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『ペルソナ』シリーズにも連綿と続く『真・女神転生III』の革新性とは?「プレスターン」や「イケニエ合体」など5つのポイントでこの傑作を掘り下げる

邪教の館で〇×をひたすら交互に押す作業が、再び始まります。

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PS4/ニンテンドースイッチ『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』の、10月29日発売が間近に迫ってきました。巷で話題のPS2時代の名作。個人的には、本作が2000年代の日本ゲーム業界のマスターピースの一つだと確信しており、17年の月日を経て再び生まれ変わることに、大きな喜びと期待を感じています。

この記事では、『真・女神転生III(以下、『真III』)』の魅力を5つのポイントに絞って紹介。過去の『女神転生』シリーズから見た視点と、直近の作品である『ペルソナ5』から見た視点を交えて、この作品がいかに革新的であり、いかに今日のシリーズ作品に影響を及ぼしているかをたどっていきたいと思います。

3Dグラフィックで美しく演出される 「電脳悪魔絵師」の悪魔たち


『女神転生』シリーズの魅力の一つは、「電脳悪魔絵師」の二つ名を持つ金子一馬氏のデザイン。実際の神話等に忠実でありながら、全く新しい天使や悪魔の造形を作りだし、多くのゲーマーを魅了してきました。『真III』ではそんな悪魔たちが3Dグラフィックになって登場。その迫力ある演出の数々にハートを射抜かれてしまったものです。


物語の冒頭、最初の冒険の舞台となる「新宿衛生病院」でプレイヤーの目に飛び込んでくるのは、病院の待合室を悠々と舞う「フォルネウス」の姿。シリーズ常連のこの悪魔が、水槽の中を泳ぐエイさながらの動きで舞う様は、若いころの筆者に強烈な印象を残しました。映像から伝わる大きさと力強さ、そして優雅に舞う美しさ。「ゲームの面白さとグラフィックの良さは関係ない」というちょっと古臭い考えを持っている筆者ですが、この『真III』は映像の進化が効果的に働いている好例だと今でも感じています。

他にも、かわいい一つ目をぱちくりさせながら地面から湧き上がってくる「ギリメカラ」や、美しい光に包まれながら舞い降りてくる「ラファエル」「ウリエル」「ガブリエル」の三天使など、これまでのシリーズに登場したキャラクターたちを一層引き立てる演出があちこちに施されています。過去作のファンであればあるほど、それぞれの上手い演出に膝を打ったことでしょう。


グラフィックの精度は、HD化されるとはいえ、『ペルソナ5 』などの最新作と比較すると粗さもあることでしょう。しかし演出の面では劣っていないどころか、むしろシリーズ全体を通しても最も優れたものであると感じています。生き生きとした不気味な悪魔たち、美しいのに機械のように無機質な天使たち、それらのきめ細かい描き込みが物語への没入度を高めてくれます。

『ペルソナ』とはまた異なる 音楽の妙


『真・女神転生III』を語るうえで外せない要素の一つは音楽。『ペルソナ』シリーズを支えるキーマンである目黒将司さんの作曲センスが炸裂した、名曲ぞろいとなっています。


『女神転生』といえばハードロックな戦闘BGMが特徴。しかし、同じハードロックでも、過去作のメインコンポーザーである増子司さんとはまた異なるアプローチがなされています。とくに通常戦闘の音楽は人気も高い良曲。激しい戦いを思わせる曲なのに、1ループ終わり頃の泣きメロが涙腺を強く刺激してきます。この泣きメロ部分は全部で7パターンあるので、たまには戦闘時に手を止めて音楽に耳を傾け、自分のお気に入りを探しても良いかもしれません。

目黒将司さんといえば、『ペルソナ5』のアシッドジャズ風の音楽も素晴らしく、筆者も「このサントラは過去最高傑作では?」と思っていましたが、やはり改めて聴きなおして『真III』のサントラも傑作だと確信。『ペルソナ』シリーズしかご存じない人は、新たな発見があることでしょう。

ちなみに目黒さん以外の方が作った曲も上質なものばかり。特に『邪教の館』と『回復の泉』は外せません。『邪教の館』は過去作と若干テイストが変わり、少し和の雰囲気が取り入れられています。ゲームの性格上、この曲は何時間も聴き続けること必至。にもかかわらず飽きが来ず、聞けば聞くほどクセになってしまうこと請け合いです。


