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『パワポケR』「戦争編」初プレイで奇跡の展開!─CERO「B」の背景や「とんかつ作戦」の有無を山本拓Pに直撃

10年ぶりに登場するシリーズ最新作『パワプロクンポケットR』。11月25日の発売に先駆け、本作の一部を体験したプレイレポートと、プロデューサーを務めた山本拓氏への見にインタビューをお届けします。

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選手を育成できる野球ゲームといえば、多くのゲームファンが「実況パワフルプロ野球」シリーズを思い出すことでしょう。

本格的な野球が楽しめるのはもちろん、臨場感溢れる実況が盛り上がりに拍車をかけることでも知られていますが、選手を育成する「サクセスモード」をシリーズの初期に導入し、今では作品を語る上で欠かせない要素へと成長しました。

そして、このサクセスモードを受け継ぎ、“野球ゲーム”ではなく“野球バラエティ”として独自の進化を遂げたの姉妹作があります。それは、「パワプロクンポケット」シリーズです。

ポケットと付く名前から分かる通り、携帯ゲーム機を中心に展開した本シリーズは、いつでもどこでも遊べる特性を活かし、サクセスモードを充実。その発展は野球の枠にすら留まらず、まさに“野球バラエティ”と呼ぶに相応しい躍進で人気を博しました。

「パワポケ」シリーズから多くのタイトルが飛び出し、1作目が登場した1999年から数え、て10年以上も活躍を続けてきましたが、2011年の『パワプロクンポケット14』で一度区切りを迎えます。

ですが、他に類を見ない個性的な「パワポケ」シリーズの最新作が、約10年の沈黙を破って復活。ニンテンドースイッチソフト『パワプロクンポケットR』(以下、パワポケR)が、2021年11月25日にリリースを迎えます。

「サクセス」シナリオのリメイクや、「パワポケ」シリーズにつきもののミニゲームを収録するほか、新たな育成モード「サイバーバル」も用意。もちろん、野球の対戦・協力プレイも最大4人で楽しめます。

満を持して復活する『パワポケR』ですが、10年越しの復活なので、シリーズ未体験という方も少なくないでしょう。お恥ずかしながら、筆者もこれまで未プレイです。そんなプレイヤーでも、この『パワポケR』は楽しめるのか。今年の東京ゲームショウで体験した試遊プレイを通して、その魅力の一端に迫りたいと思います。

■野球の枠を超えた勢いと展開もまた楽しい『パワポケR』、これが“野球バラエティ”の実力だ!

この『パワポケR』のサクセスには、「極亜久高校編」「ドリルモグラーズ編」「戦争編」のシナリオが用意されています。極亜久高校編は、不良が集う野球部を立て直し、甲子園を目指すというもの。王道的展開に胸が熱くなりそうです。

ドリルモグラーズ編は、解散に危機に陥っている球団の再建を目指す物語。入団したばかりの主人公が、弱小球団「ドリルモグラーズ」を救うために奮闘します。極亜久高校編とは違う切り口ながら、こちらも球団ならではの展開が待ち受けていることでしょう。

そして最後は、「戦争編」。こちらはまず、戦争をしている時代にタイムスリップした主人公が、その補給部隊へと所属し、各戦地を転々と巡る事態に陥ります。

「パワポケ」シリーズをあまり知らない方は、「……タイムスリップ? 戦争?」と疑問が浮かぶことでしょう。筆者は噂にこそ聞いていましたが、これぞ“野球バラエティ”の真骨頂。どんな素材も野球と結びつける柔軟性と発想力が「パワポケ」の強みであり、その大胆さが愛される一因でもあります。

そこで今回の試遊プレイでは、この戦争編をチョイス。シナリオがスタートすると、すでに戦争時代にタイムスリップしており、早速前線へ派遣されます。前線は「北方戦線」「西方戦線」「南方戦線」があり、任意で選択可能。

それぞれどんな特徴や違いがあるのか、試遊プレイに同行している経験者に尋ねたところ、南方戦線は特にヤバイとのコメントをいただきました。

──ならば、南方戦線しかあるまい! 果敢な姿勢で南へ旅立つことにしました。

ちなみに現地の曹長から、「武器も弾も食い物も援軍も全然足りない。その代わり、病気だけはたくさんある」と、なかなか厳しいお言葉を早速いただきました。マラリアに赤痢、黄熱……どれもご遠慮したいものばかり。この時点で既に、一般的な野球ゲームの育成とは大きく異なっている気配を感じます。

戦地で選べる任務は、比較的安全なものから危険度が高いものまで、こちらも任意で選べます。危険度が大きいほど育成効果も高いとのことなので、ここでも危険な任務を選択。攻めの姿勢がないと、強い選手は作れない──それは、どの育成ゲームにも通じる道のはず。

それでは、いざ敵陣突破ー! 実際にそういう任務に挑むところが侮れません。これも野球選手の育成に繋がってしまうのが、「パワポケ」の侮れないところです。

記念すべき初育成、その初回行動の結果は……あれ、「やられたでやんす!」とか言われてますけど……?

