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【レポート】生演奏とキャストの動きがシンクロする音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」

音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」 ■ ”音楽劇”と銘打ち、近年では珍しい生演奏で上演

その他 全般
音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」(C)星奏学院オーケストラ部 (C)音楽劇「金色のコルダBS」製作委員会
  • 音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」(C)星奏学院オーケストラ部 (C)音楽劇「金色のコルダBS」製作委員会
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高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第140回
[取材・構成: 高浩美]

■ ”音楽劇”と銘打ち、近年では珍しい生演奏で上演

『金色のコルダ』が舞台化される。もともとはコーエーから発売された女性向け恋愛シュミレーションゲームである。発売は2003年、その後同名のマンガが『LaLa』にて連載された。2006年にはテレビアニメ化されており、早くからメディアミックスされている作品だ。実は舞台化は今回が初めてではない。2010年に『金色のコルダ ステラ・ミュージカル』としてミュージカルされている。

今回舞台化されるのは『金色のコルダ3』で2010年にコーエーから発売され、テレビアニメ化は2014年。2016年には『金色のコルダ4』が発売予定である。
前作の『金色のコルダ』から8年経過した設定で、登場人物は一新している。前作は学校内で起こった出来事や恋愛が中心だったが、これは全国から集まる他校のライバルとの交流が描かれており、ゲームとしては攻略が可能である。

これのアニメ版(2014年4月~6月放送『金色のコルダ Blue ♪Sky』)は女性が主人公。幼い時からヴァイオリンを習っていた小日向かなで、思うように伸びず、悩んでいた。そんな時、演奏会に出場したが、そこで差出人不明の手紙を受けとる。その内容はまさに彼女の心を突き刺すものだった。書かれていた言葉に触発され、音楽教育では名門と言われる星奏高校への転校を決意、幼なじみの如月響也と共にオーケストラ部に入り、室内楽部門のコンクールでの優勝を誓う、といった内容だ。

今回の舞台はこの物語がベースとなる。”音楽劇”と銘打ち、近年では珍しい生演奏を入れる、とのことだ。演奏者は若手が中心、フレッシュで勢いのある演奏が期待出来る。よって俳優陣は演奏しないのだが、手にする楽器は全て本物。なお、YAMAHAの協力もあり、手の動きもリアルに演奏しているかのように見せるために楽器指導の方々について日々練習したというから、かなり本格的だ。
音楽シーンもエア演奏だけでなく、いろいろ”秘策”があるようである。見どころはもちろん、対戦校とのコンクール対決。音楽ものであるが、”青春スポ根”的要素もあり、どんな舞台になるのか興味深い。脚本・演出は舞台『戦国無双』や超歌劇『幕末Rock』を手掛けた吉谷光太郎だ。


■ 音楽はほとんど、とぎれることがなく、ダンサーで視覚的に魅せ、生演奏と俳優の演奏の動きが見事にシンクロ

アニメは小日向かなでが主人公だったが、舞台では幼なじみの如月響也が主人公となっている。物語はアニメ通りの進行であるが、響也が主軸となっているので、アニメではわかりづらかった響也の心情や他のメンバーとの関係性が濃密に描かれている。
かなでと響也、星奏学院へ転校。それからアニメのオープニング曲が流れる。兄で部長でもある如月律は、しっかり者で、ヴァイオリンの腕前も確か。決して妥協をしない意志の強さがあり、部員からの信頼も厚い。
響也は何かにつけて「如月律の弟君」と呼ばれる。優秀な兄を持った弟ならではの悩みと苛立ちを前山剛久が率直な役作りで演じていて好感が持てる。アニメに描かれているエピソードはあまりはしょられていない。
星奏学院と対戦することになる仙台の至誠館高校。このコンクールに優勝しないと廃部の危機。その理由となった暴力事件も丁寧に描いている。1幕もののおよそ半分以上は、キャラクターの心情を細かく描いている。いわゆる”音楽部”、それもコンクールに向けての群像劇、スポ根的な学園もの、といった感じ。今回の舞台は、この星奏学院と至誠館高校の対決までのストーリーだ。

この作品の観どころ(聴きどころ)はもちろん演奏シーン。俳優が演奏している訳ではなく、ステージ後方にいるオーケストラのメンバーが演奏しているのだが、指の動きが上手くシンクロ、かなりの練習の跡が伺える。
アンサンブル(ダンサー)の衣装はモノトーン。白と黒の切り替え部分は直線的だが、衣装のシルエットそのものは柔らかい。楽譜や音符を彷彿とさせ、なかなか憎い。彼らのパーフォーマンスは、時には”メロディ”になったり、時には楽曲そのものだったり。物語のもう1人の主役は”音楽”であることを視覚的に観客に知らしめる。

