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キーワードは「PSクラシック」と「PS Vita」…SIE織田氏合同インタビュー【TGS2018】

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、今後のマーケティング展開を示す合同インタビューを実施しました。「プレイステーション クラシック」「PS Vita」がキーワードとなったその内容をお伝えします。

ソニー PS4
キーワードは「PSクラシック」と「PS Vita」…SIE織田氏合同インタビュー【TGS2018】
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東京ゲームショウ 2018」ビジネスデーが幕を開けると共に、ソニー・インタラクティブエンタテインメントブースでオープニングセレモニーが開催されました。ステージに登壇したのはSIEシニアバイスプレジデント織田博之氏。発表直後の小型復刻版「プレイステーション クラシック」をフィーチャーし、スリムに復活したゲーム機本体のトレイラーを披露しました。


SIEは、オープニングセレモニーに続くかたちで「プレイステーション クラシック」や今後の展開を語る合同インタビューを実施。織田シニアバイスプレジデントに向けて、「プレイステーション」シリーズの今後の戦略や方針を伺うことができました。



「プレイステーション クラシック」は「ファンの為のアイテム」



――「プレイステーション クラシック(以下、PSクラシック)」には、日本版と海外版で差異はあるのでしょうか。任天堂の「ミニファミコン」「ミニスーパーファミコン」では一部収録タイトルが違っていましたが。

織田博之シニアバイスプレジデント(以下、織田氏):収録タイトルは多少の変更があります。具体的に何本のタイトルに差異があるのか現状では発表できません。欧州や米国で違いはなく、「国内」と「海外」で差異があります。

――「PSクラシック」収録タイトルはどのような基準で選ばれたのでしょうか。

織田氏:「PSクラシック」は初代の復刻版ということで、人気が高く、たくさんのファンがいて、プレイステーションを代表するような作品を厳選しました。

――「PSクラシック」発売のきっかけについて教えてください。

織田氏:1994年12月3日にプレイステーションを発売しました。今年の同日からはプレイステーションは25年目に突入することとなり、節目の年になりますので、このタイミングでいこうということになりました。

――プレイステーションのセーブデータを扱ったり、当時の周辺機器と接続することは可能なのでしょうか。本体の背面右側にフタのようなものがありますが、こちらについても教えてください。

織田氏:今回はまったく新しいかたちで製品を設計しているので、以前の周辺機器やメモリーカードは使用できません。フタについては、デザインの一部として実装しています。

――やはり、発売当時に初代プレイステーションを遊んだ方が歳を重ねてきて、当時を懐かしむといった需要が多いのでしょうか。

織田氏:そうですね。やはり当時のユーザーにはぜひ楽しんでいただきたいと思っているのですが、発表後にはまだ初代プレイステーションを遊んだことがないという新しいユーザーさまから「この機会に遊んでみたい」という声も寄せられています。

――「PSクラシック」でゲームを再び遊ぶようになるユーザーも一定数現れるかと思います。今後はゲームを遊びながら育っていった子どもたちも、おじいちゃんおばあちゃん世代に移っていくことも考えられます。乱暴な言い方になるかもしれませんが、そういったシニア層をビジネス的にどのように捉えていくのか教えてください。

織田氏:私見ではありますが、そういったシニア層においても積極的に消費行動をとる方が増加していると思います。お元気な方が多く、新しいものに抵抗がなく、興味を持って手にしてくれるような。「PSクラシック」で昔遊んでいたタイトルに触れていただくのももちろん大歓迎ですし、最新タイトルも幅広い年齢層のユーザーにプレイしてもらえればと思っています。

――「PSクラシック」の国内および海外での出荷台数については発表されないのでしょうか。また、転売問題に繋がる可能性も考えられます。抽選にしても多くのファンに渡りにくくなる可能性があると思われますが、その対応についてはどうお考えでしょうか。

織田氏:今回は限定販売ということで、出荷台数を公開する予定はございません。先行予約のものに関しては、PS Plusに入会したIDが要求されますので、基本的にはお一人様一台の提供となります。

――店舗販売の予定はありますか。この場合でも転売問題は生じてしまうと思いますが。

織田氏:追ってご案内しますが、転売を防ぐ施策については販売店さまのほうで対応いただくことになりますので、別途お問い合わせください。

――PS Plus会員向けの抽選予約についてですが、例えば「今から無料権利などを使って入会する」ということであっても、平等に抽選対象となることができるのでしょうか。

織田氏:はい。

――「PSクラシック」は「ミニファミコン」などのように新規ユーザーの掘り起こしを狙っているように見えましたが、ゲーマー向けに先行予約受け付けを行ったり、数量限定にして縛っていたりもします。結局のところ、主なターゲットは「ゲーマー」「新規ファン」のどちらなのでしょうか。「どちらも」というやり方もありますが、哲学的には「どちらかを狙う」というのが必ずあると思います。

織田氏:まさしく「すべて」をターゲットにしたいとお答えしたいところですが、復刻版ということもありまして、長らくプレイステーションに親しんでいただいたファンのためのアイテムとして提供できれば、と考えています。

