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【E3 2010】ピーター・モリニューに独占取材、日本専用『Fable 3』も作ってみたい

『Fable』シリーズで知られるゲームデザイナーのピーター・モリニュー氏が最新作と日本への想いをインサイドだけに語ってくれました。

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Fable 3
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『Fable』シリーズの3作目には大きな野望が託されています。それは、プレイヤーが自分の行為に対する責任を負うこと。現状では、シューター、RPG構わず、ほとんどのゲームではプレイヤーの行動に対する反動はなく、プレイヤーの行動から被害を受けたNPCは映し出されることはありません。しかし、プレイヤーに人々を支配する究極の権力が手に渡ったとすれば、そのチョイスによってどのような影響が生まれるだろうか・・・という「責任」のコンセプトを前提とするのが『Fable 3』です。E3で行われたマイクロソフトの説明会では、『Fable』シリーズ生みの親、そしてマイクロゲームス・ヨーロッパのクリエイティブディレクターのピーター・モリニュー氏が『Fable 3』を紹介しました。



『Fable 3』はストーリー、ゲームメカニック、そして洗練されたバトルシステムの三本柱の上に成り立っています。まず、そのストーリーは善と悪の物語で、冷徹に国家を支配する悪に満ちたローガン王は、人々の生きる糧を奪い、美しい土地を汚し、主人公の親を殺す。残った息子は憎しみを覚え、敵を討つために革命運動を起こそうと試みる、そしてその先はプレイヤー次第で展開する。「だからといってこのストーリーを進まなければならない、ということはありません」とモリニュー氏は語りました。

ゲームメカニックの一例として、「革命運動」は人民からの支持を必要とするもので、これらの人々を勧誘することが求められます。これを達成する手段としてNPCに対してあらゆる風に触れることができます。RPGの定番としては、ある住民の悩み事を聞いて、解決するために出かけるのが普通です。しかし、『Fable 3』をデモプレイではNPCキャラにおしりを押し付けてオナラをこき始めて、思う存分住民をおっかけまわした最後に、カンカンになったNPCを酒場に連れて行くという場面が紹介されました。「もちろん、こういうやり方では誰も付いてこないよ」とモリニュー氏は笑いました。

人々との関係作りが副題でもある『Fable 3』に行動の自由に終わりはありません。土地が買え、何人の女性・男性とも結婚できる「一夫多妻計画」も可能です(ただお互いばったり会わせちゃだめですよ、とのモリニュー氏のアドバイス。)なお、『Fable 3』はXbox Liveで二人プレイが可能で、ゲーム内でプレイヤー同士が結婚することも可能です。しかし、「自由性」という言葉通りに「自由」を否定することも出来ます。プレイヤーの近くには常に金色に光るラインが伸びています。この道を辿ればストーリーを続けるための次のエリアに進めます。

バトルに関しては、記者はゲームのほかのイベントで一部をプレイする機会があり、複雑な解説を聞く必要なく、直感的に遊べるゲームでした。まず、ボタンが3つに魔法、剣、銃が配置され、それぞれには長所と短所があります。敵によって武器を使い分けますが、アタックはボタンを押す長さによっても変わるので、攻撃のリーチ、速さ、待ち時間の長さなどがバトルの戦略性を高めます。ゲームでは多くの敵が一斉に襲うことが多く、早ペースのバトル展開では常に次の行動を考えなければなりません。また、武器も戦い方によって変化し、情のかけらも無いような残虐な戦い方をすれば剣は赤く染まり、血が垂れる。もちろん、見かけだけでは無く、身につくアビリティも変化します。

国民から納税を要求して飢餓させるか、人々の生活をひたすらよくする事に没頭するか、通常の「ゲームクリア」後の世界が味わえる『Fable 3』。これほどの自由性を与えられて思わず固まってしまいがちですが、誰もが楽しめるポイントを見つけることができるでしょう。


ピーター・モリニュー氏
この説明会の後、ピーター・モリニュー氏との単独インタビューをすることができました。。

モリニュー氏は、日本に大きな興味を抱いていると語ります。逆インタビューするかのように、「なぜ日本では『Fable』が受けないのか、説明してくれないか」と記者に問いかけられました。「(欧米)でシンプルにしようとするほど、日本受けしなくなる」ことは「キャラクターデザインのこともあるのは自覚している」と氏は語ります。『Fable』氏シリーズの人気がいまいち上がらない理由として、「日本でアクション・アドベンチャーRPGは受け入れられないジャンルなのではないかとも疑問に思っている」とも話してくれました。

しかし、『Fable』に対する日本のゲーマーの意見を聞きたいだけではありませんでした。モリニュー氏は「私のスタイルでないにしろ、ファイナルファンタジーなどのような(比較的)一本道のRPGが人気であることが非常に興味深い。」また、「日本式RPGのメニューシステムでキャラクターをカスタマイズできるというのは欧米においては複雑と受け止められるのが、日本ではゲームの楽しみの一つであることが非常に面白い」とも述べました。「『Fable 3』では帝国を支配するという最高権力者になれるが、欧米のゲーマーとは異なって、日本人の友人はそこまでのコントロールを欲しがらないと話した。この考え方は非常に興味深い」自由性を極めた『Fable 3』をどのように日本のゲーマーにアピールできるかをモリニュー氏は深く考慮していると言います。

『Fable 3』では、主人公の健康状態を示すヘルスメーターなどの画面上におけるHUDなど無く、スクリーンの端が赤くなるというような工夫でプレイヤーの気をそらさず、ゲーム世界の中へ誘います。「Favleシリーズは段々RPG要素を自然に取り込み、アクション要素を高めている」とモリニュー氏は言います。現在のゲーム市場で最も売れるタイトルがアクション重視であることを意識しているようです。

「日本人のゲーマーにも一度『Fable』に触れて欲しい」という希望を持つモリニュー氏。ゲームデザインに対する考えを多く発言し、より多くのゲーマーに楽しんで貰える、入り込めるタイトルを純粋に目標としています。「もし金銭的な事情が無ければ、日本専用に『Fable』のキャラクターモデルを全て日本人の感性に合わせてみたい。つまり日本バージョンを作りたい」。日本のゲーム市場にも海外タイトルが増加し、海外タイトルに馴染む日本人ゲーマーがますます増える一方、モリニュー氏の日本人にも楽しんで貰いたい熱意が『Fable 3』で現実となれば、日本と欧米が歩み寄る日、そして日本と歩調を取った『Fable』が近い未来に見られるかもしれません。
《オーラ・カイ》
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