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ユーザー800万人超のリズムゲームはいかにして生まれたのか? 『ガルパ』のCraft Eggが秘訣を語るセミナーをレポート

800万ユーザーを超えた『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』。その運営体勢や心構えを、Craft Egg取締役の村上徹氏含むスタッフたちが語ります

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ユーザー800万人超のリズムゲームはいかにして生まれたのか? 『ガルパ』のCraft Eggが秘訣を語るセミナーをレポート
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9月29日、全日制の専門校「総合学園ヒューマンアカデミー」の秋葉原校で、スマートフォン用リズムゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の開発・運営を手がけるCraft Eggがセミナーを開催しました。登壇者は、デザインチームリーダーの廣石好美氏、クライアントチームリーダーの森田昌朗氏、コンテンツプロデュース室リーダー兼シナリオチームリーダーの沢村英祐氏、プロデューサーの湯田雅氏、Craft Egg取締役の村上徹氏。登壇者がそれぞれのセクションや役職から語った、『ガルパ』の運営体勢や心構えを順に紹介します。

◆プロデューサーが語る、Craft Eggの根幹をなす4つの運営理念


本作のタイトルにもある「バンドリ!」とは、株式会社ブシロードによるアニメ、ゲーム、コミック、ライブなどさまざま形で展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!』のこと。本作はその世界設定を軸にしたリズムゲームという位置付けで、アニメは2019年1月から第2期が放送開始、ライブは日本武道館でも開催されるなど、それぞれに人気を博しています。

左から順に廣石氏、森田氏、沢村氏、湯田氏、村上氏

プロデューサーの湯田氏は、Craft Eggが大事にしている価値観として掲げている「YOLK」について語りました。YOLKとは英語で黄身のこと。Craft "Egg"における"黄身"――すなわち、会社の核をなす考え方として「ユーザーファースト」、「チームワーク」、「チャレンジ」、「プロ意識」という4つの価値観を何より大切にしているとのことです。


また、新たな企画を立ち上げるときは、プランナーのみが主導するのではなく、プロジェクトのメンバー全員でどういう企画がほしいか、望ましいかをよく話し合うとのこと。そして形になったら、正式リリースの前にメンバー全員でデバッグを兼ねた"おさわり会"を実施。そこで挙がった改善案をしっかり盛り込み、ときにはそのためにリリース時期を遅らせる判断をすることもあるそうです。

最後に、ユーザーファーストの理念を示すものの一例として、ユーザーから寄せられた問い合わせや要望への対応のしかたについてもふれられました。Craft Eggでは定型文による回答、返信は基本的にしないそうです。できるかぎり一つひとつの案件について個別に対応するようにしているとのことで、そうしたところにもユーザーファーストの理念が生かされているそうです。

◆シナリオでは仲間や友人との関係性で成長を表現



コンテンツプロデュース室リーダー兼シナリオチームリーダーの沢村氏によれば、『ガルパ』でキャラクターやシナリオを描くうえで大切にしていることは

・登場人物をキャラクターではなく一人の人間として描く
・バンド仲間や友人たちとの関係性でいかに成長させていくかを意識する

のふたつ。本セミナーでは分かりやすさのために便宜上"キャラクター"と言っていますが、普段のプロジェクト内ではメンバーと呼称しているそうです。

沢村氏は続けて「成長とはキャラクター同士の相互理解によって促されるもの」と定義。仲間と関係性を築き、仲を深めていった結果として視野を広く持てるようになったり、自信が身に着いたりすることこそが成長であって、そうした意識から『ガルパ』では特定のキャラ同士をセットとして描くことが多く、、自然なやりとりや関係性の構築を経て成長を描くよう心がけているとのことです。


『ガルパ』はタイアップも盛んに行われており、これまでにもさまざまな企業とコラボレーションしています。そういうときも辛いものが好きな北沢はぐみを起用するなど、各キャラクターの"らしさ"を重視した人選をしているとのことです。また、ゲームの外側だからといってそのキャラクターらしさが損なわれないようストーリーを練り込み、そうしたゲーム外のコンテンツも巻き込みながら『ガルパ』をいかに成長させていくかを念頭に置いているそうです。

