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【コラム】「王道(2)RPG」にありがちな15の特徴

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【コラム】「王道(2)RPG」にありがちな15の特徴
  • 【コラム】「王道(2)RPG」にありがちな15の特徴

みなさんは「王道RPG」と聞いてどんなRPGを想像しますか。剣と魔法とドラゴンが出てくるファンタジー、伝統的なターンベースバトル、壮大なストーリー……。人によって細かな差はあれど、そこには多くの共通点があるはずです。今回はその王道RPGをフィーチャー。ゲームシステムではなく、世界観/物語の部分を主にとりあげます。

カウンター=対抗。

アトラスが発表した『PROJECT Re FANTASYrpg.jp)』のコンセプトです。

同プロジェクトは、”ゼロ”から始めるものであり、どんなRPGになるのか現時点で語ることは難しいですが、感銘を受けて「カウンター」がホットワードとなっている筆者が、ここでカウンターの対象となる「画一的な王道RPG」「溢れかえる幻想世界」が持つ特徴をピックアップし、勝手に対抗者の一翼を担うことにしました。

この記事は同プロジェクトと無関係であり、あくまで個人的な意見です。上の画像もプロジェクトとは無関係なイメージです。

言い訳めいたことを言うと、けっして以下の特徴を全否定するわけではありません。「溢れかえる」のは需要があるからこそだ、とも思います。ただ、カウンターを食らわせるには、これらに乗っかるわけにはいかない、と思うだけです。それではどうぞ。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

1. ガイド役に謎の小動物

さまざまな幻想世界がある中で、プレイヤーを案内する役は必要かもしれません。とくに説明もなく登場する謎の小動物は、世界の概要をわかりやすく説明してくれたり、記憶喪失の主人公を動機づけたりします。往々にしてやけに馴れ馴れしいのが特徴で、可愛らしい語尾で個性をアピール。上手くいけばマスコットになり、グッズ化も期待できるかも……。一粒で二度三度おいしい存在です。

2. 安定の「ザ・主人公」青少年

プレイヤーがPC(プレイヤーキャラクター)とのシンクロ率を高めるために、もっとも簡単な方法はアバター、キャラクタークリエイションで自分だけのキャラクターをつくることです。一方で日本のRPGの多くは、その方法を避けながらシンクロ率を高める方法を模索してきました。それが「没個性少年」あるいは「ザ・主人公キャラ」です。この世界におけるストレンジャーだったり、記憶喪失だったりするとなおよし。暗いバックグラウンドを持つ派生型も多く存在します。

3. 「………。」

言葉にできない「空気感」を生み出すために多用される「………。」は、紙芝居ダイアローグでのキャラクターの表情との組み合わせで、とても有効に働きます。俗にいう”裏笑い”や、苦渋、悔恨、黙認、追憶、同情などなど。A「(何か言う)」B「………。」C「………。」は定番の流れです。フルボイスでありながら「………。」が存在するのは、古来から使われてきた、字幕ウィンドウが画面の3割を占めるダイアローグボックスの影響も。応用編として「………ッ!」もあります。

4. 当たり前のように機械

多様化した幻想世界は、必ずしも牧歌的とは限りません。かつてはファンタジーの風景に対してもう少し慎重でしたが、今や「剣と魔法」から脱することが当然だと言わんばかりに、機械やロボット、そしてコンピューターも登場します。 ファンタジー/SFという分類の無効化はいつから始まったのでしょうか。しかし一方で、この傾向は「fantasy」の原義にのっとったものだとも言えます。【fantasy】空想,幻想; 奇想,気まぐれ。(デイリーコンサイス英和辞典)