直後、「生還セズ」との報告が寄せられ、あえなくゲームオーバー。もちろん育成は失敗ですし、初挑戦でまさかの1周目ゲームーバーを記録してしまいました。……えっ!?

念のため経験者に尋ねたところ、戦争編は(この実例のように)あっさりやられる危険も伴うサクセスモードで、「体力」と「ツキ」のパラメータが目安になるものの運の要素も強く、特に南方戦線は死にやすいようです。

それでも「初手でいきなりやられるのは初めて見た」とのことなので、今回はかなり珍しいハプニングだった模様。筆者の運のなさはともあれ、「パワプロ」におけるサクセスの恐ろしさを早速味わう形となりました。

試遊の時間が限られてるとはいえ、さすがにまだまだ時間は残っているので、再プレイ開始。今度は北方前線から始めてみました。

銃弾が飛び交う危険な任務をこなすと、体力が下がり、そして変化球ポイントが10上がりました。そうです、これはあくまで選手を育成するモード。序盤の衝撃的な展開に意識を奪われてしまいましたが、任務を繰り返して育成を進めるのが本筋です。

この戦争編では、戦地をかいくぐったり、様々なイベントと遭遇することで、育成が進んでいきます。その間、野球要素はほぼゼロ。バットやボールを持つ手は銃を握り、強靱な足腰は戦場を駆け抜けるためのもの。さすが“野球バラエティ”です。

ちなみに、運がよければ敵に見つからずに済むこともあります。ですが、その場合もステータスは変動し、今後の方針(任務の危険度など)や育成結果に影響を与えます。なお、体力が下がると、前述した病気が発生する可能性があるので、気は抜けません。

任務は1週間ごとに行い、これを4回繰り返す=4週間経過すると、一度司令部に帰還します。戻ってくると体力が回復するので、文字通りここでひと息つけます。いきなり倒れた初回のプレイと比べると、今回のプレイはスムーズな出だしです。

そして、改めて新たな任地へ。今度は、まだ行ったことがない西方戦線へと向かってみました。ここでは、西方を任されている任月高志参謀長が登場。ちなみにこの戦争編は、史実の戦争や当時の状況をモチーフとしていることが多く、この任月参謀長も日本陸軍の牟田口廉也がモデルではとファンの間で囁かれています。

任月参謀長だけでなく、作中で発生するイベントも史実を連想させるものが多々あるので、そのモチーフを探しながらプレイするのも一興かもしれません。

ビジュアルや演出はカジュアルに落とし込まれていますが、過酷な戦況は余談を許さず、一寸先も見えない手探り感が絶妙な緊張を生み出します。

トーチカの破壊に乗り出すこともあれば、パイロット捜索に明け暮れるなど、命の危険に晒される日々が続く戦争編。味方の戦車隊がやってくるも、敵に戦車がいると知れば途端に逃げ帰ったり……みたいな展開を目にすることも。

一方、ゲームプレイそのものはかなりシンプルで、「体力」と「ツキ」を参考に任地や危険度を選択しますが、それを一定の週までひたすら見極めていくのみ。運の要素もかなり絡んでくるので、スポコン的に気合いを入れて挑むというよりは、発生するイベントや偶発的な展開を受け止める包容力で鷹揚にプレイするのが正解かもしれません。

サクセスモードの中でも特に運の要素が大きい戦争編ですが、題材が題材だけに、運に左右されるのもある意味納得。これで選手が育成できるというトンデモ具合も、「パワポケ」らしい特徴と言えるでしょう。この衝撃的なサクセスを、令和の時代に蘇られた『パワポケR』の度量に、改めて感心させられました。

さすがに試遊の時間だけで育成を終了させるのは難しかったので、続いては本作の新要素「サイバーバル」に触れてみました。

「サイバーバル」も育成モードのひとつですが、こちらもバットやボールは使いません。戦車に乗って敵を倒し、育成に必要なパーツを集めて選手を作るという、これまたトンデモな展開。しかし、戦争編の洗礼を受けた今となっては、「なるほど」の一言で納得できます。

ちなみに「サイバーバル」は、見下ろし型の視点で戦車を動かすアクションゲーム。戦争編は選択して積み重ねていくADV形式のSLG(と言っていいものかどうか……)なので、ジャンル自体が大きく異なっています。

変化する状況とステータスを見極める基本的な育成もやり甲斐がありますが、アクションを楽しみながら育成するのもまたオツなもの。好みによっては、この「サイバーバル」にハマる人も出てきてもおかしくありません。

戦車の操作感も良く、敵もほどよく歯応えがあります。少なくとも今回プレイした範囲では、理不尽な点などは見当たらず、手応えと爽快感をほどよく両立したバランスのように感じました。

