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「ピカチュウ」に人の言葉を喋らせるという冒険 ─ 遊び心を突き詰める石原恒和氏の、新たな挑戦

「遊び心、世界を制す」と題した第215回目となる「プロフェッショナル 仕事の流儀」にて、『ポケットモンスター』シリーズのプロデューサーである石原恒和氏が登場。その番組内で、石原氏がこの夏より手がける新たな挑戦が、その姿を垣間見せました。

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「遊び心、世界を制す」と題した第215回目となる「プロフェッショナル 仕事の流儀」にて、『ポケットモンスター』シリーズのプロデューサーである石原恒和氏が登場。その番組内で、石原氏がこの夏より手がける新たな挑戦が、その姿を垣間見せました。

今年の夏から制作が始まったという新作ゲームのジャンルは、謎を推理する探偵モノで、先輩探偵のピカチュウとコンビを組み、事件に立ち向かいます。本作の動画も既に試作されており、ピカチュウが率先して走り、本を手に取りこちらに近寄ってくる様子など、可愛らしい仕草が映し出されました。

その映像を見た石原氏は好印象を受けるものの、現段階ではまだパンチが乏しく、大胆な工夫が必要だと訴えます。その石原氏の発言が、番組内で「進化か、暴挙か」と語られるほどの方向性へと発展するきっかけとなりました。

「ピカチュウを新しくプロデュースする」 ── この新作に対して石原氏はまず望んだのは、新たな魅力を打ち出すという点。その要望を受けたスタッフが考え、導き出した答えは、ピカチュウに「人の言葉を喋らせる」という、『ポケモン』シリーズ17年間の歴史の中で初めての試みでした。

「世にも珍しい、青いピカチュウだぜ」
「…ただの美人たちだ」
「このままじゃ、袋のピカチュウだ…」

人の言葉を喋るだけでも衝撃的ですが、その口調も今のピカチュウからは少々想像しにくい、言わば強めのもの。「これまでに培われたポケモンの常識から少し外れてみました」と述べたスタッフは、石原氏が提示した新たなピカチュウのプロデュースという提案を、彼らなりに形にしました。

ですが、そのアイデアを受け取った石原氏は、「常識」を破った彼らですら驚かせるアイデアを切り出しました。「ピカチュウに、パフォーマンスキャプチャーによる表情をつけてみないか」と。

パフォーマンスキャプチャーとは、実際の人間の動きや表情をデータに取り、キャラクターに再現させるという技術。よりリアルなアクションや感情表現を行えるため、ゲーム制作に置ける重要な要素のひとつ。

これまでも、特にアニメなどで、表情も含めた多彩な感情を全身で表してきたピカチュウですが、それはあくまでピカチュウというキャラクターに沿ったもの。パフォーマンスキャプチャーを取り入れるということは、人間らしい表情をピカチュウで再現することに他ならず、このアイデアを耳にしたスタッフたちも戸惑うばかり。

だが実験はしてみようという石原氏の提案を受け、機材を取り寄せパフォーマンスキャプチャーとピカチュウのモデルをリンク。取り込んだ人の表情を、ピカチュウの顔で再現する映像が流れます。そこには確かに、これまで想像したことのないピカチュウがいました。

こいつピカチュウじゃないだろうって顔もあるね、と笑いながら「新しいピカチュウの表情だ」と、手応えを確信したように石原氏は頷きます。

この新作の完成は、2年後を予定しているとのこと。現段階まで公開されたものは、もちろん開発中のものに過ぎず、開発に何年も費やしても没にすることもある石原氏が指揮しているため、この新作が次に公開された時には、更にがらっと変わっているかもしれません。

プロフェッショナルとは、常に新しい組み合わせでものづくりに挑戦し続けられる人だと考える石原氏が携わる限り、本作が新たな挑戦を続けていくことは、想像に難くありません。新しい組み合わせに挑む困難を、ワクワクして楽しめる。そんな遊び心を道標に、彼は今日も邁進していくことでしょう。

なお、今回の第215回「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、11月1日の24時40分から再放送を予定しています。見逃した方は、是非そちらをどうぞ。

(C)NHK
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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