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5周年を迎えてますます盛り上がる『ブラウザ三国志』のアップデートについて聞いた

今年5周年を迎える『ブラウザ三国志』。5周年を記念して新勢力「覇」の実装や新兵種の実装など、さまざまなアップデートが行われています。『ブラウザ三国志』の過去・現在・未来について、プロデューサーの五味一郎氏とディレクターの勝木洋輔氏にお話を伺いました。

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プロデューサーの五味一郎氏
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  • 『ブラウザ三国志』の5週年サイト
  • 昨年の君主会議の様子
  • アップデートで追加された「覇」勢力カード「董卓 × 呂布」
  • ブラウザで本格的な三国志シミュレーションゲーム
今年5周年を迎える『ブラウザ三国志』。5周年を記念して新勢力「覇」の実装や新兵種の実装など、さまざまなアップデートが行われています。『ブラウザ三国志』の過去・現在・未来について、プロデューサーの五味一郎氏とディレクターの勝木洋輔氏にお話を伺いました。

ブラウザで本格的な三国志シミュレーションゲーム

プロデューサーの五味一郎氏ディレクターの勝木洋輔氏


―――5周年おめでとうございます。はじめにお二方の経歴と『ブラウザ三国志』での役割を教えていただけますか?

五味:本作でプロデューサーを務めている五味一郎です。もともと弊社でコンソールゲームの開発を担当していましたが、何か新しいことに挑戦したいと思い、移動願いを出して約2年前からプロデューサーになりました。もともとテクニカルアーティスト(TA)出身なのですが、気がつけばディレクター的に全体を統括して見るようになり、本作で初めてプロデューサー職に就任したという感じでしょうか。

―――TA出身のプロデューサーって珍しいですよね。たぶん日本で初めてではないでしょうか?

五味:TAの役割自体がまだ漠然と捉えられているというのはあると思います。自分はプログラマ寄りのTAとして、ツールやワークフローの整備などを主にやっていました。

勝木:同じく企画ディレクターを務めている勝木洋輔です。私はウェブディレクター出身なのですが、その頃から『ブラウザ三国志』の技術面に興味がありプレイしていました。その後、縁があって弊社に転職して、五味の半年くらい前にチームに合流しました。当初は運営やマーケティングを中心に動いていましたが、五味がプロデューサーに就任したことを受けて、ディレクターに就任したという感じでしょうか。

―――技術面というと、どんなところに興味があったんですか?

勝木:本作は5年前のゲームなので、FlashやHTML5などの技術が使われていないんですよ。にもかかわらず、本格的なゲームになっていて、すごいなあと。

―――ああ、そうでしたね。自分もはじめたキッカケがmixiアプリからでしたが、無理すればiPhoneでもプレイできると知って、驚いたことがあります。当時も今もブラウザゲームはFlashベースのものが多いのですが、異彩を放っていました。

勝木:そうなんですよ。クライアントは主にHTMLとCSSの組み合わせでできています。バックエンドでは主にPHPですね。今となっては、非常にレガシーな作りです。

―――五味さんは『ブラウザ三国志』をプレイされていたのでしょうか?

五味:就任前は『ブラウザ三国志』自体はそれほど遊んでいなくて、むしろブラウザゲームという意味では『トラビアン』にハマっていました。『トラビアン』が好きなら、『ブラウザ三国志』もプロデュースできるんじゃないかと判断してもらったようです。

勝木:自分は『トラビアン』は未体験で、ブラウザゲームとしては『ブラウザ三国志』からなんですよ。そのため、いろいろと新鮮でした。

―――お二人の考える『ブラウザ三国志』の魅力とは何でしょうか?

五味:やはりゲーム内で濃密なコミュニケーションが楽しめるところでしょうか。一人では天下統一はできず、同盟が必要になります。その一方でゲームシステム的に、あれをやれ、これをやれということが、かっちり決まっているわけでもない。どちらかというと、『ウルティマオンライン』のような昔のMMORPGに近いんですね。そのため一度ハマるとなかなか抜けられない。そこが今もなお熱烈なファンに遊んでいただけている理由だと思います。

―――実はそういった濃いゲームって、今となっては少ないんですよね。モバイル・ソーシャルゲームでは「ソーシャル性」を減らす傾向にあります。

五味:『ブラウザ三国志』ではメールでも「はじめまして・・・」から書き始めるような文化がありますよね。だから、ゲームを通してコミュニティが生まれることも多いようです。実際にブログや攻略wikiなどもたくさんありますし。

勝木:自分は前述したように技術的な興味から初めたんですが、遊んでみて「なんてマゾいゲームなんだ!」と思ったことを覚えています。武将のレベルは全然カンストしないし、4ヶ月たったら強制的に施設もリセットされてしまうし(注:本作は4ヶ月単位でゲームの進行がリセットされ、その段階で一定条件を満たした同盟が勝利する)。そこで止めちゃうユーザーもいるんですが、自分は肌にあったんですよね。天下統一めざして、いっちょがんばってみるか、みたいな。

