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900人で『FFI』~『XI』のラスボス軍団に挑んだ結果は!?『THE MUSIC MAGES』FFラスボス祭りコンサートレポート

任天堂 その他

TMM代表 堀越美沙氏
  • TMM代表 堀越美沙氏
  • ラスボス討伐に向かう、光の戦士のみなさん
  • パンフレット
  • プレコンサートもありました
  • TMM副代表 室井沙樹氏
  • TMM副代表 藤田美由紀氏
  • 赤松由美氏
  • 阿部奈緒美氏
2013年9月29日(日)、ゲーム音楽演奏団体『THE MUSIC MAGES』の外伝コンサートが、神奈川県川崎市のエポックなかはらホールで開催されました。

『THE MUSIC MAGES』(以下、TMM)とは、『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズをはじめとした植松伸夫氏の楽曲を、電子楽器のエレクトーンで演奏するという団体です。

今回のコンサートは、かねてより要望が多かったという再演プログラムを中心としたもので、題して「ラスボス祭り」。『FFI』~『FFXI』のラストバトル曲を全曲演奏してしまうという、なんとも無謀な企画です。昨今、様々なゲーム音楽コンサートが開催されていますが、これほどまでに奏者・観客共にHP(ヒットポイント)が削られるようなエネルギッシュなコンサートは、かつて無かったのではないでしょうか。

またラストバトル曲のほかにも、“地味メドレー”特集のコーナーが用意されていました。『FF』には多数の名曲が存在しますが、それゆえになかなか表舞台に上がる機会のない楽曲が多いのも事実。このコーナーは、そんな『FF』の隠れた名曲にスポットを当てて生演奏しようというもので、TMMの特色のひとつとなっています。

この記事では、『FF』音楽の魅力を存分に味わえた、TMM外伝コンサートの模様をお届けします。

■THE MUSIC MAGES 外伝 プログラム
【プレコンサート】
・眠らない街 トレノ(『FFIX』)
・永遠の豊穣 Eternal Harvest(『FFIX』)
・街角の子供達(『FFVI』)
・幻獣を守れ!(『FFVI』)

【第1部】~ラスボス祭り vol.1~
・潮風の集う街~リムサ・ロミンサのテーマ~(『FFXIV』)
・Awakening(『FFXI』)
・決戦(『FFX』)
・最後の闘い(『FFIX』)
・The Extreme(『FFVIII』)
・片翼の天使(『FFVII』)

【第2部】~隠れ名曲祭という名の地味メドレー祭~
・『FFIII』メドレー
 (ジンの呪い、小人の村トーザス、古代人の村)
・『FFV』メドレー
 (呪いの地、古代図書館、ムジカ・マキーナ)
・『FFIX』メドレー
 (月なきみそらの道化師たち、モーグリのテーマ、振りカエルと奴がいる)
・『FFVI』メドレー
 (魔列車~スラム・シャッフル~ジョニー・C・バッド)

【第3部】~ラスボス祭り vol.2~
・妖星乱舞(『FFVI』)
・光を求めて~最後の戦い(『FFV』)
・巨人のダンジョン~最後の闘い(『FFIV』)
・闇のクリスタル~最後の死闘(『FFIII』)
・戦闘シーン2(『FFII』)
・カオスの神殿~ラストバトル(『FFI』)


会場のエポックなかはらホールに到着すると、ホール入口には長い行列ができており、にぎわいを見せていました。約900席あるにもかかわらず、予約開始から1週間で満席となったという人気ぶりです。

ロビーで受付を済ませてホールに入ると、おしゃれで聴きおぼえのある旋律が耳に入ってきます……『FFIX』の「眠らない街 トレノ」です。 ステージ上では、ピアノによる開演前のプレコンサートが行われていました。「永遠の豊穣 Eternal Harvest」(『FFIX』)、「街角の子供達」(『FFVI』)、「幻獣を守れ!」(『FFVI』)と、『FF』ファンには耳なじみのある名曲の演奏が次々に披露され、観客は早くも『FF』の音楽世界に引き込まれてゆきます。

ステージ上には、中央のピアノ1台を挟むような形で、左右それぞれに2台のエレクトーンが設置されていました。TMMのメンバーは、この計3台の楽器を使用し、1曲につき2人~3人という少人数の編成で、さまざまな『FF』楽曲を演奏してゆくのです。

