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『デビル メイ クライ5』誕生の経緯にゲーム業界への道を学ぶ―ヒューマンアカデミーにて行われたセミナーをレポート

ゲーム業界を目指しているわけではなくとも、ゲーム好き、『DMC』シリーズファンであれば楽しめる開発秘話やこぼれ話が満載でした

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3月24日、総合学園ヒューマンアカデミー横浜校でゲーム業界を志す人に向けたセミナー「デビル メイ クライ5(以下『DMC5』)開発ログ」が開催。『DMC5』でプロデューサーを務めた株式会社カプコンの岡部眞輝氏、マシュー・ウォーカー氏、そしてディレクターを務めた伊津野英昭氏が登壇し、クリエイターになるまでの経緯や『DMC5』開発の約3年半を振り返るトークを行いました。

◆『DMC5』を生み出した伊津野氏とウォーカー氏の経歴


2019年3月8日にPS4/Xbox One/PCで発売された『DMC5』は、『デビル メイ クライ』シリーズの最新作。海外へのロケハンや、実在のモデルや俳優を起用したフォトリアルな絵作りがそれまでのシリーズと一線を画する雰囲気でありながら、「スタイリッシュアクション」と謳われたアクションの作り込みや楽しさはシリーズの魅力そのままで、ユーザーから高く評価されています。開発規模はカプコン社内で150~200名程度、外部の協力会社が200名ほどで、総勢400名規模のスタッフで制作されたそうです。

写真左からマシュー・ウォーカー氏、伊津野英昭氏、岡部眞輝氏

セミナーの最初のテーマは、伊津野氏とウォーカー氏がゲーム業界に入るまでの話。「(アメリカ人だから)自分の経緯はみなさんの参考にならないかもしれませんが」と笑いつつ、口火を切ったのはウォーカー氏です。同氏は幼少時から日本のゲームが大好きで、「将来は日本のゲームメーカーで働きたい、日本の開発者たちの力になりたい!」と思っていたそう。その左腕にはタトゥーがほられていますが、よく見ると、なんと日本の某有名タイトルをモチーフとした絵柄なのだから驚きです。

強い意志で来日を志したら、あとは一直線。プログラミングと日本語を学んで、いったんはアメリカで就職しつつも日本で働く機会をうかがいます。そうして、縁あって知り合ったカプコンのプロデューサーから「採用試験を受けてみたら?」と声をかけられて応募。晴れて2010年に中途入社でカプコン社員となりました。

入社して最初に携わった作品は2012年発売の『バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ』。当時の肩書はプロダクションコーディネーターで、日本とカナダにある開発チーム間のメールの翻訳、打ち合わせの通訳などを手がけました。その後は岡部氏とともに『バイオハザード リベレーションズ2』の制作に参加。ここではプロダクションマネージャーとして、プロデューサーを務める岡部氏をサポート。会議のセッティングや制作の進行・管理などを担当したそうです。「プロデューサーで一番大切なのは人とのやりとり。コミュニケーション力がもっとも必要とされる役職です(ウォーカー氏)」。


次の話題は伊津野氏の学生時代。カプコンに勤めて25年という伊津野氏の少年時代は、ご本人いわく"マニア"。小学生時にはまだファミコンが発売されておらずTVゲームブームが訪れていませんでしたが、アニメ、特撮、おもちゃ、プラモと、当時の子供が夢中だったものはなんでも好きだったそうです。

中学に入るとファミコンが発売されてゲームにも夢中に。その一方で体を動かすのも好きで、水泳やテニスにも傾倒。さらには中学~高校時代は学園祭の実行委員も務め続け、学生新聞でほかの新聞と意見を戦わせたり、出し物の演劇では演出、脚本、美術、役者となんでも担当し、高校では自主制作映画を撮り……と八面六臂のアクティブさ。「人にエンターテイメントを提供できるなら、なんでも好きだった(伊津野氏)」。

大学卒業をひかえ、就職はどうしようかという時期に、偶然ゲームデザイナーの募集を発見。当時の伊津野氏は"ゲームデザイナ―は、コンテストなどで優勝した人がスカウトされてつく職業"と思っていたそうですが、「そうではなく普通に目指せるのであれば」とカプコンに応募し、見事内定をゲット。ちなみにカプコンを選んだ理由は「実家から通勤できるので、貯金がはかどりそう」というものだったそうです。

1994年にカプコンに入社した伊津野氏は、アーケードゲーム部門に配属。『クイズ&ドラゴンズ』、『クイズ殿様の野望2 全国版』、『ストリートファイターZERO』に携わり、その後『クイズなないろDREAMS 虹色町の奇跡』 、『スターグラディエイター』、『私立ジャスティス学園 LEGION OF HEROES』、『パワーストーン』など、多くの名作を送り出しました。

