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オール福岡で実施され、思わず涙もこぼれた福岡ゲームコンテスト授与式

第6回福岡ゲームコンテスト授賞式が1月5日、九州大学で開催され、大賞に対戦陣取りアクションゲーム『DominAREA』 が輝きました。

ゲームビジネス その他
授賞式はDiGRA JAPANの併設イベントとして行われた
  • 授賞式はDiGRA JAPANの併設イベントとして行われた
  • 大賞を受賞したチーム「M3」リーダーの福田裕紀君
  • 講評を述べるレベルファイブ日野晃博社長
  • コンテスト受賞者の面々
  • JESUS!【ゲームキャラクター優秀賞】
  • ビョノビー【プランニング優秀賞】
  • ALiCE`s CLOCK【グラフィック優秀賞】
  • Aim Racing【プログラム優秀賞】
第6回福岡ゲームコンテスト授賞式が1月5日、九州大学で開催され、大賞に対戦陣取りアクションゲーム『DominAREA』 が輝きました。

リーダーの福田裕紀君(東京工芸大学)は開口一番「やってやったぜ!」とコメント。メンバー12人の意見をまとめるのが大変だったが、受賞できてほっとしていると続け、目頭をおさえつつの受賞挨拶となりました。審査委員長をつとめたレベルファイブ日野晃博氏は「細かいところまで、こだわってよく作られており、審査員で満場一致の受賞となった」と講評しました。

福岡ゲームコンテストは福岡ゲーム産業振興機構が主催するアマチュア向けのコンテストです。福岡ゲーム産業振興機構は福岡市周辺のゲーム関連企業からなるGFF(ゲームファクトリーズフレンドシップ)、福岡市、九州大学からなる産学官連携組織。審査もGFF加盟会社が担当しています。会場でもレベルファイブ日野晃博氏、サイバーコネクトツー松山洋氏、ガンバリオン山倉千賀子氏のほか、九州大学・福岡市からも講評が述べられるなど、オール福岡による意気込みが感じられました。

また本授与式はDiGRA JAPAN年次大会併設イベントとして開催され、授与式には学会理事を務める岩谷徹氏、遠藤雅伸氏など、数々の名作を生み出したゲームクリエイター第一世代も参加しました。審査員を務めた日野氏らは『パックマン』『ゼビウス』などをプレイした第二世代。その彼らが若いクリエイターの卵に賞状を授与し、思いが受け継がれていくという、ゲーム史の大きな流れを感じさせる授与式となりました。

コンテストの受賞者は下記の通りです。
【ゲームキャラクター部門】 『JESUS!』 平田裕樹さん
【ゲームソフト部門】
・プランニング優秀賞 『ビョノビー』 石井秀和さん
・グラフィック優秀賞 『ALiCE!s CLOCK』 チーム名:Wild Card
・プログラム優秀賞 『Aim Racing4.5』 チーム名:Aim Racing制作委員会
・福岡市長賞 『Cross of Air』 チーム名:Team Ratel
・大賞 『DominAREA』 チーム名:M3

■ゲームキャラクター部門講評:サイバーコネクトツー 松山洋氏
ゲームキャラクター部門は今期から新設された部門です。今まではゲームのパッケージが対象でしたが、今期はやり方を変えて、ゲームキャラクターに掘り下げてご応募いただきました。

全体的な所感として、近年絵を描く能力が非常にレベルが高くなっています。今回も審査員一同、応募作の画力に驚かされました。その中でも「ゲームキャラクター」が持っている役割について、掘り下げて審査させていただきました。

今回選ばせていただいた『 JESUS!』は「上手い」だけでなく、他社作品との差別化がなされており、選ばれる一本にふさわしい世界観設定やキャラクター造形がなされていたと思います。他に変わりの聞かない、唯一無二の独自性を持つ作品として、審査員一同で選ばせていただきました。

■プランニング優秀賞講評:デジタルハーツ 河口敏幸氏
『ビョノビー』は非常にシンプルなゲームです。一般にシンプルなゲームは、独自性を出すために「ひねり」を加える必要がありますが、これが難しすぎるとシンプルでなくなるため、バランス調整が求められます。本作はこのバランスが非常に良いと感じました。
上下左右360度に広がる世界と、バネで階段を移動するアクション、レンガを作る工数の制限といった要素で、シンプルだけど奥が深い内容になっています。
バネの動きも昔懐かしく、失敗したときに思わずリトライしてしまう、普遍的なおもしろさがありました。今後も頭だけでなく、心をつかむようなゲームを作ってください。