5. 無節操なドラゴンの取り扱い

ファンタジーの象徴たる「ドラゴン」の取り扱いはとても重要です。ドラゴンをどう扱うかで、その作品の立ち位置が分かるとも言っていいほど。崇高で稀有な存在としてドラゴンを高みに配置するのか、卑近なものとして色や形の違う様々なドラゴンを登場させるのか。「ドラゴンなんとか」という派生物を展開させるのか、乗り物扱いするのか、仲間になるのか。ドラゴンを雑に扱うと、いっきにライト感が増してきます。

6. 便利だね、”レトロ”感

「あの頃のRPG」を再生産する場合、”レトロ”感はとても便利です。後進性や不変性をよしとするこの傾向を、以前「追憶」と「憧憬」という言葉で表しました。既視感は導入の敷居を下げてくれますし、懐かしさをもたらしてくれることもあります。悪いことばかりでもないかもしれません。ただ「温故知新」ではないですが、古きを温めるだけというのもどうか。スマホでは、レトロ感を逆手にとってメタフィクショナルなRPGをつくろうという試みも出てきています。

7. 世界観×キャラクター×バトル=RPG

RPG=ロール・プレイング・ゲーム。ただそれだけしか縛りがないジャンル。それがRPG。FPS、パズル、シューティング、対戦格闘といったゲーム性を明示するジャンルと違うRPGは、もっと自由でいいはず。最新のFPSが『Wolfenstein 3D』のフォロワーであるのは、それが “FPS(=一人称視点のシューター)”であるからですが、RPGは『Ultima』『Wizardry』のフォロワーである必要はありません。

RPGはいつからか、特定のフォーマットに世界観とキャラクターとバトルを乗せたものになっていました。大枠を共有しながら、世界観やバトルシステムで差異化を図ってきました。確かにそれは分かりやすいし、RPGをプレイしたい、という欲求に応えてくれるものです。

8. その肩書き、本当に「ジョブ」ですか

みなさんは「ジョブ」と聞いてなにを想像しますか。求人情報? それともキャラクターの「クラス」? FFで認知された「ジョブ」ですが、そもそもだれかに必要とされている、求人のあるものなのでしょうか。酒場で、傭兵として仕事を待っている戦士や魔法使いには需要がありそうですが、一人で冒険しているただの「冒険者」が「ハイパーメディアクリエイター」のような横文字のジョブを掲げているのは違和感があります。

9. おしゃれなカタカナと、逆にかっこいい漢字

日本語は、あらゆる言語をカタカナにして”半日本語”化する特性があります。それに付随してあらゆる事物に由来の分からないカタカナ語が使われてきました。謎に満ちた世界「フラ=ナジーア」。その世界を支配するヴィアーレ帝国は、キリウィック王を頂点として、「ミアルム」「ゲラスム」「ハルジム」3部族を隷属させていた。そんな中、ミアルムのとある村「シャリカ」でエルシスというひとりの若者が立ち上がるーー。こんな適当が許されるのは、カタカナの良いところですが、悪いところでもあります。

そしていつからか、かつてはダサいと思われていた漢字が多用されるようになってきました。特にキャラクターの必殺技など。わたしが某RPGの某なんとか斬に遭遇したときは度肝を抜かれましたが、今は「逆にかっこいい!」となっているのでしょうか。幻想世界の言語体系はいったいどうなっているのか。

10. 丁寧に「キャラ」を配置していく

没個性な主人公の周りには、活発な少女、頼もしいヒゲのおっさん、クールなイケメン、皮肉屋のインテリメガネ、お調子者の熱血漢。高貴なツンデレ少女なんかは、一周回って逆にアリになっているのかも。まるでボードゲームのコマのように、丁寧に「キャラ」を配置していくのは、RPGに限ったことではありません。でも、人は元々それほど分かりやすい「キャラ」ではないはず。ある哲学者は言いました。「人はキャラに生まれるのではない、キャラになるのだ」ーーと。

