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アクションRPG『鬼ノ哭ク邦』開発者インタビュー!ハクスラ要素や鬼ビ人に関する話題も【E3 2019】

『いけにえと雪のセツナ』『LOST SPHEAR』の開発で知られるTokyo RPG Factoryによる新作アクションRPG『鬼ノ哭ク邦』。米ロサンゼルスで開催されたE3 2019において、本作の開発者にインタビューする機会を得ることができました。

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『いけにえと雪のセツナ』『LOST SPHEAR』の開発で知られるTokyo RPG Factoryによる新作アクションRPG『鬼ノ哭ク邦』。米ロサンゼルスで開催されたE3 2019において、本作の開発者にインタビューする機会を得ることができました。

今回インタビューに応えてくれたのは、プロデューサー佐々木隆太郎氏、ディレクター橋本厚志氏、クリエイティブ・プロデューサー時田貴司氏の3名です。


――まずは自己紹介をお願いします。

佐々木氏:プロデューサーの佐々木です。弊社ではずっと宣伝を担当しており、最近だと『OCTOPATH TRAVELER』『NieR: Automata』の宣伝プロデュースをやっていました。Tokyo RPG Factoryですと、『いけにえと雪のセツナ』『LOST SPHEAR』の宣伝は僕がやっていたんですが、この三作目からはプロデューサーとして参加することとなりました。

橋本氏:ディレクターの橋本です。Tokyo RPG Factoryの一作目である『いけにえと雪のセツナ』と二作目の『LOST SPHEAR』のディレクターをしており、三作目となる本作でもディレクターを務めています。

時田氏:今回はクリエイティブ・プロデューサーという形で参加している時田と言います。元々スクウェアのファミコン時代からドッター、プランナー、ディレクター、プロデューサーと色々とお仕事をさせていただいています。Tokyo RPG Factoryでは一作目の『いけにえと雪のセツナ』から監修といいますか、オブザーバー的な立場で相談に乗ったり、協力してきたのですが、三作目となる本作は企画の立ち上げから一緒に作品を作っております。

――今回、E3での出展ということで、海外での評判は耳に入ったりしていますでしょうか?

佐々木氏:感じてます。本作独特の世界観を目指して作ったわけで、「和」のゲームを作ったわけではないのですが、その根底には「東洋らしさ」というキーワードがあります。ロゴの「鬼」という文字も相まってか、非常に海外のユーザーさんに興味を示していただけて、本当に良かったと思っています。

――本作のタイトルに込めた意味はどういったものなのでしょうか?

佐々木氏:それを話してしまうと、シナリオに深く関わってしまうのですが…

橋本氏:「鬼」っていうのは最初からあった気がします。

時田氏:うん、和風で、しかもちょっとエッジを効かせて…って色々考えていった結果、佐々木の方から自然と出てきた感じですね。

佐々木氏:今のものとは異なるのですが、シナリオのプロットが出来たところで、狙っていた世界観の方向性は定まっていました。そこで適切な言葉をチョイスし、色々組み合わせて考える中で、『鬼ノ哭ク邦』というタイトルができました。シナリオライターの稲葉さんに、こんなのどう?っていくつかお見せした中で、「これはいいですね」っていうのが、『鬼ノ哭ク邦』だったと。そこからシナリオも一気に進んで、今の形になっていきましたね。


――以前、鬼ビ人が5名明らかになりましたが、それぞれコンセプトのようなものはあるのでしょうか?

橋本氏:バトルを担うキャラクターなので、バトル的にどういった特徴をつけていくかを最初に考えました。「持ちたい武器」っていうのが大事だと思っていて、そういうところからチョイスしています。今回のバランスだと、刀なら軽快なアクションにしようだとか。斧は重い感じにして一撃の気持ち良さを追求しようだとか。槍だと、僕はFFをプレイして育った世代なので、竜騎士っぽい感じにしたいなと思いつつ、ジャンプをフィーチャーしたアクションにしようとか。弓は遠距離攻撃なので、遠距離を生かした立ち回りができるキャラにしようとか。という風にして、一人一人決めていきました。

――武器が先行して、それにキャラ付けをしていったと?

橋本氏:そうですね。最初に武器を決めていったところはあります。ただ、こういうアクションをしたいからこういう武器にしよう、っていうのもあります。その辺はバランスを見て決めていますね。

――過去の二作品はRPGで、本作はアクションRPGと少しジャンルが変わりますが、これはどういった経緯なのでしょうか?

橋本氏:元々はターンベースのRPGを考えていました。主人公が一人で戦ってヒロインを守る、っていうようなゲームを最初考えていたのです。一人なので、ジョブチェンジをしながら戦っていくゲームが面白いんじゃないかと思い、だったらリアルタイムでやった方が面白いんじゃないか、だったらアクションRPGじゃないか、と手順を踏んでいき、最終的にアクションRPGになりました。

――では仲間NPCのようなものは出てこない?

