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【GDC2010】ピーター・モリニューが語る『フェイブル3』の野望

マイクロソフト Xbox360

【GDC2010】ピーター・モリニューが語る『フェイブル3』の野望
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第3弾は全世界で500万本のセールスを狙うようです。

『ポピュラス』『ダンジョンキーパー』などでゴッドシムの開祖と呼ばれ、昨今では『フェイブル』シリーズで世界的なヒットを記録しているピーター・モリニュー氏が、GDCのメインカンファレンス初日となる11日に講演を行いました。

ピーター・モリニュー氏


タイトルは「The Complex Challenges of Inuitive Design」(直感的なゲームデザインの複合的な挑戦)と意味深で、実際の内容は開発中の『フェイブル3』の最新プレゼンテーション。モリニュー氏は「500万本以上を売る」と高い目標を掲げ、そのためにどのような方向性で開発しているか、開発バージョンのデモプレイを行いながら説明しました。

『フェイブル』シリーズはRPGだと言われても、何を今さらと感じる人が多いでしょう。しかし海外ではRPGは一握りのコアゲーマーが遊ぶニッチジャンルで、アクションはおろかアドベンチャーよりシェアが低いのが現実です。そして昨今では、この2つを足したアクション・アドベンチャーが人気ジャンルであることに、異論の余地は少ないでしょう。『GTA』『アサシン・クリード』『アンチャーテッド2』など、ヒットタイトルがずらりと並んでいます。

ではアクション・アドベンチャーにあって、『フェイブル』に足りない要素とは何か・・・。講演内容を非常にざっくりと整理すると、モリニュー氏は「ドラマ」と「シンプルさ」だと分析したように感じられました。『3』では「フェイブル」シリーズの魅力をそのままに、これらの要素を改善することで、より多くの人に受け入れられるような続編制作が目指されたようです。

欧米ではRPGはニッチジャンルだフェイブルシリーズの5要素シリーズの魅力を強めた続編に


まず「ドラマ」とは何か。これもまた人によって答えが異なると思われますが、『フェイブル』シリーズでは「すべての選択に意味がある世界で、プレイヤーの選択によって、自ら紡ぎ出されていくもの」だと捉えられているように思われました。本シリーズでは主人公の人生がすなわちストーリーで、選択次第で正義の勇者にも伝説の悪党にもなれます。

ただし、操作が煩雑ではこれらの要素も十二分に楽しめません。モリニュー氏は「ユーザーの6割以上が5割未満の機能しか理解していない」と語り、より直感的でシンプルな操作性を追求する姿勢を示しました。この「選択と結果」のループを、誰もが迷うことなく、くるくると回していくことで、広い意味でのストーリー体験が生まれていく・・・。これは『フェイブル』シリーズに限らず、ゲーム全般に通じる要素ですが、これを『3』ではさらに、それも『フェイブル』流に、力強く打ち出していくことが示されたのです。

まず大きく変わった点はキャラクターのモーフィングです。容姿や姿態だけではなく、戦闘によって武器も自動的にモーフィングするようになりました。主人公の背中には、善人ルートか悪人ルートかによって、戦闘時だけ見える羽が追加。主人公の成長に伴って、より大きくなるようになりました。成長システムも一般的なレベル制やスキル制が廃止され、剣で攻撃すれば筋力が、魔法で攻撃すれば習熟度が上昇し、食料を取れば体重が増えるといった具合に、プレイスタイルに応じて自動的に成長していくようになりました。

RPGの花である戦闘システムも、コントローラーの各ボタンを押すだけで近接戦闘・射撃・魔法が繰り出せるワンボタンコンバットはそのままに、さらにシンプルになりました。なんと言っても驚かされるのが、おなじみの体力ゲージやパラメータなどのHUD類が画面上に表示されないことです。詳細は不明ですが、プレイヤーは純粋にキャラクターの状態を画面上で確認しながら、戦ったり、退いたりといった選択をすることになりそうです。また画面上にHUDが表示されないというのは、戦闘時以外でも徹底されており、『3』のユーザーインターフェースの大きな特徴になっています。