―――なるほど。

勝木:その後、だんだんゲームに慣れていくと、同盟内で自然と役割分担が生まれてくるんですよ。内政ばかりする人、遠征する人、ひたすら兵器を作る人・・・。こんな風に自分の役割が与えられると「オレ、役に立ってるなあ」と嬉しくなって、ますますハマっていきました。周りの初心者プレイヤーから遊び方について質問を受けて、それに回答するのも楽しかったですし。

―――話に出たように、本作の特徴は4ヶ月で一回リセットされる点ですよね。この点については、新規で始められるプレイヤーの反応はどうなのでしょうか?

勝木:最初のうちは皆さん戸惑うようですね。他のMMORPGでは、こんなことはありませんから。ただ、その4ヶ月を繰り返していくうちにこういうゲームもアリなんだ、とわかってくれているようです。武将カードや一緒に戦った人との繋がりを持ち越して、次のゲームに挑むといったサイクルですね。

―――さて、そんな『ブラウザ三国志』ですが、2013年5月にオフラインイベントの「君主会議」がありましたね。あちらの内容にも係わられていたのですか?

五味:そうですね。

昨年の君主会議の様子


―――「天覇争乱」という大規模アップデートの方向性が示されましたが、あれから1年以上たって、まだ完了されていないような・・・

五味:まことに、申し訳ありません。

―――まとめると、「天の章」は新たに「装具」が登場。「覇の章」では新勢力の「覇」が登場。「争の章」では三つの新兵種を実装。「乱の章」はワールド統合でしたね。このうち「乱」は先行して実装され、「争」も昨年秋のテストサーバでの先行導入を経て、すでに実装されています。「覇」も満を持して6月に登場しました。最後に残っているのは「天」というところでしょうか?

勝木:そうですね。予想以上に装具のバランス調整に時間がかかっています。

―――アップデートの方向性には大きく「新しいユーザーを獲得する」「既存のユーザーに楽しんでもらう」の2種類があると思いますが、どちらに主軸をおいていますか?

五味:バランスが重要かなと思っています。ただ、「争」や「覇」は遊び方のバリエーションを増やして、既存ユーザーの方に新しい体験を提供したいという狙いがあるのは事実です。やはり5年間も運営していると、ある程度「定石」ができていましたから。そうした状況を打破したいという気持ちはありました。実際、一連のアップデートで、実際に我々が思ってもみなかったような展開が生まれてきています。

―――バランス調整はどのように行われるのですか? テストワールドで試しにやってみたり、ユーザーから意見を聞いたりと、かなり慎重な印象も受けます。

五味:MMO系のゲームでバランス調整ってホントに難しいんですよ。データベースや戦闘シミュレーションなどで、統計的なデータにもとづいてバランス調整を行っています。ところが、なかなかこれだけでは、皆様に満足いただける内容にならないんですよね。特に新しい仕様が入ったことで、以前の仕様があまりに不利になると、お客様のモチベーションが下がってしまいます。一方でお客様はアップデートにそれなりの期待感をもたれていますので、メリットが乏しければ、これまた「使う意味がない」ということになります。

勝木:テストワールドで先行して出してみて、統計的なデータの分析と共に様々なご要望や感想などもいただきながら、両方で状況をみる感じでしょうか。定量的なデータと定性的なデータの両方でバランスをとる感じですね。

五味:たとえば「覇」勢力は単独で見れば、有利なことは間違いないです。他の勢力と違って初期スキルが存在せず、自由に成長させられますし、スキルを最大4つまで習得できます(他勢力は3つまで)。2つのパラメータを完全に強化することもできます。というのも、『ブラウザ三国志』では武将を育てるのに非常に時間がかかるので、単純に以前の勢力と同じ条件では、あえて新規に「覇」勢力のカードを選ぶメリットが無くなってしまうのです。

勝木:とはいえ、露骨に差をつけないように、かなりがんばってチューニングしました。ただユーザーさんによっては、それがあだになって「期待外れ」のように感じられたかもしれません。本当に難しいですね。

アップデートで追加された「覇」勢力カード「董卓 × 呂布」


―――なるほど、このあたりはトレーディングカードゲームのアップデートにも似たところがありますね。

五味:ああ、そうかもしれませんね。

―――格闘ゲームなどでは、パラメータ的には互角なはずなのに、その時のユーザーコミュニティの盛り上がりなどで、特定のキャラクターで強い・弱いといった評価がなされることもあります。『ブラウザ三国志』ではいかがですか?