――今後、ファンの声に答えて生産数を増やしたりといったように、柔軟な戦略をとる可能性はあるのでしょうか。「ファミコンミニ」のように、一瞬で品薄になるケースも想定されているとは思いますが。

織田氏:今回の「PSクラシック」に関しては、企画段階から「数量限定」と決めていたこともあり、台数を制限して販売します。「ファンのアイテム」としては記念版として発売するのがベストだと思っています。

「e-Sports」「VR」「インディーゲーム」……広がる遊びの幅、そして「携帯機」の今後


――「e-Sports」はゲーム業界、ひいてはSIEにどのようなビジネスチャンスをもたらすとお考えですか。今後の取り組みについてもお聞かせください。

織田氏:ゲームの楽しみ方が増える、と思っています。プロゲーマーの資格を持たれる方のみでなく、彼らのプレイを視聴したり、応援したり、という本当のスポーツのようでもある参加型のゲーム体験ができると考えています。事業としてどのように取り組んでいくかについて、現時点でご案内できることはありません。

――「PlayStation VR」が発売3年目に突入しますが、後継機の計画や今後の展開について教えてください。

織田氏:本日の東京ゲームショウの会場では、『みんなのGOLF VR』の出展を初めて行っています。対応ゲームソフトはどんどん増えていますが、後継機や新型機についてお伝えできる情報はありません。

――PlayStation 2の修理サポートが今年8月末に終了していましたが、PS2世代の作品は今再び注目されているところと思います。これまでも旧作をカバーしてきたゲームアーカイブス/PlayStation Nowの今後のサービス方針についてお聞かせください。

織田氏:具体的にどのタイトルを配信していくかはお伝えできませんが、過去にたくさん遊んでいただいた多くのファンを抱えるタイトルに関しては、いろいろな方法でお届けできたらと思っています。

――PS4がコンソールサイクルの終盤に入ってきていますが、新ハードとこれまでのハードのユーザーを繋いでいくための戦略について教えてください。

織田氏:現在のPS4の方針としては、オンラインサービスを強化しようとしています。マルチプレイゲームを始めとした楽しさも、これまでのプラットフォームと比べて増えてきています。端的に言えば、プラットフォームの終盤という見解ではありません。ゲームの楽しみ方も広がっていますので、引き続きPS4を楽しんでいただければと思っています。

――コンソール、PC、スマートフォンのそれぞれの性能差が徐々になくなりつつあり、環境を選ばずさまざまなゲームを遊べる時代になっていると思います。PS4ならではのオススメできるポイントについて、改めて教えてください。

織田氏:いろいろなプラットフォームでゲームを楽しむ環境が出来上がっていますが、プレイステーションの観点でいうと、やはりプレイステーションハードでしか遊べないユニークなタイトルがユーザーに選ばれる理由であると思っています。弊社販売のタイトルで言えば、『Marvel's Spider-Man』は日本を含めて全世界で好評です。やはり、PS4ならではのグラフィックスや面白さ、そういったところが最も大きな差別化になっていると思います。「テレビと繋いで電源を入れればすぐに遊べる」という面でも、多くのユーザーから遊んでもらいやすいプラットフォームと言えます。

――テレビCMや全国行脚といろいろな方法でユーザーとコミュニケーションをとってきたと思いますが、今後のプロモーション展開について教えてください。

織田氏:9月10日に「PlayStation LineUp Tour」というイベントを初めて開催しました。エンドユーザーの方にもお越しいただけました。反応もポジティブなものが多く、今後も新しいゲームを直に紹介できるようなものに力を注いでいきたいと思います。

――アメリカでは「ブラックフライデー」など、お買い得なキャンペーンも開かれています。そのあたりと比べると日本市場は見劣りしますし、羨ましがるファンの方もいらっしゃいます。そういったところを踏まえて、日本国内での販売戦略について教えてください。

織田氏:「ブラックフライデー」という期間は日本にはないので、どちらかと言えば一ヶ月ほどにわたる年末年始期間を見て、日本独特の購買に合わせて注力していきたいと思います。

――「PS Vita」は今後どのように展開していくのでしょうか。

織田氏:「PS Vita」は、日本国内におきましては2019年度に出荷を完了する予定です。タイトル数のボリュームは少なくなっていますが、引き続き「PS Vita」ユーザーに向けてリリースしていく予定です。また、現時点で新しい携帯型ゲーム機を発表する予定もありません。

――ニンテンドースイッチやiOS/Androidに向けたインディーゲームの配信が盛んになってきましたが、PS4/PS Vitaでのインディーゲームの今後のサポート体制に変化はあるのでしょうか。

織田氏:インディーゲームのクリエイターさま、インディーゲームそのものを、ゲームを自分で作っていろいろな遊び方を提案されているという観点からも、サポートをしています。引き続き、沢山の新しいアイデアをゲーム化するインディーの活動には注目し、サポートを続けていきたいと考えています。



オープニングセレモニーでフィーチャーされた「プレイステーション クラシック」は9月19日に発表され、20日にはPS Plus会員向けの抽選先行予約がスタート。日本での希望小売価格は9,980円(税抜)で、2018年12月3日(月)より販売されます。
《Game*Spark》
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