ボタンを押すだけの簡単攻撃攻撃に応じて武器もモーフィングする


一方で主人公の動機付けもより明確になりました。ゲームの舞台はシリーズでおなじみのアルビオンで、『2』の十数年後の物語となり、主人公は『2』の息子(または娘)という設定です。『3』では主人公は一介のヒーローからスタートし、ストーリーの途中で王となります。その結果、自分の都市や領地が持てるようになり、さまざまな権力が発揮できるようになるとのこと。善政も悪政もプレイヤー次第というわけです。このように『3』のテーマには「パワフルさ」があると語られました。そこには権力であったり、戦闘の爽快さであったり、さまざまな意味がありそうです。

王と言うからには、状況にあわせて適切な服装をしたり、領地を一望できなければなりません。ここで披露されたのが、新しい「着替え」「マップ」システムです。モリニュー氏は『2』でも採用された階層構造によるメニューシステムを、自ら煩雑でわかりにくいと一刀両断。アパレル売り場でマネキンの衣装を選ぶような、3Dメニューシステムを導入したことを示しました。また地図はテーブルの上に作られたジオラマ風の立体地図を虫眼鏡でのぞき込む方式に変更され、より直感的に確認できるようになりました。これらは主人公の自宅にあるという設定で、スタートボタンを押せば戻ることができます。

従来の階層メニューによる衣装選択画面キャラを選ぶと自動的に衣装がセットされる
虫眼鏡で世界を探索し、都市を拡大街の中をくまなく探索できる


そしてNPCにより親愛を感じてもらう方法として、新しく「タッチ」システムが導入されました。これはボタン操作でキャラクターの肩をなでたり、抱き上げたり、手をつないで一緒に歩き回れるというもの。子供が生まれたら、抱き上げてあやすこともできます。また悪人ルートでは嫌がるNPCの手をつかんで工場に引っ張っていき、売り飛ばすなども可能になりました。もちろん『2』で登場した愛犬システムも健在。いずれにせよ「タッチ」システムで、よりエモーショナルなプレイが可能になるようです。

なお一部のユーザーから『2』は簡単すぎる、という指摘を受けたことに対して、『3』では難易度調整にも修正が加えられました。こちらも詳細は不明ながら、よりゲームプレイに密接に関係した形で、難易度が自動修正されていくシステムが搭載されるようです。

子供を抱きかかえる主人公「2」と同じく愛犬も登場する


ゲームのデモプレイを見て印象的だったのは、画面上にHUDなどの余計な情報が、できるだけ表示されないシンプルなインターフェースでした。現在のバージョンは開発中のもので、今後も変わることが予想されますが、当初からシンプルさを意識して設計されている点がポイントです。攻撃時も状況に応じてクローズアップやスローモーションなどの演出が加わり、より爽快感が向上。直感的なアクション操作のおもしろさを最大限に追求した、まさにアクション・アドベンチャーテイストといったところでしょうか。

またモリニュー氏は日本のRPG事情もかなり研究しているようで、講演後に筆者が質問に並んだところ「『ファイナルファンタジーXIII』は、なぜこんなに世界中でヒットしたんだ?」と逆質問されたほどでした(正直に「わかりません」と答えたのは、言うまでもありません)。なにしろ日本は欧米とは反対に、RPGがメジャーでアクション・アドベンチャーがニッチという「謎の市場」。しかし『1』で300万本、『2』で350万本ときて、『3』で目標の「500万本」をクリアするためには、日本での売上げ本数を伸ばす必要があるのは明らかで、さまざまな施策も考えられているようです。

合同インタビューで「3」を語るモリニュー氏


ちなみに筆者が『フェイブル』シリーズを遊んで感じるのが、「物言わぬ主人公」や「プレイヤーの選択で、自分だけの冒険が楽しめる点」など、「ドラゴンクエスト」シリーズとの相似点です。先の質問でも「プレイヤーはさまざまな選択を通して、世界によりダイレクトに没入していくんだ」というコメントがありました。

後日に行われた合同記者インタビューで「フェイブルはドラクエ型ですね」と尋ねたところ、「確かに、それに近い要素は多く含まれているかもしれない」と、まんざらでもない様子でした。また補足ながらXbox360用の新型コントローラ「Project Natal」については、何ともコメントできないとのことで、肯定も否定もなかった点が逆に気にかかります。実際の発売時期は未定ですが、開発の進展を期待したいところです。
《小野憲史》

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