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【CEDEC 2009】デモンズソウルのゲームデザイン

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【CEDEC 2009】デモンズソウルのゲームデザイン
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仲間とのコミュニケーションが制限されるユニークなネットワークモードで話題となった『デモンズソウル』。その開発現場では何が起こっていたのでしょうか。ソニー・コンピュータエンタテインメントの梶井健氏とフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏が、秘密を語ります。

梶井氏と宮崎氏

まず登壇されたのは『デモンズソウル』でプロデューサーを務めた梶井 健氏。梶井氏はゲームの制作費高騰を指摘。リスクを軽減するため「作り手が何を作りたいか」ではなく「ユーザーが何を求めているか」が中心となった「マーケティング重視の制作スタイル」により、「売れたタイトルの続編」や「既に人気のある原作のゲーム化」などが中心となり、チャレンジしにくい状況が生まれていると現状を総括。「マーケティング重視の制作スタイル」自体は間違ってはいないものの個人の新しい「閃き」が埋没、マンネリ化によりゲームそのものの衰退が起こるのではないか、と警鐘を鳴らします。

『デモンズソウル』ではグラフィックの進化より遊びに重点を置いた「原点回帰」を志向。想像力をかき立てる演出など「制作スタッフが本当に面白いと思える、妥協のない作品作り」をキーワードとしたといいます。

「本当に面白いと思いつつ制作した」ものの、『デモンズソウル』は制作途中でも賛否両論があり、作り手も「マーケティング重視の制作スタイル」に飲み込まれかねないプレッシャーの中で作業を行ったとのこと。しかしながら梶井氏は、チャレンジだからこそ意義があり、多様化は市場の活性化に繋がるものである、と独創的な作品作りの大切さを語りました。

次に『デモンズソウル』のゲームデザインを担当したフロム・ソフトウェアの宮崎 英高氏が登壇。キーワードは原点回帰と達成感であり、これを実感するために「死」が必要であったと明かします。

「助け合い」と「死」というゲームデザイン

『デモンズソウル』のネットワーク要素は原点回帰を支援するものであり、「ゲームプレイに刺激を与えるもの」であっても「マルチプレイのフィールド」ではなく、ネットワークの先に誰かがいるからこそ刺激は特別な意味を持つ……とするのが氏の考え方。

ただ、ボイスチャットを始めとする「他のプレイヤーからの呼びかけに即応しなければならない」コミュニケーションは自分のペースで気ままに遊べるシングルプレイの良さを損うものであるとして、「定型文のみの会話」「メッセージの書き込みはできるが返信はできない(評価のみ可能)」といったシステムでコミュニケーションを敢えて制限。「血痕に触れると他のプレイヤーの死に様が表示される」など情報を絞ることでプレイヤーの想像力をかき立て、「不自由だからこそ、通じ合えた時嬉しい」非同期ネットワークが生まれたといいます。

また、「死」を主眼に置いたゲーム故、死んでも納得できる軽快な操作性や、死んでもプレイヤーの意欲が損なわれないようアイテムは保持されるルール設定、学習性を高めるために敵や罠を固定するといったことが行われているとのこと。

こうしたアイデアとクリエイターが「作りたい」ゲーム性の相性が非常に良かったことが非常な幸運だった、と梶井氏は『デモンズソウル』の制作を総括しました。

ネットワーク要素を「シングルプレイを豊かにする刺激」と定義、主眼はあくまでシングルにおき、敢えてコミュニケーションを制限するも、通じ合えた喜びはきちんと用意されている……と現在のオンラインゲームの常識からするとかなり興味深い試みが成されていることが分かります。家庭用のフィールドから生まれた『デモンズソウル』のユニークさを再確認できる講演となりました。
《水口真》

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