基本的に音楽はほとんど、とぎれることがない。演奏シーンはもちろん、そうでない時も音楽が作品世界を増幅させている。”音楽劇”と銘打っているので、ここはクリエイターのこだわりであろう。また、ダンサーの動きも細かく、例えば、コンクールシーンで使われる楽曲、オペラ『アイーダ』の『凱旋行進曲』は、エジプトの英雄・ラダメスの凱旋シーンで演奏される有名な楽曲だが、その勇壮な様子をコリオで見せる。もちろん、キャストの演技もそれにシンクロ、キャラクターの演奏時の心理状態を視覚的に見せる。
また、ヴィヴァルディの『四季』より『春』の演奏シーンではダンサーの衣装が少し変わり、鳥の羽をイメージした袖をつけて鳥がさえずり、羽ばたく様を表現、またシューズを履いた状態ではなく、ここだけ裸足でのパーフォーマンス。春雷の部分にさしかかると雷の効果音、それとシンクロするように”演奏”しているキャストもダンサーもここでパフォーマンスの雰囲気が変わる。使用しているクラシックの楽曲のバックボーン等を予め知っていると、芝居の場面との関係性がわかり、面白さは倍増する”仕組み”だ。

部活もののよくある物語かもしれないが、そこに描かれていることは誰しもが一度は経験したことがあること。共感出来、ちょっとホロリときたり、ちょっと笑ったり、ちょっとドキドキ、の1幕もので上演時間はおよそ1時間50分。サブタイトルは”First Stage”と銘打っているので、当然、その続きがある、と思いたい。
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なお、ゲネプロ後に囲み取材があった。登壇したのは、前山剛久(如月響也役)、黒羽麻璃央(如月律役)、伊藤梨沙子(小日向かなで役)、小沼将太(榊大地役)、高崎翔太(水嶋悠人役)、碕理人(東金千秋役)、谷佳樹(八木沢雪広役)。

登壇した面々が共通してPRしていたのは”生演奏”という点。録音が当たり前になっている昨今の舞台で実際に演奏者が舞台に上がってるのは、なかなかないこと。
前山剛久は「キャラクターが深いところまで描かれています。お芝居の力で音楽を盛り上げないと」とコメントしていたが、生演奏との相乗効果であろうか、キャストの演技も力がこもり、ゲネプロだというのに、本公演さながらだった。前山は続けて「観て下さる方々に共感して頂けるようにしたい」と力強く語った。

「生オケでしか出来ないこと、みんなが一丸となっていました。ヴァイオリンの曲はみんな名曲で、どうやったら弾いてるようにみせるか……」と伊藤梨沙子は語っていたが、ここは練習の成果がかんじられた場面、弦を押さえる指の位置も自然に見えた。
小沼将太は「ダンス、芝居、音楽、それぞれが全部大切、気持ちを入れて全力で取り組んでいます」とコメント。

谷佳樹は「対戦校の至誠館高校は個性の強いキャラクターを(僕が)引っ張っています。みんな役作りが大変で、バランスを考えて演じています。音楽の生演奏ですが、”きっかけ”が大変!ここが一番苦労しました」とコメント。
演奏者は薄い幕を隔てて舞台の後方におり、俳優からは見えにくい。息を合わせるのはかなりの練習を積まないと難しい。「吹奏楽部全員、全力で!」とコメントした途端、共演者・取材陣双方から拍手がおこった。

また、黒羽麻璃央は「”First Stage”と書いてあるので、2ndを期待している方もいらっしゃると思います。観に来てくださる皆さんの力によります!2nd、やりたい!」と早くも次の公演につなげる発言、ソロの場面はかなりの熱演、律の渾身の演奏を表現していたのが印象的だった。
前山は正座して「そうですね、いつも言ってるのですが、1stステージをいい作品にして次につなげたい、律との絡みもあり、いろんな人間関係がありますが、そのひとつひとつの関係性を観てもらえたら、そこを感じて頂けたら、各々の役に対して愛を持って観ていただけたらいいですね」とコメントした。
谷は「キャスト、アンサンブル、生演奏の方々、全員が主人公です!全員がキラキラ輝いてます!」と力を込めて語った。ちなみに谷は音楽教室に行ってみたそうで、共演者から「へ~」「え~」と感嘆の声があがった。
実はこの囲み、キャストの面々はロビーの床に座ってコメントしてくれた。時々、ちょっかいを出したり、と終始和やかムード。いい雰囲気のまま、会見は終了した。

音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」
2015年9月4日~13日

全労済ホール/スペース・ゼロ
原作: アニメ「金色のコルダBlue♪Sky」
監修: ルビーパーティー
脚本・ 演出:吉谷光太郎

音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」
(C)星奏学院オーケストラ部 (C)音楽劇「金色のコルダBS」製作委員会

音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky First Stage」、生演奏とキャストの動きがシンクロする青春劇

《高浩美》
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