橋本氏:その定義によりますね。

佐々木氏:仲間をパーティの一員に迎えるようなことはないです。

――2つの国を行き来するということですが、ボリュームはどれぐらいなのでしょうか?

橋本氏:普通にクリアするのであれば、30時間ぐらいでしょう。

佐々木氏:最初は20時間ぐらいを目指していたんですけどね。

時田氏:ハクスラ的な遊びもあります。普通にシナリオを見ながら、キャラクターを育て、カスタマイズすると、30~35時間ぐらいかかるようになりましたね。

――ハクスラはクリア後のやり込み要素にもなってくるのでしょうか?

時田氏:そうですね。

佐々木氏:時間をかけて遊んでいただこうと思えば、たぶん何時間で終わる、というものではないですね。周回をするような作りではありませんが、やり込んでもらう分には好きなだけやれるような形にはしています。


――鬼ビ人は何人出てくるのでしょうか?

佐々木氏:両手では足りないですね。

――鬼ビ人は武器の代わりなのでしょうか?それとは主人公は別に武器を装備するのでしょうか?

佐々木氏:両方ですね。鬼ビ人たちが装備する固有の武器がありますし、主人公のカガチも同様に武器を装備します。

――各鬼ビ人について語られるストーリーは出てくるのでしょうか?

佐々木氏:鬼ビ人って、元々迷イ人が稀に非常に強い想いを持っているがゆえに魔物化もできず、輪廻天生の輪に戻ることもできず、鬼ビ人という特別な存在になっているんですね。彼らは記憶を失っています。なので、カガチに出会う時というのはあまりバックボーンがわからないんです。ただ、そこを掘り下げていくようなシナリオというのは一応用意しています。

――それはサブシナリオ的なものでしょうか?

佐々木氏:そうですね。そういった楽しみ方になると思います。

橋本氏:面白い形で入っているので、楽しみにしてもらえればと思います。

――キャラの成長は主人公と鬼ビ人で別々なのでしょうか?

橋本氏:一応、主人公カガチの成長要素と鬼ビ人の成長要素はあるんですが、メインとなるのは鬼ビ人の成長要素かなと思います。

――成長していくことで新しい技のようなものも覚えていくのでしょうか?

佐々木氏:そうですね。鬼ビ人は技もそうですし、能力もそうですし、その辺は任意で育てていくようになります。


――鬼ビ人は戦闘中にも任意で切り替えられるそうですが、切り替えないと厳しいバランスになっているのでしょうか?

佐々木氏:切り替えた方がいいですね。切り替えなくてもやれないことはないですが、辛いと思うことが結構あるかもしれません。それでもクリアはできると思います。

橋本氏:特定の鬼ビ人を使いたい、っていう人もいるので、そういうユーザーもいるだろうというのは踏まえた上で作っています。ちょっとキツイところはあると思いますね。

――一人の鬼ビ人だけで進んでいくという縛りプレイ的なものもできなくはない?

佐々木氏:できなくはないです。もしくは、鬼ビ人自体をあまり増やさずに進めていくっていうことも可能かもしれません。

――本作を作る中で力を入れている点は?

佐々木氏:実際ゲームを作るのは橋本以下、クリエイターたちなんですが、そこにこの作品ならではの雰囲気とか、目指すべき方向を指し示すのが、時田もそうだと思うのですが、僕のこだわりの役目かなと思ってます。プロデューサーの仕事ですね。タイトルもそうですし、どういう絵を描いてもらうかっていうのもそうですし、作品全体を通しての雰囲気作りですね。

橋本氏:絞るのは難しいですね。このプロジェクトに参加した時は、時田さんとやれるということもあったので、エグいというか、人の心をかきむしるようなストーリーを作ろうと思いました。しかしアクションRPGを作っているとアクション性を追求したくなりますし、鬼ビ人のところとか、アクション部分はかなり力を入れて作っています。大きくはその2点ですね。

時田氏:僕は開発にべたについてるわけじゃないんですが、それだからこそどうインパクトをつけるかとか、開発が困った時にどうメリハリをつけた方がいいだとか…弊社にも多くのゲームがある中で、本作が新作としてどうインパクトを出すか。ユーザーの皆さんにもいい意味で驚きを与えられたらいいなと、一緒にこうした方がいいんじゃないかとか、いらないんじゃないかとか、メリハリをつけるのが僕の仕事だったかと思いますね。ただ(開発も)後半になるとそれどころじゃないので、それ以前に迷うところをいかに迷わせないか。

佐々木氏:時田さんが意見を出せてたのは、去年末ぐらいまでですね。今年になってからはなかなか難しい。ブレーキはかけない方がいいので。そういう時に余計なこと言って微妙な空気になる現場はたくさん見てきましたし。

