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ゲームアイテムでお金が儲かる? ゲーマーは知っておきたい「NFTとブロックチェーン」超入門

NFTという新しい技術によって、デジタルデータがコピー不可な唯一の存在であるとして、所有できる未来が来ようとしています。そしてそれは、ゲームにも大きな影響を与えそうです。NFTやブロックチェーンなどについて解説しつつ、ゲームへとの関わりを考えます。

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ポケモンを遊んでいてピカチュウをゲットした時、そのピカチュウは、世界に1匹のピカチュウでしょうか。基本的にはそうです。ポケモンの世界では、まったく同じピカチュウに見えても、捕まえた1体1体は別の個体として扱われ、ゲーム上でコピーすることもできません。しかし、ゲームのデータを改ざんして、コピーしてしまうような人もいます。もちろん不正な改造となりますが、可能か不可能かでいうと、可能な話です。

では、もしデータの改ざんをほぼ完全に防ぎ、コピーができない特別なピカチュウを作ることができたらどうなるでしょう。他の誰も持っていない、正真正銘世界にただ1匹の特別なピカチュウです。絶対に複製することはできません。そのピカチュウを欲しいという人が世界にはきっといますよね。お金を出すという人もいるでしょう。しかも大金を。

そんな話が現実になる日がくるかもしれません。それが今回する、NFTのお話です。

NFTとブロックチェーン

NFTとは、Non-Fungible Tokenの略で、日本語で言うと非代替性トークンの略です。非代替性、つまり代わりの利かないトークン。

すごく簡単に言うと、デジタルデータの証明書のようなものです。その持ち主や、それが複製できない唯一無二のものであるという証明をつけることができます。つまり先ほどのピカチュウの話ですね。このピカチュウにNFTが関連付けられて、あなたがゲットした他に代わりのいない世界に1匹のピカチュウなんですよ、という証明をしてくれるわけです。

少し仕組みの話をすると、NFTにはブロックチェーンという技術が使われています。ブロックチェーンは、取引をした内容を、相互にコンピューターが記録して、複数のコンピューターでデジタルデータを管理する技術のことをいいます。取引の記録をブロックと呼び、それが鎖のように繋がるからブロックチェーンなんですね。

1か所を変更すると、そこに繋がるすべてのデータと齟齬が生じるため、改ざんをするのが非常に困難である、というのが特徴の1つで、これを使ってNFTをコピー不可能な本物として証明しています。

NFTを使ったトレーディングカードゲーム

『クリプトスペルズ』公式サイトより

すでにNFTを使ったゲームはいくつも存在していますが、ゲームユーザーに分かりやすい例として、トレーディングカードゲームで説明してみたいと思います。

遊戯王OCG デュエルモンスターズ』や『ポケモンカードゲーム』といったトレーディングカードゲームは、お店でパックに入ったカードが売られています。紙でできた、手に取ることができる物理的なカードです。パックからでてきたカードはお店や、あるいは個人間で売買され、場合によってはプレミアがついて高額になることもあります。

しかし、『シャドウバース』や『ハースストーン』などのデジタルカードゲームは違います。カードをパックで買うことはできるものの、それを交換したり、売り買いしたりということはできなくなります。そもそも、オンラインゲームで手に入れたアイテムなどは、プレイヤーに所有権がない場合がほとんどです。こういったゲームのアイテム等は、利用できるだけで所有しているわけではないんですね。アカウントごとゲームデータを売買するようなユーザーもいますが、基本的には利用規約で禁じられています。

NFTが導入されることで、この常識が大きく変化します。プレイヤーがゲームからカードを得るとき、それがプレイヤーの所有物となり、売り買いができるようなゲームが登場しました。日本のメーカーからも『クリプトスペルズ』というNFTを使ったデジタルカードゲームが2019年6月にリリースされています。

『クリプトスペルズ』ではプレイヤーは自由にカードを売り買いすることができます。ですから、カードの相場というものが存在します。また、ゲームを遊ぶよりも、投機目的、つまりお金儲けのためにプレイしている層もいるようです。

NFTならではの面白い特徴として、“発行上限”というものがあります。普通のデジタルカードゲームであれば、ユーザーが課金さえすれば、カードは無限に排出されます。しかし、『クリプトスペルズ』では、カードの価値を保つために、高レアリティのカードには発行上限をかけて、販売する枚数を絞っているのです。もっともレアリティが高いのが、リミテッドレジェンド。なんと世界で9枚しか発行されません。販売方法も普通のゲームとは全く違い、オークション形式で売られます。しかも値段は数十万円。これまでのゲームとは全く違う常識ができあがりつつあるようです。

■NFTゲームの問題点や課題

NFTを使うことで、ゲームの中で得たアイテムやキャラクターなどがプレイヤーの所有物となり、それが売買されることで経済圏ができる、そういった試みは既に始まっています。もちろんトレーディングカードゲーム以外にも、例えば、ゲーム上の土地が売買されたり、ユーザーの創作物が売買の対象になる例もでてきています。

多くの可能性を秘めたNFTですが、問題や課題もあります。PCゲームプラットフォームのSteamを運営するValveは、Steamにゲームを提供するパートナーに向けたガイドラインにおける「Steamで公開すべきではないもの」の項目に「暗号通貨またはNFTの発行や交換を許可するブロックチェーン技術に基づいて構築されたアプリケーション」という文章を追加しています。これは、SteamでNFTを使ったゲームが売れなくなったことを意味します。

ValveがなぜNFTを禁止したか、その理由ははっきりと発表されてはいませんが、ユーザーが手に入れるゲームのデータに価値を保証することによって生ずる、いくつかの問題点が考えられます。

例えば、賭博の問題。ガチャや、ゲーム内でランダム性が介入して手に入るアイテムなどのデータが、資産的な価値のあるものになると、賭博罪が成立する可能性があります。景表法の問題もあります。ゲームをプレイすることによって手に入るアイテムに価値があり、プレイヤーが所有するとなると、これが景品として認められる可能性があります。ゲームで配られるアイテムが景品であるなら、それは景表法が定める限度額までの価値のものしか配れなくなります。

これまでにない新しいゲームが考案されていくなか、これらの法解釈は判断が難しい場合があり、法整備もこれから進んでいくと考えられます。これをリスクと考える企業も当然あるはずです。多くのパブリッシャーのゲームが配信されるプラットフォームであれば、特にリスクは大きいと考えるかもしれません。

あるいは、投機の対象になることで、エンターテイメント性が損なわれる懸念もあります。投機の対象として魅力的であることがゲームの面白さやバランスより優先されるようなことが増えれば、当然ゲームは面白くなくなりますし、既存のゲームユーザーは離れていってしまうでしょう。

ブロックチェーンやNFTといった技術で新しいゲームの世界が生まれてこようとしています。新しい技術の登場にはワクワクしますが、一方で、これが普及していくには、まだまだ解決していかなければいけない問題もたくさんありそうです。


《田下広夢》

毎週金曜ゲームイベントしてます 田下広夢

1984年5月、埼玉県生まれ。2006年からゲームを専門とするライターに。毎週金曜、ゲームを持ち寄って遊ぶイベント「ゲームルーム」開催、2022年で10周年を迎える。メギド72攻略ブログ「メギド部!」運営。イシイジロウ氏主催のゲームクリエイター人狼会所属。たまにゲーム業界解説でテレビやラジオなどに出演したり、YouTubeなどの人狼ゲーム配信にも登場。2021年からインサイドで執筆。

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