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【CEDEC 2009】『大航海時代 Online』の運営戦略、そして次のステージへ

ゲームビジネス その他

【CEDEC 2009】『大航海時代 Online』の運営戦略、そして次のステージへ
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コーエーのMMORPG『大航海時代Online』、その運営は山あり谷ありといったものだったようです。

コーエーの渥美貴史氏は『大航海時代Online』の運営プロデューサーを担当。ゲームの特徴は「定額制」(月額制)であり「大航海時代を舞台として」おり、「戦わなくて良い」ものであると解説します。

これまでのアカウント数の累計は34万人。そこから製品版へ移行したアカウントは11万6000人、現在の課金有効アカウントは3万2000人(いずれも2009年7月末現在の数値)。新規登録数も順調に伸び、現在の課金有効アカウントは「サービス開始以来最大級の会員数」(渥美氏)であるとされています。

渥美氏は『大航海時代Online』を運営時期からいくつかのテーマに分類、そのそれぞれを解説していきます(各時期のタイトルは氏によるもの)。

■第1期 出航(2005年3月~8月)

企画書に書かれた「海域を区切ってのアップデート」「ソロプレイの楽しさ」「スキルによる成長システム」などを実装でき、正式サービスのスタート直後にアップデートを毎月行ったにも関わらず「会員数は徐々に減少」(渥美氏)。アップデートはオープンβテスト(正式サービス開始前に、誰でも参加できるテストプレイ)に実装されたコンテンツをブラッシュアップするためのものであったといいます。

■第2期 嵐の国内運営(2005年9月~2006年3月)

前述の会員数減少と海外対応が重なった「非常に苦しい時期」(渥美氏)。なぜ会員が減ったかに関して仮説を立て、アンケートによって客観的な裏付けを取ることで立て直しが計られました。

離脱の原因を「コンテンツのやり尽くしによる離脱」「効率的な方法が発見されてプレイスタイルが硬直化」「プレイヤーどうしの海賊行為による離脱」と仮定。離脱したプレイヤーを対象にアンケートを取ったところ、前者二つがより深刻であるとする結果が出ました。プレイヤーが望む拡張について意見を集めたところ、「非常にソロ志向」かつ「競争要素のニーズは高くない」(渥美氏)という方向性が出たため、短期・中期・長期的なコンテンツを追加。ここでは費用対効果を優先することも重要であったといいます。

また、出航後にすぐに帰還することで交易品の購入や投資、クエストを有利に行う通称「ブーメラン」に関しては、単調でプレイの硬直化を生んでいたことからこれを無くす方向に。「代替手段を提供」「簡単なブーメランの防止」という対処の順番が重要であり、修正を受け入れてもらうためにもこれが逆であってはならないとする見解を明らかにしました。

■第3期 初の拡張パックと体制変更(2006年4月~2007年3月)

ゲーム開発と運営を分離するという新体制がスタート。この二つが兼任されていたため、繁忙期が重なることでクオリティが低下。拡張パック『La Frontera』では「調整や仕様の変更に失敗」したことが原因で評価点が大幅にダウンしたとされています。

これに対応するため、運営側に検収班を設置。新コンテンツをテストし、改良すべき点を「是正勧告」(アドバイス)として提出する仕組みを作りクオリティをアップさせたといいます。また「冒険」「商人」「ソロ」「グループ」などプレイスタイルの視点でも評価、今回のアップデートでフォローが薄かったプレイスタイルを次回でフォローするといったことも行われたそうです。検収班の効果は評価点のアップという形で現れたと渥美氏は語りました。

■第4期 新たなる挑戦(2007年4月~2009年3月)

この時期は気軽にゲームを楽しめる「Liteチケット」が導入され、韓国版が定額制からアイテム課金制へ転換。開発と海外現地運営との間を「運営支援」が取り持つスタイルとなりました。運営支援は現地のニーズを整理して開発へ届けると共に、現地運営とのコミュニケーションを定型化。担当者が変わっても問題のないシステムが構築されました。また、韓国版は日本版とは別仕様となるため、今後は「日本版との同一性をいかに守り、捨てるかという取捨選択」の視点が必要となりました。

国内では体験版から製品版に移行する人が減少しましたが、安価な「Liteチケット」を試験的に導入することで「課金転換率が大幅に回復」。これを恒久的な制度とすると同時「新施策は導入して終わりではない」という考え方の元に検証が行われたとのことです。

■第5期 ジパングを目指して!(2009年4月~)

2009年4月に発表されたプレイステーション3版の効果は「退会率の抑制」「帰参者の増加」「Windows版の新規参入者の増加」であったといいます。
新たなプラットフォームからの参入者で世界が賑わうことでゲームを止める人が減っただけでなく、これをきっかけとしてゲームに帰ってくる人も増加。また、プレイステーション3版の新発売で露出が増えたことにより、Windows版の会員も増えるなど、プラスの影響は多角的なものであったとのこと。家庭用ゲーム機版はどのオンラインゲームでも取れる戦略ではないものの、機種を越えて互いに影響を及ぼしている辺りは興味深い現象といえるでしょう。

「評価点の低下」や「会員数の減少」といったネガティブ要素も率直に公開された今回の講演、特に「ブーメラン」関連は物議を醸しただけに当時を知るプレイヤーとしては懐かしいところではないでしょうか。アンケートの重要さも改めて浮き彫りにされたのが印象的でした。なお、渥美氏によれば、東京ゲームショウでは次期拡張パック『El Oriente』の陸戦要素がプレイアブル公開されるとのことで、ファンとしては続報に期待といったところでしょう。
《水口真》

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