沢村氏は最後に「応援してくださるファンのみなさんは、『ガルパ』というコンテンツではなく、各バンドやメンバーについてくださっているものと認識しています。ですので、外部展開する際はバンドやキャラの人選に偏りが出ないよう、いつも気を遣っています。『ガルパ』がこの先10年、20年と続くコンテンツになるよう、今後もファンのみなさんに喜んでもらえることを考え抜き、こだわっていきます」とまとめました。

◆ユーザーに快適に遊んでもらうためのインターフェースとは


クライアントチームリーダーの森田氏は、エンジニアから見た『ガルパ』への取り組みを紹介。湯田氏が挙げた「YOLK」の中でエンジニアとして特に大切なのは、ユーザーファーストとチームワークの理念とのこと。

スマートフォンゲームの開発現場におけるエンジニアは大きく分けてサーバーエンジニアとクライアントエンジニアに分類されますが、アプリの実装を手がける後者は、シナリオライターからシナリオを、イラストレーターからキャラクターイラストを、デザイナーから各種ボタンの素材を受け取り……と、各セクションとの綿密な連携が求められます。さらに専属の演出チームと、実現可能で、かつ効果的な演出はどのようなものかをすりあわせていく必要もあると、チームワークがいかに大切かも強調されました。

ユーザーファーストの例としては、リズムゲームの作り方が挙げられました。キャラクターの魅力を多くの人に感じてもらうために、リズムゲームはノーツを拾いやすいように設定し、多くの人がストレスなく楽しめるようにしたそうです。


ユーザーファーストの理念はそれだけにとどまらず、各種インターフェースにも活かされています。スマートフォンゲームは一般的に適宜サーバーと通信をして、そのユーザーがどのようなアイテムを持っているか、レベルはいくつか、ストーリーはどの程度進んでいるかなどを逐一管理していますが、ユーザーが頻繁に訪れるホーム画面ではそうしたAPIを置かず、通信を発生させないことで快適性を確保。

ほかにも、ボタンをタップしたら最低でも読み込みの度合いを示すインジケーターを表示させるなど、何らかのアクションをすぐに発生させること、プレイの心地よさを保てるように、画面の遷移を0.25秒刻みにして常に一定のリズムを刻むようにしているなど、目に見えない工夫をさまざまに凝らしていることが語られました。

「妥協からはよいコンテンツは生まれない」との考えから、新たな機能が完成しても未実装に終わることもあるそうで、開発者個人や会社の都合で物事を考えず、いかにユーザーが納得して楽しめるものを生み出すかが大切です、と森田氏は講義を締めくくりました。

◆人同士のかけあいがイラストに魅力を添える「かけあわせのクリエイティブ」


デザインチームリーダーの廣石氏が語ったのは、デザインやイラストの観点から見た制作の姿勢。一番大切なのは「バンドやキャラの魅力をいかにして最大限に引き出すか」であるとし、そのためには、シナリオや曲の歌詞をしっかりと読み込んでキャラを深く理解し、自身が『ガルパ』の一ファンであることが大切だとしました。

また、沢村氏の話とも関連する見せ方としてキャライラストでは「かけあわせのクリエイティブ」を心がけているとのこと。あるキャラがそのバンドをどう思っているか、そこでどのような立ち位置なのか、仲間たちと互いにどのような影響を及ぼしているのか……そういった関係性を描くことで、そのキャラの魅力がより深く伝わるようにしているそうです。


左の画像の左端にいる奥沢美咲は「人生、ほどほどが一番」という少し冷めた性格をした女の子。
仲間たちとの時間を経て、そんな彼女にも大切な存在ができた……という成長の軌跡が、
イラストのみで表現されています

「かけあわせのクリエイティブ」はキャラ同士だけでなく、スタッフ間でも起こり得ます。衣装デザイン担当が押し出してほしい衣装の魅力をモデリング担当がいかに表現するか……そうしたスタッフ同士の連携でも、かけあわせの魅力が発生しています。

廣石氏は最後に「このキャラにはどのような衣装が似合うか? (背景などをつけて)一枚のイラストにして映えるものになっているか? シルエットだけでも魅力的になっているか? イラストのクリエイティブにおいては、そのようにあらゆる方面からキャラの魅力を最大限に引き出していくことが重要で、それでこそファンのみなさんに喜んでいただけるものができ、『ガルパ』の価値も高まっていきます」とまとめました。

(C) BanG Dream! Project (C) Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved.
《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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