■グラフィック部門講評:九州大学 松隈浩之氏
グラフィックはゲームで非常に大きな要因の一つです。『ALiCE!s CLOCK』というタイトル通り、『不思議の国のアリス』をモチーフとしたゲームですが、本作はアリスに対する愛にあふれていることが、プレイする前からわかります。トゥーンレンダリングで描かれたアリスや、クロックといったキャラクター、さらにはアイコンやバーなど、細部まで手が抜かれていないことが得票につながりました。今後はゲームデザインにも力を入れていくと、大賞が狙えると思うので、がんばってください。

■プログラミング部門講評:ガンバリオン 山倉千賀子氏
『Aim Racing4.5』はカーレースのゲームです。車の挙動、コースの作り方など、大変良く出来た作品です。グラフィックも非常に良く、どちらの部門にするか迷いましたが、プログラム面の方が良いのではないかということになりました。また全体の講評として、これまでは応募作でも、まともに起動しないものがありましたが、今年度はそういったこともなく、全体的に安定しており、プログラムレベルが上がっていたと感じました。Aim Racing制作委員会の皆さん、本当に良い作品でした。これからもがんばってください。

■福岡市長賞講評:福岡市経済観光文化局 天本俊明氏
『Cross of Air』は戦車を使ったレースゲームという斬新な企画や、映像などのクオリティが、審査員で高く評価されました。若くクリエイティブな才能をますます発揮していただければと思います。おめでとうございました。

■大賞講評:レベルファイブ 日野晃博氏
『DominAREA』はロボット同士が戦う一種の格闘ゲームですが、ただ戦うだけでなく、地面のプレートを使って罠をしかけるなど、思考型戦略性のある内容です。ゲームは企画から実現まで考えるポイントがたくさんあります。この作品は細かい演出、エフェクト、サウンドなどが、きちんと作ってある。おそらくチームみんなの様々な感性が融合して、一つの作品に仕上がっているのだと思います。

僕らがプロとしてゲームを作るうえでも、キャラクターデザイナーやプログラマーなど、さまざまな感性を組み合わせて昇華させることが必要ですが、この作品もそうした水準に達しており、本当にすごいことだと思います。作品の完成度が非常に高い、商品として出してもおかしくない、それくらい細かいところに気を配られている。チーム一丸となって作った結果だと思います。すばらしい作品を応募いただき、本当に感謝いたします。

実はここ数年「大賞該当者なし」という結果が続いていました。僕らも選出したくないわけではありませんが、それなりのクオリティを持った作品に大賞を授与したいという思いがあります。そうした意味で、今回は大賞を選出できて良かったなと思います。

今年度はたくさんの作品を審査させていただきましたが、全体的に完成度が高く、たくさんのクリエイターが応募してくれたことを、たいへん嬉しく思います。私たちは今後も福岡をはじめ、全国のクリエイターを育てていく必要があると思いますが、こうした賞をきっかけに、大きくなっていく人がいることを願います。

僕も昔、エニックスが主催していたゲームコンテストに応募するため、一生懸命プログラムを組んで、絵を描いて、ゲームを作りました。そうした思いが、僕がこうしてやれているように、プロとしていつか花開いていくんだろうなと思っています。

こうしたコンテストは非常に大切だと思っていますので、これからも続けていきたいと思います。多くの人に支えられて、このコンテストが継続できていることに感謝します。また応募してくれた皆様、本当にありがとうございました。これからも本コンテストをよろしくお願いします。

■M3リーダー・福田裕紀君コメント
(今の気持ちを聞かれて)やってやったぜ!という気持ちです。その次に、ほっとしました。メンバー12人、全員の思いを背負って制作してきたので、本当にリーダーの責任が果たせて良かったと思います。12人もいるので一つのゲームに完成させることが本当に難しかったです。本当にありがとうございます。(将来の夢を聞かれて)私は人の心を惹きつけるようなエンターテイメントをこれからも制作していきたいと思います。
《小野憲史》
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