3D Gaming Summitのコンサルタントを務めるJohn Gaudiosi氏は、3Dゲームが普及するにはメガネを無くすべきだとする説を展開します。氏はメガネのコストに関し「多くのゲームが多人数でのプレイに焦点を当てていますが、遊ぶ人の数だけ高価なメガネが要るようであれば主流になるのは簡単ではないでしょう」とコメントしています。
「ファミリー及びグループでのゲーム体験」は今後のゲーム界における重要なキーワード。Wiiが47%ものシェア(IBIS Capital調べ)を獲得した背景には一家全員で楽しむスタイルを提示したことがあります。
しかし、みんなで楽しむのに人数分の3Dメガネが要るとすれば問題です。ゲームを継続的に遊び続ける家族であれば3Dメガネを買うことも考えられるでしょうが、たまにくる程度のお客さんを接待するために複数個の3Dメガネを用意するというのは現実的ではありません。
これはコストの問題です。UbisoftのシニアブランドマネージャーであるPhil Brannelly氏は、かつての3D映画やゲームが普及しなかった理由を「消費者の無関心」「技術の限界」「コスト」の3つにあると分析。現在はこれらの障壁は低くなっており、映画「アバター」のヒットが「文化的なシフト」を起こしたとしています。
「文化的なシフト」が今後も続くのか、「低くなった」障壁でどこまでコストダウンできるかは改めて考察されなければなりませんが、既存のコントローラー並みの値段で3Dメガネが買えるなら、接待用のメガネを1個置いておくくらいは考慮に値するオプションとなるかも知れません。
しかし、3Dメガネがあまりに高価であれば、勢いある普及は難しいのではないでしょうか。選択肢は2つあります。「ニンテンドー3DS」のように、3Dメガネ不要の立体視を提案するか。もしくは3Dをオプショナルなものとするかです。
Brannelly氏は3D映像に対し「3Dは5.1chのサウンドのようなもので、なくてもゲーム体験はできるが、あれば体験は更に高められるものとなるでしょう」と語っています。
「なくてもゲーム体験はできる」という発言が「一本のゲームで3DモードをON・OFFできるようにする」ことを指しているのであれば、高価な3Dメガネを「普及」させようとするよりは現実的な見解といえるでしょう。3D映像ならではのゲームデザインが難しくなり、どっちつかずのものになる可能性がでてきますが、その分他機種への移植は容易となるでしょう。
今後は3D映像にも二極分化が起こるのではないでしょうか。メガネ必須の3D映像と、「ニンテンドー3DS」のような裸眼で見られる3D映像。消費者はお財布の中身に合わせて選べるという訳です。
しかし、裸眼による3Dが出てきているなか、メガネ必須の3D映像が生き残るには投資に見合った高級感あるものである必要があります。
市場はどちらの3Dを選ぶのか。そして、ソフトメーカーはどちらに投資すべきか。3D映像は可能性であると同時に業界にとっては頭の痛いところでもあるのではないでしょうか。
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