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「管コレ」を手かげるマッドサイエンティストJHに突撃インタビュー!その思想と原点を訊いた(前編)

某日都内某所、「JH Lab」に潜入し、「真空管ドールコレクション」の生みの親にしてアーティストのJH(ジョン・ハサウェイ)氏に独占インタビューを敢行。薄闇に怪しくそびえる自社ビルを前に、我々取材班(二人)は固唾を飲んで立ちすくむ……。

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「真空管ドールコレクション」という作品をご存知でしょうか。略して「管コレ(たまこれ)」は、真空管をモチーフにした女の子たち「ドール」が競い合い、「ドールクイーン」を目指す作品です。

プレイヤーは各ドールメーカーの研究者(ドール使い:Doll Manipulator)となり、ドールと共にトップを目指していく内容になっており、既にボードゲームとして展開している他、ドラマCD化も行われ、その独特の世界観から密かに話題となっています。



そんな「管コレ」の成り立ちや、今後の展開を探るべく、インサイドでは都内某所に聳え立つ「JH Lab」に潜入し、「真空管ドールコレクション」の生みの親にしてアーティストのJH(ジョン・ハサウェイ)氏と、JH LabのシニアフェローCOOである中川幸司氏に独占インタビューを敢行。薄闇に怪しくそびえる自社ビルを前に、我々取材班(二人)は固唾を飲んで立ちすくむのだった……。

◆「ハチソン効果」から始まった




―――それでは、まず簡単な自己紹介をお願いします。

JH:ジョン・ハサウェイ(以下JH)と申します。科学設定を中心とした世界観を元にハード、ソフトウェアで表現活動をしています。

―――「真空管ドールコレクション」制作のきっかけなどはあったんですか?

JH:「ハチソン効果」という話がありまして、その「モノが浮く」という現象が「現実に発見されて使用されている」世界が魔法町の世界観となっています。

矢追純一さんなどのテレビ番組や科学万博などで育った私は、高校中学の段階で反重力現象に興味を持ち、ジョン・ハチソンの、「コンデンサやテスラコイルをある条件下で動かした時にモノが浮く」という報告を元に、高電圧の機械を多く集めて自宅で反重力実験の再現実験をやっていたんです。しかし、ハチソンが物理の専門家ではなかったため、私自身も懐疑的にならざるを得ませんでした。そこでちゃんとやろうと思った時に、自分が物理を勉強して研究者になるしかないと思ったのです。

―――子供の頃からそういった事に興味があったんですね。

JH:そうですね。小型のスーパーファミコンを作ったりもしていました。スーファミを切断し、切れた配線をまたつなぎ直し折り曲げてケースに入れ、液晶のモニターをくっつけた携帯スーファミです。これはバッテリーで動きました。アメリカへ行く飛行機の中で『FF5』の「ビッグブリッヂの死闘」をやったのは、恐らく私が初めてだと思います(笑)当時は電子機器がOKだからできたんですね。

―――一同(笑)

JH:ガジェットの製造や科学的な現象を考えたり曲を作ったり、SFの絵を描いたりなどは当時からやっていたんですが、結局気になっていたのは「反重力現象を自らの手で確かめる」というところだったので、それをやりたくて大学は物理学科に。しかし方向性がまともな物理学科だったので、「何言ってるんだ?」と言われてしまい、大学時代は絶望していました。最初の大学ではまじめな人が多くて……堅実な物理の風土だったんです。大学を卒業した後に「どこか山奥に工場でも借りて反重力の実験をやろう」と考えていたのですが、先生に「もうちょっと勉強した方がいい」と言われ、東大の大学院を紹介してもらったところ、そこには私に合う研究室があったのです! 反重力装置とは関係ありませんでしたが、超強力な電磁石を作って「何が起きるのか?」という実験をやる研究室でした。

体育館ほどの大きさがあるコンデンサに電気を通して、警報装置が鳴り響き警告灯の踊る中、エヴァンゲリオンの発進シークエンスのような空間で実験開始。これは「100万分の2秒間だけ磁場が出る」「量子力学で何が起きているか」という実験で、「極限量子物理」というジャンルです。最先端の、今まで無かった現象を調べるという意味ではモチベーションは高かったのですが、「反重力」が私の元々のきっかけ。思うところはありました。そこでこの研究室の先生から他の先生の事を聞いたところ、やはり他の先生方も怪しげな物理や科学がきっかけで物理に興味を持った方が結構多くて。私の先生もそういう方で感激しましたね。

