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舞台「ふしぎ遊戯」 初舞台、初主演の喜矢武豊の熱演、守りたいもののために戦う物語

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 少ない人数で戦うかっこよさは、活劇には欠かせない要素、劇場でしか味わえない物がある。

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連載第111回
高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義  
[取材・構成: 高浩美]   

■少ない人数で戦うかっこよさは、活劇には欠かせない要素、劇場でしか味わえない物がある

『ふしぎ遊戯』が舞台化される。発表当初から話題になっていたが、原作は1992年より『少女コミック』にて連載された。コミックスは全18巻。テレビアニメは1995~1996年の放映された(全52話)。またOVAはもちろん、ゲームにもなっている。

原作は夕城美朱と親友の本郷唯が「四神天地書」の中に吸い込まれ、神の巫女となって七星士とともに繰り広げる冒険ファンタジー。舞台版では原作の主人公・美朱が吸い込まれた本の中で出会う七星士のひとり・鬼宿(たまほめ)を主役に据えたストーリーが紡がれていく。
題材は古代中国の四神や二十八宿等で、主要な登場人物の名前は二十八宿から取られている。また、主人公や国の名前も五行説に沿って命名されているのである。

この作品の演出家の奥村直義。1991年にBQMAPを立ち上げた。歴史からモチーフを取り、「いつの時代も変わらぬ人の”想い”」を描き続けている。
原作に関しては「1人の女性の為にだったり、国の為だったり、大義の為だったり、色々とありますが、少ない人数で戦うかっこよさは、活劇には欠かせない要素です。『南総里見八犬伝』しかり、『七人の侍』しかり、サイボーグ009しかり。もちろん『ふしぎ遊戯』にもたっぷりとそれが詰まっています。なによりも個性豊かなイケメンたち揃いですしね。それでもってそれぞれのキャラクターたちがいい感じで葛藤してくれるものだから、どんどん物語に引き込まれちゃいます」とコメント。
そして、品川プリンスホテル クラブeXという客席と舞台が近い劇場での上演に関しては「それは生感。まさにライブ感。汗に息づかい、走り抜ける風や煙の匂い。色々なものを感じることが出来るかと。というか、円形ですから、角度によって見え方感じ方が違います。それもまた舞台ならではだと思うし、劇場でしか味わえない物があると思います」濃密な空間だからこその舞台、になるであろう。

そしてチケットを握りしめて来場するファンに向けて「とにかく間近で展開する迫力のある舞台をお届けします。そして初舞台、初主演の喜矢武豊が、所狭しと駆け回り吠えまくる姿に、心動くことでしょう。舞台『ふしぎ遊戯』は、漫画から大きな力を借りた、アニメ原作ではない新しい『ふしぎ遊戯』です。原作を知ってる人も知らない人も、演劇を知ってる人も知らない人も楽しめるエンターテイメントな舞台を目指して、熱烈稽古中です。キャストスタッフ一同、お客様のお越しを心よりお待ちしております」と熱く締めてくれた。

なお3月29日の千秋楽公演は、全国の映画館にてライブビューイングが決定している。映画館でも出演者の”汗”を感じることだろう。

■身体を張ってでも守りたいものがある、主演の喜矢武豊、縦横無尽の活躍、文字通りの熱演!

原作はヒロイン・美朱が主人公なのだが、舞台はヒロインが出会う鬼宿(たまほめ)主軸なので、原作を知ってるファンには新鮮な視点になっている。美朱が本の中で出会うのは、かなり個性的な面々。
ひとくせもふたくせもあり、普通の学生生活を送っていた美朱(みあか)にとっては新鮮を通り越して、もう何がなんだかわからない状態。しかし、運命に立ち向かっていかなければならない、決死のアドベンチャーだ。鬼宿はとにかくテンション高く、まっすぐなキャラクター。彼を取り巻く仲間たちも鬼宿に負けず劣らずである。

着ている衣装は中国の時代劇に出てきそうなテイストに現代的な味付けを施したもので、お洒落。使用している生地も本格的だ。
殺陣は、ただの”チャンバラ”ではなく、中国の格闘技の型を多用。太極拳の動きや中国独特の刀さばき、京劇を思わせる型、それにアクロバット的な動きを加え、ダイナミックになっている。また、鬼宿が酔っぱらってのアクション、いわゆる酔挙もある。中国の時代劇アクション映画のようで、ここは要必見だ。

