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【レポート】あの名作RPG『エストポリス伝記II』の音楽を演奏!「MUSICエンジン 第1回演奏会」

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2016年11月12日(土)、三鷹市芸術文化センター 風のホールにて「MUSICエンジン 第1回演奏会」が開催されました。

「MUSICエンジン」とは、ヴァイオリン&ヴィオラ奏者の河合晃太氏が主宰を務めるゲーム音楽演奏団体です。レトロゲームから最近のゲームまで、“大好きなゲームタイトルの音楽をつきつめていく”というコンセプトを掲げており、編成も、それぞれの作品の世界観を表現するために最適な形での演奏を行うというスタイルを持っています。そんな彼らの記念すべき第1回の演奏会として、1995年にスーパーファミコンで発売された名作RPG『エストポリス伝記II』の楽曲がプロ奏者による室内楽で披露されました。

『エストポリス伝記II』の世界観や物語の表現を目指したという本公演では、数あるRPGの中でも名曲と名高い熱いバトル曲などの全40曲ほどが、ゲームの物語に沿った形で演奏されました。本稿では、この演奏会の模様をお届けいたします。

MUSICエンジン 第1回演奏会

■開催日 2016年11月12日(土)
■会場 三鷹市芸術文化センター 風のホール
■主催・演奏 MUSICエンジン
■後援 株式会社2083

■プログラム
『エストポリス伝記II』 (作曲:塩生康範 編曲:河合晃太)
M1 審判の時、鳴動
M2 旅立ち、街、大地
M3 洞窟、迷宮、バトル#1
M4 城、最強の男
M5 塔、神殿、戦慄
M6 絶望、バトル#2
M7 安らぎ、別れ
M8 ウエディング・ベル、式の後

M9 予言者、夢遊の笛、港町
M10 村、レクサス・シャイア研究所、天下の大盗
M11 千尋の海底、静寂なる世界、蒼海
M12 万丈の山、蒼穹の彼方に
M13 封印の望楼、壺中の天地、虚空島
M14 最終決戦、最終バトル
M15 四神、バトル#3
M16 予言者、地上を救う者、未来へ、プリフィアの花

アンコール
Battle#3(サウンドトラック・アレンジバージョン) 



公演当日は気持ちのいい秋晴れ。開場時間前から会場にはすでに多くのファンが詰めかけており、皆、今か今かと開演を心待ちにしていた様子なのが印象深いです。開場時間を迎えると、すぐさま多くの人が列を成し、続々とホール内へ入場してゆきます。


ロビーの中央には、『エストポリス伝記II』(以下『エストII』)の作曲を担当した塩生康範(しおの・やすのり)氏から贈られた美しいお花が飾られており、来場者を優しく出迎えます。また、その左に展示されていた、名古屋で活動しているゲーム音楽演奏団体「名古屋ゲームミュージックアンサンブル」から送られた電報には、「私達の波動よ、届け。今日の舞台へ」といった『エスト』風味の素敵なメッセージが綴られていました。

◆『エスト』の制作秘話が語られたプレトーク!


(左から)中島享生氏、宮田正英氏、塩生康範氏

開演前には「プレトーク」と題して、『エスト』シリーズに関わったクリエイターが登壇してのトークが開催。当初、塩生氏1人が登壇とアナウンスされていましたが、急遽『エストII』のディレクター&シナリオを担当した宮田正英氏と、開発元のネバーランドカンパニーに所属していた作曲家の中島享生氏の登壇も決まり、3人でのトークが繰り広げられました。

まずは宮田氏から、『エスト』という作品がどうして作られたかというお話に。宮田氏は独立して間もなく、4、5人で集まって「RPGを作りたい」という話になったとのこと。そこでPC98というパソコンでプロトタイプ版の『エスト』を開発し、色々な会社に売り込みを行っていたのだそうです。「当時はパワーポイントなんてものもない時代だったので、PC98とブラウン管のモニタを車に積んで持っていってプレゼンしていましたね」(宮田氏)。売り込み先のひとつにはタイトーという会社があり、同社にもプロトタイプを持ってプレゼンを実施したとのこと。そして開発が正式に決まった際、ちょうどスーパーファミコンの人気が出始めた時期だったため「どうせやるのであれば、スーファミでやってみないか」という話になり、スーファミ用のゲームとして『エストI』の開発が始まった、という経緯を語られていました。

塩生氏は、『エストI』の作曲については難航したと語ります。「とにかく手探りでした。僕はそれまでPCゲームの音楽はけっこう作っていたんですけど、スーファミは音色を全部自分で取り込んで(サンプリングして)作る必要があったんですよ。ライブラリとか、そういうものも無かったですからね。大変でした」と昔を懐かしみます。


また、宮田氏が「20何年も前のゲームなのに、こんなに集まってくださって本当に感謝です」とファンに感謝を伝えると、塩生氏も、「『エスト』ファンの皆さんが、色々演奏してくださってるのを拝見してますけど、本当にありがたいです。こういうふうに続けていってもらって、広げてもらってるんですよね」と語ります。宮田氏が「それはやっぱり、塩ちゃんの曲がいいからだよ」と褒めると、塩生氏は「いえいえ。何も出ませんよ?(笑)」と茶目っ気たっぷりに返します。

