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e-Sportsの内容理解は3割程度、興味がない層の取り込みが普及の鍵─NTTデータ経営研究所が調査結果を発表

NTTデータ経営研究所は「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、2018年11月26日~2018年11月27日に実施された、「eスポーツへの興味関心・eスポーツ系ゲーム実施状況に関する調査」の調査結果を発表しました。

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e-Sportsの内容理解は3割程度、興味がない層の取り込みが普及の鍵─NTTデータ経営研究所が調査結果を発表
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(c)Getty Images

NTTデータ経営研究所は「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、2018年11月26日~2018年11月27日に実施された、「eスポーツへの興味関心・eスポーツ系ゲーム実施状況に関する調査」の調査結果を発表しました。

以下、リリースより引用

◆調査結果


本調査では、eスポーツの認知・内容理解の状況やeスポーツ系ゲームの実施状況について調査を行い、やり始めたきっかけ、継続理由、やらない理由の分析を通じて、今後のeスポーツ普及に向けたアプローチのあり方への考察を試みました。

その結果、「eスポーツ」という言葉を聞いたことがある人は、全体の8割近いものの、「内容について、どのようなものか知っている」人は3割程度に留まっており、内容の理解浸透までは進んでいないことが分かりました。

eスポーツ系のゲームをやったことがない最大の理由は、「そのゲーム自体に興味が無いから」でした。また、「学習力の向上や認知症予防などの効果」、「カロリー消費を伴うゲーム」、「将来に役立つ知識や教養がみにつくゲーム」など、実質的な効果が出るようなゲームへの関心がある程度認められました。

日本でのeスポーツ普及に向けては、興味がない層の取り込みや新たな付加価値創造が普及の鍵であるといえます。加えて、「フィジカルスポーツの習慣の有無の影響」についても調査を行っています。

スポーツ活動の習慣がない人に比べて、スポーツ活動の習慣がある人の方が、eスポーツの内容理解率は高く、ポジティブな印象を持っている傾向が強いことが分かり、フィジカルスポーツとeスポーツの連携に向けて示唆を与える結果となりました。

■eスポーツの認知・理解度


「eスポーツ」という言葉を聞いたことがある人は、78.8%に達しているが、「内容について、どのようなものか知っている」人は3割程度に留まっている。日本におけるeスポーツ元年と言われた昨年は、メディア等でも取り上げられ言葉としては知られているものの、内容の理解浸透までは進んでいないといえる。

「内容について、どのようなものか知っている」という内容理解率は、男性の20代から40代で高く、男性20代では45.4%、男性30代では50.0%、男性40代では47.5%に達している。

また、eスポーツに対して抱く印象についての質問で、最も多かった回答は「新しい、先進的(29.8%)」であった。「どのようなものか、イメージがわかない(26.0%)」を除くと、次に多いのが「楽しそう(22.5%)」であり、ポジティブな印象を持っていることが分かる。

一方で、「一部の人が没頭している特殊な趣味」(17.9%)や「不健康そう」(15.2%)といったネガティブな回答も目立つ。若い世代ほど、ポジティブな印象がネガティブな印象を上回っており、その境目は、男性は40代、女性は30代となっている。男性では、eスポーツの内容についてよく知っている若い世代は、ポジティブな印象を持ち、内容を知らない人はネガティブな印象を持つ傾向がある。

■ゲームの実施状況


普段行っている趣味について、ゲームが含まれる回答者は、全体の40.7%であり、ゲームの趣味としての人気は根強いことが伺える。一方で、回答が多かった趣味を多い順にみてみると、スマートフォンゲームは全趣味のうち第6位にランクインしているものの、家庭用テレビゲームは第9位、家庭用ポータブルゲームは第21位、パソコンで行うオンラインゲームは第23位、ゲームセンターで行うゲームは33位という結果となっている。

日本ではゲームというとスマートフォンゲームが中心で、世界のeスポーツ市場の主流であるパソコンで行うオンラインゲームは趣味として人気が高いとはいえない。

趣味にゲームが含まれる人に対して、実施するゲームにおける対戦要素の有無を聞いたところ、「ヒトとの対戦要素はなく、一人で進めることができるゲーム」との回答が84.4%を占めた。対戦要素のない一人で進めることができるゲームが多く選ばれており、「対戦型」が前提となるeスポーツ系のゲームはあまり実施されていないことが分かる。

本調査では1.ストラテジーゲーム、2.シューティングゲーム、3.レースゲーム、4.格闘ゲーム・格闘アクション、5.スポーツゲームを「eスポーツ系ゲーム5種」と定義している。

「eスポーツ系ゲーム5種」のいずれかをやったことがあるかという質問では、全体の44.7%が「実施経験あり」と回答しており、実施経験だけでいえば経験者は半数近い。しかしながら、実施頻度・継続状況に関する質問では、「今は全くやっていない」、「ほとんどやっていない、やるとしても年1回以下」の合計が実施経験者の半数程度を占め、継続的に実施している人は少ないことが分かる。