PlayStationオフィシャルサイトソフトウェアカタログ『ストリートファイターZERO』紹介ページより

入社2年目となる1995~96年頃には社内にディレクターの役職ができ、それと同時に伊津野氏もディレクターを務めることになったそうです。「ディレクターとは、クオリティや納期など、作るゲームのすべてに責任を負う人です。シナリオを書けて、絵も描けて、プランニングができて、マーケティングにも精通しており……というのが理想ですが、数百人規模で作るのが普通の今はそれも難しい。僕は、自分より優れた手腕を持つ人がいる分野での判断はその人に一任しています。「自分が任せたこいつの判断なら、たとえそれが間違っていたとしても心中できる」……そのくらいの信頼関係を築いておくのが大切です(伊津野氏)」。

岡部氏は視点を変えて「新入社員がゲーム制作で気を付けるべきこと」について言及。カプコンは新人教育の一環として、入社1年目の新人同士でチームを組んでゲーム開発を行うインターンシップ「GameJAM」をたびたび開催しており、参加者は作り上げたゲームをカプコンの先輩たちに評価してもらうことができます 。

岡部氏がそうしたゲームを見るにつけ気にしているのは「"おもてなし感"があるか」というもの。おもてなし感とは、具体的には"そのゲームで遊ぶ人を楽しませようとしているか、おもしろいと思わせようとしているか"だとのことです。「この"おもてなし感"を持てない人は、魅せるゲームを作ることは難しい」と語りました。

◆『DMC5』開発を振り返って


セミナーの後半は『DMC5』制作の約3年半をスライド写真とともに振り返るパートに。まずは伊津野氏から、制作が始まったきっかけが語られました。簡単にですが、以下に概要をまとめます。

・『DMC5』開発のきっかけとコンセプト
DMC5』を世界的なヒット作品に仕上げたい――上層部にそうかけあった伊津野氏に提示された条件は「E3のような世界レベルのAAAタイトルが顔を並べる場所でも、来場者が思わず立ち止まって見てくれるような映像にしあげること。その手法(見せ方)は問わない」というものだったそうです。

・デビルブレイカーをデザインした河森正治氏とのエピソード
河森氏は伊津野氏にとって憧れのデザイナーの1人で、河森氏の有名なエピソードでもある「自身のデザインしたものが物理的に変形可能かどうか、レゴブロックで組み立てて検証する」を実際に目の当たりにできて大きな感銘を受けたそうです。

・各セクションのリーダーで合宿
DMC5』の制作開始当初、伊津野氏が行ったのは、カプコン研修所での合宿。各セクションのリーダーが集まって1週間缶詰になり、毎日10時間近くの打ち合わせをしてゲームの骨子を固めたとのことです。

・ロンドンへのロケハン
まず、どのようなステージを作るかをあらかじめ固めておき、その後美術背景を手がけるスタッフやアーティストが実際にロンドンへおもむき、現地を見て回りました。

・ビデオコンテの制作
CGムービーの制作時に伊津野氏が採用しているのが、映画業界で用いられている"ビデオコンテ"という手法。開発スタッフやアクターの力を借りて、まず実写で"映像の絵コンテ"を作成することでCGムービーの制作コストを抑える算段です。伊津野氏は「ビデオゲーム制作においてこの手法を取り入れたのは『デビル メイ クライ3』が最初だと思う」と語りました。

・ネロ役の俳優を選定
ネロ役から始め、主要キャラは全てファッションモデルを起用。ロンドンのモデル事務所をあたってオーディションを行いました。専用の設備で撮影&スキャンを行い、細かい表情がつけられていきました。

・世界を股にかけたプロモーション
そうしたさまざまな制作作業と並行して、プロデューサーはプロモーションのために世界各地を飛び回ります。努力が実り、『DMC5』は発表されるや否や話題沸騰。ネロのバトルテーマ曲「Devil Trigger」が、イギリスのiTunesロックチャートで1位にランクインするほどでした。



約2時間に渡り、非常に興味深いエピソードが語られた「デビル メイ クライ5開発ログ」。本セミナーは、今回の横浜校以外にも、以下の日程および校舎にて開催が予定されています。

4月21日(日):ヒューマンアカデミー神戸校
5月11日(土):ヒューマンアカデミー鹿児島校
5月12日(日):ヒューマンアカデミー福岡校
5月26日(日):ヒューマンアカデミー秋葉原校

いずれも参加は無料。現役で大作に関わっているスタッフから、直接お話を伺うことができるまたとないチャンスです。業界を目指している方のみならず、ファンにも嬉しいイベントになっているので、参加を検討してみてはいかがでしょうか。

「デビル メイ クライ5開発ログ」詳細&参加申込みはこちら
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《蚩尤》

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