一方「回復の泉」は、施設のUIが最適化されすぎており、普通にプレイしていれば一度の滞在時間はおそらく5秒にもなりません。「…ヴァ~~~」というイントロの小さな音を聞くだけで部屋を出てしまう人がほとんどでしょう。曲はとても美しく、個人的に『真III』の中でも上から5本の指に入るほど好きな作品です。プレイする際は、たまには立ち止まってじっくり聞いてみることをおススメします。

今も連綿と受け継がれる 歴史を変えた戦闘システム


本作が名作として語り継がれる由縁は、「プレスターンシステム」が実装されているからにほかなりません。このシステムはあまりにも偉大であり、後のシリーズ作品にも形を変えて登場しています。記憶している限り本作以降、「女神転生」、「デビルサマナー」、「ペルソナ」、「デビルサバイバー」、「デジタルデビルサーガ」などなど、プレスターンの影響を受けていないメガテン系列の作品はありません。


このシステムは最初に行動回数が定められており、敵の弱点を突いたり、クリティカルヒットを決めると行動回数が増えるというもの。逆に避けられたり、無効な攻撃をしてしまうと行動回数が減るという構成になっています。つまり、敵の弱点などをきちんと分析して戦うことが重要で、逆にピンチの時には状況が加速度的に悪化していくということでもあります。仲魔一人が弱点を突かれたことが引き金になって全滅してしまう、ということはもはや日常茶飯事です。

元々、『女神転生』シリーズはそれなりに戦略性の高いゲーム。それがこのプレスターンシステムによって、より考えて戦うことを求められるように生まれ変わっています。本作では回避率や命中率に影響する魔法やスキルの地位が非常に高い印象。「フォッグブレス」には大変お世話になった人も多いのではないでしょうか。


『ペルソナ』シリーズでもこのプレスターンシステムの派生形である「ワンモアプレス」が採用されています。違いはいくつかありますが、一番大きな違いは「ワンモアプレス」では「総攻撃」ができるということ。これにより戦闘テンポが格段にアップしています。

『ペルソナ』シリーズ経験者が、今『真III』をプレイすると若干もどかしさを感じる部分もあるかもしれません。しかし、より高い緊張感を求めるプレイヤーにはうってつけでしょう。

シリーズ最高レベルの中毒性を持つ 悪魔合体のシステム


シリーズ恒例の「悪魔合体」のシステム。ここにも大きな変化が加わっています。従来のシリーズでは、悪魔合体には複雑な法則が適用されていました。適当にやってもちゃんと強い悪魔を作ることができたものの、法則をきちんと把握していないと、使えない魔法ばかり継承した悪魔が出来上がってしまうなどの難しさがありました。


もちろん頭を使って考えて思い通りの悪魔を完成させたときの達成感はかなりのもの。しかし、敷居が非常に高かったことは事実です。筆者自身も、『ソウルハッカーズ』くらいまでは、技継承まで考えてプレイすることはほとんどありませんでした。

『真・女神転生III』ではこれらのシステムを刷新。複雑だった三身合体が排除され、生贄にした悪魔の経験値を継承させる「イケニエ合体」が導入されました。結果、時間さえかければ強い悪魔を作ることが可能に。また、技も合体時にランダムで継承されるように変更。欲しい結果が出るまで何度もやり直せば思い通りの技構成の悪魔を作り上げることができるようになったのです。

「イケニエ合体」と「ランダム継承」は悪魔合体に革命を起こしたと言っても過言ではありません。過去作のように頭を使わなくても思い通りの強い悪魔を作れるようになった結果、本作の悪魔合体は過去最高レベルの中毒性を持つようになりました。


イケニエにする仲魔の経験を十分に積ませるために長い長いレベリング作業を行い、合体時に欲しい技が出そろうまで粘り続けることが当たり前に。本作のプレイ時間の20%は悪魔合体の時間であると断言できます。それはあまりにも辛い苦行。しかし、思い通りの悪魔を作り上げた時の快感を思えば、容易に乗り越えることができたものです。当時は若かったのかもしれません。

