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「少しだけ期待してほしいんだよね」ファンあってこそ高みに昇り続けるVTuber葛葉のバースデーイベント「Scarlet Invitation」レポ

にじさんじVTuber葛葉のバースデーイベント「Scarlet Invitation」でのパフォーマンスと、彼の歩みをレポート。

その他 VTuber
「少しだけ期待してほしいんだよね」ファンあってこそ高みに昇り続けるVTuber葛葉のバースデーイベント「Scarlet Invitation」レポ
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「ネットチケット、購入してください。そしたら次の小学生・中学生が新しいライブ観に来てくれるかもしれないんで。運営の評価がここにかかってきます、俺の」

そういってにじさんじ所属のVTuber葛葉は笑顔を見せました。お金の話題なので「生々しい話」とは言っていますが、彼の性格や思想に触れてきたファンには、色々な捉え方があった言葉だと思います。

葛葉バースデーイベント 「Scarlet Invitation」が11月10日(水)に開催されました。葛葉は男性VTuber初の登録者100万人越えを達成し、現在すでに111万人を突破している人気VTuberです。

同時に、男性VTuberとしてオンリーワンな個性が光る存在でもあります。彼のチャンネルに飛ぶと、同じサムネイル画像がずらーっと並んでいて、謎のタイトルがついていることも多々。初見だとどういう存在なのか一瞬混乱します。なのに彼の配信を見ると、いつの間にかひきこまれてしまい、登録してしまうだけの引力があります。トークの軽快さ、豊富な語彙力、物事への思想、飄々としたゆるさ、決め所でしっかり決める頼もしさ。男女共にファン層は厚いです。

■ファンあってこそのKING

今回のライブで盛り上がった曲のひとつが「KING」でしょう。椅子に座って登場し、そのまま歌うという珍しい見せ方だったからです。元の曲を知っている人には、かなりしびれる演出のはずです。

【】歌ってみた KING 葛葉 【】

「KING」は数多くの人にカバーされている作品です。葛葉版は普段の彼の配信スタイルや、魔界から来た吸血鬼という生い立ちも相まって、あまりにもどんぴしゃ。今では2839万再生されています(2021年11月17日現在)。

「俺をさらに飛躍させてくれた曲で思い入れもある」「みんなが俺を有名にしてくれた曲」とこの曲について述べる彼。最速感想放送では、5曲目くらいで疲れるから座る曲を入れた、みたいに話していましたが、なかなかどうして完璧な選曲です。

彼が普段から大切にしているエモを感じさせる一曲目「アカシア」、二曲目はゴリゴリのロックナンバーで力強さを伝えてくれる「曇天」、憧れを掴んだ彼らしい成長を感じさせる新衣装の三曲目「V.I.P」、怪しい空気感でニンゲンではない自身とシンクロさせた四曲目の「脳内革命ガール2016 ver.」。

葛葉の魅力をしっかり伝えた後に、前半の頂点のように披露された「KING」は、まさにこの舞台での彼にふさわしい。王座に座るには自身の努力もいるけれど、それを支える人がいるから王になれるものです。彼は王になってふんぞり返るわけではなく、「KING」の歌でファンへの感謝を伝えているかのようにすら見えました。特に「ハハッ」という笑いからのなめらかな振り付け、前方にいるファンへのさりげないファンサービス。最初期からのファンはここに、彼の円熟度を感じたかもしれません。

活動初期にノリでつけたファンネーム「火畜」は語呂も漢字も良いので今でも頻繁に使われていますが、最近は「申し訳なくなってきたわ」とも語っています。そのくらい彼はファンとの歴史を積み重ねてきたからこそ「還元していきたい」という思いを持ち始めているようです。でもそこは葛葉流。還元はないものと思ってくれた方が還元しやすい、というマイペースさは保たれています。

その点で、今回はすさまじい量の「還元」を、ここぞとばかりにファンに注ぎ込んだライブでした。ボイトレに通って歌の練習を続けている彼は、普段は努力の様子を見せないままですが、今回のライブのような場で惜しげもなく実力を披露、ファンへのサービスとして還元してくれました。

■葛葉とファンのひこうき雲

誕生日のサプライズお祝いのあとに披露されたのが、オリジナルソングの「コントレイル」です。自身の思いを表現して伝えようとする、情熱的だけど伸びやかな歌声。ファンへ捧げるようなダンスと、自身の持つアイドル性を引き立てる仕草。ライブで積み上げてきた彼の魅力がさらに高みに乗って飛び出していくような舞台でした。

