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【インタビュー】「機動戦士Vガンダム」ウッソ役・阪口大助「本当に乗りたかったのはズゴックです」

『機動戦士Vガンダム』のBlu-ray BOXIIが9月25日に発売を迎えた。主人公であるウッソ・エヴィン役を演じた坂口大助さんに本作や「ガンダム」に対する思いを伺った。

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『機動戦士Vガンダム』は、富野由悠季総監督によるTVアニメシリーズだ。富野総監督による宇宙世紀を舞台とした「ガンダム」シリーズでは、現在、最後の作品となっている。ザンスカール帝国とゲリラ組織リガ・ミリティアとの戦いに巻き込まれVガンダムを駆ることになった少年ウッソの活躍を描く。
本作は故・逢坂浩司さんが描く柔らかなキャラクターに対し、物語はシリアスな戦争の雰囲気に包まれており、キャラクターが壮絶な最期を迎えることも少なくない。ガンダムシリーズでも一際異彩を放つ本作がBlu-ray Boxとなり、9月25日にはBoxIIがリリースされる。そこで今回は、主人公のウッソ・エヴィン役を務めた阪口大助さんにインタビューを実施。ガンダムとの出会いから好きなキャラクター、そして『Vガンダム』の魅力まで、ガンダムについて広く語っていただいた。
[取材・構成=沖本茂義]

『機動戦士Vガンダム』 http://www.v-gundam.net/

■ ガンダムとの出会い、「宇宙世紀」シリーズの思い出

―阪口さんは「ガンダムシリーズ」はほとんどご覧になられているとのことですが、そもそもの出会いはどんな感じでしたか?

阪口大助(以下、坂口)
だいたい小学校4、5年ぐらいですかね、ガンプラが流行っていたんです。僕も夢中になってたくさんモビルスーツをつくって。そこから気になってファーストガンダム本編を観るようになった感じですね。

―ガンプラ出発だったんですね。

阪口
ええ、当時はたくさんモビルスーツをつくりましたね。今でも買うんですけど、組み立てないから箱がどんどん積まれていくばかりで(笑)。

―最初に買ったモビルスーツは何だったんですか?

阪口
ズゴックです。1/144スケールの。

―ガンダムではなく、なぜズゴックを?

阪口
それは……とにかくズゴックがカッコ良かったからです(笑)。ガンダムもそうなんですけど、連邦のモビルスーツにはそこまで惹かれなくて。どうも人の顔をしているのが好みではないみたいで。でも、ジムとかガンキャノンみたいにメインカメラが人の顔じゃないのは買ったことはあります。でもガンダムはこれまで一度も買ったことがなくて(笑)。


―本編をご覧になられてどうでしたか?

阪口
当時はまだ子どもですから、純粋にモビルスーツ同士の戦闘のカッコ良さをみてましたね。だからどっちかというとファーストガンダムよりも『機動戦士Zガンダム』のほうがインパクトがありましたね。『Z』の頃はある程度成長してストーリーもちゃんと追えるようになっていたので。

―アムロに比べるとカミーユはエキセントリックな少年ですが、その点どうでしたか?

阪口
当時の僕は全然感情移入できませんでした(笑)。それは僕が思春期に入る前だったからかもしれないですけど。『Z』に関しては誰かキャラクターに感情移入して観るというよりも、第三者として物語やキャラクターを客観視しているような感じでした。
ちなみに『Z』で好きなキャラクターはアポリーでしたね。

―アポリーとは意外ですね。『Z』のなかでは影が薄い印象もあるので……。

阪口
アポリーは他のキャラと比べるとクセがないし、何より良い人じゃないですか。だから死んだときはすごくショックでした。

―『Z』はどのあたりが面白かったですか?

阪口
作品単体としても面白いんですけど、やっぱりファーストガンダムとの繋がりですかね。アムロやシャアとか旧作のキャラクターが出てきたり、モビルスーツのデザインも旧世代の要素を抽出していたり。そのあたり良かったですね。

―続編の『機動戦士ガンダムZZ』はいかがでしたか?

阪口
まずいちばんにオープニングで「アニメじゃない!」と言われてビックリしました(笑)。シリアスな『Z』と比べて、『ZZ』はコミカルで明るい雰囲気で初めは戸惑いましたけど、後半からのドラマがシリアスに盛り上がっていく感じは好きでした。あと、砂漠に行ったりとエピソードがバラエティに富んでいて良かったですね。

―次に『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』はどうでしたか?

阪口
劇場で観て大興奮して、そのあともビデオで繰り返し観ましたね。アムロとシャアの因縁に決着がつくという意味でも感慨深かったし、何よりもキャラクターの思いがモロに出ているというか……ギュネイやクェス、シャアにしても「結局のところ、お前は私念で戦ってたのかよ!」みたいな感じになるし(笑)。よりドロドロ感が増してる感じで良かったですね。


■ 好きなガンダムキャラクターは?

―ガンダムトークでは定番ですが、好きなキャラクターは誰でしょう? まずは男性キャラからお願いします。

阪口
そうですね……上司にしたいのは、ドズルかランバ・ラルです。味方のためにひとりでビグ・ザムで突撃したり、部下の出世をちゃんと考えてくれるところもいいですし、やっぱり武人肌なキャラクターは男としても憧れます。これがシャアだと「お前の死は無駄ではないぞ」とクラウンみたいに駒にされるのがオチですから(笑)。

―では、女性キャラはどうですか?

阪口
ガンダムヒロインはみんなアクが強くてとっつきにくいんですが……。そんななかでマウアー・ファラオとチェーン・アギは最高ですね。マウアーはもうとにかく支えて欲しい(笑)。

―マウアーはジェリドとのやり取りを見てると、まさに女房にしたい感じですよね。チェーンのほうは?