中島氏からは、『エストII』の音楽に関する仕様書についてのお話が飛び出します。「宮田さんから塩生さんに、音楽の仕様書が渡されたんですよ。でも、その書類には「街」や「村」としか書かれてなくて。“これは仕様書じゃないよ、曲のリストだよー!”と塩生さんが叫んでました(笑)。でも、それでも塩生さんは曲を作ってくれるんですよね」と語る中島氏。さらに、エンディング曲に至っては、「泣けるやつ」としか書かれていなかったことを中島氏が明かすと、会場は大きな笑いに包まれます。「俺としては、作曲者のイマジネーションを壊さない、いい仕事をしたなって思ってるけど?(笑)」と、宮田氏は悪戯っぽい笑顔で語っていました。

また、『エストII』は、宮田氏がシナリオをすべて書き終わる前に音楽のほうが先に出来上がったそうで、宮田氏はヘッドホンで1日中ずっと塩生氏の音楽をループして聴きながらラスト間際のシナリオを一生懸命書いていたのだそうです。「塩ちゃんのバトル曲が大好きなんですよね。本当に曲が良くて、だいぶ曲に後押しされましたね」とのことです。

3人のプレトークタイムが終了すると、いよいよ演奏が始まります。

◆結婚イベントまでを描いた第1部!



演奏会の第1部では、ゲーム序盤から中盤にかけての楽曲が順に披露されました。

最初に披露されたのは、オープニングの楽曲「審判の時」と「鳴動」。ティンパニと鐘で、重厚に始まります。河合氏のヴァイオリンソロから段々とストリングスの厚みが増していき、続いてフルートが入って柔らかさを帯びると、トランぺットとドラムが入って勇壮な演奏に。最後はティンパニが入って荘厳な雰囲気となり、壮大な物語の始まりを予感させるかのような演奏でした。

続いては、セーブデータの選択画面で流れる楽曲「旅立ち」です。ピアノ、ストリングス、木琴でやさしく穏やかな演奏が響いたあと、間髪を入れずに「街」。落ちついたやさしい雰囲気の演奏が届けられます。

続いてはフィールドマップの楽曲「大地」。風を感じさせるかのような爽やかなストリングスと勇ましいドラム、そして切なさを帯びたフルートで演奏されたこの楽曲は、雄大な大地の情景と、不思議な運命によって旅立つ『エストII』の主人公・マキシムの複雑な心情が表現されているかのようでした。

不穏な雰囲気たっぷりな「洞窟」、神秘的な「迷宮」に続いては、通常バトル曲「バトル#1」が演奏されます。原曲のイメージを大切にしつつもさらにアグレッシブに奏でられ、会場はヒートアップしてゆきます。

シンフォニックな響きの「城」、勇壮な「最強の男」と続き、軽快な「塔」、重々しく神秘的な「神殿」などの楽曲が続いた後に披露されたのは、ボス戦の楽曲「バトル#2」。アップテンポでガンガン熱く激しい演奏の後に、一転してピアノとヴァイオリンのみのしっとりした演奏が挿入されたりと、緩急をうまく利かせた惹き込まれるパフォーマンスでした。

続いて演奏されたのは、優しさの中に切なさを帯びたメロディが印象的な楽曲「安らぎ」です。河合氏のソロヴァイオリンとピアノによる美しいハーモニーで、穏やかに奏でられます。サビはストリングス全員で奏でられ、しっとりと壮大に聴かせてくれました。続いて、作中のとあるキャラクターがマキシムのもとを去ってゆく重要なイベントで流れる楽曲「別れ」は、フルートとピアノをメインに切なく悲愴感たっぷりに奏でられます。

第1部最後の演奏は、マキシムの結婚イベントで流れる「ウエディング・ベル」。リズミカルで喜びにあふれた鐘の音が鳴り響いた後、続く楽曲「式の後」が、彼の結婚を祝うかのように華やかなストリングスで、会場いっぱいに響き渡りました。

◆ゲーム後半、怒涛の最終決戦を描いた第2部!



休憩を挟んで、幕を開ける第2部。ここではゲーム後半の楽曲が次々に奏でられてゆきます。まずは「予言者」。ソロのピアノとオーボエで神秘的な音色が奏でられたあと、ストリングスの美しさと不穏さを合わせ持った音色が響きます。

「港町」、「村」、「レクサス・シャイア研究所」、「万丈の山」などゲームを彩る様々な楽曲が演奏されたのち、辿り着いた決戦の地「虚空島」。演奏会でもっとも大きな盛り上がりを見せたのは、なんといっても最終決戦のシーンです。ラストダンジョンの楽曲「最終決戦」が勇壮なトランペットと疾走感あふれるドラムをメインに奏でられ、緊張感と高揚感を煽ります。続いて、ラスボスのディオスと対峙した際に流れる「最終バトル」が鐘とティンパニで重厚に奏でられたのち、重々しく立ちはだかるのは「四神」。四神との戦闘曲「バトル#3」が、エレキギターも入って、彼らに全力で戦いを挑むような熱い演奏で繰り広げられます!奏者の皆さんは皆身体を大きく動かし、まるでマキシムたちと共に戦っているかのごとく情熱的に演奏していた姿が印象的でした。

