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【Shoot It!】第64回 「ネット上の悪意」に狙われるオンラインゲーマー

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【Shoot It!】第64回 「ネット上の悪意」に狙われるオンラインゲーマー
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セキュリティソフトが原因と思われるトラブルでゲームが動かない。故にオンラインゲームプレーヤーはセキュリティソフトを使いたくても使えない。そんな状況を、セキュリティソフトメーカーはどう思っているのでしょうか。セキュリティ対策ソフトウェア企業の大手、トレンドマイクロ株式会社にメールで問い合わせたところ「詳しくご説明したいのでおいでください」とのこと。さっそくお伺いしました。

「セキュリティソフトの仕様によりゲームに支障があるとしたら困ります。セキュリティソフトメーカーはPCゲームプレーヤーに対してどう考えていますか? 市場の少数派ということで、対応には消極的なのではありませんか」

「いいえ、消極的ではありません。トレンドマイクロでは、PCゲーム市場に取り組んでおり、ゲームソフトへの対応を進めています。ゲームプレーヤーのセキュリティ意識について、大変興味を持っています。それをご説明するためにも、まずは近年のセキュリティに関する情報をご説明します」

トレンドマイクロ


まずは統計的なデータから。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が発表したウィルス届け出件数は、1990年に14件、1994年に1,127件、2000年に1万1,109件と増え続けており、2001年は前年度倍増の2万4,261件になりました。その後少し下がりますが、2005年には5万4,174件に達します。しかし、これをピークに2006年は4万4840件、2007年は3万4,334件と減少傾向です。統計上はウィルス被害が減っているように見えます。

「PCユーザーのセキュリティ意識が高まってきたからでしょうか」

「それが全然違うのです」とトレンドマイクロは説明を続けます。「ウィルス被害が減っているように見える理由は、ウィルスが減っているのではなく、ウィルスが巧妙に侵入しているためです。そのためユーザーがウィルスを見つけにくくなっています。この調査は届け出をカウントしていますから、ユーザーが感染していても、それに気づかない場合、件数は反映されません」

ここで示された資料はウィルス研究者に信頼されているというドイツの調査機関「AV-test.org」の調査結果でした。ウィルスやスパイウェアについて、1988年に1,738件が報告されています。その後も増加する一方で、1998年は17万7,615件でした。その後はほぼ横ばいでしたが、2006年頃から爆発的に増加し、2007年には550万件を突破します。脅威は隠され、拡大し、私たちを取り巻いている。それはゲーマーも同じです。

ウィルスが急増しつつ見えなくなった。その理由は、ウィルスやスパイウェアの性格が変わってしまったからだそうです。かつてのウィルスの制作者はいわば"愉快犯"でした。自分のプログラミング技術を試すためにウィルスを作り、増殖させる。画面が崩壊したり、シャットダウンが繰り返されたりという挙動が報道されることで快楽を感じる。そんな人々がウィルスを作っていました。しかし、現代のウィルス制作者は違います。「目的が実利になっています。パスワードを盗み、不正な送金を行ったり、企業の顧客情報を盗んで脅迫したり、メールアドレスを収集してSPAM業者に売りつける目的でウィルスが作られています」。そういえば最近、フィッシング詐欺のニュースを見かけます。こうした実利系ウィルスの場合、見つけられては困ります。だから、ふだんPCを使っている人には気づかれない形で浸透します。

そういえば、私のゲーム仲間にもSteamアカウントを騙し取られた人がいました。英文でValve社やSteamを騙るメールが届き、何の疑いも持たずに表示されたURLにアクセスしてIDとパスワードを入力した。しかし、その翌日以降、パスワードやプロファイルが勝手に変更されて、Steamにアクセスできなくなってしまった、という事件です。私にも同様のメールが届いたかもしれませんが、英文を読むのが面倒なので捨ててしまったのでしょう。Steamゲームが好きで、情報に敏感な人だからこそ騙されてしまったようです。

「ゲームプレーヤーのみなさんは、ゲームを遊びたいという気持ちが強いために、画面の表示やダウンロードを疑うことなく受け入れやすいという傾向があります。これはもっとも狙われやすい心理状態です」

確かに、ゲームポータルの中には、利用するためにActiveXコントロールをダウンロードする必要があるサイトがあります。セキュリティ対策済みのPCでは確認メッセージが出ますが、まったく疑うことなくボタンを押してしまいます。そうしなければゲームで遊べないからです。また、MMORPGなどでは、定期的なアップデートが行われ、自動的にクライアントのバージョンアッププログラムがダウンロードされます。拒否すれば遊べなくなりますから当然の判断ですし、私たちはゲームポータルを信頼しているわけです。

しかし、もしそこに悪意が介在して、ウィルスやスパイウェアが含まれていた場合、私たちはそれに気づくでしょうか。まず、気づかないでしょう。実際に、国内のゲームポータル2社でWebサイトが攻撃され、改ざんされたために、そのサイトにアクセスしたPCに不正なプログラムがダウンロードされるという事態が発生しました。

万が一、不正なプログラムがダウンロードされてしまった場合は、放置してはいけません。セキュリティソフトで除去する必要があります。IDやパスワードが盗まれてしまった場合、有料サービスを利用するためのポイントが盗まれたり、ゲームにアクセスできなくなったりします。「自分は有料サービスを使っていないし、お金も払っていない。クレジットカードも登録していない」それでも被害を受けるかもしれません。あなたのIDやバスワードを使って、他のユーザーを騙す詐欺が行われるかもしれないからです。

セキュリティソフトを導入すれば、フィッシングサイトを検知することもできます。不正プログラムを無効化することもできます。PC内での不正な挙動を監視して警告することもできます。単にPCが故障するという問題ではなく、PC以外の資産を守るためにもセキュリティソフトは必要だ、というわけです。

しかし、私には納得できない部分も残されています。
「なるほど。セキュリティソフトはゲーマーにとっても重要で、必ずインストールしたほうがいい。それはよくわかりました。しかし、セキュリティソフトをインストールしたおかげでゲームが動かないという場合があります。ゲームを遊びたい人にとっては、セキュリティソフトのほうがウィルスよりも困った存在になっているんですよ」

次回に続きます。
《杉山淳一》

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