これは、従来のように機械が人の目的に合わせる「協働」ではなく、より創造的な活動を実現する人と機械の「融和」を目指したものだという。
卓球ロボットの開発担当である同社の生雲公啓氏(技術・知財本部 企画・CTO支援室 戦略推進課 主査)は、「我々がいう“融和”とは、機械が人の行動をアシストすることから、さらに一歩踏み込んで人の感情を察し、“やる気”や“安心感”を高めていくというイメージです」と説明する。
ブース展示のロボットコーナーでは、このような融和のコンセプトを具現化した卓球ロボットが、昨年に引き続き出展。最新版の卓球ロボットは「高精度な状態予測」と「人の行動をアシストするインタラクション」という2つの進化が加わり、さらに賢さがパワーアップしていた。
高精度な状態予測では、独自の軌道予測アルゴリズムを大幅に進化させ、極めて正確な返球を実現した。
「この卓球ロボットは、プレイヤーがラケットでボールを打った瞬間から、2台のカメラでボールの位置や速度を3次元的に捉えています。そしてボールの曲り方やスピードの度合いなどから、回転速度を計測。ボールの空気抵抗や、揚力を起こすマグナス効果といった流体力学的な分析も瞬時に行っています」(生雲氏)。
この軌道予測モデルに基づき、ボールがどのように動くのかをロボット側で判断し、最も打ちやすい位置になるように、ラケットを把持するハンドの角度や、ボールを打つタイミングなどを決定している。コントローラ側では、ロボットの5軸モータを1/1000秒単位で制御しながら、カーブのかかったボールでも、狙った位置に誤差10cm以内で返球できるようにしているそうだ。
もう1つのポイントは人の行動をアシストするインタラクションの進化だ。昨年の卓球台は市販品だったが、今回の卓球台は専用開発したもので、「大型ディスプレイ4枚で構成し、卓球ロボットの頭の中を表現しました。ロボットが事前にどこにボールを打ち返すのか、その方向と落下地点をプレイヤー側に表示してくれます」と生雲氏は解説してくれた。このアシスト機能によって、これまでプレイヤーが返球しづらかったボールも簡単に打ち返せるようになったという。
また卓球ロボットの技術は、生産現場でも活用できるという。
「たとえば人とロボットの共存では、相手の動きを予測する技術が重要になります。これはボールの軌道予測技術で応用できるでしょう。またデータ出力の仕方も大切です。必要な情報をタイミングよく人に教えてあげることが、生産現場で必要になるからです。自動車の世界でも、歩道から人が飛び出しそうか予測し、適切なタイミングで情報をドライバーに伝える技術が求められています」(生雲氏)。
進化した卓球ロボットは、今回の出展に伴い、名前も募集。オムロンのブースや、特設Webサイトで21日まで応募ができる。
ロボットコーナーでは、卓球ロボットのほかにも、より人に近い感覚で衝撃を吸収する「やわらか制御」や、顔センシング技術と組み合わせて人をアシストする搬送ロボットのデモを実施。また、モビリティコーナーでは、クルマの安全運転をサポートするセンシング技術、セーフティコーナーではネットワークカメラと見守りセンシングを組み合わせた技術なども紹介されていた。
【CEATEC 2015】返球の誤差10cm以内! オムロンの卓球ロボットがパワーアップ
《井上猛雄@RBB TODAY》編集部おすすめの記事
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