「イケニエ合体」は『ペルソナ5』でも若干形を変えて採用されています。少し制約が加わった反面、逆に使いやすくなったところも。また、「ランダム継承」は完全にオミットされ、継承する技を自分で選択できるようになりました。これははっきりと改善された言ってもいいかもしれません。「ランダム継承」は、結局欲しい技が揃うまで粘るのですから、いたずらにプレイ時間を引き延ばすだけのシステムだったと言えるのかもしれません。

今回のリマスター版はリメイクではないため、合体システムは当時のものそのままになっていると思います。『ペルソナ4G』以降のシリーズしかプレイしていない人は、なかなか苦しいところもあるかと思いますが、これも本作の醍醐味と思って挑戦してみてほしいものです。

「ロウとカオス」から一皮むけた 新しい思想を選択するストーリー


ロウとカオスとニュートラル、どの生き方を選ぶのか。これが『女神転生』の物語的な軸になっています。単純な善悪では語れないいくつかの正義。どの言い分もそれなりに正しく、どの言い分にも納得できない部分がある。単純に見えて意外と深いこのテーマが根底にあるからこそ、『女神転生』シリーズはいまだに議論する楽しみのある作品として愛されてきました。


『真III』はそれまでのロウ、カオス、そしてニュートラルという軸にとらわれない新しい価値観を提示。「コトワリ」とよばれる思想は、これまでの三つの軸の延長線上にありながら、非常に極端なものとなっています。

初めて本作を遊んだ時には、「まあ、またロウ、カオス、ニュートラルなんでしょ?」という、若干のマンネリズムを感じていたように思います。序盤で東京が崩壊し、新しい世界が生まれる。世界にはロウらしい組織や、カオス思想の集団も見られ、いつものようにどちらかを選ぶ戦いに巻き込まれるのだろうと高をくくっていたものです。

ところが中盤、とある展開を受けて「この作品は何か違う!」という印象を受けました。これまでの定型を超えた、何か新しいことに挑戦しようとしているという気概が強く感じられたことを今でも覚えています。

『女神転生』の根本的な魅力は、今まであったようで無かったものを常に提示し続けてきたことです。基本に忠実なのに全く新しい天使や悪魔のデザイン。神と悪魔のRPGにハードロックの曲を乗せる発想。ドラクエやポケモンにも先んじた、モンスターを仲間にして合体させるシステムの導入。常に進化し続ける戦闘システム。そして、単純な善悪を超越した選択を迫るストーリー。


常に新しいことに挑戦していた『女神転生』シリーズが、お約束から抜け出し、新たな境地を目指した先が「コトワリ」という価値観だったような気がします。17年経過した今だからこそ、この『真III』の物語の持つ伝統と革新性に触れていただきたいと思います。



ここまで紹介した以外にも、様々な特徴を備える本作。重苦しい世界の中で登場する愉快なキャラクターたちはどれも魅力たっぷりですし、ダンジョンは複雑でいやらしく歯ごたえ十分。後半に行くほど難しいのはもちろんですが、筆者は何度やっても「カブキチョウ捕囚所」で一度は詰まってしまいます。また、「マガタマ」を集める際に立ちはだかる大きな障壁である「アサクサパズル」なども忘れてはいけません。


今回のHDリマスター版は、葛葉ライドウが仲間として登場。それに加えてなんと有料DLCで『デビル・メイ・クライ』シリーズのダンテを仲魔にすることも可能となっております。両方の選択肢を兼ね備える本作は、間違いなく『真・女神転生III』の決定版になると言えるでしょう。

本記事では、続編である『真・女神転生IV』ではなく、『ペルソナ5』との比較を多めに入れました。これは筆者個人が、『ペルソナ5』こそ『真・女神転生III』の正当な進化の先にある作品だと感じているからです。様々な面で全く異なる作品ですが、実際に両方を遊んでみると根底に流れる楽しさはやはり同じだと感じるのではないでしょうか。

最近の作品や『ペルソナ』シリーズしか遊んでいないという人は、是非この機会にプレイすることを強くおススメします。そして、昔からのファンの人は指折り発売の日を待つことにしましょう。
《竜神橋わたる》

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