中でも「某研究所で超能力(?)実験に立ち会った事がある」という事を聞いた時は驚きました。某大学所属の少年を連れてきて、「金属棒を破断させる」という実験に立ち会ったらしいのです。実際に破断した金属を某大の金属研究所で解析したところ、レーザーなどでの結果ではない、という解析が出たと。そんな話を聞き、もしかしたらトリックがあるのかも知れませんが、「信じていなかったけれど、超能力はあるのかも」と考えたのです。先ほどお話しした「ハチソン効果」の映像を再現できた人は存在せず、「結局インチキだったんじゃないか」という意見が7割。その一方、3割方の意見として「ジョン・ハチソンが超能力を持っていて、2週間に一回しか起きないその現象は彼自身の力だったんだ」というものがありました。高電圧の機械を好きで集めていて、それにより気分が高揚して超能力が発動したんじゃないか、という意見ですね。そういうモノが頭の中にずっとあったんです。

―――世界を創りあげるために、もうひと押しありましたか?

JH:矢追純一さんの調べていた「モントークプロジェクト」というのがありまして、これがあの「フィラデルフィアエクスペリメント」とも関わっている実験なのです。概要は、「ある種の電波を人の脳へあてた時に、感情に影響を与えた」というもの。それを発展させて敵の部隊を無力化しようというプロジェクトでした。またそれをさらに発展させて「超能力者が“あるイメージ”を電波に乗せて送って、受け手側でそのイメージ……戦車が見えるようになり、やがて触れるようになり、最終的には機能するようになった」という結果を生み出したと言うのです。さらには、世の中に存在しない、怪獣だったりタイムトンネルだったりをイメージさせたら実際にそれが現れて事故になり、基地そのものを閉鎖した……というのが「モントークプロジェクト」でした。これは映画にもなっています。

その10年後に矢追さんが基地へ調査に行ってみると、道なき道の先に新しい変電所が建っており、電気が点いていて、どこからともなく警察がやってきて捕まってしまう……それをテレビで観て、実際に大学の頃にモントークへ行ったのです。時間が経っていたのでさらに廃屋になっているかと思いきや、柵の向こうには新しい変電所や施設がありました。そこでは黒い飛行機に威嚇されたりもしましたし、「もしかしたらこれは本当に起きた事であり、各種実験も本当の事なのでは……」という考えに至ったのです。



今ご説明した二つの技術、「ハチソン効果」と「モントークプロジェクト」双方の技術が成り立っている世界、それが「真空管ドールコレクション」(以下、たまコレ)の着想となりました。たまコレ以前から「もし電波で人の感情に影響を与えられるのであれば、それは音波に似ているな」と考えていまして、音波は「音楽」というもので人に感情を与えられますよね。

とすると「電楽」とも呼べるものも存在するであろう、と。「電波を使った音楽を体験できる娯楽」が存在し、人に感情を与える事ができるのではないかと思うんです。そこでまずは「電楽」用の「真空管ヘッドフォン」を作成しました。なぜ真空管なのかと言いますと、モントークプロジェクトの装置の回路図に真空管が重要なパーツとして使われていたため。この装置の原理は分かっていないのですが、しかし真空管が使用されている事に意味があるとすれば真空管を使うべきなんです。だとするならば、真空管が本質である可能性もあるわけじゃないですか。であるならば省略してはいけないというのが、真空管を選んだ理由です。いくつかある概念の一つですね。


このヘッドフォンに使っている真空管は音響用のものなのですが、それを特殊なもの、「本来のもの」に変えると電楽として使えます。真空管を抜いた状態だと、この世界でも電気町の世界でもどちらにも存在できる、どちらでも使えるのです。もちろん世界観もハードウェアも本物です。これがハードウェアシリーズの哲学です。そして、『たまコレ』でも機械と人の精神の部分になんらかの関わりがあるのではないかと考えました。

モントークプロジェクトであれば、今ある物理と精神というのは、人の脳……神経の他に物理的な構造以外に物質とは違う概念があって、そこと物理の量に相関があるような、そんな関係が存在しているんですよ。空中に浮いている人も、ほうき自体が自分の念力の増幅器になっていて、自分自身が浮かして動いている、という設定なんです。なので、あれは魔法ではなくて、精神と物理量が完全に解明されて増幅する技術が可能とした現象です。となると、世界はどう発展するのか、縦方向に発展していくはずですよね。今は一階にしかないディスプレイも入り口も、全方向が入り口になり広告になるのが一番効果的であろうというのがあの風景です。

―――思考を現実にするというと「いばらの王」がそうでした。また、テスラコイルと言うと「エルハザード」を思い出します。

JH:「エルハザード」懐かしいですね。丁度あの頃、私も再現実験をやっていたので、あれの漫画版を読んで「自分だったらこんなコンパネにはしないな」なんて思っていました(笑)
《平工 泰久》
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