ふたたび「予言者」がピアノとストリングスで哀しく、切なく奏でられた後に披露されたのは、『エストII』屈指の人気曲「地上を救う者」!この曲では、地響きのするようなティンパニとトランペットをメインにした熱く勇ましい旋律が、マキシムの悲壮感あふれる使命、彼の勇壮さ、切なさ、緊張感、様々なものが入り混じった熱い想いとともにアップテンポに奏でられ、会場の温度は一気に熱を増してゆきます。途中で少し「バトル#2」のフレーズが顔を出したあと、「バトル#2」の演奏に変化。奏者全員の勢いはさらに盛り上がり、最高潮を迎えます。

「バトル#2」の演奏が落ち着いたあと、続いて奏でられ始めたのは、エンディング曲の「未来へ」。赤ちゃんの心音のような穏やかなリズムがドラムで奏でられ、ピアノが美しい旋律を奏でます。やがてストリングスやフルートなども入ってきて、やさしく包み込まれるかのような心地よいハーモニーが奏でられます。途中に入る、コントラバスで奏でられる低音も、穏やかにゆったりと聴かせてくれました。

最後は「プリフィアの花」。河合氏によるソロヴァイオリンと、ピアノによる優しい旋律が観客に届けられます。最後はストリングスも入って美しく締めくくられると、観客から大きな拍手が贈られます。

鳴りやまない拍手に応えてアンコールとして披露されたのは、2006年に再発売された『エスト』のサウンドトラックに収録されていた、アレンジバージョンの「Battle#3」です。先ほどよりもさらに厚みを増した熱い演奏が、ホールいっぱいに響き渡りました。


ほとばしるように熱い演奏の最後の一音が響き終わると、観客からは割れんばかりの拍手が贈られ、奏者の皆さんは起立して一礼。さらに塩生氏・宮田氏・中島氏がステージに登壇し、奏者とともに深々と一礼をします。大きな拍手と熱気に包まれたまま、演奏会は幕を閉じたのでした。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

本公演では、『エストII』という作品の世界観を音楽のみで最大限に表現した、非常に質の高く美しい演奏が堪能できました。河合氏による編曲も、原曲を尊重した丁寧なアレンジで、『エストII』という作品を本当に好きで、大切にされているのがひしひしと伝わってきましたね。今回の演奏会は物語に沿って楽曲が披露されたのですが、まるで『エストII』という作品を、ファンの皆で集まってもう一度改めて一緒にプレイしたかのような感覚でした。筆者も『エストII』という作品のいちファンなのですが、本作の物語やプレイ当時の思い出がまざまざとよみがえってきて、目頭が熱くなりましたね。

ステージ上で演奏を行ったのは十数人ほどのメンバーでしたが、それを全く感じさせないほど厚みのある聴きごたえで、お見事でした。少人数での精鋭による演奏は、まるでスーパーファミコンの8音で奏でられる音源をよりよい形でグレードアップさせたかのようなもので、『エストII』の名曲群を奏でるのにベストマッチしていて素晴らしいものでした。『エスト』シリーズは本当に名曲が数多く、ゲームとしても面白い作品なので、今まで本作をご存知なかった若い世代の方も、ぜひ触れてみてほしいなと思います。

◆塩生氏もファンも、笑顔あふれたサイン会!



終演後のロビーでは作曲者の塩生氏にサインを求めるファンが殺到し、あっという間に長い行列ができ、急きょ塩生氏のサイン会が開催されました。



塩生氏はひとりひとりのファンとにこやかに語らい、パンフレットをはじめ、ゲームソフトやサントラなどファンの様々な持参アイテムにサインを入れ、固い握手を交わします。ファンの皆さんも塩生氏も、非常に嬉しそうな満面の笑顔だったのが印象的でした。

サイン会後、ファンの皆さんに触れあっての感想について塩生氏にお話を伺うと、「皆さん、小学生の頃にお父さんがやっていて自分もプレイしたとか、そういう幅広い人たちにプレイして頂いてて、びっくりしました。本当にありがたいことですね」と嬉しそうに語られたのち、「今後の音楽活動のエネルギーになりました。これを起爆剤にして、これからも頑張りたいと思います!」と、今後の活動にも意欲を見せていました。


「MUSICエンジン」さんの第二回演奏会は、2017年4月1日(土)に東京の清瀬けやきホールにて開催されます。次回はスクウェア(現スクウェア・エニックス)から1996年にスーパーファミコンで発売されたRPG、『ルドラの秘宝』の楽曲などが演奏されるとのことです。ご興味をお持ちの方は足を運んでみてください!

なお、本公演の開演前に、塩生氏にインタビューさせていただく機会に恵まれました。『エストII』の音楽制作に関する裏話や、塩生氏が近年作曲家として活動を再開したことについてのお話を伺うことができましたので、別記事で公開いたします。こちらもぜひ、合わせてご覧になってみてください。
《hide/永芳英敬》

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