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自分が直接驚かされることの次に怖いことは・「イキサキ探し」夜住アンナ【令和遊戯研究室】

オンライン進行型コーリングホラー「イキサキ探し」についてお話をお伺いしていきます。

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自分が直接驚かされることの次に怖いことは・「イキサキ探し」夜住アンナ【令和遊戯研究室】
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今回の「令和遊戯研究室」は、株式会社BAKERUという会社でホラープロデューサーとして活動されている夜住アンナさんをお迎えして、僕がこのコロナ禍で一番おもしろい!と思ったオンライン進行型コーリングホラー「イキサキ探し」についてお話をお伺いしていきます。

ホラーコンテンツなのに、「驚かされない新体験」。暗くて、狭くて、怖いというホラーの常識を全てをひっくり返したからこそ、作りあげられた新体験の裏側をお聞きしました!

カイジエンド(以下、カイ)まずは、「イキサキ探し」すごくおもしろかったです! オンラインコンテンツの中の体験で抜群によかった。コロナでちょっと止まっちゃっていたこの連載の再開の第一回として、このコンテンツは絶対に触れておきたかったので。


イキサキ探し

夜住アンナさん(以下、夜住)ありがとうございます。

カイまずは、夜住さんの自己紹介的なお話をお伺いしたいです。


夜住はい。現在は株式会社BAKERUというところでホラーのプロデューサーとして所属させていただいております。もともとは貿易の専門学校に通い一度貿易会社に就職もしたのですが、たまたまその後に出会ったホラーイベントに魅了されてしまい、絶対にホラー業界に入りたい! と思ってしまってその会社は半年で辞めて上京したのがホラー業界に入ったきっかけです。

カイ貿易の専門学校というのは、まためずらしいですね! ホラー自体にはもともと興味はあったんですか?

夜住ホラー、というか、わたしは物心ついたころから死についてすごく興味を持っていて。死への恐怖をどう克服するかをずっと考えているような子どもでした(笑)。

カイすごい子どもだ……。

夜住それで死への恐怖を克服するための自分なりの方法がホラーに向き合い続けることだったので、ホラー映画とかはすごく好きだったんです。

カイそれがそのホラーイベントで覚醒した感じですかね。

夜住そうですね。でも結果、いま天職だと感じているのでよかったです。

カイ業界に入ったあとのお話もお伺いしたいです。

夜住そのホラーイベントを作っている方々にコンタクトを取って、イベントの手伝いをしていました。そこから上京して、いろんな場所でホラーイベントの現場で制作と運営をしていて、自分で作るようになってきたのは割と最近です。

カイホラー業界のステップアップってどういう形があるんですか? 最初は企画からスタートするんではなく、現場からスタートすることが多いんでしょうか?


夜住うーん。明確に道筋がないんですよね。勉強する場所もないし、当然ですが専門学校もないし。誰かが上司になって教えてくれるわけでもないので……。わたしはイベントの運営から見て学んで、真似してってところからはじめたんですが、他のホラークリエイター的なお仕事をされている方もいろんな入り方があって、さらにその先もいろいろな表現方法がある業界だと思います。

カイホラーってコンテンツ自体の歴史は長いのに、お化け屋敷などの手法が受け継がれていくわけではないんですね。では、お手本みたいなものがないなかで、どういう風に作られているんでしょうか?

夜住わたしの意見ではありますが、お化け屋敷の歴史ってホラー映画やホラーゲームの歴史と似ていると思っています。ホラー映画でゾンビが流行ったらお化け屋敷でもゾンビが出てくるようになる、みたいな。

カイホラー業界にもトレンドがあるんですね。

夜住そうですね。ちょっと前だとJホラーと言われる日本のホラーが流行していましたが、最近だと「IT」ブームから、ピエロが流行っています。もちろん、ウォーキング・デッド以降のゾンビの流行もまだ続いていて、それもあってアクションゲームのようなお化け屋敷が流行っているんだと思います。

カイそういうトレンドがある一方で、その先の表現方法を自分なりに見つけていくなかで夜住さんが見つけた方法はどんなものだったのでしょうか。

夜住わたしは、まずベースにお客様に尽くしたい、エンターテインメントを届けたいという気持ちがすごく強くあります。あくまでもエンターテイメントとして楽しんでもらいたいので、自分自身は怖くて過激なものが好きなのですが、お化け屋敷が苦手な人はすごく多い。なので、そういう苦手な人へホラーをどう魅力的に伝えることが出来るんだろうと思って作っています。

