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【Shoot It】第66回 セキュリティソフトがゲーマーを意識し始めた

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【Shoot It】第66回 セキュリティソフトがゲーマーを意識し始めた
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2008年は、セキュリティソフトがゲーマーを意識し始めた記念すべき年になるかもしれません。トレンドマイクロの「ウイルスバスター」と、シマンテックの「ノートン」シリーズが、新製品でゲームプレイヤーに配慮する機能を搭載したからです。

ゲームのパフォーマンスとセキュリティ。このふたつの要素は相反するものでしょうか。結局、私はゲームをプレイする前にセキュリティソフトを解除し、ゲーム終了後にセキュリティソフトを起動する、という方法を選びました。不便ですが、ゲームのパフォーマンスとセキュリティを両立させるためには、こうするしかありません。いずれ時間があるときに、他社のセキュリティソフトをいろいろ試してみようと思っていました。

そんなとき、トレンドマイクロから新製品の発表会に招待されました。私の素朴な疑問やクレーマーに近い質問に対して、丁寧に応えてくださった会社です。「ゲーマーにとってセキュリティソフトは邪魔です」そんなことを申し上げた無礼なライターを呼んでくださる。そこにはきっと明確な理由があるに違いありません。9月10日、私は興味津々で「ウイルスバスター2009」の発表会にお伺いしました。

インターネットからの様々な脅威に対抗すべく、「ウイルスバスター2009」はいろいろと高機能化が図られています。それら詳細は様々なメディアの既報をご覧いただくとして、ゲーマーにとって注目すべき点がふたつありました。ひとつはメモリ使用率の低下です。「2009」は「2008」よりも、メモリ使用量を45%も削減したそうです。それに合わせてCPU利用率も低下させました。システムリソースの負担が軽くなれば、他のソフトウェアとの競合も減ります。3DアクションゲームはPCのシステムをフルに使いますから、これはゲーマーにとって良いニュースです。

もうひとつの注目点は「全画面サイレントモード」です。これは、PCをフルスクリーン状態にしてゲームやDVD映画鑑賞を楽しんでいるときに、「ウィルスバスター」のポップアップウィンドウを停止し、スケジュールスキャンも実行しないモードです。全画面使用時はウィルスバスターがサイレント、つまり沈黙するわけです。私はこの「全画面サイレントモード」に興味を持ちました。なぜなら、「セキュリティソフトが画面の制御権を取ろうとして、ゲームをフリーズさせてしまう」という症状は『ぼくは航空管制官3』の公式サイトで報告されていたからです。これなら私の環境も改善されるかもしれない。もしかしたら、「ウィルスバスター2009は、ゲームがちゃんと動くセキュリティソフトになった」のではないか。そんな期待を持ちました。トレンドマイクロさんが私を呼んでくださった理由は、この機能を知らせたかった、ということでしょう。

さっそく自宅に戻り「ウイルスバスター2008」を「ウイルスバスター2009」にアップデートします。そして『ぼくは航空管制官3』を起動しました。動きました。ひとつのステージを始めから終わりまで遊べました。ひとつめの問題はクリアです。次に、Steamのゲームをいくつか。ん……『ハーフライフ2 エピソードワン』は、しばらく遊べましたがフリーズしてしまいました。『チームフォートレス2』は大丈夫のようです。『カウンターストライク』も大丈夫です。もっとも、対戦ゲームの場合、起動できただけではダメで、プレイ中のPING値の低下があっては困ります。ただし、以前は起動すらしませんでした。かなり改善されたとみるべきでしょう。

『ハーフライフ2 エピソードワン』のフリーズが気になりましたが、実はこの問題は別の方法で解決しました。「ウイルスバスター2009」をインストールして2週間ほど経ったある日、私のビデオカード、NVIDIA Geforce シリーズのドライバがアップデートされました。このアップデートを実行したところ、私が持っているほぼすべてのゲームが問題なく動くようになりました。私のトラブルは個別の事情、相性問題の疑いが濃厚で、解決できるとは思えませんでした。しかし、結果としては時間が解決したことになります。NIVIDIAのアップデートのタイミングを考えると、セキュリティソフト大手のアップデートと何か関連がありそうですが、それは憶測に過ぎません。

ところで「ウイルスバスター2009」を「全画面サイレントモード」に切り替えるにはどうしたらいいのでしょうか。アップデートしただけでゲームが動くようになったので、おそらく初期状態で「全画面サイレントモード」になっていると思われます。しかし、「モード」と言うからには、他のモードに切り替えられると解釈できます。そうだとすると、現在、本当に「全画面サイレントモード」になっているか気になります。そこで「ウイルスバスター2009」の設定画面を探してみました。ところが、どこにも「全画面サイレントモード」という項目がありません。ヘルプファイルを検索してみましたが、ソフトの紹介のところで「全画面サイレントモード」の記述があるものの、実際の設定方法は記載されていません。公式サイトも同様でした。ヘンです。製品の特徴として記者発表され、印刷物にも記載された事項が、製品のどこにも見あたりません。

「ウイルスバスター2009」に、「全画面サイレントモード」は本当に搭載されているのかも疑わしくなってきました。「ウィルスバスター2009」と同じ日に「ノートンシリーズ」も発表されましたから、もしかしたら、ライバルの機能の情報を察知して、慌てて発表し、こっそりアップデートで仕込むつもりではないか。そんな失礼な疑惑も沸きます。ノートンシリーズのサイレントモードはまだ試していませんが、ネット上のレビュー記事によると、タスクトレイから手動で設定できるそうです。全画面なると自動的にサイレントモードになるそうですが、明示的に切り替えられるとのこと。

「ウイルスバスター2009」ではどうなっているのか。トレンドマイクロに問い合わせました。すると、次のような回答でした。設定画面から「契約更新/その他」を選択し「ポップアップメッセージなどの設定」の画面で、「状態の確認を有効にする」にチェックが入っていれば「全画面サイレントモード」になっているそうです。確認すると、すでにチェックが入っていました。つまり、「ウイルスバスター2009」は初期状態で「全画面サイレントモード」になっていたことになります。

しかし、「ウイルスバスター2009」の「全画面サイレントモード」の設定はあまりにも不親切だと言えます。「状態の確認を有効にする」の主語が不明確です。これは「画面の」状態の確認を有効にするという意味らしい。しかし、いきなり「状態の確認を有効にする」と表記されたら、それは「ウイルスバスター2009」の状態だと思うでしょう。あるいはPCのセキュリティ状態を指していると思います。ここで「画面の状態」と気づく人はいないと思います。教えてくださったトレンドマイクロの方へ「これは改善した方がいいですよ」とお伝えしました。せっかく良い機能を搭載したのに、これではちゃんとユーザーに伝わりません。それはとってももったいないことです。

数ヶ月前に突然、ゲームが起動しなくなった。どうやらセキュリティソフトが原因らしい。どうしてこんなことになるのか。そんな疑問から「ゲーマーとセキュリティ」について掘り下げてみました。その結果「セキュリティソフトメーカーもオンラインゲーマーへの配慮を始めており、セキュリティソフトの新機能を搭載するなど対策が始まっている」ことがわかりました。しかし、まだまだ解決すべきところはありそうです。ゲーマーが改善の要望を挙げれば、セキュリティソフトメーカーが真摯に対応してくれる。そんな関係が続けば、セキュリティソフトはもっと進化していくことでしょう。全画面サイレントモードは、オンラインゲーマーとセキュリティソフトが良い関係を築く第一歩だと言えそうです。
《杉山淳一》

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