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【インタビュー】キスショットと一緒に劇場映画を振り返る『傷物語VR』はなぜ作られたのか─「既存の映像を活かす新たな体験」の提案

ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア、アニプレックス、カヤックの3社が共同開発した、PlayStation VR(PS VR)向けコンテンツ『傷物語VR』。

ソニー PS4
【インタビュー】キスショットと一緒に劇場映画を振り返る『傷物語VR』はなぜ作られたのか─「既存の映像を活かす新たな体験」の提案
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ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア、アニプレックス、カヤックの3社が共同開発した、PlayStation VR(PS VR)向けコンテンツ『傷物語VR』。

本作品は、西尾維新氏の小説を原作とする劇場アニメ「傷物語」を用いたVR作品となっており、主要人物のひとり「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」と一緒に同作を振り返る、というものです。


この新たな表現を一足先に味わえる、『傷物語VR』先行体験会が先日行われました。その時の模様は既にお伝えした通りですが、本作品に携わった秋山賢成氏(ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア所属)に、制作のきっかけやこだわりなどを伺いました。よければ、体験レポートと合わせてご覧ください。


【レポート】『傷物語 VR』映像とキスショット、どっちを見ればいい!? 映像表現をVRで広げる新たな試みをいち早く体験
URL:https://www.inside-games.jp/article/2017/05/20/107310.html

──まず最初に、『傷物語VR』を制作することになった経緯などをお聞かせください。

秋山賢成氏:VRの映像体験としては「360度動画」などが一般的ですよね。ですが「360度動画」を撮るには、専用のカメラを用意して、天吊りして影を消して……と、色んな工夫をして撮らないといけないんですよね。映像業界には、TVや映画館、DVDにブルーレイなど、映像素材はたくさんありますが、これらを直接「360度動画」にすることはできません。

──VRで「360度動画」を提供するには、専用の映像として撮影する必要があるわけですね。

秋山氏:ですが、今ある素材をVRの中で使って面白いことができれば、既存のコンテンツを活かして新しいVR体験ができるのではと考え、カヤックの天野さんと話し始めたのが最初のきっかけです。

──制作プロセスそのものが、新たな可能性の模索でもあったんですね。

秋山氏:今までの素材を使いながら、拡張された体験を作りたいというのが、僕らの目的です。

──新たな映像体験の素材として、「傷物語」を選ばれた理由はなんでしょうか?


秋山氏:天野さんと一緒に「新しい映像体験の装置を作りましょう」という話はずっとしていたのですが、そこで天野さんとアニプレックスの淀さんのご縁があったり、僕らソニーグループとしての縁もあった中で、「傷物語」がちょうどいいタイミングで動いていたんです。そこで、プロモーションとして一緒に活動していきましょうという話になり、タッグを組むことになりました。

──今回、体験させていただいた『傷物語VR』は、現時点の現実の映画館では決して味わえない、文字通りの“枠を超えた表現”でした。特にこだわって作られた点について教えてください。

秋山氏:ひとつは、映像に合わせた演出ですね。作品の中に雨が降る場面があるのですが、そのシーンでは水たまりに映像が映るんですよ。

──あのシーンも印象的でした。

秋山氏:作り手が思っていたイメージを更に拡張する装置、という側面にもこだわってみました。

──あまりに圧倒的な演出が多く、ついつい引き込まれるばかりでした。ちなみに、体感時間がまったくアテにならないので、何分くらいの作品なのか教えていただいてもよろしいですか?

秋山氏:大体7分くらいですね。最初、キスショットとやりとりする部分がありますよね。

──リモコンを取ったり、操作する下りですね。

秋山氏:あそこで、操作にもたついていると彼女に怒られるんですよね(笑)。そういうやり取りをしていると、もう少し延びますね。

──あ、確かに怒られました! 「リモコンを、ちゃんと黒板に向けろ」みたいなことを言われまして(笑)。

秋山氏:そうなんですよ(笑)。あと、彼女に触れることができたのですが、気付きました?

── 触れることができたんですか! そちらは気付きませんでした……。

秋山氏:モーションコントローラを持った手で触れようとすると、色んなリアクションをしてくれるんですよ。実は(笑)。

──そうだったんですか……悔しい……。キスショット様に触れるなんて畏れ多くて、手が出ませんでした(笑)。


秋山氏:敢えて言ってないんですよ。気付いた人が驚いてくれればなと思って(笑)。こういう表現をどんどん取り入れることで、「ただ映像を見る」のではなく「映像体験」に変わるんですよ。

映像を表示するスクリーンも、複数出したり曲げたり体験者を取り囲んだりと、現実では味わえないことをやっており、それもVRの醍醐味です。その醍醐味に加え、「世界に干渉する」という体験を経ることで、没入感・実在感を更に増すことができるんです。

──確かに、実際に体験するとよく分かります。

秋山氏:ですが実は、「触れる」とか「何かが起こる」といった体験を、今回はあんまり入れてないんですよ。というのも、色んなことが出来てしまうといつまでも終わらないじゃないですか(笑)。今回はデモなので、素晴らしい映像体験の鑑賞をメインにしています。

──今回の『傷物語VR』がデモということは、今後更に広がっていくと期待してもよろしいのでしょうか?

秋山氏:現時点ではまだ検討中なので、お答えできることはないのですが、体験された皆さんから反応があったりとか、もしくは映像業界の方から「ちょっとやってみたい」といった話などがあれば、コンテンツとして仕上げてリリースするようなことは是非やっていきたいですね。なので、色々お問い合わせとか、フィードバックできる声をいただければ嬉しいですね。

今回のような新たな映像表現を通じて、ファンの方がよりよい気持ちになっていただければ、最高の体験なのかなと思います。そのためにも、ファンの方々からの声が聞きたいですね。

──ファンの方々に向けた新たな映像体験が、体験者の声によって更にブラッシュアップされていく。そのスパイラルが、VRの可能性を一層広げてくれそうですね。

秋山氏:新しい体験のご提案、という形で受け止めていただけると嬉しいですね。ファンの方々からの反応があれば、よりよい形で検討していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

──お忙しいところ、ありがとうございました!

(C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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