阪口
チェーンは単純に可愛いですし、何よりも“普通”なのがいいです(笑)。彼女にするなら断然チェーンですよ……いや、嫁かな(笑)。

―お好きなモビルスーツについてもお聞きしたいです。いちばんはやっぱり……。

阪口
これはもうズゴックです(笑)。 ズゴックというと、シャア専用機がジムをぶち抜いてるシーンが有名ですけど、僕は初登場でカラハのズゴックがガンキャノンをアイアンネイルで締め上げてるシーンがすごく好きで。そのあとはどんどん“やられメカ”みたいになって残念なんですけど(笑)。

―ズゴック以外はどうですか?

阪口
大人になってからは何故かギャンに惹かれるようになりました。ゲームの『ギレンの野望』をプレイしても、量産するのは史実どおりゲルググじゃなくて、ギャンなんです。あとはガルバルディやマラサイあたりが好きですね。

―阪口さんにとって、「宇宙世紀ガンダム」の魅力とは何でしょう?

阪口
なかなか難しい質問ですね……。まずは「宇宙世紀」という縦軸があって、ほかのシリーズとの繋がりが感じられるところ。あとは、富野総監督ならではのクセの強いキャラクターがたくさん出てくるところですかね。人間として欠陥のあるキャラも多いんですけど、現実でも完璧な人間なんていないですから、そのあたりにもリアリティがありますよね。


■ “ガンダムに乗りたかったわけじゃない”

―もともとガンダムファンだったということで、『Vガンダム』のウッソ役に決まったときはやっぱり嬉しかったですか?

阪口
嬉しいというよりもプレッシャーのほうが大きかったですね。収録直前まで合格を知らされてなかったので、「ウッソだよ」と言われた時は「え?」という感じでしたし(笑)。

―ウッソは13歳とかなり若い設定ですが、演じるにあたってどうでしたか?

阪口
僕自身、当時は19歳で右も左も分からない状態だったので、変に考えこまずに自分が今持っているのをどう出すかで精一杯でした。ウッソを第三者的な目で見ることもなかなか難しくて。第1話のアフレコもアップアップで、音響監督の浦上(靖夫)さんに付きっきりで指導してもらいました。最終回までずっとそんな感じでしたね。

―劇中で翻弄されるウッソと重なる部分がありますね。1年間演じられていかがでしたか?

阪口
もうあっという間でした。先輩もすごく気を使ってくれたし、現場もすごく楽しかったので、もっとやりたかったぐらいです。


―今振り返って、ご自身にとってウッソを演じたことはどういう位置づけになりますか?

阪口
ウッソを演じていなかったら、今の僕は間違いなくここにいません。そういった意味で『Vガンダム』は大切な作品です。ウッソというキャラはもちろん、お芝居の基本を1年かけてじっくり叩き込んで下さった音響監督の浦上さんにも感謝です。

―本作で「ガンダムに乗る」という夢を叶えられたわけですが、その後のモチベーションは大丈夫でしたか?

阪口
よく誤解されるんですけど……僕はべつにガンダムに乗りたかったわけじゃないですよ。
僕は“ズゴック”に乗りたかったんです!

―なるほど(笑)。でも『ガンダムビルドファイターズ』のような作品もありますから、チャンスはあると思います。

阪口
いろんなところで「ズゴックに乗りたい」とアピールしてるんですけどこれが難しくて……。ズゴックのパイロットは“少年兵”じゃダメなんですよ。ジャブローに降り立った兵士とか見てると、けっこうベテランパイロットばかりなので。学徒動員兵が乗ってたゲルググならまだ可能性高いんでしょうけど(笑)。


―『Vガンダム』Blu-ray Box化を記念して、「週刊5分で分かる機動戦士Vガンダム」に出演されていましたが、あらためて作品を振り返ってどうでしたか?

阪口
当時は全然気づかなかったんですけど、リガ・ミリティアの人たちってけっこうヒドいなと。爺さんたちは子どもに戦争させるわけだし、マーベットさんだって「ウッソは見ときなさい」といってギロチン処刑を見せつけるわけですから、「どういう神経してんだ!?」と思うところがけっこうあって(笑)。

―なるほど(笑)。

阪口
でも、あらためて見るとクロノクルが良いキャラしてるなと。細かいシーンなんですけど、クロノクルがリガ・ミリティアへスパイで侵入したとき、寝ぼけたスージィをトイレに連れて行くんです。「ここはトイレじゃないぞ」って。カテジナもふくめて『Vガンダム』はエキセントリックなキャラばかりですけど、クロノクルはすごく平凡ですごく人間味がある。……まぁだからこそ不幸になってしまった感もありますよね(笑)。彼がシャア・アズナブルだったらもっと上手く立ち回れたんでしょうけど、なにせ不器用な人間なので。可哀想ですよね、クロノクル。


―では、最後にメッセージをお願いします。

阪口
『Vガンダム』は富野総監督によるTVシリーズ最後の「宇宙世紀ガンダム」ということで、縦軸の最後を見届けてほしいです。あとは、物語やキャラクターをふくめて、綺麗ごとじゃないドロドロした部分に注目です。理不尽だったり不条理な部分もふくめて、まるごと楽しんでいただけたらなと思います!


「機動戦士Vガンダム Blu-ray Box I」
発売中(2015年7月24日発売)
「機動戦士Vガンダム Blu-ray Box II」
発売中(2015年9月25日発売)

各税抜価格: 34,000円
発売・販売元: バンダイビジュアル
※2016年9月24日までの期間限定生産

「機動戦士Vガンダム」ウッソ役・阪口大助インタビュー “本当に乗りたかったのはズゴックです”

《沖本茂義》
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