カイ確かに、「イキサキ探し」でいうと怖い! っていうよりおもしろかった! という感想でしたね。

夜住お化け屋敷って、直接「わっ!」って驚かされて怖い! という方が9割だと思うんです。それに、暗くて、狭くて、怖い、みたいな三拍子も揃っている。でも、それを全部逆にしたらどうなるんだろう?というのを試してみていますね。なので、積極的にお化け屋敷っぽくないもの、をやっています。

カイではちょっと前後してしまうのですが、この「イキサキ探し」についても改めてご紹介いただけますでしょうか。

夜住「イキサキ探し」は「オンライン進行型コーリングホラー」と銘打っているのですが、SNSやアプリの通話機能を使って遊べる物語体験コンテンツで、プレイヤーは実際に物語の登場人物と直接通話ができることが最大の特徴になっています。“あなた”が物語の登場人物をSNS上でフォローするところから始まり、友達として投稿にコメントできるなど、事前にあなたと登場人物の関係性を築き、その後物語がはじまると、とあるトラブルに巻き込まれ、困って連絡してきた登場人物の為に一緒に行き先を探してあげる物語を楽しんでいただきます。

カイありがとうございます! ここでさっきのお化け屋敷っぽくないもの、の話に戻るんですが、お化け屋敷って暗くて狭いなかに入って、声を出すにしても叫び声くらいで、一緒に行った人と楽しむってことは少ないと思うんですが、この「イキサキ探し」に関しては、まわりとコミュニケーションをすごく取っていたし、時には励ましあったりしていました。だから確かにお化け屋敷のイメージとは真反対にありました。

夜住そうですね。ずっとその場所にとどまっていたくなるようなお化け屋敷にしたいと思っています。もちろん、その奥にある怖さみたいなものは常に演出できるようには工夫しているのですが……。


カイ「イキサキ探し」の怖さ、は特にどこを意識されたのでしょうか。

夜住本来であれば、お化け屋敷の怖さって自分が直接驚かされることだと思うんです。でも、このコロナ禍では当然それが難しい。なので、自分が直接驚かされることの次に怖いことはなんだろう?って考えて、それは自分には危害はないけれど、自分の友人が間接的に死んでしまうことなんじゃないかって考えました。なので、「イキサキ探し」は、その恐怖感、切迫感、そして罪悪感を楽しんでもらえるように設計しています。

カイ僕はLINE通話でやったからか、よりリアルですごく生っぽかったんですよね。だから彼女に対してすごく親身になれたし、いつも友人と接するような感じで話しやすかったです。通話にする、ということは企画段階から決めていたんですか?

夜住そうですね。Zoomをみんなが使うようになって、すごく視覚に頼っている気がしたんです。視覚に頼りがちな時代だからこそ、その視覚をあえて消してしまいたかった。心に向き合って欲しかったんです。主人公の顔も最後まで隠しているのはそのためです。

カイ確かに、主人公ーー「イキサキ探し」でいうと「ひとみん」の顔って最後の最後まで隠されていたんですよね。顔が見えていたら選り好みというか、好みでストーリーに入っていける度合いが変わってしまう気がしていて……。僕個人としては、乙女ゲームとかの恋愛シミュレーションゲームなんかも、絶対に主人公に顔なり人格なりがあってほしくなくて。顔があると、自分が選択肢を選ぶんじゃなくて、この顔の主人公だとどれを選ぶんだろう……って考えてしまうんですよ。

夜住(笑)そうですね。とは言え、きちんと一人の人格を持った自分の友人という前提にはあって欲しかったので、SNSを見ると彼女のパーソナルな部分、性格だったり、服装だったり、は分かるようにちゃんとなっているんです。

カイそうやってすごくこだわって作られた「イキサキ探し」ですが、制作時の大変だったエピソードや、悩んでいたことなんかもお伺いしたいです。

夜住「イキサキ探し」は、ヒントをあえて少なくしているんですが、そこが最初は「なにをすればいいのかわかんない」と言われてしまったことがありました。

カイ謎解き、じゃないんですもんね。僕らも途中で気がつきました。これはコミュニケーションを取りながら楽しむもんなんだって。

夜住そうですね。でも、ゴールの分からなさ、はわざと作っていて、それがリアルに繋がるんじゃないかな、と思っています。

カイ確かに、リアルの世界ではゴールなんてないですもんね。

夜住はい。「イキサキ探し」は、リアルとフィクションが交差して溶け合ってわかんないようなイメージで作っています。ただ、リアルなところはちゃんとリアルに作り込みたくて。なので、ちゃんとロケハンに行って、その場所で撮影をして、その撮影のときには物語に関係ないものまでちゃんと残しておいたりして。なので、意外と物語に関係のない部分までひとみんに聞けば返ってきますよ(笑)。