敵の数は多めですが、だからこそ地道に倒していけば、状況が少しずつ好転していく実感が得られます。しかもこの「サイバーバル」は、オンラインを介した協力プレイも可能。最大4人でプレイできるので、友達と一緒に育成を進めるのもアリでしょう。

野球ゲームなのに、バットも振らずボールも投げなかった今回の試遊プレイ。ですが、いずれのモードも最終的には選手の育成に繋がり、野球の試合での活躍度に影響します。この広すぎる懐こそが、『パワポケR』の大きな特徴に他なりません。

今回の試遊体験は以上となりますが、『パワポケR』で気になる点はまだまだあります。そこで最後に、『パワポケR』を手がけたプロデューサーの山本拓氏にお時間をいただき、本作経験者によるQ&Aを行いました。その模様を、併せてお届けします。

──本作『パワプロクンポケットR』のサクセスモードでは、「極亜久高校編」「ドリルモグラーズ編」「戦争編」の3つが遊べますが、今回リメイクする上でハードルになった部分や、コンプライアンス的に変更された点などはありますか?

山本氏:(オリジナル版が出た)当時の時代と現在とでは、表現の方向性や価値観などが違っている部分もありますので、その点についてはかなり話し合って決めましたね。

──具体的に調整した例などを伺ってもよろしいですか?

山本氏:オリジナル版では「殺人クワガタ」という名前だったミニゲームが、本作では「地獄クワガタ」になっています。ちょっとマイルドになりましたね(笑)。

とはいっても、『パワプロ』本来のテイストを維持するのが大前提にはなっていますので、シリーズが持つ“ちょっとダークな部分”を残しつつというのも心がけています。

──オリジナル版の「戦争編」には、ジンギスカン作戦をモチーフにしたと思われる「とんかつ作戦」がありましたが、『パワポケR』でも健在ですか?

山本氏:「とんかつ作戦」は健在です。

──おお、そうですか!

山本氏:人を傷つけるような表現によって嫌な思いをする……といった人が出ないことが大事ですので、そういう形で検討しました。その結果、『パワポケ』における「戦争編」のテイストのひとつとして残した方がいい、と決定し採用しました。

──本作はニンテンドースイッチ版ということで、『実況パワフルプロ野球』と同じハードで展開する形となりました。当時は据え置き機と携帯機でシリーズ展開が分かれていましたが、今回は同一ハードなんですね。

山本氏:『実況パワフルプロ野球』は“本格派野球ゲーム”なので、例えば野球を知らない方だとちょっと入り辛い面もあるのかなと思います。それに対して『パワポケ』は、ジャンルとしても“野球バラエティ”なので、野球を知らない方でも入りやすいのかなと。

そして、本作で野球に馴染んでいただき、「もっと深く野球をやりたいな」と思った時に、本家の『実況パワフルプロ野球』を遊んでもらえたらと思います。

──試合などの面において、『実況パワフルプロ野球』とどのような差別化や違いがありますか?

山本氏:試合については、本格的な『実況パワフルプロ野球』と同一のエンジンなどを使用してます。演出などの一部の点が異なっていますね。

──本作の新たな育成モード「サイバーバル」を導入した目的やきっかけなどを教えてください。

山本氏:今回、『パワポケ』を10年ぶりに企画するにあたって、今の子供達や若い人にも遊んでいただきたいと考えました。そこで、“戦車を動かして敵を倒す”という分かりやすいモードを追加し、(シリーズ未経験者や若い層が)入ってきやすいようにする──というのが狙いです。

この「サイバーバル」を入り口にしていただき、そこから他のサクセスや野球の試合などに触れていただき、楽しさを味わっていただけたら嬉しいですね。

──オリジナル版からハードが大きく変わりましたが、当時のプレイ感の再現にも力を入れられたのでしょうか?

山本氏:テンポであったりミニゲームであったり、当時楽しかったプレイ感は大事にしていく必要があると感じています。なので、この点についても、制作一同が力を込めさせていただきました。

──これまでの『パワポケ』はCEROが「A」でしたが、本作はCEROが「B」になり、一部のファンの間で話題になりましたね。

山本氏:先ほどの話とも関連しますが、『パワポケ』はちょっとダークな部分にも面白さがあるので、(10年ぶりに復活させるにあたり)そのテイストを維持しつつ、かつ出来るだけ幅広い人たちに遊んでいただきたい気持ちとの折り合いで、CERO「B」という形に落ち着きました。

──当時の楽しさ、そしてテイストも含めた“復活”なんですね。では最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

山本氏:今回、『パワポケ』が10年ぶりに復活します。予約特典にも力を入れていますし、より多くの方々に買って頂けたら、本作だけに留まらない展開が出来ると思います。このシリーズをまた楽しんでいただければと思うので、よろしくお願いいたします!

阪神甲子園球場公認
ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2020年のデータを基に制作しています。
(C)Konami Digital Entertainment


《臥待 弦》
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