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【GDC 2013】2013年のキックスターターはインディゲームにとって冬の季節?インディゲームサミットでアナリストが語った現状とは

ネットを使った新しい資金調達手法として注目を集めるクラウドファウンディング。しかし、その実態は決して甘くはないようです。

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ネットを使った新しい資金調達手法として注目を集めるクラウドファウンディング。しかし、その実態は決して甘くはないようです。

調査会社ICO PartnersのThomas Bidaus氏は GDCのインディペンデントゲームサミットで3月25日、「Crowdfunding for Indies:Real Numbers and Trends」と題して講演。草分け的存在であるキックスターターの現状について紹介しつつ、初期のバブルは終わったと警鐘を鳴らしました。

2009年にスタートしたキックスターターは、プロジェクト数、投資金額ともに右肩上がりで順調に推移してきました。その名前を一躍有名にしたのが、2012年にファブルファインプロダクションズが行った新作アドベンチャーゲームに関する投資でしょう。わずか24時間未満で100万ドルの投資を集め、業界を震撼させたのです。また同年にはAndroidベースの新型ゲーム機、OUYAが859万ドルの投資を集めたことでも話題を集めました。

実際、2012年はキックスターターにとって、大きな節目になったとBidaus氏は語ります。派手な数字だけが一人歩きしはじめ、さまざまなプロジェクトが乱立した結果、勝ち組と負け組の差が一気に広がり始めたのです。キックスターターは今やオールオアナッシングの投資プラットフォームとなっていること。Bidaus氏は投資額の平均が14500ドルであること。また目標額に達したプロジェクトは全体の30%しかない・・・これらに注意する必要があると言います。

では、キックスターターで成功を収めるにはどうしたらいいのでしょうか。講演では5つのTIPSが紹介されました。

1:適切なゴールを設定すること:キックスターターでは投資が目標額に達しなければ一銭ももらえない。そのため設定金額は多すぎても少なすぎてもダメ。

2:コミュニティを活用すること:まったくのベンチャー企業がキックスターターで投資を募っても、たいていうまくいかない。自社のゲームに対するユーザーコミュニティを十分に育てた上で、投資案件を募ることが重要。彼らが最初の寄付候補者になってくれるし、口コミで広げてくれる。

3:宣伝に力を入れること:あなたの思っている以上にあなたは世間に知られていない。より多く投資を集めるためには、より多くの人に案件について知ってもらうための努力が必要。そのためにもコミュニティが重要。

4:市場におけるポジショニングを適切にとること:カジュアルゲームのユーザーは、わざわざ自分で寄付をしてまでゲームを遊びたいとは思わない。コアユーザーが多いニッチジャンルを狙うべきで、スマホやコンソールよりも、PCゲームに向いている。

5:核反応(Reactivity):なんといっても、ユーザーが求めている案件であることが一番重要。「ユーザーが待ち望んでいる企画」を提示すれば、それが核融合のように連鎖反応を起こして、投資を呼び込んでくれる。好例は『Shadowrun Online』で、出足は鈍かったが、話題が話題を呼んで最終的に50万ドルの投資を達成した。

そのうえで「本当にキックスターターで投資を集めることが、あなたのゲームや会社の録って本当に重要なのか、真剣に考えてみてください」と語られました。

特に2013年はゲームにとって辛い年になるのではないかとBidaus氏は指摘します。鳴り物入りで投資を集めたプロジェクトが延期したり、キャンセルになったりして、キックスターター自体の信用度が低下する懸念もあるからです。

またキックスターターで投資を呼び込んだ場合、開発状況の継続的な公開や、Tシャツをはじめとしたグッズ類の制作、製品の発送といったように、予想外の出費が求められる傾向にあります。そして忘れてはならないのがキックスターターに5%、AmazonPaymentに5%の手数料がかかるということ。キックスターターに適した業界のエコシステムはまだ存在せず、さらなる革新が必要だというBidaus氏の分析は正鵠でしょう。

ちなみに会場では398万ドルの投資を集め、ゲーム単体で最高額となった(キックスターター全体でも3位)PC向けのファンタジーRPG『Project Eternity』における、投資金額の推移についても紹介されました。これによると最初の4日間で投資金額の多くが集まり、以後は低調に推移。終了間際になって駆け込み需要が集まったことがわかります。このモデルを見る限り、最初のインパクトは非常に重要なようです。

今やキックスターターでは1日にゲーム分野だけで4500万ドルの投資が集まるまでに成長しました。 この金額は『Wiifit』のマーケティング費用や、『キルゾーン2』の開発費用、そしてUBIソフトの全ソフト開発予算の10%以下にあたります。ゲーム向けのクラウドファウンディングでは、他にIndiegogoやUlule to dateがありますが、規模が一桁も二桁も小さく、ほぼ一人勝ちの状況です。

もっとも規模の拡大は必然的に詐欺行為とみられる案件も呼び込んでしまうのが現実です。今後はこれまで以上に案件に対する説明責任が求められるようになると指摘し、講演が締めくくられました。
《小野憲史》
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