■ラスボス軍団との戦い・前半戦
開演時間を迎え、コンサートが幕を開けます! 第1部のはじめに演奏されたのは、『FFXIV』の「潮風の集う街~リムサ・ロミンサのテーマ~」。スネアドラムと金管楽器の音色による、勇ましくも爽やかさにあふれる演奏が、オープニングを彩ってくれます。

演奏終了後、司会としてTMMメンバーの斉藤友樹氏が登場します。斉藤氏によると「爽やかな曲は、これで終わりです」とのことで、以後は「Awakening」(『FFXI』)、「決戦」(『FFX』)、「最後の闘い」(『FFIX』)、「The Extreme」(『FFVIII』)、「片翼の天使」(『FFVII』)と、歴代の『FF』ラストバトルの楽曲が、時代をさかのぼりながら次々に演奏されていきます。

『FFVIII』の「The Extreme」は、ゲーム音楽合唱団のChor Crystal Mana(コール・クリスタル・マナ)とTMMを兼務しているメンバーによる、四声合唱(ソプラノ・アルト・テナー・バス)も加わっての演奏でした。途中で『FFVIII』のオープニング曲「Liberi Fatali」が重なったりと、非常に凝ったアレンジです。また『FFVII』の「片翼の天使」も引き続き合唱入りで、こちらは途中で『FFVII アドベントチルドレン』の「再臨:片翼の天使」も入るアレンジとなっていました。

エレクトーンは、演奏方法が独特なので少し紹介させていただきますと、まず右手でメロディを演奏し、左手で和音を奏でます。さらに、左足は足鍵盤でベースラインを奏で、右足で音量調節と音色データを変更するという、奏者の高いテクニックを必要とする楽器なのです。

TMMのメンバーは観客に背中を向ける形で演奏していたのですが、その理由は、演奏中の手元や足元を見ていただきたいからとのことです。実際、演奏中のTMMメンバーの動きを追っていると、耳だけでなく目にも楽しめます。筆者も、「よくあんなにも器用に演奏できるなぁ…!」と、感心しきりでした。

ちなみに『FFIX』の「最後の闘い」の演奏では、原曲に入っている“うわぁぁぁぁぁ!!”“あぁぁぁぁぁ!!”という、恐ろしい地獄の声までもが再現されていました。これは、足元のペダルを使って声のような音を不協和音で奏で、さらにそれをピッチ操作し、地獄の声を再現していたそうです。芸が細かいですね。


■FF好きにはたまらない!“地味メドレー”特集
休憩をはさんで、第2部です。ここでは“地味メドレー”特集ということで、普段なかなか生演奏されない、『FF』の隠れた名曲にスポットを当てて演奏されました。

司会の斉藤氏によると、「ラスボス祭りと銘打っているにもかかわらず、実はこれに一番力を入れているのではないか?というウワサも、ちらほら」とのこと。パンフレットの曲目紹介も、第2部についてはヒントしか書かれておらず、曲名当てクイズのような形でも楽しむことができました。

まずは『FFIII』メドレーです。 「小人の村トーザス」は非常にかわいらしく、楽しい演奏で、癒された方も多いのではないでしょうか。バトル続きで減ったHPが回復しました(笑)。続いては『FFV』メドレーです。「呪いの地」「古代図書館」「ムジカ・マキーナ」というなんともツボを突いた選曲。確かに地味だけれども、どれも『FFV』には欠かせない楽曲です。「ムジカ・マキーナ」は、『FFV』のアレンジアルバム『Dear Friends』のアレンジで追加されたピアノパートも演奏されていました。まさか『Dear Friends』を持ってくるとは……!『FFV』愛を感じずにはいられません。

お次は『FFIX』メドレー。「月なきみそらの道化師たち」「モーグリのテーマ」「振りカエルと奴がいる」の3曲です。「月なきみそらの道化師たち」なんて、これが生演奏されたのはおそらく世界初ではないでしょうか。リズミカルなピアノの音色が、たまらなく心地いいで、悪だくみをするゾーンとソーンが舞台袖からヌッと顔を出しそうなほど、再現度の高い演奏でした。かわいらしい「モーグリのテーマ」のあとには、「振りカエルと奴がいる」です。ゲーム中、“だるまさんがころんだ”のミニゲームを遊ぶ際のBGMですね。小気味いいコミカルな音色で、原曲の雰囲気がよく再現されていました。演奏の最後には「モーグリのテーマ」が一瞬だけ再度顔を出し、“クポッ!”という、モーグリのかわいらしい鳴き声がエレクトーンで再現されていたのもgood。なごみました(笑)。