カイそれはすごいです! 改めて、会話のログを見ると、この仕組みもすごかったな~って思います。会話のログとともに感想戦ができるのってかなりめずらしいですよね。

夜住そうですよね。最初はもっと通話を長くしようと思ったのですが、体験者同士で状況について話し合える時間を作りました。

カイそれも先ほど夜住さんがおっしゃっていた「心に向き合って欲しかった」に繋がっているんでしょうか。

夜住そうですね。通話の向こう側の世界を通して自分の心にも相手の心にも向き合えるし、人と人との繋がりを感じてもらえるコンテンツになったと思います。


カイ多分、「イキサキ探し」を楽しまれた方はすごく気にされていると思うんですが、2のさらにあと、ということは考えていらっしゃいますか。

夜住3はまだ検討中です。1から2を作るときもかなりハードルが高くって。おかげさまで1をすごく気に入っていただける方が多かったので、どう超えるかがすごく難しいですね(笑)。

カイ僕はまだ2の方はやれていないのですが、本当に前作を超えるのってどこの世界でもハードルが高いですよね。

夜住はい……。やっぱり、なにも知らない状態で出会う「こういうシステムでこういうことなんだ!」っていう衝撃は超えられないと思うんですよね。なので、同じシステムのなかで楽しんでもらえるにはどうしたらいいんだろう、と考えていきました。でも、1の方が最初は参加しやすいと思います。

カイもちろん、あのシステムはすごいんですが、それ以上にリアルさが一番の売りで、そこが他のオンラインコンテンツと比較して頭ひとつ抜けている部分だと思うので、心配されることはないかなと思います(笑)。では、今後夜住さんが考えている、どこに行きたいか、というかどういうものを目指しているのかを教えてください。

夜住わたしは、没入型の体験コンテンツとしての最上級って、それが非現実ではなくなることだと思っています。例えば、「イキサキ探し」が終わったあとに、明日もあさってもひとみんから連絡がくる。これはもうひとみんは存在するじゃないですか。みんながこの子は友だちだって認識することが理想で、極限だと思っています。その人の人生に影響を与えて、その人の人生の事実として存在させること。それが一番作って見たいことですね。

カイそれはすごく壮大ですが、実現したらおもしろいですね。リアルもフィクションも地続きっていうことですよね。

夜住そうですね。帰らなくていい場所、っていうんですかね。テーマパークって、その場所ではすごく楽しんですが、帰ってくるとまたリアルに戻ってくる感覚があるんじゃないですか。でも、リアルのなかにフィクションがあるコンテンツ作りに挑戦して見たいです。

カイでは最後になるんですが、コロナ禍でのオンラインエンタメのありかたについてお伺いしたくて。僕自身は、リアルは少しずつ揺り戻しが来るとは思うんですが、オンラインもオンラインでどんどん広がってくると思っていて。最近あるアーティストのライブをオンラインで見ていたのですが、みんな同じ価格なんですよね。みんな同じ席から見ているんだな~って。普通ライブってS席、A席、とかで分かれていて、価値も価格も違うのに。オンラインでももしかしたらこういった差がなんらかの形で出てくるんじゃないかと思っています。

夜住わたしも揺り戻しはくると思っています。でも、あくまでもハイブリッドになるんじゃないかと思っていて。リアルな場所でできることでも、リアルで参加したい人もいるし、でもオンラインで参加したい人もいる。その選択が出来るようになると思っています。そのため、個々への接客をちゃんと確立しないといけないとも思っています。パーソナライズされた接客、ですね。

カイそれでいうと、「イキサキ探し」は完全にパーソナライズされていますよね。

夜住そう言っていただけるとうれしいです!

カイ引き続き、夜住さんが作られるコンテンツ、楽しみにしています!そして「イキサキ探し」の続編「―結付編(ムスビツキ編)―」も早く体験したいと思っています!本日はありがとうございました!

夜住ありがとうございました!



■夜住アンナさんについて


ホラープロデューサー/アーティスト
体験エンターテイメント業界でお化け屋敷・ホラーイベントに携わり、お化け屋敷の枠を飛び越えた独自の感性と哲学で“美しく怖いホラー”の世界を創り出す、唯一無二のアーティスト兼イベントプロデューサー。
お化け屋敷、体験型のホラーイベント、イマーシブ、オンライン体験コンテンツなどの企画.プロデュースを通じ、ストーリー性のあるエンターテイメントを提供。
《カイジエンド》
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