11. 形骸化した伝説の剣や獣たち

もはや「エクスカリバー」なんて、ただの記号にすぎません。エクスカリバーとヴォルカニックセイバーだと、後者の方が強そうな気さえしませんか。伝説上の生物であるドラゴンやグリフォンも、派生モンスターの素地のようなぞんざいな扱いをうけています。西洋のファンタジーをベースにして換骨奪胎を繰り返した結果、由来や意味があった事物は形骸化していきました。

12. 舞台はファンタジーだけど、中身は現代モノ

剣と魔法、甲冑と法衣のような正統ファンタジーでありながら、ひとたび会話を始めると、まるで現代日本を舞台にしたアニメのようなやりとりが展開される(そういう狙いなら別ですが)。時代性や地域性はスルーして、プレイヤーに身近な会話を模倣するのは、確かに分かりやすいです。ファンタジーだからといって、時代劇のように形式ばった話し方をする方が変なのかもしれません。とはいえテンプレのドタバタコメディは歓迎できません。

13. フルボイスの・壮大な・メインストーリー

以前の記事で物語の凋落について書きましたが、もちろん今もストーリーをアピールするRPGはたくさんあります。上記はその典型です。わたしがこのコピーから抱くのは「長尺な音声付き紙芝居」か「頻繁に差し込まれるカットシーン」を見せられるのではないか、という気後れです。「フルボイス」「壮大」「メインストーリー」。ひとつひとつが胃もたれしそうなほどボリューミーなのに、それらを組み合わせるなんて! 中華料理店に入ったら否応なく店長おすすめの「全部のせ特盛チャーシューメン」が出てくるようなものです。

14. ファンタジーではなく「ファンタジー」

ファンタジーは「空想,幻想; 奇想,気まぐれ」であり、だからこそ多様な世界観を持つRPGが生まれたーーように見えて、それらは実はひどく似ているのではないか。大元が変わらないまま、細かい差異化を繰り返した結果、画一化が進んでいるのではないか。自由であったはずのファンタジーが、結局は西洋の”ハイファンタジー”の同心円から逃れられず、括弧付きの「ファンタジー」に収束していくような感覚。細かな差異を味わうのも楽しいですが、そればかりというわけにもいきません。

15. 聞こえはいいが…「王道RPG」

「王道」という言葉から多くの人がイメージするのは「奇をてらわず正攻法でいくこと」や「昔から馴染みのある定番のもの」ではないでしょうか。これをRPGに当てはめたとき、剣と魔法とドラゴンが登場する正統ファンタジーの世界観で、私たちの知っている”RPGらしい”RPGなんだろうな、と考えるはず。スマホRPGのキャッチコピーでも「本格」と並んで「王道」が装飾語として数多く使われています。

上記のような「王道」の使い方は誤用が一般化したものだと言われています。本来の「王道」には「仁徳に基づく政治」のほかに、もうひとつ意味があります。皮肉にもその意味は、キャッチコピーにはふさわしくない、自らを貶めるものになっています。

(2)安易な方法。楽な道。近道。(大辞林)

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

今回の記事を書くにあたって、私は「TOP 10 WAYS TO FIX JRPGS”を思い出しました。連載中は結果としてこの記事を批判しているのに、同じようなことをしている。これは矛盾しているかもしれません。私は日本人だから、日本のRPGについて言うのは自由だ、ということでもありません。

ただ、今回挙げた特徴は「王道RPG」について考えたもので、”今もなお”こうした特徴を甘受している作品は、いわゆる「JRPG」とはまた違うと考えています。わたしはJRPGという言葉があまり好きではないですが、それでもかつてのJRPGにはある程度のこだわりや個性がありました。王道の(2)の意味を冠した「王道(2)RPG」は、オリジンであるJRPGの縮小再生産にすぎません。

「王道(2)RPG」とは「安易な方法の/楽な道を選んだ」RPGのことです。こうした画一的な王道RPGが溢れる中、カウンターとして「新たな王道をつくること」は大きな挑戦であり、ゲームが「もっとおもしろいものになる」ために必要だと感じています。
Game*Spark

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