■フィジカルスポーツとeスポーツの関係


野球やサッカー、マラソンといったフィジカルスポーツの習慣の有無が、eスポーツへの関心を左右するかを分析したところ、スポーツ活動の習慣がない人に比べて、スポーツ活動の習慣がある人の方が、eスポーツの内容理解率は高く、ポジティブな印象を持っている傾向が強いことが分かった。

具体的には、スポーツ活動の習慣がある人の内容理解率(45.9%)は、習慣がない人の内容理解率(27.0%)を上回っており、スポーツ活動の習慣がある人のポジティブな印象(60.9%)は、習慣がない人のポジティブな印象(36.3%)を上回っている。

eスポーツは、ゲームの一種ではあるものの、「スポーツ」という言葉を使っていることで、スポーツに馴染みのある人の関心を惹き、印象を良くしている可能性がある。eスポーツは、ゲームの一種ではあるものの、「スポーツ」という言葉を使っていることで、スポーツに馴染みのある人の関心を惹き、印象を良くしている可能性がある。

■eスポーツ系ゲームを始めたきっかけと継続理由


eスポーツ系ゲームをやり始めたきっかけは、ゲームの種類にかかわらず「知人・友人がやっていて面白そうだったから」、「暇つぶし、なんとなく」が多い。

始めたきっかけと継続率の関係をみると、ゲームの種類によって異なる傾向が現れる。ストラテジーゲームは、「他人から誘われて始めた」人の継続率が高く、78.7%が現在でも半年に1回以上やっている。スポーツゲームと格闘ゲーム・格闘アクションは、「広告や記事、番組で紹介されているのを見た」ことをきっかけにやり始めた場合でも継続率がそれぞれ55.3%、64.4%と比較的高い傾向がある。

また、継続理由としては、いずれのゲームでも、「暇つぶしになるから」という理由が最も多い。ストラテジーゲームは「キャラクターが育つことが楽しい、キャラクターへの愛着があるから」、その他のゲームは「ストレス発散になるから」が2番目に多い。

eスポーツ系ゲームは、現状「暇つぶし」の用途が中心であり積極的な継続理由をみつけることが難しいが、少なくとも「暇つぶしになる」レベルのコンテンツの面白さがあれば継続してもらえる、ともいえる。ストラテジーゲームのように、ネットワーク外部性があるコンテンツは、ロックイン効果が働いている可能性も考えられる。

■eスポーツ系ゲームをやらない理由、やってみたいと思うゲーム


eスポーツ系ゲームをやったことがない理由では、「そのゲーム自体に興味が無いから」という回答が最も多く38.2%であった。その次に、「機器などをそろえることが面倒だから(18.4%)」「他に優先したい趣味があるから(13.2%)」が続く。eスポーツ系ゲームの普及のためには、そもそも興味がない人に興味を持ってもらうことも必要と考えられる。

eスポーツ系ゲームをやったことがない人の趣味が何かをみてみると、旅行、ショッピング、グルメ・食べ歩きといった行動型の趣味、音楽鑑賞、映画鑑賞、読書といった伝統的なコンテンツ型の趣味が多いことがわかる。これらの趣味を好む人にとって、eスポーツ系のゲームの魅力をどう伝えるかが課題であると考えられる。

現在のeスポーツ系のゲームにはない「新しいゲーム」への興味を聞いたところ、「学習力の向上や認知症予防など、脳に良い効果をもたらすゲーム」(23.8%)、「カロリー消費を伴うゲーム」(18.6%)、「将来に役立つ知識や教養がみにつくゲーム」(17.6%)が上位となり、実質的な効果が出るようなゲームへの関心がある程度認められた。

以上の分析から、eスポーツ系ゲームをやらない人に対するアプローチとして、興味を刺激し、魅力を伝え、新たな付加価値を創出することが重要と考えられる。また、自身の子供がeスポーツをやることについてどう思うか、という質問では、「子供がやりたいことであれば、やるべきだと思う」という中立的立場が38.8%で、「好ましくないと感じる」の24.4%を上回った。

子供がやりたいと思うような魅力を作っていくこともeスポーツ市場の拡大には有効と考えられる。eスポーツに関心が低い層や子供を取り込み、日本におけるeスポーツ市場を発展させるためには、教育・ヘルスケア産業との連携強化も有効ではないか。

●調査概要
1.調査対象:NTT コム リサーチ クローズド調査
2.調査方法:非公開型インターネットアンケート
3.調査期間:2018年11月26日~2018年11月27日
4.有効回答者数:1,118人
5.標本設計:全国の10代~70代の男女を対象
なお、男女、年代は均等に割り付け

★当社は、早稲田大学スポーツビジネス研究所と共同でテクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab(スポーツテック&ビジネスラボ、以下STBL)」を設立・運営しています。STBLでは、「次世代eスポーツエコシステムの構築」というテーマのワーキンググループを設置して、eスポーツが持つ潜在的な価値に着目し、エンターテインメントだけでなく地方創生・教育・ヘルスケア・スポーツとの連携を通じて、産業育成の手法(例:子どもや高齢者のeスポーツ、スポンサー以外の収益モデル等)について検討をしています。(http://www.keieiken.co.jp/stbl/)



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《monnchi》
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