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【インタビュー】『逆転オセロニア』のYouTubeプロモーションはなぜ成功したのか―仕掛け人に迫る

昨今、ゲームのプロモーションにYouTubeを活用している企業が増えています。スマホ向けオセロゲーム『逆転オセロニア』を提供するDeNAもそのひとつ。DeNAでは、YouTubeで『逆転オセロニア』のプロモーションを実施。

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昨今、ゲームのプロモーションにYouTubeを活用している企業が増えています。スマホ向けオセロゲーム『逆転オセロニア』を提供するDeNAもそのひとつ。DeNAでは、サイバーエージェントグループの渋谷クリップクリエイト協力のもと、YouTubeで『逆転オセロニア』のプロモーションを実施。その結果、300万ダウンロードを突破しています。

そこで今回、DeNAで『逆転オセロニア』のYouTubeマーケティングの担当を務めている佐藤基氏と、渋谷クリップクリエイトで代表取締役を務めている桑野俊一氏へのインタビューを実施。成功の秘訣を聞きました。
(聞き手:森元行 文章:松木和成)

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――まずお二人の自己紹介をお願いいたします。

佐藤基氏(以下、佐藤):DeNAのゲーム事業を手がける「Japanリージョンゲーム事業本部」の宣伝部にて宣伝プロデュースのマネージャーをしています。DeNAには2011年に入り、それ以来マーケティングを担当しています。ゲーム事業以外のマーケティングも経験してきていますが、ずっと変わらずに担当し続けているのがゲーム事業になります。


DeNA・佐藤基氏

桑野俊一氏(以下、桑野):私は2010年にサイバーエージェントに新卒で入社をしまして、メディア系のプロデューサーを担当していました。主にゲームを担当していましたが、2014年に渋谷クリップクリエイトを立ち上げまして、動画の受託制作を始めました。今はYouTuberやニコ生主といったゲーム実況主、いわゆる動画クリエイターを使ったインフルエンサーマーケティング事業を行っています。


渋谷クリップクリエイト・桑野俊一氏

――今回2社が出会った経緯を教えていただけますか?

佐藤:今、DeNAが力を入れているタイトルの一つが『逆転オセロニア』なんです。2016年の2月にリリースしたのですが、ちょうど3ヶ月後のGW期間のプロモーションのタイミングで、渋谷クリップクリエイトさんとご一緒させていただくことになりました。渋谷クリップクリエイトさんを選んだ理由としましては、我々は日頃からサイバーエージェントグループにプロモーションのお手伝いをしていただいていますし、サイバーエージェントグループが様々な最先端のマーケティングのソリューションを取り入れていることが大きいです。そして、我々の方から「YouTuberを活用したプロモーションをやりたい」というお声掛けをさせていただき、渋谷クリップクリエイトさんからご提案いただいたのがきっかけとなります。

――渋谷クリップクリエイトでは、動画プロモーションのサポート事例は多いのですか?

桑野:1年半くらい前にYouTuberを使った動画プロモーションである「PLAY CLIP」という商品を開始して、累計850~900本くらいはタイアップ動画制作実績があります。生放送とかも作っていますが、主にはそういったYouTuberのキャスティングや企画をした動画をYouTube上に公開するという手法です。内容としては、ゲーム系の事例がほとんどですね。

――『逆転オセロニア』の調子はいかがでしょうか?

佐藤:先ほど申し上げたように、『逆転オセロニア』はDeNAが注力しているタイトルの一つです。DeNAのゲーム事業には、パートナーのIP(知的財産)を使わせていただいているタイトルと、DeNAオリジナルのタイトルがあります。オリジナルのタイトルのゲームは競争環境が激しいのですが、その分、大ヒットになり得る可能性があるんです。mixiさんの『モンスターストライク』などはその代表例ですよね。『逆転オセロニア』も、大ヒットを目指して、いろいろな取組みをしています。

――『逆転オセロニア』をプレイしている方はどういった方が多いのでしょうか?