【MV】葛葉 / コントレイル

今回は特に、緊張(していたとは言っていましたが)や恥じらいを感じさせない、もっとうまく、もっと高く、と表現に貪欲な彼の姿が見られました。特に「コントレイル」は、ライブ前半のダーティな空気とは逆の、真っ青な空に向けて飛び出してひこうき雲を作っていく、という歌詞で鮮やかに飾られた作品。「君」の色彩なしには「僕」の絵を画くことはできない、という自身の歩みにファンが共にいることをとても大切にしている曲です。作詞には、葛葉自身が参加しています。

「思い入れがあります、いっぱい」「自分の気持ちをこめてみんなに伝えたいなと思って、歌詞を。みんなに伝わってるかな」

ここから「みんなのおかげで掴み取れた」と語りつつ、Virgin Musicからメジャーデビューの発表。ご時世で声が自由には出せない中、ファンは最大限の盛り上がりを見せました。

「自己肯定感が低いから高いハードルだなって思ったんだけど、歌ヘタでもいいなって、今は。今見ているみんなには、俺の成長を見てもらいたいんだよね」「いつも期待しないでって言ってるけど、少しだけ期待してほしいんだよね。成長する、ここから」

葛葉は配信等で、ファンとの距離感が近いと同時に、ライバーと視聴者の一線を引くのもうまく、非常に心地よい関係を築くことに長けた人物です。今回は特に、ファンに向けてどうありたいか、どう見てほしいのかを考えた決断だったようです。

ライブの話しとズレますが少しお付き合いください。筆者が個人的に葛葉の生き方に感銘を受けたのは2019年5月の配信でした。この時期はまだVTuber、ひいてはにじさんじが成熟し始めた時期。ファンが常に恐れていたのは、VTuberの「引退・卒業」でした。にじさんじ内での引退を受けて葛葉は、ファンの心に曖昧ではない、きれいごとではないリアルな安心感を伝えてくれました。

(2時間33分10秒くらいから)

「俺は2年は辞めない」「意外と短けぇけど長いよ2年は。短けぇけど、漠然と引退しそうっていう恐怖感を拭うための2年っていう明確な宣言」

「短いかお前ら? 人間にとっての2年って長くない?」

「俺が生きてるだけで、『ああ今日も生きてるな、最高!』って思えるくらいになれば、2年推せると思う」

この時具体的な数字をはっきり出したことで、葛葉は曖昧な約束はしない、リアルにできることだけをしっかりとファンに伝えてくれるライバーだ、という信頼がわきました。2021年。デビューして3年以上経ちました。彼は辞めていません。次のステップを自ら選んで、登り始めました。

だから彼がステージの上で「少しだけ期待してほしいんだよね」「成長する」という言葉も、漠然とした根拠のないものではない、できることやれることだから述べているんだ、と筆者は信じられました。

■3年経って、次の世代へ

「音楽でお金を稼ぎたいの、正直。そのために頑張るってのもある」

お金が大好きだという話を常日頃し、時々おちゃらける葛葉。9割は基本的に楽しませてくれるエンターテイナーです。1割は自分の考え方を真面目に、独特な切り口で伝えてくれる、兄貴のような、KINGのような存在です。今回のライブでは、その両方を存分に見ることができました。

最初にあげた「次の小学生・中学生が新しいライブ観に来てくれるかもしれない」という言葉を思い出します。

未来のファンにも推してもらえるように育てたい、というちょっとネタ的なテイストの発言ではあります。しかしこれからのVTuberをさらに盛り上げるのは、今の小学生・中学生です。葛葉がデビューした時の高校生が今大学生であるように、3年あれば大きく視聴者も、ライバーも成長します。

現状維持のままだと先細りしかねないのがインターネット文化。新しい技術が磨かれ、経済として確立し、より大きな文化になるには、もう次世代へのアプローチが必要な時期です。葛葉の言葉の真意は彼にしかわかりませんが、彼がどんどん高みにのぼればのぼるほど、若い世代がさらに興味を持って、新しいVTuber文化圏が育成されていくのは事実です。葛葉が自身を表現すると共に、VTuber界をより広げる面でも、大きな意味のあるライブになっていたはずです。

■セットリスト

M1.アカシア

M2.曇天

M3.V.I.P

M4.脳内革命ガール2016 ver.

M5.KING

M6.サリシノハラ

M7.スパークル

M8.SHAMROCK

企画「葛葉思い出クイズ」「体力向上リズムゲーム」

M9.コントレイル(オリジナル曲)

M10.決意の朝に

M11.Sign

M12.愛言葉II


《たまごまご》

Vtuber大好きマン たまごまご

オタクカルチャー・サブカルチャー中心に活動しているライター。QJweb、PASH!、ねとらぼ、mogura VR、コンプティークなどでも執筆中。漫画とVtuberとVRの記事が多いです。女の子が殴り合うゲームが好きです。

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