最後の『FFVI』メドレーは、昨年のTMMコンサートの再演プログラムとなります。「魔列車」はジャズワルツアレンジでの演奏で、原曲の雰囲気を崩さないながらもオシャレなものになっていました。途中、「魔道士ケフカ」のフレーズも少しだけ入っていたのがニクイです。続く「スラム・シャッフル」はゾゾのBGMですね。メロディの裏で鳴る「ホーワホーワ…」という音まで完璧に生演奏で再現しており、はじめの雨の音もちゃんと入っているのがたまりません。最後の「ジョニー・C・バッド」はジャジーな雰囲気たっぷりな、テンポ感あふれる演奏です。途中からは観客の手拍子も入って、会場には心地よい盛りあがりと一体感が生まれていました。

演奏が終わり、ホール中が拍手で包まれている間、筆者は大きな満足感を得ながら内心思っていました。「これ、地味じゃないな。じゅうぶん表舞台に上がれる名曲たちだ!」と。こうして地味メドレー特集は幕を閉じたのでした。

■もう後戻りできない、ラスボス軍団後半戦
休憩をはさんで、第3部です。まず演奏されたのは「妖星乱舞」(『FFVI』)で、第一楽章から第四楽章まですべてが演奏されました。この演奏は10分以上もあったためか、だいぶHPを削られたという方も多かったことでしょう。しかし演奏後、司会の斉藤氏は、「もう最終セーブポイントは過ぎました。後戻りはできません……。瀕死の方は、そのまま臨んでください!」と、容赦のない一言が。

さらに斉藤氏から祝電が紹介されました。「全てのラスボスを駆逐して、すばらしい勝利のファンファーレを奏でられますように!」という、Chor Crystal Manaさんからの応援メッセージです。これはもう負けられません。

第3部ではラストバトル曲に加え、ラストダンジョンの楽曲もあわせて演奏されました。「光を求めて~最後の戦い」(『FFV』)、「巨人のダンジョン~最後の闘い」(『FFIV』)、「闇のクリスタル~最後の死闘」(『FFIII』)、「戦闘シーン2」(『FFII』)、「カオスの神殿~ラストバトル」(『FFI』)というラインナップです。「何回最後の戦いしてるの!」というツッコミはさておき、ラストダンジョン楽曲の演奏も熱いですね。最終決戦へと向かう気持ちを盛り上げてくれます。

『FFI』の「ラストバトル」は、オリジナルのFC版には無かった楽曲で、ワンダースワンで発売されたリメイク版から追加されたものになります。切なさと哀愁の漂う美しいメロディの「カオスの神殿」から始まり、それが途中から原曲にはない盛り上がりを見せたあと、「ラストバトル」に突入です。テンポの早いピアノとストリングス、オルガンの演奏によってカオスとの壮絶な戦いが繰り広げられます。ラストまで演奏しきった後は、惜しみない拍手がホール中に響き渡りました。

■「闇王はどんどん地位が下がっていっちゃって。」
拍手が鳴りやまない中、TMM代表の堀越美沙氏がステージに登場します。TMMの公演は、これまで毎年、東京都渋谷区にある「YAMAHAエレクトーンシティ渋谷」で開催されていました。しかし毎回満員御礼で、観覧申し込みの人数にホールのキャパシティが追い付かず、今回は初の外部ホールで開催することになったという旨が語られました。

また、ゲストとして、『FFXI』の作曲者のひとりである谷岡久美氏が登場。『FFXI』に相当ハマっているというTMMメンバーの岩永一成氏も加えて、『FFXI』についてのトークが繰り広げられました。谷岡氏はイベントがあるたびに、「『FFXI』がきっかけで結婚しました!」というファンからの報告を受けているそうで、すごいなぁと思いますとのこと。また『FFXI』のラスボス・闇王については、「普通のソフトだと、ずっと最強のままですよね。でも、『FFXI』が長く続いていったから、闇王はどんどん地位が下がっていっちゃって(苦笑)。MMORPGならではですね」(谷岡氏)と、闇王の不憫さを語られていました。

■ラスボス軍団との戦いの結果は……!?
トークタイム後は、アンコールのお時間です。様々なラスボスと戦ってきた、ラスボス祭りの最後に披露されたのは!