一同(笑)

佐々木氏:目指すところははっきりしているけど、どういうルートでそこにいくのか。時田は、道が外れちゃった時に、ゴールはここだよと指し示してくれていました。

橋本氏:開発ってやってるとどうしても視野が狭くなっていってしまうので、外からものを言ってくれる人ってすごく大事。時田さんにはそういう役割をやっていただいていました。

時田氏:僕らの時ってロムカセットでメモリが少なかったんで、最終的には自分たちが引かないと入らないんですね。入れたいものが入れられなかった。でも今はメモリ的に入っちゃうので、みんないくらでも増やそうとしてしまう。でもスケジュールはあるし…。色々つっこんで、色々楽しいけれども、ゲームにメリハリがなくなってしまう。体験としても、模様が均一だと飽きてしまうじゃないですか。やはり緩急あった方がいい。ジェットコースターも怖いだけだと怖くなくなってしまう。そういうメリハリのつけ方は磨いてきたものなので、そういうところは気がついたら、こうやった方がいいよ、と言ってきてますね。


――今回、テーマは「死」や「輪廻転生」と重いものですが、どう言った過程でこうなったのでしょうか?

橋本氏:割と最初からですね。僕自身が今回はそういう方向でいきたいなというのがあったんですけど、一作目、二作目以上にユーザーの感情を揺さぶるというか、かき乱すというか、ユーザーに与える感情はもっと深いところまでやってもいいんじゃないかと。経緯があったというよりも、最初からそういう風にしたいなと。さらに時田さんがどうした方がいいとか、お前らまだまだ甘いとか(笑)あった感じですね。

時田氏:やっぱり『いけにえと雪のセツナ』ってタイトルのインパクトもそうですけど、あれだけで「これやったらこうなるんだろうな」っていうインパクトがあったと思うんです。それに負けないぐらい、でも違うベクトルでって考えてましたね。

――当初(過去作を含め)三部作ということでしたが、この次は何かお考えですか?

佐々木氏:今後のことはまだほぼほぼ考えてないに等しいです。3つはやるよ、ってお話はさせていただいていたんですが、それぞれ繋がった話でもないですし、独立した作品として3つやろうと。それもあって、今回はスタイルもガラッと変えましたし、いわゆる過去作の延長線上のゲームを作る必要はないんだよ、というのは僕と時田が合流した時に強く開発の方に言ったことでもあります。同じことをやる必要はないと。新しいことをゼロからやっていいんだよと。

橋本氏:開発としては三部作といってもそんな感じはしなくて、一本一本必死な思いで作っています。最初から見据えて三部作にしました、ということではありません。それぞれ一本の完結したストーリーを作る中で、例えば『LOST SPHEAR』では『いけにえと雪のセツナ』のこのネタを入れてみようとかそういうことはありました。『LOST SPHEAR』を作っている時、偶然モチーフが月になったので、『いけにえと雪のセツナ』と繋げて「雪月花」というのは冗談で言ってました。今回は一応「花」にしようねということはありましたが、「花」を推しているかというと、そんなことはありません。

佐々木氏:ビジュアルの中に「花」の要素は入れています。

橋本氏:意識していないわけではないけども、かといって三部作を意識して作ったわけではないのです。


――本作ではアクションの爽快感を重視しているのでしょうか?それともRPGらしさを重視しているのでしょうか?

橋本氏:アクションとしての爽快感は大事だなと思っているので、アクションとして追求しています。ただアクションRPGなので、アクションRPGとしての要素も大事だと思っており、そこはどっちを取るとどちらかがなくなるということではないと思っているので、両方とも良いとこ取りできるようにしています。

――最後に、本作を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

時田氏:いよいよ発売日も決まりまして、Tokyo RPG Factoryの三作目『鬼ノ哭ク邦』が皆さんに遊んでいただけます。うちの会社は非常にたくさんのIPがあったり、スマートフォンも含めて僕らも把握しきれないぐらいタイトルがあるんですけど、佐々木が宣伝を担当した『NieR: Automata』であったりとか、新作でも新しい成功例が出てきています。これには僕らも勇気をもらっており「新作でもトライできるんだ」「やっぱり新しいの作りたいよね」とクリエイターもみんな思っています。ユーザーも安心のブランドという意味ではIPってすごく大事なんですけど、やっぱり「スクエニってこんなこともやるんだ」っていう期待をいい意味で裏切る事ってすごく大事だと思い、そういう意味で今回チャレンジ出来ていると思うので、ぜひ遊んでみてください。

――ありがとうございました。



『鬼ノ哭ク邦』は、PS4/スイッチ/PCを対象に、2019年8月22日発売予定です。

左から、橋本氏、時田氏、佐々木氏
《SEKI》
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