舞台も段差が多く、変則的な”八百屋”になっており、アクションを立体的に見せるようになっている。アンサンブルの面々、とにかく身体のキレがいい。
主演の喜矢武豊、”初主演・初舞台”ということだが、”本当にお初なんですか?”と聞きたくなるくらいのクオリティだ。アクションも他のアクション・ダンス得意の面々とひけをとらないくらい、縦横無尽の活躍、文字通りの熱演。もちろん、心の機微の表現もなかなかのもので、観ているこちらも熱くなれる。
ヒロイン・美朱のどこにでもいそうな感がアクセントになっている。ヒロインと鬼宿の掛け合いはクスッと笑えてホッとするところ。もちろん、お笑い要素も満載、お楽しみな仕掛けも用意されている。本当は戦いたくはないのだが、戦わねばならない。身体を張ってでも守りたいものがある。

大きな舞台での活劇も楽しいが、こういった客席数の少ない、しかも舞台を席が取り囲む構造の劇場ならではの臨場感、俳優が文字通り、すぐそこにいることの醍醐味。座る位置によって見え方が違うところも、この劇場の特長だ。
とにかく、オープニングから鬼宿の殺陣、としょっぱなから飽きさせない展開。ラストの8人vs8人の大立ち回り、”守りたいもの”のために戦う。

ストーリーは疾走する。そのスピード感が物語を際立たせる。キャスト全員が文字通り、汗をかく、走る、跳ぶ。演出の奥村直義、こういった”活劇モノ”の見せかたは上手い。
手に汗握る、そして楽しく、ちょっとホロリ、ちょっと笑い、な1幕もので、上演時間は約1時間40分。『ふしぎ遊戯』自体は、まだまだ物語は続いている。鬼宿と美朱はその後は?と気になるのは必然。続編はあるのか?、観客は気になるところだろう。

初日前に囲み会見があった。登壇したのは今回の主人公・鬼宿を演じた喜矢武豊。「滑舌は気にしてるんです」とコメントし、続けて「(でも)ゲネは出来た」と語る。とにかく力のこもった熱演、「出来た」というのもうなずける。
「声を張りながら会話をするのが大変で(難しかった)」というが、なかなかどうして、初舞台とは思えないほどの”舞台役者”っぷりであった。また「(役者で)海外に行きたい」という野望も飛び出した。
かと思いきや「僕は舞台やるか、スノボーやるのかの二択でした。」とちょっと脱力系な発言で報道陣を笑わせた。「自信がなかった」と謙遜するが、その自信のなさがバネになったのだろう。堂々たる佇まいであった。

「役者魂」という言葉も出た。アクション、芝居とかなりレベルの高い”舞台役者”としての”お初”。これから、きっとあちこちで”お呼び”がかかることだろう。
「『ふしぎ遊戯』頑張ります!」と言った後で「本番を見に来る方は、噛んだとしても気にしないでください。スルーして下さい」と脱力系な言葉で締めた。サービス精神旺盛な会見、フォトセッションではどんな注文にも応じる姿は”プロ”。喜矢武豊に真のプロ根性を垣間みた。

舞台「ふしぎ遊戯」
期間: 2015年3月19日(木)~29日(日)
会場: 品川プリンスホテル クラブeX
原作: 渡瀬悠宇「ふしぎ遊戯」(小学館刊)
脚本: うえのけいこ 
演出: 奥村直義(BQMAP)

[キャスト]
鬼宿(たまほめ): 喜矢武豊(ゴールデンボンバー)
夕城美朱: 伊藤梨沙子
星宿(ほとほり): 山本一慶
柳宿(ぬりこ): 染谷俊之
翼宿(たすき): 碕理人
井宿(ちちり): 古川裕太
張宿(ちりこ): 未来
軫宿(みつかけ): 広瀬友祐
本郷唯: 伊藤菜実子
亢宿(あみぼし): 澤田怜央
心宿(なかご): 吉岡佑
ほか
《高浩美》
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