・シーモアバトル THE BLACK MAGES version(『FFX』)
・デッドミュージックメドレー
(『FFXI』:Black Out、『FFX』:ゲームオーバー、『FFIX』:ゲームオーバー、『FFVIII』:The Loser、『FFVII』:つづきから、『FFVI』:レスト・イン・ピース、『FFV』:レクイエム、『FFIV』:哀しみのテーマ、『FFIII』:レクイエム、『FFII』:デッドミュージック、『FFI』:デッドミュージック)

まさかの、全滅曲メドレーです。

「勝利のファンファーレ」じゃないのかよ!(笑)と、思わずツッコミを入れた方も少なくないでしょう。筆者も心の底からツッコミを入れていました。みんな必死に戦ったにもかかわらず、全滅してしまったのです……。

TMM全メンバーが入れ替わりながら、次々に歴代の全滅曲が演奏されていきました。筆者は相当の『FF』好きを自認していますが、全滅曲を連続して聴いたのはさすがに初めてです。こうして全作品の死に際を生演奏で振り返ってみると、全滅の曲なのにとても美しいメロディが多いなあと改めて思いましたね。特に『FFI』の「デッドミュージック」は、とても壮大なアレンジになっており、壮絶な死に際となっていました。

必死にラスボスと戦ってきた観客たちを癒すレクイエムかのように、物悲しいながらも、魂が浄化されるかのような美しい演奏がホール全体に響き渡ったのでした。

■これからのTMMにも期待!
【CONTINUE】
というわけで、まさかの全滅でコンサートは終演しました。昨今、『FF』シリーズの音楽はあらゆるところで生演奏される機会がありますが、TMMのコンサートは一筋縄ではいきませんね。

TMMメンバーの高いテクニックによるエレクトーンの演奏、楽しませていただきました。それに加えて、演奏中、ステージ上のスクリーンも見逃せませんでした。スクリーンに時折「泣くぞ 絶対泣くぞ ほら泣くぞ」など、各作品の名ゼリフが表示されていたのですが、そのセレクトがまたニクイんですよね。否応なしに、ゲームの思い出を回想させてくれます。ゲームをまたプレイしたくなってしまいました。

『FFII』の「戦闘シーン2」の演奏中には、ラスボス・皇帝の「ウボァー」という断末魔が4回も表示され(しかも少しずつ文字が大きくなっていく)、笑いをこらえていた方も多いのではないでしょうか。あれは反則です……。公式主催の『FF』コンサートでは絶対にできない演出ですね。もちろん演奏は至って真面目にやっていましたから、そのギャップがまたおかしくて。

“地味メドレー”も非常に面白い試みだと思います。ゲーム音楽のコンサートでは、どちらかというと有名な楽曲がよく取り上げられがちですよね。しかしTMMの、“隠れた名曲にスポットを当てたい!”という想いは、作品に対する愛情をすごく感じるのです。またリスナーとしても、「そうそう、こんな曲あったよなあ」と、また違った角度から『FF』音楽を楽しめて素晴らしいなあと思います。人気曲の陰に隠れがちな、味わい深い名脇役たちにもスポットを当ててくれるのは、TMMの醍醐味のひとつですね! ぜひ“地味祭り”もやってほしいなと筆者は思っています。

エレクトーンの多彩な音色や凝った演出、そしてTMMメンバーの皆さんの『FF』に対するあふれんばかりの愛情によって、『FF』音楽の魅力をまた違った形で味わえた楽しいコンサートでした。

TMMの次回公演日程は、現時点で未定となっていますが、今後も活動を続けていくそうです。次回開催時には、ご興味をお持ちの方はぜひ足を運んでみてください。『FF』好きとしては要注目のTHE MUSIC MAGES。これからの活動にも期待大です。

(C) Game Music Concert Photographics
《hide/永芳英敬》

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