佐藤:もちろん、いろいろな方がいらっしゃるのですが、現在は男性が多いですね。その中でも比較的若い方が多いです。だいたい10代が半分、20代以上がもう半分というイメージですかね。これまでにやってきたプロモーションの結果、このような属性になっているのだと思います。今後はさらに幅広い方に遊んでもらいたいなと思っています。


――今回、渋谷クリップクリエイトさんと組んでYouTubeでプロモーションを行われましたが、何をKPI(指標)とされていたのですか?

佐藤:YouTubeでプロモーション単体の施策としての目的よりも、『逆転オセロニア』のマーケティングで大事にしていたことから話をした方が分かりやすいかと思います。『逆転オセロニア』って、オセロのルールを使った「対戦ゲーム」なんです。実は、こういったスマホの「対戦ゲーム」って、今まであったようで新しいカテゴリなんですよ。というのも、これまでのスマホゲームでは、協力プレイが主流でした。つまり我々は、『逆転オセロニア』を「対戦ゲーム」という新しいカテゴリーのゲームだと捉えており、その魅力をきちんとユーザに伝えていかなければ、かんたんには遊んでくれないだろうということが、マーケティングの課題だと認識していました。プロモーションにはいろいろな手段がありますけど、最初に良い手段の一つとして選んだのが、YouTuberによる動画の展開でした。

――数ある広告手段の中でも、YouTuberによる動画展開を選択したのはなぜですか?

佐藤:ある人とある人が対戦して、面白がっている様子を見せたかったからです。それは、動画のフォーマット以外では表現がしにくいと考えていました。静止画では情報量が少なく、「対戦の様子」の面白さが伝わらないのではないかと。動画でプロモーションをすることが決まればあとはシンプルで、動画専門の広告代理店はそんなに多くない。我々も複数の会社にお声掛けはしてはいましたが、そのタイミングでは、先ほどの経緯で渋谷クリップクリエイトさんを選ばせていただきました。

――YouTuberを使ったプロモーションを展開する上で、最も注力したポイントはどのようなところでしょうか?

桑野:『逆転オセロニア』は“対戦”や“逆転”がコンセプトになっているので、YouTuber同士の因縁の対決とか、各チャンネルでユーザーが見たいと思っている対戦をキャスティングすることが、プロモーションをする上で一番注力したポイントです。


佐藤:先ほどの質問のKPI(指標)という話に戻ると、我々が渋谷クリップクリエイトさんと目標設定したのは再生数でした。なぜかというと、多くの人に動画を見ていただき、多くの人に『逆転オセロニア』を遊んで欲しいと思っていたからです。そのため、「これくらいの再生数を狙いたい」という話はしていました。

――ニコニコ生放送やTwitchなど、他の配信サイトがある中で、YouTubeを選んだ理由を教えてください。

佐藤:その理由は、大きく2つあります。1つは単純に、動画を見るユーザーが多いからです。中でも、日々動画を見ているアクティブユーザーが多いのがYouTubeだと考えています。YouTubeのアプリは、スマートフォンユーザのみんなが持っているし、会員登録の必要もありません。「視聴しやすい」プラットフォームであることが強みだと考えています。もう1つの理由は、配信者(YouTuber)とタイアップを最も行いやすいのが、YouTubeだと考えているからです。広告としてもしっかり効果が出るから、YouTubeでは配信者とのタイアップが進んでいるんでしょうね。逆に、他の動画サイトはまだそういった広告やタイアップの仕組み作りができていないのだと考えています。

――YouTubeでのタイアッププロモーションの結果はいかがでしたか?

佐藤:渋谷クリップクリエイトさん協力のもと、YouTuberのHikakinさん対Daichiさんという因縁の対決を描いたタイアップ動画を作りました。その動画の再生数目標は、公開開始から1ヶ月間で100万回と設定していました。実はタイアップ動画で100万再生というと、あまり事例も多くない、かなりチャレンジングな目標なんです。それが、実際には1ヶ月間で130万再生まで伸ばすことができました。さらにその後も再生されて、現在は、190万再生と、たくさんの人に見ていただくことができました。190万再生のすべてがユニークな数とは考えていませんが、仮に半分がユニークなユーザーだとしたら、約100万人に見ていただいたことになります。しかも、YouTubeを日頃から見ている人って、比較的若い人やゲームなどのエンタメを積極的に求めている人が多いと思うんです。この影響力はとても大きいですよね。

Hikakinさん対Daichiさんという因縁の対決を描いたタイアップ動画

――『逆転オセロニア』の認知がない中で、これほどの結果を残せた要因は何なのでしょうか?

