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【ゲームニュース一週間】海外といかに関わるか-CEDECでの試行錯誤

ゲームビジネス その他

今週は「CEDEC 2009」で数々の講演が行われました。「CEDEC」とは「CESA Developers Conference」の略であり、基本的に開発者に向けた講演が行われます。ゲーム業界の情勢を反映したものになるのですが、今年のキーワードの一つは「海外とどう関わるか」といったものでした。

バンダイナムコゲームスの中西 哲一氏はサウンド面に関し「ターゲットが海外にあるなら、彼らの価値基準を考慮する必要がある」とコメント。また、コーエーの渥美 貴史氏は『大航海時代Online』韓国版では「日本版との同一性をいかに守り、捨てるかという取捨選択」こそ重要であると発言。また、バンダイナムコゲームスのJames Vance氏は「海外の人が見ているエンターテイメントを吸収するためアニメではなく「24」を借りてみて欲しい」と日本の開発者に提案しています。

海外市場を意識する中で、日本ゲームがどういったゲームを開発し、どのように海外と関わっていくかは一大テーマですが、キチンとした答えを出せているところは意外に少ないようです。その理由は感性が大きく違うことにあります。絵も音も、日本と海外では喜ばれるものが違うのです。例えば日本で親しまれているアニメ的な絵柄もタイトーのScott Blow氏によれば「アニメ絵というだけで手を出さない層は存在する」そうです。バンダイナムコゲームスの西 哲一氏には、北米はSE重視、日本は音楽重視の傾向があるように感じられたといいます。

感性が違うとはいえ、現状では日本よりもビッグなマーケットを切り捨てる訳にはいきません。国民的RPG『ドラゴンクエストIX』の制作現場ですら「海外のゲームは新しい施策を取り入れており『ドラクエ』もその路線を追うべきかと悩んだ時期がありました」(スクウェア・エニックス 藤澤 仁氏)といいます。

日本と海外の関わりをテーマとした講演が目立ったのは、今の日本ゲーム界が思考し、戸惑っていることの裏返しなのではないでしょうか。

海外市場の好みを積極的に取り入れ、海外ウケするゲームを作るのか。それとも、日本国内のためだけにゲームを作るのか。恐らくは中庸こそが採られるべき選択でしょう。

海外市場を意識しすぎて日本ゲームらしさがなくなるのは問題ですし、逆に日本市場のみを意識するのも問題でしょう。日本ゲームの全てが『ドラゴンクエストIX』のように国内市場のみで300万本突破を狙えるものではないのです。

中庸はどっちつかずの選択に見えますが、逆に言えばどちらにも舵を切れる強みがあります。充分に自分と相手の違いを研究した上で勝負に出ると書けば悪い選択ではないような気がします。今は海外を理解し、力を蓄える時期なのではないでしょうか。

先行する品物が存在した上で、これを理解し改良することは日本人の得意技です。洋ゲーのヒット要因やテイストを取り入れ、日本的な細やかさを付け加えることで、ゲームはこれまでと違ったものになれるかも知れません。

洋ゲーの模倣を作るのか。それとも、日本的なテイストを持つ「和風・洋ゲー」を作るのか。乗り越えるべき山は高いのですが、それだけに頂上からの長めも美しいものとなるのではないでしょうか。
《水口真》

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