決して外せないもののひとつに、松野氏による卓越したテキストセンスがあります。その素晴らしさはゲームの随所に現れており、例えば本作のChapter1のタイトルは「僕にその手を汚せというのか」。この先に厳しい選択が待ち受けている重みを、短い一文で如実に語っています。

また、複数に分岐するChapter3のタイトルのひとつに「駆り立てるのは野心と欲望、横たわるのは犬と豚」というものがあります。こちらも一度見たら忘れられない、衝撃的でパワフルな文章です。

こうしたセンスは、キャラクターのセリフにも頻繁に表れています。その中でもシンプルかつインパクト満点なのが、「支配されるという特権」という言い回しです。弱者であるはずの民衆について、弱者という特権階級だと分析する切り口を、1995年発売のゲームに盛り込むその手腕。今振り返っても、舌を巻くほかありません。

シナリオ、テーマ、そしてバトルと、全編にわたって“重み”を与え、それを“手応え”に昇華させた『タクティクスオウガ』。今からオリジナル版やPSP版にアクセスするのは少々大変ですが、『タクティクスオウガ リボーン』ならばPS5やPS4、ニンテンドースイッチにPC(Steam)と、幅広い環境でプレイ可能です。

時代を越えて愛された“重みのある手応え”を味わいたい方は、『タクティクスオウガ リボーン』が発売される2022年11月11日(PC版は翌12日)を、楽しみにお待ちください。

(C) 1995, 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
※使用しているゲーム画像は、全て『タクティクスオウガ リボーン』のものです。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
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《臥待 弦》
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