桑野:私たちがプロモーションの企画をする上での考え方は2つあります。それは、「誰を使うか」と「何をするか」です。1つ目の「誰を使うか」というのは、単純にチャンネル登録者数の多い人気のあるYouTuberを使えばいいという訳ではなくて、今伸びている旬のYouTuberを理解してキャスティングできるかが大事です。2つ目の「何をするか」というのは、タイアップ案件というのは前提としてユーザーがバッド評価しやすいですし、「タイアップ」という表記があるだけで動画を見ないユーザーもかなり多いので、チャンネル内でユーザーが求めている企画や、クリエイターがどういう動画でファンを増やしているのか、など1つのYoutubeチャンネル内の文脈を理解し、どれだけファンが見たい企画になっているかが重要です。

――YouTuberを起用したプロモーションを行う上で、注意しなくてはいけないポイントはありますか?

佐藤:ゲームの場合、我々がプロモーションしたいと思っているゲームを、実際に紹介してもらうYouTuber自身が面白いと思ってもらえていない場合は、うまくいかないことが多いと思います。そういった状態でYouTuberがタイアップ動画を制作しても、ユーザーに面白いと思っていないことが、バレてしまいます。また、各々のYouTuberの得手・不得手もあると感じています。旬のYouTubeを活用することに加え、フィットするYouTuberを活用することが大事だと思いますね。

――これまでに失敗してしまった事例はありますか?

桑野:まだYouTuberへの理解が浅かったころに失敗をしました。例えば、『パズル&ドラゴンズ』のみを配信しているYouTuberがいるとするじゃないですか。私がそのときに考えたのは、それを見ているユーザーって、そのYouTuberを見に来ているか、それか、『パズル&ドラゴンズ』が見に来ているかのどちらかと思ったんです。その中で私は、YouTuberを見に来ているかと考えました。それで、「ユーザーはこのYouTuberを見に来ているので、違うゲームのタイアップ案件でもうまく行きますよ」という提案をしたんですけれども、大スベリをしましたね。なので、ユーザーが何を見に来ているのかを把握することは、とても大事なことだと思います。

――桑野さんにお聞きしたいのですが、何か企業の担当者にお伝えしたいことはありますか?

桑野:よくお客様でYouTuber施策を単発の獲得プロモーションとして捉えている方が多いです。しかし、実況動画を見続けることで、そのゲームへの理解がより深まったり、そのゲームをより好きになったりもします。なので、単発の予算ではなく、ゲームのコアユーザーを育成するための予算として考えてほしいですね。

――最後に、お二人に今後の展開についてお聞きできますか?

桑野:我々は社名に“クリップ”と入っている通り、動画事業からは軸足を外しません。主に今はインフルエンサーマーケティングとしてゲーム会社様のお手伝いをしているんですけれども、生放送や動画広告などを始め、動画プロモーションの手段はまだまだたくさんあります。なので、それらを活用し、お客様のニーズにより応えていきたいと思っています。また、現在自社のオリジナルコンテンツとして、ゲーム紹介番組「金曜ゲームショー!」を「FRESH! by AbemaTV」内で放送していますが、そういった自社コンテンツ・メディアを展開していきたいと考えています。

佐藤:DeNAのゲームマーケティングは「新しいチャレンジ」に果敢に取り組んでいくことをとても大事にしています。そのためにも、昨今のYouTuberプロモーションを始め、最先端のプロモーション施策を常にしっかりとキャッチアップしていきたいですね。また、『逆転オセロニア』としては、現在300万ダウンロードを突破しましたが、まだまだだと思っています。僕らが目指しているのは、「国民的対戦ゲーム」なんです。『逆転オセロニア』をもっともっとたくさんの人に楽しんで遊んでいただけるメジャーなゲームにしていきたいと思います。

――今後を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

《編集部》
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