勝木:はい、同じような現象もみられますね。武将が成長するまでには時間がかかりますし、これからもいろんな展開が生まれてくると思います。総合的な判断まで、もう少し時間がかかるのではないかなあと。今は良いという意見・悪いという意見どちらもいただいているので、アップデートとしては上手くいった方ではないでしょうか。運営側としても長い目でバランス調整をしていく予定です。

―――天覇争乱に並行して「ブショーデュエル」もリニューアルされましたね。任意の武将6人をセットして戦う、カジュアルなデッキ対戦ゲームです。

五味:プレミアムワールドで先行実装していたものが、7月15日から他のワールドでも遊べるようになりました。これまではデッキをセットしておけば、自動的にマッチングされて勝敗が決まるというものでしたが、アップデートによって自分から対戦相手を選べるようになります。これによって、より能動的に遊んでもらえるようになりました。

―――どういった狙いでアップデートされたのでしょうか?

五味:もともと「ブラウザ三国志」はプレイヤーがPCの前に張り付いて、ドップリと遊んでもらう内容のゲームです。ただ次第に、もう少し気軽に武将カードを育てたいという要望が高まり、ブショーデュエルが実装されました。ところが、これも何年も運営していくうちに「セットしておいた方が得」くらいのコンテンツになってしまったんです。それでゲームの本質に立ち返って、試行錯誤を繰り返しながら勝てるような内容にしたかったんですね。

―――なるほど。

五味:以前から開発チームの中でアイディアは上がっていました。『ブラウザ三国志』は戦争だけのゲームではなく、内政や外交などいろいろな展開があります。そこで、もっと手軽に武将カードの強さを実感できるようなコンテンツが求められていたんです。これまでは「天覇争乱」をはじめ、大型アップデートの負荷が思いのほか高くて、後回しになっていました。それが、ようやく実装できてホッとしたというところです。

―――プレミアムワールドの反響はいかがでしたか?

勝木:武将の「攻撃」「速度」のパラメータが重要すぎて、他のパラメータの意味が薄いというご意見を何度かいただきました。でも、これもシミュレーション上では良いバランスになっているはずなんですよね。ただ、ユーザーさんの武将カードを見ると、他のパラメータを育てている人が少ないので、結果も偏り気味になっているのかもしれません。ちょっと状況を見守りたいところです。

五味:また、副次的な狙いとして、初心者プレイヤーに楽しんで欲しいという思いもありました。前述の通り『ブラウザ三国志』は、ハマると面白いんですが、ハマるまでにちょっと敷居が高いところがあります。そこで、まずは初心者プレイヤーに対戦や武将を育てる楽しさを感じてもらって、ゲームの世界観などにも慣れていただき、ゲーム本編に進んでいって欲しいなと。

―――こうした大型アップデートに加えて、ユーザーインターフェースなど細部の遊びやすさについても、これから改善をしていくと伺いました。

勝木:『ブラウザ三国志』はなんだかんだいって5年前のゲームですから、細かい部分で遊びにくい部分がたくさん残されているんですよね。古参ユーザーなら「そういうもの」と理解してもらえているんでしょうが、新規ユーザーには「何これ?」となります。

五味:細かいところでは、受信した書簡に対して一斉返信ができない、などですね。プレイヤーの方に直接ご要望をヒアリングさせていただく機会などもあるのですが、常に指摘されるところです。そのたびに「申し訳ありません…」と言い続けています。こういったところも、やっと手がつけられるようになりました。

『ブラウザ三国志』の5週年記念サイト。こちらで様々な施策が明らかにされていくという


―――最後にファミリーマート限定で「全員にレアガチャチケットプレゼント」というキャンペーンを開始されましたね。こちらの狙いについても教えてください。

五味:7月1日から28日まで、ファミリーマート店内にあるマルチメディア情報端末「Famiポート」で 対象のWebMoneyをご購入いただくと、豪華チケットが貰えるシリアルコードがプレゼントされます。ふだん行くコンビニで『ブラウザ三国志』のPOPなどを見て、昔遊んで下さっていたプレイヤーの方に『ブラウザ三国志』を思い出してもらい、また遊んでもらうきっかけになればと。

―――なるほど、自分も長く休眠ユーザーですので、これを機会にやってみます。最後に今後の抱負についてお聞かせください。

五味:先ほども言いましたが、『ブラウザ三国志』はこれからもアップデートを繰り返して、どんどん面白くなっていきますので、昔遊んでいた方がいたら、これを機会にぜひ遊び直してみてください。ずいぶん変わったなと感じていただけると思います。

勝木:これまで問い合わせいただいていたのに、対応できていないものが、宿題としてたくさん残っています。これから、その全てに対応するつもりですので、期待していてください。

―――ありがとうございました。
《小野憲史》
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